
食卓でテレビを消す意味は、実験によって違う
テレビを消す工夫として想像しやすいのは、食事との組み合わせを変えることだ。ただし、視聴時間を減らす話と、食事中に画面を見ない話は完全には重ならない。前者は生活時間全体の変更で、後者は食べる場面の変更である。ここを分けると、どの研究から何を言えるかが見えやすくなる。[18][12][17]
Braudeらの実験では、女性の参加者がテレビのある場合とない場合に間食を食べた。食品を単一の種類にする群と、複数の種類にする群があり、テレビがあると、いずれも食べる量が増えた。また、テレビを見ながらでは、空腹感や満腹感を同じ程度変化させるまでに、より多くの食品を食べていた。[17]
単一の食品を食べる群では、同じ食品を食べ続けるとその食品のおいしさの評価が下がる「感覚特異的満腹」の発達が、テレビのある条件で見られなかった。そのことが、より多い摂取と関連していた。番組に注意が向いている間、食べる量の調節に関わる過程が変わる可能性を考えさせる結果だ。測定した結果は、その場の間食の摂取量だった。[17]
Braudeらは、食品の種類以外の条件も調べている。番組を見て気分がよくなった場合や、その番組になじみが薄い参加者では、テレビによる摂取量への影響が小さかった。逆に、普段テレビをよく見る参加者では影響が大きかった。同じ番組を流す実験でも、視聴する人の普段の習慣や番組へのなじみが結果に関わっていた。[17]
一方、Martinらが行った実験は違う結果だった。19〜54歳、BMI20〜35の成人48人が、通常の食事、読書しながらの食事、広告のあるテレビを見ながらの食事、広告のないテレビを見ながらの食事という条件を、無作為な順序で経験した。食品の重さから摂取量を調べたが、摂取エネルギーと主要な栄養素の量に有意差はなかった。[12]
広告に関する記憶などの個人の特徴は、一部の条件で体重や摂取量と関連していた。実験条件全体を比べた結果は、先に述べた有意差なしというものだった。女性の間食実験と、成人男女の食事実験では、参加者も食べる状況も異なる。なぜ結果が違ったかを、どれかひとつの要因で決めつけることはできない。[12][17]
この食い違いがあっても、食卓から画面を外す工夫を試す余地はある。むしろ、自分にとって変えたい場面を具体的に選ぶ理由になる。たとえば、番組の終了と菓子袋の底がいつも同じ合図になっているなら、食べる時間と見る時間を分けて試せる。食卓で試す場面は、主食を含む食事なのか、番組を見ながらの間食なのかまで具体的に選びたい。[12][17]
食べるものを先に用意し、食事が終わってから番組を楽しむ、といった設計も考えられる。注目したいのは、テレビという機械を悪者にすることより、食べ続けるきっかけを自分が把握できるかだ。成人のレビューも、今後の検討課題として、テレビ視聴と食物摂取を切り離すことを挙げている。食事量の注意や記憶そのものの詳しい話は、「スマホと食事量の関係は食後まで続く」の記事に譲る。[18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
産後の研究と活動の追跡から、置き換え先を考える
成人女性に関する具体例として、Okenらは産後の女性902人を前向きに追跡した。前向き研究は、ある時点の生活などを調べ、その後の結果を追う観察研究である。産後6か月のテレビ視聴、歩行、食事と、産後12か月に妊娠前より体重が5kg以上残っていることとの関連を調べた。[15]
テレビ視聴が1日1時間長いことに対応する、5kg以上の体重残存のオッズ比は1.24、95%信頼区間は1.06〜1.46だった。歩行が1日1時間長いことに対応するオッズ比は0.66、95%信頼区間は0.46〜0.94だった。妊娠前のBMIや妊娠中の体重増加、授乳などを調整した関連である。[15]
それでも、この結果から「テレビを1時間減らして歩けば、その差の分だけ痩せる」という計算はできない。テレビと歩行は別々の行動として観察されており、一定の時間を置き換える効果は未検証である。産後という特定の時期の結果でもある。子育て中の休息の時間を取り上げる根拠にせず、生活の中でどんな行動が一緒に現れていたかを知る研究として扱いたい。[15]
実際、この集団では産後1年の体重残存の平均は0.6kgだったが、個人の範囲は−17.3〜25.5kgと広く、5kg以上残っていた人は12%だった。平均値だけでは個々の経過を表せない。同じ時間テレビを見ているように見えても、その人の回復、生活、食事の事情までは画面の時計に表示されない。[15]
別の角度から、Lakerveldらは25歳以上の男性2,191人、女性2,650人の腹囲、テレビ視聴、身体活動の経過を調べた。追跡期間は5年で、腹部肥満はその後の余暇の身体活動の低下と関連していた。女性では、テレビ視聴が長いことも、腹部肥満とは独立して身体活動の低下と関連し、オッズ比は1.46、95%信頼区間は1.01〜2.11だった。男性では同じ関連は認められなかった。[16]
この研究は、テレビを減らすと減量できるという試験ではなく、活動の変化を追った研究だ。体格がその後の活動と関わる可能性も含めて見ているので、「動かないから太る」という一方向の説明だけでは足りない。テレビの時間を検討するときも、すでに運動に出かけづらい事情があるのか、余暇の予定が減ってきたのかに目を向けたい。[16]
視聴をやめたあとの候補は、必ずしも激しい運動でなくてよい。食事を画面から離す、外に出る支度をする、予定していた活動に出かけるなど、自分が変えたかった行動と結びつけて考える。体を動かすゲームの評価は「エクサゲームは運動になるか」の記事に、立って働く工夫は「スタンディングデスクの消費カロリーはどれほどか」の記事に譲る。

よくある誤解
「子どもで2時間以上が問題なら、大人も2時間未満にすれば痩せる」という理解は、対象と研究目的を飛び越えている。子どものメタ分析は画面時間の区分と過体重・肥満の関連を示したもので、成人の減量目標を検証していない。成人のレビューでは関連は限定的とされている。年齢が違う研究の数字を、そのまま自分の生活の合格線にしないほうがよい。[2][18]
「テレビを見ながらなら必ず食べすぎる」という言い切りにも、実験結果はそろっていない。女性の間食実験では摂取増加があったが、成人48人の食事実験では条件間の有意差はなかった。画面を外す工夫は、自分の食べ方を変えるための選択肢であり、実行しただけで減量が保証される方法として扱わない。[17][12]
「画面を減らす試験で差がないなら、どんな見直しも無駄だ」という受け取り方も急ぎすぎだ。家庭での子どもの試験では、画面の時間そのものにも有意な差がなかった。視聴を減らす計画を配ることと、暮らしの行動が変わることには隔たりがある。まず何が変わり、何が残ったかを分けるほうが、次の工夫につながる。[20]
今日からできること
- 夕食はテレビを消した食卓で食べ、食べ終えてから番組を見る。[12]
- 番組を見ながらの間食はやめ、間食を食べる場所を画面のない場所に替える。[17]
- 外出や運動に出かける日は、見たい番組を選ぶ前に出発時刻を決め、支度を始めたらテレビを消す。
- テレビだけを減らして別の画面を開いていないか、視聴の終わりに使っていた端末も含めて振り返る。

テレビの続きは帰宅後に
テレビを見続ける代わりに体を動かす時間を設けたい日は、朝から夜までの営業時間を踏まえ、外出の前後に常温のヨガやピラティスへ参加する過ごし方も考えられる。
オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分の場所にある。溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温で行うヨガやピラティスを選べる。ヨガには25種類以上のレッスンがそろい、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングも行っている。
体験ではヨガの60分レッスンに参加でき、料金は税込1,980円だ。ヨガマットのレンタルに、バスタオル2枚とフェイスタオル1枚のレンタルを含む。建物はエトロワビルの3Fで、住所は東京都立川市曙町2-14-10。年中無休で、どの曜日も8:00〜23:30に営業している。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。
店舗の紹介、料金の詳細、体験の申し込みから内容を確認できる。出かける日はテレビの続きを帰宅後に回し、選んだレッスンへ向かおう。
参考文献
- Screen time and childhood overweight/obesity: A systematic review and meta-analysis. — Fang et al., 2019, Child: care, health and development. DOI: 10.1111/cch.12701
- Screen time increases overweight and obesity risk among adolescents: a systematic review and dose-response meta-analysis. — Haghjoo et al., 2022, BMC primary care. DOI: 10.1186/s12875-022-01761-4
- Television watching and risk of childhood obesity: a meta-analysis. — Zhang et al., 2016, European journal of public health. DOI: 10.1093/eurpub/ckv213
- Association between energy intake and viewing television, distractibility, and memory for advertisements. — Martin et al., 2009, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.3945/ajcn.2008.26310
- Association of sleep, screen time and physical activity with overweight and obesity in Mexico. — Kolovos et al., 2021, Eating and weight disorders : EWD. DOI: 10.1007/s40519-019-00841-2
- Television, walking, and diet: associations with postpartum weight retention. — Oken et al., 2007, American journal of preventive medicine. DOI: 10.1016/j.amepre.2006.11.012
- Abdominal obesity, TV-viewing time and prospective declines in physical activity. — Lakerveld et al., 2011, Preventive medicine. DOI: 10.1016/j.ypmed.2011.07.012
- Watching television while eating increases energy intake. Examining the mechanisms in female participants. — Braude et al., 2014, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2014.01.005
- Screen Time, Other Sedentary Behaviours, and Obesity Risk in Adults: A Review of Reviews. — Biddle et al., 2017, Current obesity reports. DOI: 10.1007/s13679-017-0256-9
- Screen-Time Weight-loss Intervention Targeting Children at Home (SWITCH): a randomized controlled trial. — Maddison et al., 2014, The international journal of behavioral nutrition and physical activity. DOI: 10.1186/s12966-014-0111-2
冒頭の写真: 機器を離れた場所から操作するために使う、複数のリモコンを写した写真(写真: Jacek Halicki / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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- 低酸素トレーニングとダイエットの科学 高地の体重減少と脂肪が減る条件の違い
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- 糖尿病予備群の生活改善はどこまで効くか 体重の減少と発症予防の差を知る
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- 習慣形成は何日で完成するのか ダイエットを期限で採点しない継続研究の見方
- 動機づけ面接はダイエットを助けるか 話を聞く支援と体重が変わる条件を知る
- メッセージで減量は続くか 携帯の短い通知が支える行動と体重差の科学を知る
- 電話コーチングとダイエットの科学 遠隔支援で体重が変わる条件とつまずきへの対応
- 皿の大きさとダイエット 小皿に替える前に知りたい食事量と盛り付けの実験
- 献立計画とダイエットの科学 買い物リストから考える食生活と体重、続ける段取り
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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