
食欲が減ることと、体重が戻らないことの間
辛い料理を食べたあと、あまり間食を欲しくない日がある。その経験に近い問いを扱ったのが、健康でやせた男女25人を対象にした無作為化クロスオーバー試験である。参加者には、日常的に辛い物を食べる13人と、食べない12人が含まれていた。赤唐辛子1 g、各自の好みの量、赤唐辛子なしの条件が比べられた。[5]
赤唐辛子1 gを使った条件では、使わない条件より食後のエネルギー消費と深部体温が高かった。一方、摂取エネルギーが低くなったのは、普段は辛い物を食べない人たちであり、食べる習慣のある人には同じ結果が見られなかった。脂っこい物、塩辛い物、甘い物を欲する気持ちにも、習慣による違いが見られた。[5]
研究者は、長く辛い物を食べることで反応に慣れる可能性を指摘している。反応の慣れは、摂取習慣による違いを説明する仮説である。好みの量自体も、常食する人では平均1.8 g/食、常食しない人では0.3 g/食と違っていた。好きな量の違いと食欲への反応の違いを示す試験であり、好みに合わせた量の条件と、一定量の条件が比較されている。[5]
食欲への効果が出なかった例も並べたい。肥満のある青年・若年成人を対象に、カプサイシン2 mgとプラセボを比べた試験では、摂取から6時間後の夕食のエネルギー摂取量や空腹感、満腹感に有意差はなかった。食後の安静時消費の増加はカプサイシン条件で大きかったが、食べる量の減少にはつながっていなかった。[16]
この試験の参加者は平均年齢21.0歳、平均BMI41.5であり、若く肥満度の高い集団だった。昼食後の3時間にはホルモンと空腹感・満腹感を調べ、6時間後の夕食では自由に食べた量を測っている。食直後の反応と、時間を置いた食事の摂取量を別の時点で確認する設計である。[16]
この試験では、空腹や満腹に関わるホルモンも測られたが、グレリン、GLP-1、ペプチドYYの血中濃度に差は認められなかった。成分が代謝に作用しうるという説明から、食欲を調節する仕組みがすべて望みどおり動くと想像しないことだ。消費の変化と食欲の変化は、別々に確認する対象である。[16]
食事制限中という条件にも目を向けよう。男女24人が参加した無作為化クロスオーバー試験では、通常の必要量に対し摂取量を80%にした条件などを、呼吸室という全身のガス交換を測る設備で比較した。カプサイシン、高たんぱく、両方を組み合わせた条件が設けられ、消費量、満腹感、燃料の利用が測られた。[17]
その結果、カプサイシンを使う条件は、食事制限によるエネルギー消費や満腹感の低下を打ち消す方向を示した。高たんぱくの条件では、たんぱく質の出入りが不足側に傾くのを防ぐ結果もあった。ただし、これは管理された短期の代謝試験である。観測したのは24時間の反応で、参加者は36時間の滞在を8回経験した。[17]
新しいレビューでも、摂取量を減らした条件での満腹感低下を和らげる可能性が述べられる一方、適応性熱産生を完全には防がないとされる。適応性熱産生とは、減量などに応じて消費が調節される反応を指す。料理に使う赤唐辛子は、食事調整を補助する可能性を持つものの、消費の長期効果は小さいという位置づけである。[19]
では、本当に減らした体重が戻りにくくなるのか。この問いに直接向き合った無作為化二重盲検プラセボ対照試験には、中等度の過体重の91人が参加した。まず4週間の超低エネルギー食を行い、その後3か月の体重維持期にカプサイシン135 mg/日またはプラセボを用いた。最初の減量は平均6.6 kgで、その時点では後に分かれる群に差はなかった。[13]
維持期の脂肪酸化は、カプサイシン群で4.2 g/時、プラセボ群で3.5 g/時と、カプサイシン群が高かった。それでも、減った体重に対する戻りの割合はそれぞれ33.3%と19.2%で、有意差はなかった。脂肪を使う測定値は良い方向へ動いても、体重の戻りを抑える効果は確認されなかったのである。[13]
戻りの平均値がカプサイシン群で大きいからといって、これを「カプサイシンは太る」と言い換えるのも誤りだ。有意差がない結果は、この試験で優劣を確かめられなかったという意味で読む。一方、減量後の維持に効いたという宣伝にも使えない。良い代謝指標だけを取り出さず、試験が本当に答えようとした体重の結果を一緒に見る姿勢が大切になる。[13]
食卓への翻訳は、辛い献立を新たに増やすことより、期待を整理することから始まる。好きな料理に唐辛子を使うこと、食べたあとに心地よい満腹感があること、長く体重が維持されることは、それぞれ別の評価でよい。食欲の反応には習慣差があり、長期の体重効果は代謝指標から自動では決まらない。この区別があれば、効かなかった自分を責める理由も減る。[5][13][19]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
よくある誤解
「熱く感じるほど体脂肪が減っている」という見方には、測定の段階が抜けている。辛味のないカプシノイドでもエネルギー消費は調べられ、褐色脂肪の活動が確認できた人では増加が見られたが、皮膚温に変化はなかった。また、体重維持の試験では脂肪酸化が高くても体重の戻りを抑えられなかった。体感は刺激の受け取り方、消費は使ったエネルギー、体脂肪は長く積み重なった収支を確かめる指標として読む。[4][13]
「代謝が増えるなら、その分だけ食べ足せる」という計算も、研究の外へ踏み出してしまう。メタ分析の33.99 kcal/日という平均差は安静時の代謝量の結果であり、食べ足した場合の体重を保証する値にはならない。さらに料理に使う量に焦点を当てた新しい解析では、消費の長期変化は有意でなかった。食事の帳尻を唐辛子に任せる根拠は弱い。[11][19]
「試験で使った量をまねれば、同じ効果が得られる」という発想にも注意したい。若い男性のカプシノイド試験、中年成人の継続摂取試験、減量後の高用量のカプサイシン試験は、成分も対象も目的も違う。投与量は、それぞれの問いを調べるために設定された試験条件である。特に、結果が出なかった試験の量を増量の出発点にするのは、論文の役割を取り違える。[2][4][13]
持病がある人や治療中の人が濃縮成分の利用を考える場合は、医師に相談して判断したい。

今日からできること
- 次に唐辛子を使う1食では、いつもの小さじで好みの量を取り分けてから料理に加える。食べ終えたら、その量で味を楽しめたかを振り返り、次の料理の味付けに生かす。[5]
- 今週の献立から、唐辛子の味を楽しみたい料理を1品決める。買い物ではその料理に使う食材をそろえ、代謝への期待で辛い献立を増やす代わりに、好みの一皿を作る。[5][13]
- 昼に辛い料理を食べた日の夕食前に、空腹感を1回書き留め、食後に実際に食べた料理と量を同じメモに残す。食べたい感覚と食べた量を並べて振り返る。[16]
- 次の夕食の献立を1回分組むときは、辛味の有無より先に、たんぱく質を含む料理を1品決める。主菜と付け合わせを並べてから、唐辛子をどの料理の味付けに使いたいか考える。[17]
唐辛子の刺激から、マットの上の動きへ
唐辛子の辛さを味わう食卓から、今度はオンザショア立川店で体験できる運動の案内へ移ろう。体験の対象はヨガのレッスンで、60分の参加とレンタル品を含む料金は税込1,980円となる。バスタオル2枚とフェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが付いている。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温ヨガもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを扱い、ピラティス、パーソナルトレーニング、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITも案内している。妊娠中に参加できるのは常温のマタニティヨガで、溶岩ホットヨガには参加できない。医師から運動を止められている人は利用できない。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10のエトロワビル3F。JR立川駅北口から徒歩1分で、営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休である。店舗の案内や料金ページ、体験予約ページで内容を確認できる。唐辛子の辛さを好みで決めるように、体験したい運動を自分の好みから1つ挙げ、参加条件を確認して予約へ進もう。

参考文献
- Effects of Capsinoid Intake on Brown Adipose Tissue Vascular Density and Resting Energy Expenditure in Healthy, Middle-Aged Adults: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study. — Fuse et al., 2020, Nutrients. DOI: 10.3390/nu12092676
- Nonpungent capsaicin analogs (capsinoids) increase energy expenditure through the activation of brown adipose tissue in humans. — Yoneshiro et al., 2012, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.3945/ajcn.111.018606
- The effects of hedonically acceptable red pepper doses on thermogenesis and appetite. — Ludy et al., 2011, Physiology & behavior. DOI: 10.1016/j.physbeh.2010.11.018
- Capsaicin and evodiamine ingestion does not augment energy expenditure and fat oxidation at rest or after moderately-intense exercise. — Schwarz et al., 2013, Nutrition research (New York, N.Y.). DOI: 10.1016/j.nutres.2013.08.007
- The effect of Capsaicinoids or Capsinoids in red pepper on thermogenesis in healthy adults: A systematic review and meta-analysis. — Irandoost et al., 2021, Phytotherapy research : PTR. DOI: 10.1002/ptr.6897
- Effect of capsaicin on substrate oxidation and weight maintenance after modest body-weight loss in human subjects. — Lejeune et al., 2003, The British journal of nutrition. DOI: 10.1079/bjn2003938
- Acute administration of capsaicin increases resting energy expenditure in young obese subjects without affecting energy intake, appetite, and circulating levels of orexigenic/anorexigenic peptides. — Rigamonti et al., 2018, Nutrition research (New York, N.Y.). DOI: 10.1016/j.nutres.2018.02.002
- Addition of capsaicin and exchange of carbohydrate with protein counteract energy intake restriction effects on fullness and energy expenditure. — Smeets et al., 2013, The Journal of nutrition. DOI: 10.3945/jn.112.170613
- Attenuation of Adaptive Thermogenesis by a Culinary Dose of Red Pepper During 24-Hour Negative Energy Balance. — Ludy et al., 2026, Nutrition reviews. DOI: 10.1093/nutrit/nuaf300
- Capsaicin in Metabolic Syndrome. — Panchal et al., 2018, Nutrients. DOI: 10.3390/nu10050630
冒頭の写真: 肉や豆、トマト、唐辛子を使ったチリコンカンに、2枚のトルティーヤチップスを添えた一皿。(写真: Carstor / CC BY-SA 2.5 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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