
姿勢と体幹の試験は、何をどこまで示したか
肥満のある女性では、体格指数と体脂肪率の増加が抑えられたと報告されている。ここは「脂肪を大きく減らした」と言い換えてはいけない場所だ。増加の予防と減少の達成では、スタートからの方向が違う。肥満のない女性では、体格指数や体脂肪率への影響は見られなかった。[14]
姿勢の点数は、肥満の有無にかかわらず改善した。肥満のある女性では、感情に関連した食行動や身体への不安の点数が下がり、自尊感情の点数が上がったが、肥満のない女性では同様の有意な変化はなかった。食行動、身体への不安、自尊感情は、それぞれ専用の尺度で運動の前後に評価された。姿勢だけに注目した試験ではなく、身体と心理の複数の面を並行して追った試験である。[14]
心理面と身体面の変化を結びつけるには、その順序や仕組みを確かめる研究が要る。この試験の肥満のある参加者は運動群15人と対照群15人、肥満のない参加者は各14人だった。小さな群に分けた比較で、肥満の有無によって結果が分かれている。気持ちや食行動の話はストレスと食欲の記事に譲り、ここでは対象の違いを伴う結果として読む。[14]
体幹については、ピラティス経験のある女性19人を対象にした試験がある。リフォーマーとキャデラックという器具を用い、少なくとも週2回、10週間行った。参加者を無作為にたんぱく質補給群と比較用の補給群に分け、体組成、体幹の筋持久力、柔軟性を測っている。[7]
運動後には体幹の筋持久力と柔軟性が改善したが、補給による上乗せ効果は確認されなかった。両群ともピラティスをしているため、無作為に割り付けた比較が直接検証するのは補給の効果である。比較用の補給群は10人、たんぱく質補給群は9人で、参加者だけでなく、介入を行う人、研究者、評価者にも割り付けを伏せる設計だった。[7]
参加者の平均年齢は31歳で、日常の食事から摂っていたたんぱく質は平均で1日あたり体重1 kgにつき1.3 gだった。食事の摂取状況も研究期間を通じて追跡している。追加したたんぱく質の効果は、この食事背景と運動経験を持つ女性で評価されたものだ。補給群では毎日体重1 kgにつき0.6 gを追加したが、比較用の補給群を上回る効果はなかった。[7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
器具の違いと測定法を飛び越えてはいけない
器具を使う研究では、対象者の年齢や体格を絞って、運動を行う群と対照群を比較している。過体重・肥満のある30〜60歳の女性47人を対象にした無作為化比較試験では、リフォーマーを週3回、8週間行う群と対照群を比較した。[15]
この試験では、リフォーマー群で体組成に有意な差が報告された。ただし、報告されている概要には、体脂肪が何kg減ったか、除脂肪量が何kg増えたかという変化量は示されていない。上肢の筋力と筋持久力の増加、抑うつや不安の軽減も報告された。一方、睡眠の質については群間に有意差がなかった。運動群は23人、対照群は24人で、平均年齢はそれぞれ約46.7歳と45.4歳だった。対象の体格指数は25以上で、年齢と体格の条件を定めて募集された女性である。[15]
上肢の筋力は握力計、筋持久力は胴体の持久力テスト、体組成は生体電気インピーダンス法で評価した。睡眠の質、抑うつ、不安には質問尺度を用い、すべてを運動開始前と8週間後に測定している。マットの分析とこの器具の試験では、参加者、比較条件、測定内容が異なるため、減量の優劣を直接順位付けすることはできない。[3][15]
測定法にも目を向けたい。経験者の器具の試験では、体組成を生体電気インピーダンス法と、二重エネルギーX線吸収法で評価した。前者は身体に流す電気を使う測定で、後者はX線を使う測定である。ここでは前者をBIA、後者をDXAと呼ぶ。全身の脂肪と除脂肪量について、両方法の相関係数は0.78を超えていたが、運動後にはBIAがDXAより除脂肪量を大きく推定していた。相関が強くても、測定値をそのまま交換できるわけではない。[7]
BIAでは体脂肪が減り、除脂肪量、全身の水分量、細胞の外側の水分量が増えた。DXAでは腕の除脂肪量に加え、胴体の骨に含まれるミネラルの量と骨の面積が増えた。臀囲も小さくなったと報告されている。これらは補給の種類によらず見られた変化だった。体重だけでは捉えられない測定項目がある一方、BIAによる除脂肪量の増加を、そのまま全身の筋肉量の増加と言い換えることはできない。水分も同時に変化し、DXAで報告された除脂肪量の変化は腕についての結果だからだ。[7]
高齢女性の試験では、スペインで地域に暮らす60歳以上の109人を無作為に分け、12週間のピラティスを評価した。運動群55人、対照群54人で、開始前と終了直後に体組成、握力、身体機能を測った。握力と身体機能には群内・群間とも有意な改善が見られたが、身長で調整した骨格筋量の指標には有意差がなかった。研究の結論も、筋力や身体機能には利点があったが、体組成の変化は起こせなかったとしている。[18]
体組成には生体電気インピーダンス法を用い、体格指数、体脂肪率、身長で調整した骨格筋量を評価した。身体機能は、立ち上がって歩き、戻る動作の時間を測る検査で推定している。握力の群間の効果量は0.52、身体機能の群間の効果量は0.87だった。効果量は違いの大きさを尺度に合わせて表す値である。体格指数の有意な低下はピラティス群内だけで、効果量は0.07と小さかった。[18]

よくある誤解
「体幹を使えば、お腹の脂肪から減る」。体幹の持久力を測った試験は、腹部の脂肪だけが優先的に減ることを示していないし、過体重・肥満のメタ分析でも腹囲に有意な効果はなかった。お腹に働きかけた感覚と、お腹の脂肪の変化を同じ証拠として扱わないほうがよい。[1][7]
「体重が動かなければ、ピラティスは失敗だ」。姿勢の点数や筋力、身体機能が改善した試験はある。女性58人の8週間の試験では姿勢、高齢女性109人の12週間の試験では握力と身体機能に改善が見られた。前者は肥満の有無で群を分け、後者は60歳以上の地域在住者を対象にしている。別の年齢や体格の人を、別の期間に評価した結果である。[14][18]
「論文がたくさんあるなら、減量効果はもう確定している」。系統的レビューをさらにまとめたアンブレラレビューは、27件のメタ分析付きレビューの方法の質を評価した。高品質は1件、中等度は1件、低品質は15件、極めて低品質は10件だった。扱った健康課題は幅広く、この品質評価は体組成を含む複数の課題に関するレビュー全体の内訳である。[12]
このアンブレラレビューは、体格指数や体脂肪率への利点などを報告しつつ、結果の確実性は非常に低いものから中等度で、全体として多くは低いとした。文献は2023年2月まで検索され、循環器、代謝、筋骨格系、神経系、睡眠など幅広い健康課題を扱っている。方法の質と結果の確実性は別々の手順で評価され、著者らはさらに質の高い無作為化比較試験を求めている。[12]
今日からできること
- 姿勢を目標にするなら、週2回のピラティスを予定に入れて実践する。女性58人の試験で姿勢の評価が改善した頻度である。試験は8週間だが、その期間で全員の姿勢が変わるという約束ではない。[14]
- 器具を使うピラティスをすでに選んでいる人は、週3回のリフォーマーを行った試験を参考に、無理なく参加できる回数で運動する。研究の対象は過体重・肥満のある30〜60歳の女性で、8週間実施した条件だった。[15]
- たんぱく質の補給を買い足す前に、普段の食事の内容を見直す。経験者の女性19人では、食事から平均1日1.3 g/kgを摂っている背景で、さらに1日0.6 g/kgを補給しても上乗せは確認されなかった。この数値は参加者の食事背景であり、全員が目指す量ではない。[7] 補給を増やすことを前提にせず、普段の献立から考える。
- 体組成を測る場合は、測定値と機器名を一緒に残して同じ機器の推移を見返す。姿勢については、練習している動作も指導者に見てもらい、次のレッスンで取り組む内容を確かめる。

通う予定と運動の内容を照らす、オンザショア立川店
ピラティスを続ける予定を考えるときは、通える時間とレッスンの内容を照らし合わせたい。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30、年中無休。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。ピラティスを扱っており、参加する内容は店舗の案内で確認したい。
運動を選ぶ際には参加条件も確かめる。医師から運動を止められている場合は利用できない。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。
店は溶岩プレートを敷いたホットヨガのスタジオで、常温のヨガもある。ヨガは25種類以上で、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングも扱っている。ピラティスを軸に考える場合も、案内にある運動の種類を見てから通う予定を組める。
体験レッスンはヨガで、税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚・フェイスタオル1枚・ヨガマットのレンタルが含まれる。料金ページで費用を、体験の予約でヨガ体験の予定を確かめられる。
参考文献
- Pilates for Overweight or Obesity: A Meta-Analysis — Yi Wang et al., 2021, Frontiers in Physiology. DOI: 10.3389/fphys.2021.643455
- Effects of Pilates Programs on Body Composition, Flexibility, Muscular Strength, Balance, Functional Performance and Respiratory Function in Adult Women: A Systematic Review and Meta-Analysis — Čedomir Bajčetić et al., 2026, Sports. DOI: 10.3390/sports14090407
- Effects of the Mat Pilates Method on Body Composition: Systematic Review With Meta-Analysis. — Allysiê Priscilla de Souza Cavina et al., 2020, Journal of physical activity & health. DOI: 10.1123/jpah.2019-0171
- Effects of protein supplementation during pilates training on body composition, core muscle endurance, and joint flexibility in trained women: a randomized controlled trial — Christina Karpouzi et al., 2025, Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1080/15502783.2025.2472891
- Pilates and multiple health outcomes: An umbrella review. — Meng Xu et al., 2023, Journal of science and medicine in sport. DOI: 10.1016/j.jsams.2023.03.011
- Investigating the Effects of Pilates on Body Composition, Posture, and Psychosocial Parameters in Women With and Without Obesity: A Randomized Controlled Study. — Sema Arslan Kabasakal et al., 2025, Journal of physical activity & health. DOI: 10.1123/jpah.2024-0498
- Effects of reformer pilates on body composition, strength, and psychosomatic factors in overweight and obese women A randomized controlled trial — Ozge Gokalp et al., 2025, Scientific Reports. DOI: 10.1038/s41598-025-09683-8
- The Influence of Pilates Exercises on Body Composition, Muscle Strength, and Gait Speed in Community-Dwelling Older Women: A Randomized Controlled Trial — A. Aibar-Almazán et al., 2020, Journal of Strength and Conditioning Research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000003790
冒頭の写真: ピラティスのスタジオで、女性とトレーナーがラダーバレルを使って運動する様子(写真: Helderoliveira / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ダイエットの科学特集のほかの記事
- 代謝適応で食べていないのに痩せない?身体の省エネと停滞の理由を論文で読む
- 体重と体脂肪で見るダイエットの成績 数字が動かない朝に体の中身を見直す理由
- 食事記録とダイエットの科学 細かく書くより続けるために知っておきたい研究の答え
- たんぱく質とダイエットの科学 満腹感と筋肉維持は、体重計だけでは見えない
- 食物繊維と腸内細菌のダイエット科学 種類と食事条件で読む平均−1.25 kgの差
- 糖質制限か脂質制限か、長期比較試験で読む体重差と続けられる食事の選び方
- 16時間断食は本当に効くのか 時間制限食の試験で読む体重差と続け方の条件
- 朝食を抜くと太るのか 観察研究と介入試験のずれから考える朝の食卓と減量
- 睡眠不足と食欲・ダイエットの科学 ホルモンだけでは読めない翌日の間食
- ストレスで食べてしまう仕組みと対処法 コルチゾールだけでは語れない食欲
- 有酸素運動と筋トレ、痩せるのはどちらか 体脂肪と内臓脂肪で変わる答え
- HIITで体脂肪はどれだけ減るのか 短時間の運動を選ぶ前に読みたい比較研究
- 筋トレとリバウンド予防の科学 基礎代謝を守れば体重は戻らないのかを読む
- ヨガで体重は変わるのか 体組成と食行動の研究から読む、期待できることの境界
- ホットヨガの消費カロリーと汗の科学 体重が減った夜に脂肪まで減ったのか
- NEATと座りすぎの科学 運動以外の日常の動きはダイエットをどこまで支えるか
- 1日8,000歩は痩せる目安か ダイエットと死亡率で数字の意味が違う
- 体重維持に成功する人の共通点 痩せた後の暮らしと立て直しを論文で読む
- 毎日体重を測るべきか 自己計量の頻度と減量・維持、数字を味方にする条件
- 食前の水500mlはダイエットに効くのか 減量試験の成果と効かない条件を読む
- 甘い飲み物と人工甘味料のダイエット科学 体重を変える置き換えの条件を読む
- お酒とダイエット、アルコールが体重に関わる3つの経路と晩酌の見直し方
- 超加工食品は食べすぎを招くのか 管理下の比較試験と例外から食卓を考える
- よく噛んでゆっくり食べるダイエットの科学 食事量と体重は同じように変わるか
- 更年期の体重増加とダイエット 昔と同じ食事でもお腹が変わる理由を論文で読む
- 産後の体重と運動、安全に戻すには何が必要か 授乳と食事支援を論文で読む
- サルコペニアとたんぱく質 中高年の筋肉を守る運動と食事、体重より先に見ること
- 内臓脂肪の落とし方、男性のメタボと運動研究から読む体重に映らない変化
- ダイエットがひとりで続かない理由 監督つき運動と自信を育てる仕組みの科学
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2



