
運動を足しても、除脂肪量を必ず守れるわけではない
ここまで読むと、食事制限に運動さえ加えれば、除脂肪量の問題は解決すると感じるかもしれない。対象や介入の組み合わせによって結果は変わる。次に見る研究では、閉経前後の女性、高齢者、退職期に近い人という対象の違いと、運動の種類に注目したい。[1][12][13]
閉経前後の過体重や肥満の女性を対象にした系統的レビューとメタ分析では、11研究が採用された。食事に運動を加えると、食事だけの場合より体重と脂肪の減少が大きくなった一方、除脂肪量の減少も大きかった。体重と脂肪の減少の大きさに加え、除脂肪量の減少も評価した点が、この比較の重要なところである。[12]
この解析は、無作為化試験だけでなく前向き研究も含み、運動一般を扱う比較である。筋トレの追加を狙って解析した研究とは、採用した条件が違う。だから両方を読んだうえで、「食事制限中の筋トレは除脂肪量の減少を抑えることを支持する証拠があるが、運動併用なら必ず減少をなくせるとは言えない」と受け止めるのが妥当だ。[7][12]
高齢者の18か月の試験では、減量と有酸素運動を組み合わせた群の体重減少が8.5 kg、減量と筋トレを組み合わせた群が8.7 kgだった。合計の減少量は近い。一方、除脂肪量の減少は、有酸素運動併用群で1.6 kg、筋トレ併用群で0.8 kgだった。脂肪量はそれぞれ6.8 kg、7.8 kg減少している。減量の重さだけを見れば似ていても、内訳は異なった。[13]
ここで筋トレ併用群も除脂肪量が減っていることを見逃したくない。比較相手より減少が小さかったという結果だ。対象の平均年齢は66.9歳で、71%が女性だった。減量だけの群では体重が5.7 kg、脂肪量が4.8 kg、除脂肪量が1.0 kg減っており、運動を併用した両群では脂肪量の減少がより大きかった。[13]
退職期に近い55〜70歳の過体重や肥満の人を対象にしたネットワークメタ分析では、複数の食事・運動の組み合わせが比較された。ネットワークメタ分析は、異なる比較試験のつながりを利用して、介入どうしを評価する方法だ。92研究のうち、66研究、4,957人の結果がこの解析に使われた。[2]
食事のエネルギー制限だけでは筋肉量が減る傾向があり、運動を含む介入では維持が支持された。ただし、筋肉量の有意な増加が認められたのは、有酸素運動と筋トレを組み合わせた運動だった。研究期間は8週間〜6か月である。短期的な維持の証拠と、その後も維持できるかという問いを分けておく必要がある。[2]
この解析では、エネルギー制限にたんぱく質と筋トレ、または有酸素運動と筋トレを組み合わせた方法が、多くの評価項目で最も効果的だった。一方、運動単独では体格指数や腹囲の低下が認められない組み合わせもあった。体格指数とは、身長と体重から体格を表す指標である。脂肪、筋肉、腹囲で成績がそろうとは限らず、目的に応じて食事も含めた組み合わせを考える研究だった。たんぱく質の詳しい検討はたんぱく質とダイエットの科学 満腹感と筋肉維持は、体重計だけでは見えないに譲る。[2]
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長く追うと、体重だけの評価はさらに難しくなる
減量が終わったときの体重は、途中経過の数字でもある。過体重や肥満があり、2型糖尿病のある人を対象にした無作為化試験の部分集団では、1,019人の体組成が8年にわたり測られた。身体活動を増やし、摂取エネルギーを減らす集中的な生活習慣介入と、支援や糖尿病の教育を受ける比較群を追った研究である。[15]
介入群では、1年後に脂肪量が5.6 kg減り、除脂肪量も2.3 kg減った。ところが、その後の追跡では脂肪が再び増え、除脂肪量も失われていた。開始時から8年後までの体重減少は、介入群で4.0 kg、比較群で2.3 kgだったが、比較群の減少は主に除脂肪量の減少だった。同じ「体重が減った」という言葉の中に、異なる経過が入っている。[15]
この研究では介入群の脂肪量は、開始後の測定時点すべてで比較群より低かった。その結果は評価できる。しかし著者らが述べる、肥満に関連する問題のリスクが低いかもしれないという見通しは、今後の研究で検証する仮説である。体組成の結果から病気の結果まで、都合よく話をつなげてはいけない。[15]
比較群では、8年間の体重減少2.3 kgのうち、除脂肪量の減少が2.1 kgを占めた。介入群も最初の減量後に脂肪が戻っており、同じ期間の経過を内訳と一緒に見ることが大切になる。長期の結果を読むときほど、体重、脂肪量、除脂肪量を同じ時点で見比べる意味が増す。[15]
体重が大きく変わらない人の研究もある。平均年齢49歳、体格指数が平均30.0の成人152人が、筋トレを週2回、有酸素運動を週1回、9か月行った研究では、体重変化が開始時の±5%以内だった。参加者は、ホエイたんぱく質が1回当たり0、10、20、30 gのいずれかに割り付けられた、同じエネルギー量の補助食を1日2回摂った。脂肪量の減少は、たんぱく質の補充とは独立して、腹囲の減少や、調べた一部の代謝指標の改善と関連した。一方、除脂肪量の増加は、測定された代謝指標の変化を予測しなかった。[18]
測定された指標には、血液中の高密度リポたんぱく質コレステロールと、インスリンの働きやすさを示す指標が含まれる。体組成は運動の前後に二重エネルギーX線吸収測定法で測り、脂肪量や除脂肪量の変化と、これらの指標の変化の関係を統計的に解析した。運動期間だけでなく、測り方と解析の問いもそろえて読むと、筋トレの量の研究とは焦点が違うことが分かる。[18]
重要なのは、体重があまり変わらない局面でも、脂肪量の変化を見る意義が示されたことだ。重さだけで運動の成績を打ち切る前に、別の測定項目を確かめる余地がある。ただし、脂肪量が減れば自分の検査値も必ず改善するという因果関係や、改善の大きさを、この関連解析から断定することはできない。[18]

よくある誤解
「体重が減らないなら、脂肪も減っていない」。筋トレを追加したメタ分析では、体重差が有意でないのに、脂肪量と除脂肪量には差があった。目の前の体重停滞をすべて筋肉の増加で説明することはできない。比較試験が示したのは、体重変化の群間差と、脂肪量や除脂肪量の群間差が異なるという結果である。[7]
「除脂肪量が少しでも減ったら、減量は失敗だ」。高齢者の比較試験では、筋トレ併用でも除脂肪量は減ったが、有酸素運動併用より減少が小さかった。脂肪量の減少と、身体の働きの変化も別に評価されている。量の減少だけから成功も失敗も断定せず、介入の目的と他の結果を合わせて読む必要がある。[13]
「体脂肪率が下がり、除脂肪量の割合が上がったら、筋肉が増えた」。生活習慣介入の試験が報告したのは、体重に占める割合の変化だ。除脂肪量の割合が上がった結果を、筋肉の絶対量が増えた結果として紹介すると、測定項目が入れ替わる。自分の記録でも、割合と重さを区別しておきたい。[3]
今日からできること
- 筋トレを週2回行う枠を予定表に置き、実際に身体を動かす。9か月の研究で実施された頻度であり、種目や負荷は自分の経験と体調に合わせて選ぶ。[18]
- 有酸素運動を週1回行い、筋トレとは別の運動の枠も持つ。筋トレ週2回と組み合わせた研究では、体重が開始時の±5%以内でも脂肪量の変化を評価した。まず今の生活で続けられる内容を選ぶ。[18]
- 食事量を減らすときも、たんぱく質を含む食事を運動と組み合わせる。55〜70歳を対象にした解析には、体重1 kg当たり1.1〜1.7 gの高たんぱく摂取を含む介入があり、エネルギー制限と高たんぱく摂取に筋トレまたは有酸素運動と筋トレを組み合わせた方法が、多くの項目で最も効果的だった。この量は研究の条件であり、全員がそのまま採用する目標ではない。[2]
- 手元の測定記録を「体重」「脂肪量または体脂肪率」「除脂肪量」に分け、分かる値だけ単位付きで写す。割合と重さを区別し、測っていない項目は空欄にしておく。
- 次の相談には過去と現在の測定結果を持ち、脂肪の変化、除脂肪量を保つ工夫、身体の働きを運動指導者や担当の医師と確認する。医師の管理下で食事量を変えている人は、運動やたんぱく質の量も医師に確認する。

オンザショア立川店で、続ける時間と動く内容を選ぶ
体重の変化とともに運動の内容を見直すなら、続けて通える時間から候補を考えたい。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30、年中無休。東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにあり、JR立川駅北口から徒歩1分だ。
動く内容にはパーソナルトレーニング、ピラティス、常温のヨガがある。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITも行っている。当店は溶岩プレートを敷いた溶岩ホットヨガスタジオで、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。常温のヨガと溶岩ホットヨガ、ヨガ以外の種目も含めて、動く内容を選べる。選択肢は店のトップで確認できる。
参加条件も選ぶ前に確かめたい。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。
ヨガを試す場合、体験レッスンは60分、税込1,980円。バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。費用は料金ページ、ヨガを試す日程は体験の予約で確認できる。時間、内容、参加条件を確かめて、日々の暮らしの中で通う予定を具体化したい。
参考文献
- Resistance training effectiveness on body composition and body weight outcomes in individuals with overweight and obesity across the lifespan: A systematic review and meta‐analysis — P. Lopez et al., 2022, Obesity Reviews. DOI: 10.1111/obr.13428
- Nutrition and Exercise Interventions to Improve Body Composition for Persons with Overweight or Obesity Near Retirement Age: A Systematic Review and Network Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials — D. Eglseer et al., 2023, Advances in Nutrition. DOI: 10.1016/j.advnut.2023.04.001
- An Energy-Reduced Mediterranean Diet, Physical Activity, and Body Composition — J. Konieczna et al., 2023, JAMA Network Open. DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2023.37994
- Effect of exercise training on weight loss, body composition changes, and weight maintenance in adults with overweight or obesity: An overview of 12 systematic reviews and 149 studies — Alice Bellicha et al., 2021, Obesity Reviews. DOI: 10.1111/obr.13256
- Effect of resistance exercise on body composition, muscle strength and cardiometabolic health during dietary weight loss in people living with overweight or obesity: a systematic review and meta-analysis — A. Binmahfoz et al., 2025, BMJ Open Sport & Exercise Medicine. DOI: 10.1136/bmjsem-2024-002363
- Effects of dietary and exercise intervention on weight loss and body composition in obese postmenopausal women: a systematic review and meta-analysis — Chao-Chun Cheng et al., 2018, Menopause. DOI: 10.1097/gme.0000000000001085
- Effect of Exercise Type during Intentional Weight Loss on Body Composition in Older Adults with Obesity — K. Beavers et al., 2017, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1002/oby.21977
- Changes in Body Composition over Eight Years in a Randomized Trial of a Lifestyle Intervention: The Look AHEAD Study — H. Pownall et al., 2015, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1002/oby.21005
- Reductions in whole-body fat mass but not increases in lean mass predict changes in cardiometabolic health indices with exercise training among weight-stable adults. — A. Amankwaah et al., 2019, Nutrition research. DOI: 10.1016/j.nutres.2018.11.004
冒頭の写真: メジャーを胴回りに当て、別の人がウエストの寸法を測っている場面。(写真: Department of Defense. American Forces Information Service. Defense Visual Information Center. 1994 / Public domain / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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