
起きている時間が長ければ、消費も増えて帳消しか
夜更かしをした日は、眠る代わりに仕事や家事をしている。「起きているのだから、そのぶん消費しているはず」と考えるのは自然だ。実際、成人16人を14〜15日間入院させた研究では、5日間の不十分な睡眠によって総エネルギー消費が約5%増えた。しかし、特に夕食後の摂取量が増え、必要なエネルギーを超えて食べていた。体重増加は平均0.82 kgで、標準偏差は0.47 kgだった。[6]
標準偏差は参加者間の値のばらつきを示す。信頼区間とは役割が異なる。この試験では、ホルモンはエネルギーの蓄えが余っていることを示す方向に変化していた。それでも食べる量は増えた。ホルモンの方向と食べた量にずれがあり、自由に食べ物を取れる環境での行動も合わせて観察する必要がある。[6]
研究者は、追加の覚醒時間を支えるために食事量が増える生理的な適応があり、食べ物を容易に入手できると必要以上の摂取に至る可能性を示している。睡眠が不足した条件では、女性の食事を抑える行動が弱まり、体重が増えた。十分な睡眠条件で体重を維持したのは女性で、男性では同じ結果にならなかった。摂取と消費の差に加え、性別による違いも観察された入院研究である。[6]
消費量が増えるという結果も一律ではない。摂取量変化の差が大きかった無作為化試験では、活動による消費量は変わらなかった。成人のメタ分析も、エネルギー消費への明確な影響を支持していない。総消費量と活動由来の消費量は測る範囲が違い、研究条件も異なる。総量の測定と活動部分の測定を区別すると、消費量に関する結果の違いも追いやすくなる。[1][10]
入院研究では、不十分な睡眠から十分な睡眠・回復のスケジュールへ移ると、摂取量、特に脂質と炭水化物の摂取が減った。ただし、そのときの体重変化は平均−0.03 kg、標準偏差0.50 kgだった。食べる量の変化が観察されたことと、睡眠を戻すだけで大きく減量できることは別である。「寝れば痩せる」という見出しにするには、この体重の結果を落とす必要が生じてしまう。[6]
睡眠制限の実験では、寝る時間を短くすること、食べ物を自由に取れること、実験室で生活することが組み合わされている。入院研究は日々の摂取と消費を捉えやすい一方、食事の準備や買い物、仕事、家事のある暮らしとは環境が違う。睡眠と食事の関係を生活へ持ち帰るなら、まず追加の飲食をしやすい場面を探し、そこを変える。夜遅くまで起きる予定と食べ物の置き方を一緒に考えると、睡眠だけ、食欲だけに対策を任せずに済む。[6][17]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
空腹の自覚と、体重・脂肪の結果を分ける
空腹の自覚が低下した条件を調べた研究もある。健康な若い成人17人を32日間実験室で調べた研究では、睡眠、覚醒、食事を体内時計のさまざまな時刻へ配置することで、慢性的な概日リズムの乱れを作った。概日リズムとは体内の時間に沿った周期である。この条件では、睡眠制限の有無にかかわらず、多くの項目で空腹と食欲の自覚が低下した。[19]
体内時計の乱れと睡眠時間の短さを分けようとした研究であり、主観的な空腹の結果を報告している。参加者は、睡眠と覚醒の比率が1対2の対照群8人と、1対3.3の慢性的な睡眠制限群9人へ無作為に割り当てられた。各覚醒期間に空腹、食欲、食べ物の好みを繰り返し評価し、空腹時の採血も行った。空腹の変化はグレリンとレプチンの比率の変化と有意に相関していた。[19]
2022年のレビューでは、睡眠不足と概日リズムのずれを別の問題として整理している。後者は、体内の仕組みが睡眠を促す時間に起きたり食べたりする状態を指す。夜遅くの画面利用、交代勤務、夜間の社会活動などが、十分な睡眠を取りにくい生活の例として挙げられている。眠った長さだけを足し算しても、生活の時間配置を全部説明できるわけではない。[2]
交代勤務や家族の世話がある人にとって、早く寝るという助言だけでは予定は変わらない。そこで日常へ落とすなら、眠れた時間に加え、起きている間のどこに食事と間食が入ったかを見直すことになる。交代勤務と夜間の活動、画面の利用では、変更できる範囲も異なる。勤務の時間を動かせない日には、食べ物を用意する場面や、画面を閉じる場面など、生活の中で手を入れられる部分から考える。守れなかった予定の数より、変えられる予定があるかを見たい。[2][17]
身体の結果まで測った小規模試験もある。肥満のない健康な成人12人、うち男性9人が参加した2022年の無作為化クロスオーバー試験では、21日間の入院中、14日間の睡眠機会を4時間または9時間に設定した。食べ物を自由に取れる条件で、睡眠制限時に摂取エネルギーと体重がより増え、消費量には変化がなかった。[20]
総体脂肪の変化には条件間の差がなかったが、腹部脂肪は睡眠制限時に増え、皮下脂肪と内臓脂肪の両方に有意な増加が認められた。内臓脂肪は腹部の内臓周囲の脂肪である。摂取量の内訳では、たんぱく質と脂質も睡眠制限条件で増加していた。「有意に増えた」は比較で差が認められたことを示すが、どれほど大きかったかをそれだけで伝える言葉ではない。[20]
この結果は、体重だけで身体の変化を読み切れないことを示す。同時に、人数が少なく、若い成人を中心とする厳しい睡眠制限の実験である。平均的な残業日の翌朝の体重増加を、内臓脂肪の増加と診断する根拠にはならない。体組成の詳しい読み方は体重と体脂肪の記事へ譲るが、短期の体重、総脂肪、脂肪の分布という異なる結果を混同しないことは、睡眠の記事でも大切である。[20]

よくある誤解
「寝不足で食べすぎるのは、すべてレプチンとグレリンのせい」という説明は単純すぎる。両ホルモンが予想される方向に動いた小規模試験もある。[8] 変わらないまま摂取量が増えた試験もある。[10] 成人のメタ分析では、食べ物への反応に関わる脳活動の変化も報告され、認知的な制御や報酬に関連する領域が挙げられた。食欲の仕組みは血液中の値だけで完結していない。[1]
成人のメタ分析では、インスリン感受性も低下し、標準化平均差は−0.70だった。インスリンへの反応を調べた結果であり、睡眠制限の影響は空腹の強さだけにとどまらなかった。[1] 夜食を減らす工夫と、眠る時間を残す工夫を一緒に考える理由はここにもある。翌朝に空腹を感じなかった日も、夜の用事で睡眠を削る習慣までそのままにしてよいかは見直したい。
「睡眠を取り戻せば、すぐ脂肪も戻る」という期待にも注意が要る。回復のスケジュールで摂取量が減った入院研究では、体重減少は小さかった。腹部脂肪を測った試験は、慣らしの4日間、実験の14日間、回復の3日間で構成され、総脂肪と腹部脂肪では結果が異なった。食べる量の変化、体重の変化、脂肪の分布を時間の順に確かめることで、何が観察されたかを具体的に捉えられる。[6][20]
今日からできること
- 19時〜翌7時に菓子を食べるときは、袋のまま手元に置かず、食べる分を皿へ出して残りをしまう。この時間帯に間食が増えた睡眠実験を手がかりに、夜の食べ物の置き方を変える。皿に出す方法自体の減量効果を試験した結果ではない。
- 19時〜翌7時に自由につまむための菓子を、買い物で習慣的に追加するのをやめる。夜用の買い置きを減らし、夕食の献立とは別に、寝るまでに食べられるものを整理する。この時間帯は研究で間食が増えた場面であり、全員に共通する食事禁止の時刻ではない。
- 夜遅くの画面利用を切り上げ、寝床で見続ける代わりに翌日の準備を先に済ませる。夜の用事を増やすときは、眠る時間も同じ予定表で確保する。
- 食べ方を振り返るときは、夕食と夕食後の間食を分けて記録する。起床後には寝床に入った時刻と起きた時刻を添える。寝つけない、眠っても疲れが取れない、日中の強い眠気が続くときは医師に相談する。
- 運動へ行く日は、レッスンの時間に加え、帰宅して支度を済ませるまでの予定を確認する。就寝を後ろへずらして運動を詰め込むより、眠る時間を確保できる枠へ予定を移す。

睡眠を削らず動く枠を選ぶ、オンザショア立川店
就寝予定から逆算して、運動と帰宅に使える時間を選ぶ。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30、年中無休。夜の枠だけに絞らず、眠る時間を残せる予定を考えたい。JR立川駅北口から徒歩1分、所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fである。自宅へ戻る移動も含めて、通う日の流れを組む。
ヨガの体験は60分で、税込1,980円。バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。まずレッスンの長さを予定に入れ、帰宅後の支度まで見込む。体験の予約と料金ページで体験と費用を確認できる。
溶岩プレートを敷いたホットヨガのほか、常温のヨガやピラティスもある。ヨガは25種類以上。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングも用意されている。常温のヨガと溶岩ホットヨガのどちらを選ぶ場合も、種目だけでなく帰宅までの時間を予定に入れる。店の案内で種目を見て、生活に収まる運動の枠を選ぶ。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
参考文献
- Effects of sleep restriction on metabolism-related parameters in healthy adults: A comprehensive review and meta-analysis of randomized controlled trials. — Bing-Qian Zhu et al., 2019, Sleep medicine reviews. DOI: 10.1016/j.smrv.2019.02.002
- The role of insufficient sleep and circadian misalignment in obesity — J. Chaput et al., 2022, Nature Reviews. Endocrinology. DOI: 10.1038/s41574-022-00747-7
- Effects of acute sleep loss on leptin, ghrelin, and adiponectin in adults with healthy weight and obesity: A laboratory study — L. V. van Egmond et al., 2022, Obesity. DOI: 10.1002/oby.23616
- Associations of short sleep duration with appetite‐regulating hormones and adipokines: A systematic review and meta‐analysis — Jianfei Lin et al., 2020, Obesity Reviews. DOI: 10.1111/obr.13051
- Impact of insufficient sleep on total daily energy expenditure, food intake, and weight gain — R. Markwald et al., 2013, Proceedings of the National Academy of Sciences. DOI: 10.1073/pnas.1216951110
- Effect of sleep duration on dietary intake, desire to eat, measures of food intake and metabolic hormones: A systematic review of clinical trials. — Samira Soltanieh et al., 2021, Clinical nutrition ESPEN. DOI: 10.1016/j.clnesp.2021.07.029
- Brief Communication: Sleep Curtailment in Healthy Young Men Is Associated with Decreased Leptin Levels, Elevated Ghrelin Levels, and Increased Hunger and Appetite — K. Spiegel et al., 2004, Annals of Internal Medicine. DOI: 10.7326/0003-4819-141-11-200412070-00008
- Effects of experimental sleep restriction on caloric intake and activity energy expenditure. — A. Calvin et al., 2013, Chest. DOI: 10.1378/chest.12-2829
- Elevated ghrelin predicts food intake during experimental sleep restriction — J. Broussard et al., 2015, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1002/oby.21321
- Sleep curtailment is accompanied by increased intake of calories from snacks — A. Nedeltcheva et al., 2008, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.3945/ajcn.2008.26574
- Chronic Circadian Disruption and Sleep Restriction Influence Subjective Hunger, Appetite, and Food Preference — A. McHill et al., 2022, Nutrients. DOI: 10.3390/nu14091800
- Effects of Experimental Sleep Restriction on Energy Intake, Energy Expenditure, and Visceral Obesity — N. Covassin et al., 2022, Journal of the American College of Cardiology. DOI: 10.1016/j.jacc.2022.01.038
冒頭の写真: ベッドのそばに置く小型の家具、ナイトスタンドの様子を写した写真。(写真: Brad Coy / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ダイエットの科学特集のほかの記事
- 代謝適応で食べていないのに痩せない?身体の省エネと停滞の理由を論文で読む
- 体重と体脂肪で見るダイエットの成績 数字が動かない朝に体の中身を見直す理由
- 食事記録とダイエットの科学 細かく書くより続けるために知っておきたい研究の答え
- たんぱく質とダイエットの科学 満腹感と筋肉維持は、体重計だけでは見えない
- 食物繊維と腸内細菌のダイエット科学 種類と食事条件で読む平均−1.25 kgの差
- 糖質制限か脂質制限か、長期比較試験で読む体重差と続けられる食事の選び方
- 16時間断食は本当に効くのか 時間制限食の試験で読む体重差と続け方の条件
- 朝食を抜くと太るのか 観察研究と介入試験のずれから考える朝の食卓と減量
- ストレスで食べてしまう仕組みと対処法 コルチゾールだけでは語れない食欲
- 有酸素運動と筋トレ、痩せるのはどちらか 体脂肪と内臓脂肪で変わる答え
- HIITで体脂肪はどれだけ減るのか 短時間の運動を選ぶ前に読みたい比較研究
- 筋トレとリバウンド予防の科学 基礎代謝を守れば体重は戻らないのかを読む
- ヨガで体重は変わるのか 体組成と食行動の研究から読む、期待できることの境界
- ホットヨガの消費カロリーと汗の科学 体重が減った夜に脂肪まで減ったのか
- ピラティスと体組成の科学 体幹・姿勢・体脂肪の変化を同じ成果にしない読み方
- NEATと座りすぎの科学 運動以外の日常の動きはダイエットをどこまで支えるか
- 1日8,000歩は痩せる目安か ダイエットと死亡率で数字の意味が違う
- 体重維持に成功する人の共通点 痩せた後の暮らしと立て直しを論文で読む
- 毎日体重を測るべきか 自己計量の頻度と減量・維持、数字を味方にする条件
- 食前の水500mlはダイエットに効くのか 減量試験の成果と効かない条件を読む
- 甘い飲み物と人工甘味料のダイエット科学 体重を変える置き換えの条件を読む
- お酒とダイエット、アルコールが体重に関わる3つの経路と晩酌の見直し方
- 超加工食品は食べすぎを招くのか 管理下の比較試験と例外から食卓を考える
- よく噛んでゆっくり食べるダイエットの科学 食事量と体重は同じように変わるか
- 更年期の体重増加とダイエット 昔と同じ食事でもお腹が変わる理由を論文で読む
- 産後の体重と運動、安全に戻すには何が必要か 授乳と食事支援を論文で読む
- サルコペニアとたんぱく質 中高年の筋肉を守る運動と食事、体重より先に見ること
- 内臓脂肪の落とし方、男性のメタボと運動研究から読む体重に映らない変化
- ダイエットがひとりで続かない理由 監督つき運動と自信を育てる仕組みの科学
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2




