
運動後の食欲は、強度によって結果が違う
運動をすると、その後の食欲が周期ごとに変わるのだろうか。Bornathらの試験では、経口避妊薬を使わず規則的な月経のある若い女性13人が、卵胞期、排卵期、黄体期に30分間の中強度のランニングを行った。運動前と運動後に、食欲に関わるホルモン、主観的な食欲などを測り、運動の前日、当日、翌日の摂取量を記録した。[1]
食欲を促す働きに関わる活性型グレリン、食欲の調節に関わる活性型のグルカゴン様ペプチド、主観的な食欲、エネルギー摂取量に、周期による有意差はなかった。[1] 時間がたつにつれて変わる項目はあっても、それが周期ごとに異なる反応という形では現れなかった。運動後におなかがすくことと、黄体期だけ特別にすくことを分けて読む必要がある。
Kamemotoらも、身体活動をしている健康な女性10人で、自転車運動後の反応を比較した。平均年齢は20.6歳で、卵胞期初期と黄体期中期に60分間運動し、休息後に自由に食べる食事を取った。運動の強度は心拍予備能の70%で、最大酸素摂取量の70%に相当する設定だった。最大酸素摂取量は、運動中に利用できる酸素量の能力を表す指標である。[2]
この試験では黄体期の卵巣ホルモンの増加が大きかったにもかかわらず、食欲調節ホルモン、主観的な食欲、自由に食べた食事のエネルギー量には試行間の差がなかった。[2] ホルモンの変動を確認したことだけで、食欲の変化まで確定したことにはならない。体の中の変化から、その日の夕食量へ進むには、途中の結果を確かめる必要がある。
一方、Monizらの試験では違いが出た。女性12人が、最大酸素摂取量の80%という高強度で30分間運動した。黄体期は卵胞期より運動当日のエネルギー摂取量が多く、活性型グレリンも測定された時点の一部で高かった。しかし、食欲を抑える側のホルモンや全体的な主観的食欲には周期差がなかった。[10]
この要旨には摂取エネルギーの差が何kcalだったかは示されていない。当日の摂取量の差の標準化された効果量は1.2と報告されているが、これを献立の量に換算することはできない。[10] 高強度の運動後に摂取量の違いが観察されたという結果であり、毎回同じだけ食べすぎる、あるいは長期的に体脂肪が増えることを確認した試験ではない。
中強度の試験では差がなく、高強度の試験では一部に差があった。[1][2][10] ただし、別々の参加者と条件による研究を並べただけで、強度が食い違いの原因だと証明したことにはならない。測定した周期の位置、運動の種類、食事量を記録した期間も異なる。結果を「運動は食欲を増やす」「増やさない」の片方に畳むより、その日の負荷と運動後の食事を一緒に見る方が実用的だ。
たとえば、仕事帰りに普段よりきつい運動をして、帰宅後に食事が予定と違ったなら、記録には周期だけでなく運動のきつさも添える。運動後の食欲を主に扱う隣の記事に対し、本稿では周期の違いがどこまで観察されたかを判断の軸にする。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
周期の予定表より、今日の動ける状態を見る
McNultyらの系統的レビュー・メタ分析は、月経周期と運動能力の関係を広く集めた。対象は規則的な月経のある女性で、レビューには78研究が入り、最初の比較の統合には51研究のデータが使われた。持久力と筋力に関わる成績を統合した結果、卵胞期初期の能力がほかの時期よりわずかに低い可能性があったが、統合効果量は−0.06とごく小さかった。[9]
効果量は、異なる物差しで測った研究結果を比較できるように、差を標準化した指標である。体重のkgや走る距離の割合ではない。95%信用区間は−0.16〜0.04で、負の値から正の値まで含む。[9] この範囲と小さな推定値を無視して「月経中は能力が落ちる」と太い見出しにすると、論文より話が強くなる。
研究間のばらつきが大きく、質の低い研究も多かったため、著者らは周期全体に共通する運動の指針を作れないとした。そして、それぞれの運動への反応に基づく個別の対応を勧めている。[9] これは、つらい人に「平均では差が小さいから平気なはずだ」と言う根拠にも、元気な人に「この時期は必ず休むべきだ」と言う根拠にもならない。
Natalucciらの叙述的レビューは、競技を行う女性や身体活動をしている女性の研究を整理し、周期の運動能力への効果は一般に小さく一貫しないと述べている。日々の運動に耐えられるかに関わる実際的な要素として、痛み、疲労、睡眠の乱れ、胃腸の不快感、水分貯留などの症状の負担を挙げた。[5] 何日目かを把握することは、今日の症状を聞くことの代わりにはならない。
たとえば、同じ曜日の運動でも、体調がよい日は予定を実行し、痛みや疲れが強い日は予定を見直す、という考え方になる。調整の具体的な強度や時間を、これらの要旨から一律に指定することはできない。[5][9] 休んだ日を取り返すために次の回を重くするより、次に参加するときの体調を確認する。
対象の違いにも注意したい。本稿の個別試験には若い健康な女性や身体活動をしている女性が多い。[1][2][11][20] 読者がその条件と違うとき、結果をそのまま自分の体に割り当てる確かさは下がる。更年期に伴う長期の体の変化は別の記事の主題であり、周期内の変化を調べた試験だけで説明することはできない。
経口避妊薬を使用している場合も、自然な月経の区分をそのまま重ねない。D’Souzaらのレビューは、経口避妊薬には実薬の期間と休薬・偽薬の期間があり、自然な周期と異なる枠組みで研究されていることを示している。現時点の証拠では、運動能力、エネルギー源の利用、筋肥大に大きな影響があるという説への強い支持は見いだせなかった。[14] 薬の使用や変更を運動の都合で判断する話ではなく、個別の扱いは医師に相談する対象である。

よくある誤解
「月経で増えた体重は全部脂肪だ」。水分の増加と体重差が近かった観察研究と、体脂肪率や除脂肪量の推定値に差がなかった反復測定は、この読み方を支持しない。[6][11] ただし、反対に「増えた分は全部水分」と確定することもできない。研究集団の平均から、自分の体重の内訳を診断することはできないためだ。食事の記録を消す必要も、増えた数字だけを理由に食事を罰のように減らす必要もない。
「黄体期は代謝が高いので、誰でも多く食べてよい」。栄養代謝のレビューには摂取や消費の変動が論じられているが、安静時代謝の有意差を認めなかった個別研究もある。[11][16][20] 代謝が高い傾向という言葉を、摂取量の目標に変換しない。レビューの全体像と個別試験の数値は役割が違う。食欲が変わる人の経験を否定せず、それが全員に同じように起こるとも決めない姿勢が必要になる。
「周期をそろえれば、運動は必ず効率よく痩せる」。運動能力の平均差はごく小さく、急性の運動後の食欲も試験ごとに結果が異なる。[1][9][10] 運動中の能力、食欲のホルモン、当日の摂取量、長期の体脂肪は別の評価項目だ。前の項目に差があったことだけで、後の項目の改善は約束できない。周期を予定の参考にすることと、周期だけで減量の成績を決めることは分けておこう。
今日からできること
- まず1周期、週2回の朝に体重を測り、月経の時期も記す。週2回は体重と水分を観察した研究の測定頻度であり、家庭で比べる際の参考にする。
- 空腹が気になる日は、夕食前の空腹感と夕食後に食べたものを、別々に1行ずつメモする。運動した日は、その内容と感じたきつさも同じ欄に添える。
- ランニングを普段から行い、体調に無理のない人は、中強度で30分間走る案を予定に置く。若い女性13人の試験はこの条件で運動後の食欲を比較したが、周期差はなかった。[1] 周期名だけで負荷を増やさず、開始前の痛みや疲れに応じて予定を見直す。
- 周期で食事量を変えたくなったら、Smithらの試験では訪問前の2日間、エネルギーと主要な栄養素をそろえた食事を取った。[20] これを参考に、2日間は食事の条件をそろえて食べる案を試す。具体的な献立は普段の食事を基にし、黄体期だからという理由だけで追加の量を決めない。研究施設の食事を家庭で再現するのではなく、食べる条件をそろえて空腹感を比べる入口にする。
- 運動を始める前に、痛み、疲れ、胃腸の不快感を確認する。つらい日は休むことも含めて予定を見直し、症状が生活や運動を妨げる場合は医師に相談する。

周期の揺れに合わせて続ける時間を選ぶ、オンザショア立川店
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ヨガ体験は税込1,980円。60分のレッスンと、バスタオル2枚・フェイスタオル1枚・ヨガマットのレンタルが含まれる。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。公式サイトで店の案内を読み、料金ページを確かめたうえで、参加する日を体験予約から選べる。
参考文献
- No Effect of Menstrual Phase on Appetite-Regulatory Parameters Following a Moderate-Intensity Exercise Session. — Derek P. D. Bornath et al., 2025, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0000000000003839
- Effects of menstrual cycle on appetite-regulating hormones and energy intake in response to cycling exercise in physically active women. — Kayoko Kamemoto et al., 2021, Journal of applied physiology. DOI: 10.1152/japplphysiol.01117.2020
- Menstrual Cycle and Hormonal Contraceptives in Female Athletes: Should Symptoms and Nutrition Matter More than Cycle Phase? A Narrative Review — Valentina Natalucci et al., 2026, Nutrients. DOI: 10.3390/nu18071144
- Changes in body weight and body composition during the menstrual cycle — Spyridon Kanellakis et al., 2023, American Journal of Human Biology. DOI: 10.1002/ajhb.23951
- The Effects of Menstrual Cycle Phase on Exercise Performance in Eumenorrheic Women: A Systematic Review and Meta-Analysis — K. McNulty et al., 2020, Sports Medicine (Auckland, N.z.). DOI: 10.1007/s40279-020-01319-3
- The exercise-induced suppression of acylated ghrelin is blunted in the luteal phase of the menstrual cycle compared to the follicular phase following vigorous-intensity exercise. — Sara C. Moniz et al., 2022, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2022.106425
- Menstrual Cycle Phase Is Associated With Changes in Body Weight, Bioimpedance, and Carbohydrate Intake, but Not in Resting Metabolic Rate in Physically Active Females. — Michaela Wagner et al., 2026, International journal of sport nutrition and exercise metabolism. DOI: 10.1123/ijsnem.2026-0015
- Menstrual cycle hormones and oral contraceptives: a multimethod systems physiology-based review of their impact on key aspects of female physiology — Alysha C D’Souza et al., 2023, Journal of Applied Physiology. DOI: 10.1152/japplphysiol.00346.2023
- An Overview of the Impact of the Menstrual Cycle on Nutrient Metabolism: An Integrative Perspective — C. García-Montero et al., 2026, Nutrients. DOI: 10.3390/nu18071063
- Nutritional Intake and Anthropometric Changes during the Menstrual Cycle in Women of Childbearing Age — Ahsen Işıl Karabacak, 2024, BAU Health and Innovation. DOI: 10.14744/bauh.2024.92486
- Energy intake and appetite in laboratory and free-living conditions may be consistent across menstrual cycle phases. — Miranda Smith et al., 2025, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2025.108314
冒頭の写真: ヨガマットの上でストレッチをしている女性の姿を、上から写した写真。(写真: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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