
噛んで使うエネルギーを、長期の減量に換算しない
噛むこと自体にもエネルギーが使われる。では、口を動かせば消費量が積み上がり、体脂肪が減るのだろうか。この問いに関しては、短時間の測定値と、長期の体重をつなぐ部分に注意したい。消費量が増えたという実験はあるが、同じ研究で減量まで証明されたわけではない。[3][17]
2015年の無作為化クロスオーバー試験には、男性17人、女性13人が参加した。平均年齢は21.5歳で、糖を含まないガムを20分ずつ3回、合計1時間噛む日と、噛まない日を比較した。朝食には測った必要エネルギーの30%にあたるシェイクを用い、空腹時と食後のエネルギー消費を測っている。[3]
空腹時の消費速度は、ガムの日が毎分1.23 kcal、噛まない日が毎分1.17 kcalだった。食後は、それぞれ毎分1.46 kcalと毎分1.42 kcalで、いずれも有意な差が報告された。一方、血糖値と、使われる燃料の違いをみる呼吸交換比には差がなかった。[3]
ここで見るべきなのは、毎分1.23 kcalの全部がガムの追加効果というわけではない点だ。比較相手の日にも、体はエネルギーを使っている。ガムの有無を考えるには、両条件の数値を並べることになる。また、実験の測定中に現れた消費速度を、起きている時間すべてに当てはめる根拠はこの試験にはない。[3]
「噛むと脂肪が燃える」という表現にも距離がある。消費エネルギーに差があっても、呼吸交換比には差がなかった。研究者が示したのは、この対象者、この条件における短期のエネルギー収支への可能性であり、長期間の検証を求めている。燃料の使い方と、後日の体脂肪の変化をひと続きに語ると、測っていない結果まで足してしまう。[3]
速く噛むほどよい、という考えも実験と一致しない。健康で標準的な体格の18〜24歳の14人が、約毎分60回のゆっくりした噛み方と、約毎分120回の速い噛み方を、それぞれ6分間行った比較では、噛む1回当たりの消費量は遅い条件で高かった。しかし、時間当たりの消費速度には有意差がなかった。[2]
回数を増やすことと、同じ時間で多く消費することは、別の指標なのだ。この研究を読んで、速さの競争にする理由はない。遅い噛み方で高かったのは1回当たりの消費量であり、評価の範囲は短い測定時間の中に収まる。[2]
ガムから食事中の咀嚼へ視野を広げると、もう少し違う景色が見える。2015年の系統的レビューでは15本の論文、17試験が整理され、食べた量について調べた16実験のうち10実験で、噛むことに伴う減少がみられた。感覚としての食事中の満足や食後の満腹を調べた16実験では、有意な結果は5実験だった。[15]
このレビューは一部の研究を統合するメタ分析も行った。ここでのメタ分析は、咀嚼を変えた複数の試験から空腹感の評価値を集め、統計的に統合する手法だ。長く噛むことによる自己評価の空腹感の低下が報告された一方、研究間の違いは大きく、出版バイアスも認められた。出版バイアスとは、結果の性質によって公表されやすさが偏り、見えている研究が全体を代表しなくなる問題である。[15]
統合された数値があるからといって、すべての食べ物、すべての噛み方に同じ効果があるとは考えにくい。レビューでは、実験前に食べていなかった時間が、噛むことによる空腹感の変化に影響した。食べる前の状態をそろえることも、噛む研究の答えを左右する要素なのだ。[15]
具体的には、中国の若い男性を対象に、やせた体格の16人と肥満の14人が参加した食事の研究がある。ひと口を15回噛む条件と40回噛む条件を比較すると、体格にかかわらず、40回の条件で摂取量が11.9%少なかった。食後には、空腹に関係するグレリンが低く、満腹に関係する消化管ホルモンが高い結果も報告された。[19]
この11.9%は食べ物を噛んで飲み込む条件での差である。食事の研究では食べる速さや飲み込むまでの過程も変わるため、ガムの後の間食とは評価する場面が異なる。[17][19]
ホルモンという言葉も、期待を大きくしやすい。食事中の咀嚼研究では変化がみられても、女性50人のガム試験では、満腹に関係するコレシストキニンというホルモンに条件間の差はなかった。食欲の感覚に変化が出た理由は、試験ごとに検討する必要がある。[11][19]
咀嚼と体重を扱った2018年の総説でも、噛む回数を増やすと食事量が減り、満腹感が高まる証拠を紹介する一方、噛み方を変えて食べる速さを落とす方法が、体重管理に実行可能な方法として役立つかは明確でないとしている。短期の食事量の変化と、続けた後の体重の間には、まだ調べるべき段階が残る。[4]
そのため、午後にガムを使うなら、消費カロリーを稼ぐ道具として数えるより、食べたい気持ちへの補助として位置づけるほうが、現在のガム研究と合っている。食欲の評価に有望な結果があり、長期の減量には結論が出ていない。この組み合わせを、そのまま期待の大きさに反映させたい。[17]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
よくある誤解
「空腹感が下がったなら、その日は食べる量も減るはず」という思い込みがある。しかし、47人の試験では、ガムを噛むタイミングを変えても、その後の食欲評価や食べ方、摂取量に差はなかった。女性50人の試験でも、空腹感の抑制と、間食全体のエネルギーの有意な減少は同時に確認されていない。感覚の変化は、行動の変化を推測する手がかりにとどめたい。[9][11]
この違いは、ガムを試した人の成績表を付けるためのものではない。口寂しさが落ち着いたなら、その体験はそれとして受け止められる。けれど、落ち着いたという理由だけで、夕食を含めた摂取量まで減ったと決めないほうがよい。研究の評価項目を分けることは、自分に起きた変化を必要以上に大きくも小さくもしないために役立つ。[9][11][17]
「ガムの消費量を毎日足せば、将来の体重減少が計算できる」という誤解もある。消費速度が増えた研究は、管理された朝食と短時間の測定によるものだ。測定対象はその日のエネルギー消費であり、ガム研究を集めたレビューでも減量効果は確定していない。電卓に入力できる数字と、その計算が生活の中で成り立つことは分けるべきである。[3][17]
「噛む回数が多い人ほど、必ず食欲を管理できる」という考えも単純すぎる。咀嚼全般のメタ分析では研究間の違いが大きく、ガムの試験でも、噛み方やタイミングを変えれば常に摂取量が減るという結果は得られていない。回数を守れたかどうかを努力の尺度にすると、研究が示した範囲を越えてしまう。[9][15]
試験で指定された噛む時間や回数は、条件を比較するための設定である。次の節で使う数字も、生活の中で試す際の手がかりであり、最適な量や減量できる量を示すものではない。日常の目標量として使うには、実行のしやすさや継続後の結果も確かめたい。食事の咀嚼、ガム、空腹の状態、用意された食品の違いを残したまま、共通の正解だけを取り出すことは難しい。研究を読むときは、結論と一緒に、その数字が生まれた場面も持ち帰りたい。[6][8][15][19]

今日からできること
- 午後に甘い物が欲しくなったら、お菓子を取りに立つ前にガムを1枚取り出して噛んでみる。その後も食べたいか、自分に問いかける。[8][11]
- ガムの後に間食を食べるときは、袋から直接食べず、食べる分を1皿に取り分ける。口寂しさが落ち着いたかと、実際に食べる量の両方に目を向ける。[8][11]
- ガムを試す日は、3日分だけ「食べたい気持ち」と「実際に食べたもの」を別々に記録する。間食だけでなく夕食まで書き、食欲の変化と食べた量を見比べる。[9][11]
- 次にガムを買う1回は、包装の表示で糖を含むかを確認する。糖を含まないガムを使った昼食の試験を参考にするなら、手に取ったガムの種類も把握しておく。[6]
ガムの噛み心地、ヨガの選び心地
口寂しくなる時間の使い方を考えるとき、ガムを手元に置くほかに、オンザショア立川店のレッスンへ出かける時間を選ぶこともできる。全曜日の営業時間は8:00〜23:30で、休業日は設けず年中無休で営業している。JR立川駅北口から歩いて1分、東京都立川市曙町2-14-10のエトロワビル3Fにある。
初めてヨガを体験する場合は税込1,980円で、レッスン時間は60分。貸し出しのヨガマットと、バスタオル2枚・フェイスタオル1枚が料金に含まれる。スタジオには溶岩プレートを敷いたホットヨガがあり、常温で行うヨガも選択肢になる。ヨガのレッスンは25種類以上で、ピラティスやパーソナルトレーニング、HIIT、ボクササイズ、女性専用キックボクササイズも扱う。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガが用意されている。また、医師による運動中止の指示がある場合は、店舗を利用できない。店のトップで種目を見比べ、料金の案内と体験予約のページで費用や申し込み先を確認できる。ガムを手にする午後の予定表に、ヨガの体験へ出かける日も書き込んでみよう。

参考文献
- Effect of chewing speed on energy expenditure in healthy subjects. — Paphangkorakit et al., 2014, Acta odontologica Scandinavica. DOI: 10.3109/00016357.2013.847490
- Chewing gum increases energy expenditure before and after controlled breakfasts. — Kresge et al., 2015, Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme. DOI: 10.1139/apnm-2014-0232
- The effect of mastication on food intake, satiety and body weight. — Hollis, 2018, Physiology & behavior. DOI: 10.1016/j.physbeh.2018.04.027
- Chewing gum decreases energy intake at lunch following a controlled breakfast. — Melanson et al., 2017, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2017.07.015
- Short-term effects of chewing gum on snack intake and appetite. — Hetherington et al., 2007, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2006.10.001
- Influence of sweetened chewing gum on appetite, meal patterning and energy intake. — Julis et al., 2007, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2006.08.003
- Short-term effects of chewing gum on satiety and afternoon snack intake in healthy weight and obese women. — Park et al., 2016, Physiology & behavior. DOI: 10.1016/j.physbeh.2016.03.002
- Effects of chewing on appetite, food intake and gut hormones: A systematic review and meta-analysis. — Miquel-Kergoat et al., 2015, Physiology & behavior. DOI: 10.1016/j.physbeh.2015.07.017
- Effects of Chewing Gum on Satiety, Appetite Regulation, Energy Intake, and Weight Loss: A Systematic Review. — Jiménez-Ten Hoevel et al., 2025, Nutrients. DOI: 10.3390/nu17030435
- Improvement in chewing activity reduces energy intake in one meal and modulates plasma gut hormone concentrations in obese and lean young Chinese men. — Li et al., 2011, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.3945/ajcn.111.015164
冒頭の写真: 板状のチューインガムを写した写真。ガム全体の形状と表面の様子が見える。(写真: ToTheDemosToTheStars / CC0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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