
併用は、脂肪と除脂肪量を一緒に考える選択だ
歩くか筋トレかを決めるとき、両方を生活に入れる選択肢もある。健康な成人の比較レビューでは、併用運動は筋トレ単独より脂肪量を平均1.09kg多く減らした。一方、体脂肪率では種目間の有意差はなく、有酸素運動に筋トレを加えることは脂肪量の減少を促進も妨害もしなかったと著者らは結論している。[2] 併用したら脂肪が倍の速さで落ちる、という話ではない。
中高年の身体に目を向けた2025年のレビューは、50歳以上の参加者を含む53研究、2,873人をまとめた。併用運動は有酸素運動単独より体重と除脂肪量を増やし、筋トレ単独との比較では体重、体脂肪率、脂肪量、腹囲、内臓脂肪に有意差がなかった。著者らは、脂肪の指標を減らす点で有酸素運動と同程度、筋肉を増やす点で筋トレと同程度と整理している。[8]
ここで併用群の体重が有酸素群より増えたという結果を、ダイエットの失敗と即断すると、同時に測った除脂肪量を見落とす。[8] 体重だけを減らす課題と、脂肪を減らしながら身体の別の部分を保つ課題は違う。買い物袋の総重量だけを見て中身を判断するようなものだ。評価したい中身を決めれば、研究の読み方も変わる。
併用を同じ日に行うか、別の日に分けるかについては、健康な成人のレビューで、体重と体脂肪率の変化に有意差がなかった。脂肪量の違いが出た比較は単一研究によるものだった。[2] したがって、脂肪を落とす目的で日程の組み方に絶対的な正解を設ける根拠は強くない。仕事のある日は歩き、余裕のある日に筋トレをする、といった予定を検討する余地がある。
併用の効果を考える材料は、健康な成人だけに限られていない。過体重・肥満の人を含む114試験のレビューでは、筋トレと有酸素運動の併用は、運動なしの対照群より脂肪量を平均1.4kg、体脂肪率を2.3ポイント有意に減らした。食事のエネルギー制限を含む介入では除脂肪量が維持され、筋トレ単独では除脂肪量が増えた。[6] 脂肪を減らす側の成果と、身体の量を保つ側の成果が、介入の組合せごとに報告されている。
お腹の皮下脂肪でも、併用を含む運動の効果が検討されている。43試験、3,552人を統合したレビューでは、有酸素運動、筋トレ、併用運動はいずれも対照群より皮下脂肪の面積を減らした。一方、有酸素運動と筋トレの直接比較は、平均差−0.73cm²、95%信頼区間−4.50〜3.04cm²で有意差がなかった。[19] 測定したのは皮下脂肪の面積であり、腹囲とは評価項目が異なる。
同レビューで対照群との差は、有酸素運動で−13.05cm²、筋トレで−5.39cm²、併用で−28.82cm²と報告されている。[19] 著者らの結論は、腹部の皮下脂肪を減らす点で有酸素運動がより有効というものだった。対照群との差の数値では、併用の減少が最も大きかった。[19] ただし、有酸素運動と筋トレの直接比較では有意差がなかった。対照群との差を集めた評価と、両種目を直接比べた結果を併記すると、結論の向きだけでなく、差を確かめる根拠の強さも見える。同レビューでは、有酸素運動と併用の比較には有意差があり、平均差は11.07cm²、95%信頼区間は1.81〜20.33cm²だった。[19]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
強度の順位より、対象と続けられる量を読む
2023年の内臓脂肪のネットワークメタ分析では、高い強度の有酸素運動と高強度インターバルトレーニングが、改善に関する順位で上位になる可能性が高かった。[1] 高強度インターバルトレーニングとは、高い強度の運動を休息などと交互に行う方法である。詳しい比較と実施上の考え方は、HIITで体脂肪はどれだけ減るのか 短時間の運動を選ぶ前に読みたい比較研究で扱う。
ここでは、順位の上位と直接比較の勝利は同じではない点を押さえたい。過体重・肥満の成人の11試験をまとめた別のレビューでは、高強度インターバルトレーニングは連続した有酸素運動に比べて、体脂肪率にも腹部の内臓脂肪にも優位ではなかった。内臓脂肪の標準化平均差は−0.05、95%信頼区間は−0.29〜0.19だった。[12] 「高強度が上位」という紹介だけで、歩くような連続運動を意味のないものにしないことだ。
性別や開始時の身体の状態も結果に関係する。84試験のレビューの下位集団解析では、筋トレによる内臓脂肪の改善は男性や体脂肪率40%未満の集団で確認された一方、女性や体脂肪率40%以上の集団では確認されなかった。[1] しかし健康な成人の筋トレのレビューでは、体脂肪率や脂肪量に対する効果の違いを性別で説明できなかった。[7] 評価項目も対象も異なるので、女性全体への筋トレの否定にはならない。
自分に近い対象の研究を選ぶときは、性別や体脂肪率に加えて、測定した項目を一緒に確かめたい。[1][7] 内臓脂肪を調べた下位集団の結果と、全身の脂肪量を調べた結果を分ければ、筋トレに期待する役割を整理できる。脂肪量を減らす目標と除脂肪量を保つ目標を並べ、前者には有酸素運動との比較、後者には筋トレを含む介入の結果を使う。[2][6] 「どの種目が勝つか」という問いを、自分が確かめたい身体の変化に置き換えるのである。
運動の時間には具体的な報告がある。2021年の内臓脂肪に関するレビューは、週3回、12〜16週間、有酸素運動なら1回30〜60分という実施条件を有効な量として挙げた。ただし、週150分より多いか少ないかで内臓脂肪の減少に差はなく、期間や運動量の増加も解析上は有意な影響を示さなかった。[5] この解析は34研究、1,962人を集め、32研究、1,900人のデータを統合している。[5]
一方、過体重・肥満の成人の40試験、2,190人をまとめた2023年のレビューでは、運動で生じるエネルギー不足が大きいほど内臓脂肪への効果が大きい関係が報告された。運動全体の効果量は−0.28、95%信頼区間は−0.37〜−0.19で、研究の多くは偏りのリスクが中程度と評価されていた。[20] 先ほどのレビューと量の結果は同じではない。運動時間とエネルギー不足という異なる尺度、採用研究の違いを残して読むべきである。
このレビューは、CTやMRIで測った内臓脂肪を評価し、運動と食事のエネルギー制限をそれぞれ摂取エネルギーを維持する対照群と比較した。食事のエネルギー制限でも内臓脂肪は減り、効果量は−0.53、95%信頼区間は−0.71〜−0.35だったが、エネルギー不足の大きさとの用量反応は確認されなかった。[20] 脂肪が減ったという結果と、量を増やすほど減ったという関係は、別の問いへの答えである。

よくある誤解
「筋トレは脂肪を減らさない」という思い込みは、比較相手を取り違えている。有酸素運動のほうが脂肪量を多く減らした比較はある。[2] しかし運動をしない群との比較では、筋トレによる脂肪量と体脂肪率の改善が報告されている。[6][7] 苦手な運動を選ばなかったから成果がゼロになる、という読み方をする必要はない。
「両方やれば、どの指標でも必ず最も痩せる」という見方にも修正が要る。併用は脂肪と筋肉の両面を考える選択だが、健康な成人のレビューでは体脂肪率に種目間の有意差がなく、中高年のレビューでも筋トレ単独と併用の脂肪指標に有意差はなかった。[2][8] 併用の価値を説明するには、何を減らし、何を保つかを示す必要がある。運動を追加したという事実だけで、すべての成績が上がるとはいえない。
「お腹が気になるなら、とにかく高強度」という思い込みも、順位だけを読んだ結論になりやすい。高強度運動が上位とされた解析がある一方、連続した有酸素運動との直接比較では内臓脂肪と体脂肪率に有意差がなかった。[1][12] 強度の高さを運動の価値そのものにしないことだ。医師から運動の制限を受けている場合や、個別の健康状態に応じた判断が必要な場合は、医師に確認する。
今日からできること
- 健康状態に無理のない範囲で、有酸素運動を週3回、1回30〜60分行う計画から検討する。内臓脂肪のレビューで有効とされた12〜16週間の実施条件を参考に、続けられる時間を選ぶ。[5]
- 有酸素運動だけをしているなら、全身の筋トレを取り入れて4週間以上続ける計画を立てる。健康な成人のレビューが対象にした実施条件であり、4週間で特定の減量幅を約束するものではない。[7]
- 有酸素運動と筋トレを併用するなら、同日に続けて行うか別日に分けるかを、確保できる時間に合わせて選ぶ。健康な成人の比較では、どちらの日程でも体重と体脂肪率の変化に有意差がなかった。[2]
- 運動するたびに種類と時間の2項目を記録し、週末に実施できた量を見返す。目標には、脂肪を減らすことと筋肉を保つことを分けて書く。
- 医師から運動の制限を受けている場合は、始める前に種類と実施量を医師に確認する。

有酸素か筋トレか、内容を確かめるオンザショア立川店
有酸素運動と筋トレを生活に組み込むなら、種目とともに通える時間を確かめたい。オンザショア立川店は営業時間8:00〜23:30、年中無休。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。朝や帰宅後の予定と照らして、場所と時間から選択肢を考えられる。運動の組合せを考える際も、まず各レッスンの案内を読み、自分が参加する内容を確かめたい。
ヨガの体験は税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。体験するのはヨガであり、種目の名前を見ただけでは分からないレッスンの内容を確かめる機会になる。
溶岩プレートを敷いたホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニング、ボクササイズ、女性専用のキックボクササイズ、HIITがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあるため、案内では種類と内容を確認したい。種目は店のトップ、費用は料金ページ、申込みは体験の予約で確認できる。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
参考文献
- Effects of various exercise types on visceral adipose tissue in individuals with overweight and obesity: A systematic review and network meta‐analysis of 84 randomized controlled trials — Xiao-Ke Chen et al., 2023, Obesity Reviews. DOI: 10.1111/obr.13666
- Comparison of concurrent, resistance, or aerobic training on body fat loss: a systematic review and meta-analysis — Kworweinski Lafontant et al., 2025, Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1080/15502783.2025.2507949
- A systematic review and meta‐analysis of the effect of aerobic vs. resistance exercise training on visceral fat — Imtiaz Ismail et al., 2012, Obesity Reviews. DOI: 10.1111/j.1467-789x.2011.00931.x
- Effect of exercise intervention dosage on reducing visceral adipose tissue: a systematic review and network meta-analysis of randomized controlled trials — Yu-Hsuan Chang et al., 2021, International Journal of Obesity. DOI: 10.1038/s41366-021-00767-9
- Resistance training effectiveness on body composition and body weight outcomes in individuals with overweight and obesity across the lifespan: A systematic review and meta‐analysis — P. Lopez et al., 2022, Obesity Reviews. DOI: 10.1111/obr.13428
- The Effect of Resistance Training in Healthy Adults on Body Fat Percentage, Fat Mass and Visceral Fat: A Systematic Review and Meta-Analysis — M. Wewege et al., 2021, Sports Medicine. DOI: 10.1007/s40279-021-01562-2
- The Effects of Concurrent Training Versus Aerobic or Resistance Training Alone on Body Composition in Middle-Aged and Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis — M. Khalafi et al., 2025, Healthcare. DOI: 10.3390/healthcare13070776
- High-intensity interval training is not superior to continuous aerobic training in reducing body fat: A systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials — A. Kramer et al., 2023, Journal of Exercise Science and Fitness. DOI: 10.1016/j.jesf.2023.09.002
- The Effect of Aerobic and Resistance Training and Combined Exercise Modalities on Subcutaneous Abdominal Fat: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Clinical Trials. — H. Yarizadeh et al., 2020, Advances in nutrition. DOI: 10.1093/advances/nmaa090
- Dose–response effects of exercise and caloric restriction on visceral adiposity in overweight and obese adults: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials — Francesco Recchia et al., 2023, British Journal of Sports Medicine. DOI: 10.1136/bjsports-2022-106304
冒頭の写真: 筋力トレーニング用のダンベルが、ジムのウエイトラックに並んでいる。(写真: Lance Cpl. Jason Jimenez / Public domain / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ダイエットの科学特集のほかの記事
- 代謝適応で食べていないのに痩せない?身体の省エネと停滞の理由を論文で読む
- 体重と体脂肪で見るダイエットの成績 数字が動かない朝に体の中身を見直す理由
- 食事記録とダイエットの科学 細かく書くより続けるために知っておきたい研究の答え
- たんぱく質とダイエットの科学 満腹感と筋肉維持は、体重計だけでは見えない
- 食物繊維と腸内細菌のダイエット科学 種類と食事条件で読む平均−1.25 kgの差
- 糖質制限か脂質制限か、長期比較試験で読む体重差と続けられる食事の選び方
- 16時間断食は本当に効くのか 時間制限食の試験で読む体重差と続け方の条件
- 朝食を抜くと太るのか 観察研究と介入試験のずれから考える朝の食卓と減量
- 睡眠不足と食欲・ダイエットの科学 ホルモンだけでは読めない翌日の間食
- ストレスで食べてしまう仕組みと対処法 コルチゾールだけでは語れない食欲
- HIITで体脂肪はどれだけ減るのか 短時間の運動を選ぶ前に読みたい比較研究
- 筋トレとリバウンド予防の科学 基礎代謝を守れば体重は戻らないのかを読む
- ヨガで体重は変わるのか 体組成と食行動の研究から読む、期待できることの境界
- ホットヨガの消費カロリーと汗の科学 体重が減った夜に脂肪まで減ったのか
- ピラティスと体組成の科学 体幹・姿勢・体脂肪の変化を同じ成果にしない読み方
- NEATと座りすぎの科学 運動以外の日常の動きはダイエットをどこまで支えるか
- 1日8,000歩は痩せる目安か ダイエットと死亡率で数字の意味が違う
- 体重維持に成功する人の共通点 痩せた後の暮らしと立て直しを論文で読む
- 毎日体重を測るべきか 自己計量の頻度と減量・維持、数字を味方にする条件
- 食前の水500mlはダイエットに効くのか 減量試験の成果と効かない条件を読む
- 甘い飲み物と人工甘味料のダイエット科学 体重を変える置き換えの条件を読む
- お酒とダイエット、アルコールが体重に関わる3つの経路と晩酌の見直し方
- 超加工食品は食べすぎを招くのか 管理下の比較試験と例外から食卓を考える
- よく噛んでゆっくり食べるダイエットの科学 食事量と体重は同じように変わるか
- 更年期の体重増加とダイエット 昔と同じ食事でもお腹が変わる理由を論文で読む
- 産後の体重と運動、安全に戻すには何が必要か 授乳と食事支援を論文で読む
- サルコペニアとたんぱく質 中高年の筋肉を守る運動と食事、体重より先に見ること
- 内臓脂肪の落とし方、男性のメタボと運動研究から読む体重に映らない変化
- ダイエットがひとりで続かない理由 監督つき運動と自信を育てる仕組みの科学
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2




