ナルコレプシーで太りやすいのはなぜか 満腹の後も菓子を選び続けた実験とオレキシン

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動物の研究が描くオレキシンと「じっとしていない体」

オレキシンについて、ネズミの研究はもう一つの筋書きを示している。運動として行う活動ではなく、立つ、歩き回る、姿勢を変えるといった自発的な身体活動の話だ。2012年のレビューは、食べる量と体を動かす量はどちらも体重に関わるが、どちらも長く大きく変えるのは多くの人にとって難しいと書く。そのうえで、運動の外にある日々の活動と、そこで使うエネルギーである非運動性活動熱産生(NEAT)を、肥満を防ぐうえで変えうる対象として挙げた[5]。

同じレビューは、オレキシンの働きが強い個体ほど自発的な活動が多く、脂肪が増えにくいと述べる。脳の中でこの活動を動かす回路の働きに個体差があり、それが太りにくさの差になっているのではないかという仮説である[5]。オレキシンは、言ってみれば体を「じっとさせておかない」側の物質として描かれている。

この筋書きを、そのまま人の体重に当てはめることはできない。人のデータは測り方がまちまちで、脳を包む液を採ることも難しいため、脳の中のオレキシンの働きを正確に知る手段が限られている[7]。人の体で測りやすいのは血中の値だが、それが脳の中の働きを映しているとは限らない。動物の研究は仮説の地図であり、人の病気の診断書ではない。

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血糖と血圧、体重の外側で測られたこと

インスリンの効きにくさについては、結果が食い違う。2012年の研究は、カタプレキシーのあるナルコレプシーの患者17人と、年齢、性別、BMIをそろえた健康な17人に、75gの糖を飲む検査を行い、240分にわたって血糖の動きを追った。インスリンの効き方と出方を計算しても、両群の結果に差はなかった。研究者は、ナルコレプシーそのものが血糖の異常や糖尿病の危険因子になるとは考えにくいと結論している[18]。

ただし、規模の小さな研究で、比べた時点も1回だけである。体重をそろえて比べた結果なので、言えるのは「同じくらいの体格なら、糖の検査に差は見えなかった」という範囲になる[18]。

一方、2026年のレビューは、オレキシンの欠乏が、肥満に加えて、インスリンの効きにくさ、血中の脂質の乱れ、代謝の異常に関わる脂肪肝、重い心臓や血管の病気とも結びつき、それは体重の増加や薬の影響だけでは説明しきれないと書く。オレキシンには膵臓のインスリンを出す細胞を助け、脂肪の細胞でのインスリンの効きを高め、肝臓で糖が作られるのを抑える作用があるという。さらに、安静時の交感神経の働きが弱く、眠っている間の副交感神経の補いも足りないため、夜間に血圧が下がりにくくなるとも述べる。自己免疫による炎症が全身の代謝に響く可能性も挙げているが、神経細胞が失われた後も炎症が続くのかは分かっていないとしている[6]。実測の小さな比較と、仕組みを積み上げたレビュー。いま言えるのは、血糖や血圧を考えるときにBMIを切り離して見ることはできない、という点だろう。

血圧については、具体的な試験がある。2025年に報告された試験は、夜に2回飲む治療薬の塩分に目を向けた。診察室での上の血圧が130〜155mmHgの患者43人が、ナトリウムの多いオキシベート製剤から、同じ量でナトリウムの少ない製剤に切り替えた。参加者の平均年齢は45歳、65%が女性で、33%が血圧の薬を使っていた[9]。

1晩の量は約8gで、そこに含まれるナトリウムは、順に1,456.5mg、117.8mgだった。24時間の尿に出たナトリウムの中央値は、1日4,278mgから2,703mgに減り、24時間の上の血圧の平均は132.3から128.2mmHgに下がった。変化の推定は−4.1mmHgで、病型、性別、BMIで分けても同じ傾向だった[9]。切り替えの前後を比べた試験で、要約には切り替えなかった組の記載がない。それでも、薬に含まれる塩分という、食事の外にある数字を測った点は具体的だ。

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暮らしの形が揺れたとき、体重はどう動いたか

2021年、台湾で新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウンがあった。6〜40歳のナルコレプシーの患者120人を、ロックダウンの前と最中で比べた研究がある。内訳は1型が80人、2型が40人で、生活の質の質問票、眠気の尺度、睡眠日誌などで定期的に評価されていた。結果は、良い面と悪い面が同時に出た。患者全体では日中の眠気の点数が下がった一方で、BMIは上がった。1型の子どもと若者では、生活の質の質問票のうち全体的な健康の項目が下がっていた[12]。

BMIがどれだけ上がったかの幅は要約に書かれておらず、過去を振り返る形の研究でもある。研究者が結びに挙げたのは、柔軟だが骨組みのある日課と、十分な睡眠時間を、ロックダウンの時もそうでない時も考えることだった[12]。眠る時刻のばらつきと体重については、「睡眠の規則性とダイエット 寝る時刻のばらつきが体重と結びつく研究の現在地」の記事が一般の大人を対象に扱っている。ここで見たのは、病気のある人の日課が外から崩されたときの記録である。在宅勤務や長い休みのように、外へ出る予定がまとまって減る時期は、ロックダウンに限らず誰にでも訪れる。眠気が軽くなったという手応えと、同じ時期の体重の推移は、別々の欄に書いて見比べた方が読み違えが少ない。

よくある誤解

「眠気が強い時期ほど太る」と考えたくなる。けれども台湾の記録では、ロックダウン中に日中の眠気の点数は下がり、同じ時期にBMIは上がっていた[12]。眠気と体重が、いつも同じ向きに動くわけではない。眠気が和らいだ時期に、別の何かが体重を押し上げていた可能性もある。

「眠ってばかりで動かないから太る」という見方も、少なくとも一部の研究とは合わない。2020年のレビューは、患者の体の活動量は対照と同程度だったと書いている[15]。体重の差を、本人の過ごし方だけに押しつける読み方は、研究の示す範囲を越えている。

「オレキシンを増やせば痩せる」という話も、根拠は薄い。肥満の大人30人を、ケトン食、1日の食事を8時間に収める食べ方、5:2と呼ばれる間欠的な断食の3群に分けて12か月追った試験では、体の測定と血液の検査は3か月ごとに行われ、全員が最後まで続けた。ケトン食でBMIや脂肪量が最も減り、食事を8時間に収める群は始めの頃の改善が最も速く、血中のオレキシンAも最も安定して増えた。オレキシンを介した仕組みを調べた解析は探索的で因果を示すものではなく、研究者自身が人数の少なさから慎重な解釈を求めている[1]。

閉経して3年以内の女性を、飲み薬と貼り薬のホルモン療法、偽薬に分けて4年間調べた試験でも、血中のオレキシンAが増えたのは飲み薬の群だけだった。どちらのホルモン療法の群もBMIの増え方は偽薬より小さかったが、オレキシンAの変化はBMIの変化とも眠りの変化とも相関しなかった[16]。体重が動いても、血中のオレキシンの値が同じ方向に動くとは限らないのである。

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今日からできること

  • 食事の後に菓子を器に出しておく時間を、自分で何分までと決め、時間が来たら袋の口を閉じて棚に戻す。1つの味に飽きたと感じても手が止まりにくいことは、実験で示されていた。例えばこの実験では、一方の菓子を飽きるまで食べた後の自由な時間に、患者が口にしたカロリーは比べた人たちのほぼ4倍だった[14]。片づけた場合の効果までは、この実験は調べていない。
  • 起きる時刻と寝る時刻を、平日と休みの日で何分までずらすかを自分で決め、在宅の日や長い休みの間も同じ幅に収める。昼寝を何回、何時に入れるかも本人が決める。ロックダウンで暮らしが揺れた患者の研究は、柔軟だが骨組みのある日課と十分な睡眠時間を勧めていた。例えばこの研究では、ロックダウン中に120人の眠気の点数は下がり、BMIは上がっていた[12]。
  • 座って過ごす時間の合間に、立つ、部屋の中を歩く、姿勢を変えるといった運動の外の動きを、1時間に何回入れるかを自分で決める。発作が出ても転びにくい場所と時間を選ぶ。レビューは、こうした日々の活動を、肥満を防ぐうえで変えうる対象として挙げていた[5]。レビューは仮説として示しており、人のナルコレプシーで回数を試した研究ではない。
  • 受診の前に、診断の前後の体重と腹囲を何か月ごとかに並べた表を作り、夜に飲む薬にどれだけナトリウムが含まれているか、24時間の血圧を測るべきかと合わせて、主治医か薬剤師に聞く。体重の増え方は病気の始まりの頃に大きいかもしれないとレビューは書いている[2]。例えば製剤を切り替えた試験では、ナトリウムの多い製剤と少ない製剤で、1晩約8gの量に含まれるナトリウムは順に1,456.5mg、117.8mgだった[9]。薬を自分の判断で変えたりやめたりしない。

駅から1分の距離と、眠気の波

日中の眠気の波を避けて体を動かす時間を探すとき、通う道の短さは小さくない条件で、オンザショア立川店の入るエトロワビル3F(東京都立川市曙町2-14-10)は、JR立川駅北口から徒歩1分の所にある。

営業は8:00〜23:30で、年中休まない。眠気が出にくい時間帯が朝の人にも夜の人にも、時間の候補が残る。溶岩プレートを敷いた部屋のホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがあり、ヨガのレッスンだけで25種類以上ある。

ナルコレプシーの治療を受けている人は、暑い部屋に入ってよいか、レッスン中に眠気や発作が出たときにどうするかを、通う前に主治医に聞いておく。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

初めての人が受けられるのはヨガの体験で、60分のレッスンが税込1,980円、ヨガマットとバスタオル2枚、フェイスタオル1枚の貸し出しが含まれる。料金は料金のページに、申し込みは体験の予約にある。日中の眠気が出にくい時間帯とレッスンの時間を、予約の前に並べて見比べる。

参考文献

[1] Metabolic and Orexin-A Responses to Ketogenic Diet and Intermittent Fasting: A 12-Month Randomized Trial in Adults with Obesity. — Monda et al., 2026, Nutrients. DOI: 10.3390/nu18020238

[2] Body Weight and Metabolic Rate Changes in Narcolepsy: Current Knowledge and Future Directions. — Dhafar et al., 2022, Metabolites. DOI: 10.3390/metabo12111120

[5] Brain orexin promotes obesity resistance. — Kotz et al., 2012, Annals of the New York Academy of Sciences. DOI: 10.1111/j.1749-6632.2012.06585.x

[6] Orexin deficiency and cardiometabolic risk in narcolepsy: mechanistic pathways and therapeutic implications. — Shukla et al., 2026, Function (Oxford, England). DOI: 10.1152/function.90001.2026

[7] Hypocretin: a promising target for the regulation of homeostasis. — Wang et al., 2025, Frontiers in neuroscience. DOI: 10.3389/fnins.2025.1638270

[9] Effects of High- Versus Low-Sodium Oxybate on Blood Pressure in Patients With Narcolepsy. — White et al., 2025, Hypertension (Dallas, Tex. : 1979). DOI: 10.1161/hypertensionaha.125.25730

[12] Impact of Taiwan’s 2021 COVID-19 lockdown on the symptom severity and quality of life of patients with narcolepsy. — Chin et al., 2023, Sleep and biological rhythms. DOI: 10.1007/s41105-023-00458-0

[14] Aberrant Food Choices after Satiation in Human Orexin-Deficient Narcolepsy Type 1. — van Holst et al., 2016, Sleep. DOI: 10.5665/sleep.6222

[15] Role of Brown Adipose Tissue in Adiposity Associated With Narcolepsy Type 1. — Straat et al., 2020, Frontiers in endocrinology. DOI: 10.3389/fendo.2020.00145

[16] Plasma orexin A levels in recently menopausal women during and 3 years following use of hormone therapy. — Cintron et al., 2017, Maturitas. DOI: 10.1016/j.maturitas.2017.01.016

[18] Glucose tolerance in patients with narcolepsy. — Beitinger et al., 2012, Sleep. DOI: 10.5665/sleep.1628

[19] Hypocretin/orexin and sleep: implications for the pathophysiology and diagnosis of narcolepsy. — Overeem et al., 2002, Current opinion in neurology. DOI: 10.1097/01.wco.0000044800.53746.5a

冒頭の写真: 本棚の上に置かれている古い目覚まし時計を被写体として写した写真。(写真: Nenad Stojkovic / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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