マラソンの練習で痩せない人がいる 市民ランナーの体重と食事の研究

テルアビブのマラソン大会で走る複数のランナーたちの様子を写した写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

食べる時間を区切った二つの試験は、答えが割れた

冒頭の0.1 kgは、食べる時間を区切る方法を試した試験の、比べる側の数字だった。持久系の練習を積んだ男性ランナー15人が、1日12時間の中で食べる普段の食べ方と、16時間食べずに8時間の中で食べる食べ方を、それぞれ4週間ずつ経験した[6]。二つの期間のあいだには4週間の休みを挟み、順番はくじで決めた。練習とエネルギーや栄養素の摂取量は、二つの期間で同じくらいだった。安静時のエネルギー消費、インスリンの効きにくさの指標、血中の脂質、血圧には、有意な差が出なかった[6]。違いが出たのは体の組成で、全身の脂肪の量は区切った期間に−0.8 kg、普段どおりの期間に+0.1 kg、脚の脂肪は順に−0.3 kgと+0.1 kg、体脂肪率は順に−1.0%と+0.1%で、区切った期間のほうが多く減った。脂肪を除いた体の量は変わらなかった[6]。著者は、持久系のランナーの心臓や代謝の健康を損なわず、脂肪の量を減らすことで走りに役立つ可能性がある、と結んでいる[6]。

ところが、前半で見たリスボンの試験は、ほぼ同じ人数、同じ4週間、同じ8時間の枠で、体重にも脂肪の量にも変化を見いださなかった[1]。区切る食べ方は、息の上がり始める地点や最大酸素摂取量の伸びにも上乗せの効果を示さなかった[1]。

二つの試験は、どちらも男性だけ、15人ずつ、4週間という小さな枠の中にある。一方は食べる量を両方の期間でそろえたうえでの比較で、もう一方は食べる時間の枠を決めた比較で、量までそろえたかどうかは書かれていない。結果が割れた理由は、この二つの試験からは決められない。いまの時点で言えるのは、走り慣れた男性では、食べる時間を区切っても4週間で目立った害は出ていない一方、脂肪が減るかどうかは試験によって答えが違う、というところまでである[1][6]。女性のランナーで同じことが起きるかは、どちらの試験も調べていない。

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たんぱく質を足した3か月で、変わったもの

持久系の練習を積んだ大人30人(各群に男性10人、女性5人)を2群に分け、3か月のあいだ普段の持久系の練習を続けながら、片方の群だけ大豆たんぱくを使った補助食品を毎日取った無作為化比較試験がある[8]。体重、BMI、脂肪の量を測り、トレッドミルで体力を調べ、マラソンの大会の前後で筋肉の損傷や炎症の指標を比べた。補助食品は持久力の成績には有意な影響を与えなかったが、大会で起きる筋肉のストレス反応を小さくした[8]。たんぱく質が総エネルギー摂取の20%以上だった人では、大会後のストレス反応が低い水準にとどまった[8]。

論文の要約には、体重や脂肪の量が群でどう違ったかは書かれていない。たんぱく質を足して痩せたという結果は、この試験からは出てこない。言えるのは、マラソンの負担に対する筋肉の反応が変わったというところまでで、特定の製品を勧める根拠にもならない[8]。

量の目安について、先の見解は、除脂肪量を保ち回復を支えるにはたんぱく質を体重1 kgあたり1日およそ1.6 g、練習が厳しくエネルギーの必要が大きい時期には2.5 gまでが妥当な場合があるとしている[16]。炭水化物については、練習で筋グリコーゲンが減り続ける悪影響を抑えるため、エネルギーの約60%、体重1 kgあたり1日5〜8 gという中程度から多めの量を支持している[16]。これは超長距離走の練習を前提にした数字で、週に数回走る市民ランナーがそのまま当てはめる量とは限らない。

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同じように鍛えても、脂肪の量には差が出る

総合格闘技の選手、競技として長距離を走る人、大学の水泳選手、スタンドアップパドルの選手、趣味のボディビルダーなど、運動を続けている108人の遺伝子を調べた研究がある[19]。肥満と関わりの深いFTOという遺伝子の一か所でCの型を1つ以上持つ54人は、持たない54人に比べ、脂肪の量が多く(17.3 kgと14.2 kg)、体脂肪率も高かった(23.4%と19.9%)[19]。骨の量や除脂肪量には、型による差が無かった[19]。

ある一時点を切り取った研究なので、遺伝子の型が体組成を決めたと因果まで言うことはできない、と著者自身が書いている[19]。それでも、同じように体を鍛えている人の間でこれだけ脂肪の量に開きがあるという数字は、練習仲間と自分の体重を比べて落ち込む前に知っておいてよい。体質の違いがあるからといって、練習をやめる理由にはならない。比べる相手を他人から先月の自分に替える理由にはなる。

脂肪の量は、走る記録とも結びついている。5000 mからマラソンまでの記録を予測する数式を集めたレビューは、1983年以降の58研究を整理した[11]。フルマラソンとハーフマラソンの予測に強く関わっていたのは、研究室で測る最大酸素摂取量やその速さ、練習のペースや量、そして脂肪の量や皮下脂肪の厚さといった体の測定値だった[11]。ハーフマラソンの予測は主に体の測定値によるが、説明できる度合いは中程度にとどまる[11]。脂肪の量は記録と結びつく変数の一つにすぎず、それだけで記録が決まるわけでもない。

距離を伸ばすほど、体は軽く健やかになるのか

64日で4,486 kmを走り、ヨーロッパを縦断する大会がある。2009年のこの大会では、参加者の67%にあたる44人が研究に加わり、移動式のMRIが毎日ランナーを追った[17]。研究の狙いの一つは、休む時間の少ない長い負荷と、その結果として起きるエネルギーの不足に体がどう応じるかだった。研究に加わった44人のうち、ゴールの北岬にたどり着いたのは30人(68%)だった。レース全体の平均の速さは時速8.35 kmで、完走者は64日のあいだに合計552時間を走ることに費やした[17]。

超長距離走の心臓と肺への影響をまとめたレビューは、ふだんの運動が肥満や心臓の病気の危険を下げる一方で、極端な運動は体に害を及ぼしうるという証拠が増えていると書く[14]。レースの後に肺の機能やガスを取り込む力が下がること、呼吸の筋肉の疲れ、肺のむくみ、心臓の損傷を示す血液の指標などが取り上げられている[14]。

フルマラソンを目指す市民ランナーの日常とは、ずいぶん距離のある話だ。ただ、「走れば走るほど健康になる」という一直線の期待には、どこかに折り返し地点があることを、このレビューは示している[14]。

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

よくある誤解

「走れば脂肪が減ることは、動物の実験でも確かめられている」という言い方がある。確かに、走る能力を高めた系統と普通の系統の雄のマウスに3週間または6週間、回し車を置いた実験では、両方の系統で、皮下、精巣上体のまわり、腎臓のまわりの脂肪と褐色脂肪の量が有意に減った[15]。けれども、回し車の前で暮らすマウスと、仕事の合間に走る人とでは、食べる物も走る時間の決まり方も違う。動物の結果は、脂肪の組織で何が起きるかを考える手がかりにはなるが、人の体重の見通しにはそのまま使えない。

「練習中に何かを足せば、体の組成も変わる」という期待もある。台湾の体育大学で中長距離を走る20〜30歳の21人に、5週間、ビフィズス菌の一種か偽薬を取ってもらった二重盲検の試験では、12分間に走れる距離の伸びは菌を取った群で大きく、腸内細菌の量も増えたが、体組成には有意な変化が無かった[9]。先の大豆たんぱくの試験も、持久力の成績には有意な影響を示していない[8]。足す物を探すより、体組成を動かしている練習と食事の量のほうに目を向けたい。

「糖質を抜いて走れば、脂肪で走れる体になって痩せる」という話も根強い。国際スポーツ栄養学会の見解は、強度の低い一部の練習の前に限って炭水化物を控えると、ミトコンドリアの働きや脂肪を使う力が高まりうるとしながら、強い運動の成績を損ないうるとも書いている[16]。超長距離走の成績のためのケトン食やケトンの補助食品については、支える証拠が足りないとしている[16]。脂肪を使う力が高まることと、体脂肪が減ることも、同じ話ではない。

今日からできること

  • 長い距離やペース走を入れる日を週に何日にするかを先に決め、その日と翌日の食事を、走らない日より減らさない。例えば試験は、3日続けて75分ずつ走る重い期間で食事を絞った条件だった。利用できるエネルギーを絞って毎日75分走った3日間では、体重とともに筋肉の糖の貯えと除脂肪量が減り、4日目のヘプシジンは保った条件より高かった[2]。
  • 大会前の一週間の主食の量を、体重1 kgあたり何gになるかで割り出してみる。何日分を割り出すかは自分で決め、例えば研究が大会前の週に3回分の食事の記録を取ったように、数日分を選ぶ。完走した市民ランナーの観察研究で、炭水化物が3 g未満の人は5 gを超える人よりゴール直後のIL-8が高かったが、炭水化物を増やせば炎症が下がると確かめた研究ではない[13]。
  • 食べる時間を区切る方法を試すなら、何時間の枠で何週間続けるかを自分で決め、始める前と後で体脂肪率を比べて自分の体の答えを見る。例えば2ページ目の初めに見た二つの試験は8時間の枠で4週間だったが、答えが割れた方法なので、試験の条件をそのまま目安にはしない[6][1]。
  • 練習の多い週に、1日の食事のうちたんぱく質がエネルギーのどのくらいを占めるかを、何日か選んで見積もる。大豆たんぱくの3か月の試験では、たんぱく質がエネルギーの20%以上だった人で、マラソンの大会後の筋肉のストレス反応が低かった[8]。
  • 体重とは別に、走る力の伸びを測る日を決める。12分間で走れる距離を、何週おきに測るかは自分で決め、例えば試験が5週間の前と後で測ったように、数週間を一区切りにする。この距離はビフィズス菌の試験で練習の成果を見る物差しに使われ、菌を取った群では体組成が動かないまま、距離の伸びが大きかった[9]。

走らない日の60分を、練習計画の表に

走らない日やロング走の翌日に体を動かす場所を選ぶときも、医師の判断が先に来る点は練習と同じで、オンザショア立川店の決まりもそこから始まる。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

溶岩プレートを敷いた部屋のホットヨガは、インターバル走のように息を上げきる練習の続きをする場所にはしない。全力の追い込みは屋外の練習に残し、暑い部屋では呼吸を整えたまま動ける強さにとどめる。ほかに常温のヨガ、ピラティス、HIIT、ボクササイズ、女性専用のキックボクササイズ、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンが組まれている。営業は8:00〜23:30の年中無休で、早朝に走った日の夜にも入れられる。

ヨガの体験は60分で税込1,980円、バスタオル2枚とフェイスタオル1枚、ヨガマットの貸し出しもその料金に入る。ロング走の帰りに立川駅で電車を降りる人なら、北口から歩いて1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fが店の場所だ。店の様子は店のトップ、料金は料金のページ、体験の申し込みは予約のページから開ける。次の大会までの残りの週を数え、走らない日のうち一日を、ヨガの体験に充てる日として空けておく。

参考文献

[1] Effects of Time-Restricted Eating on Aerobic Capacity, Body Composition, and Markers of Metabolic Health in Healthy Male Recreational Runners: A Randomized Crossover Trial. — Correia et al., 2024, Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics. DOI: 10.1016/j.jand.2024.01.005

[2] Effect of low energy availability during three consecutive days of endurance training on iron metabolism in male long distance runners. — Ishibashi et al., 2020, Physiological reports. DOI: 10.14814/phy2.14494

[3] Gut Microbiota and Dietary Intake Across Training Phases in Competitive Long-Distance Runners: An Exploratory Longitudinal Study. — Kuo et al., 2026, Nutrients. DOI: 10.3390/nu18183036

[6] An Intervention of Four Weeks of Time-Restricted Eating (16/8) in Male Long-Distance Runners Does Not Affect Cardiometabolic Risk Factors. — Richardson et al., 2023, Nutrients. DOI: 10.3390/nu15040985

[8] Continuous Protein Supplementation Reduces Acute Exercise-Induced Stress Markers in Athletes Performing Marathon. — Röhling et al., 2021, Nutrients. DOI: 10.3390/nu13092929

[9] Bifidobacterium longum subsp. longum OLP-01 Supplementation during Endurance Running Training Improves Exercise Performance in Middle- and Long-Distance Runners: A Double-Blind Controlled Trial. — Lin et al., 2020, Nutrients. DOI: 10.3390/nu12071972

[11] Predictive Performance Models in Long-Distance Runners: A Narrative Review. — Alvero-Cruz et al., 2020, International journal of environmental research and public health. DOI: 10.3390/ijerph17218289

[12] Effects of marathon training on maximal aerobic capacity and running economy in experienced marathon runners. — Lee et al., 2020, Journal of human sport and exercise. DOI: 10.14198/jhse.2020.151.08

[13] Association of Daily Dietary Intake and Inflammation Induced by Marathon Race. — Passos et al., 2019, Mediators of inflammation. DOI: 10.1155/2019/1537274

[14] Exercise Is Medicine? The Cardiorespiratory Implications of Ultra-marathon. — Tiller et al., 2020, Current sports medicine reports. DOI: 10.1249/jsr.0000000000000738

[15] Analysis of Activity-Dependent Energy Metabolism in Mice Reveals Regulation of Mitochondrial Fission and Fusion mRNA by Voluntary Physical Exercise in Subcutaneous Fat from Male Marathon Mice (DUhTP). — Brenmoehl et al., 2020, Cells. DOI: 10.3390/cells9122697

[16] International Society of Sports Nutrition Position Stand: nutritional considerations for single-stage ultra-marathon training and racing. — Tiller et al., 2019, Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1186/s12970-019-0312-9

[17] The TransEurope FootRace Project: longitudinal data acquisition in a cluster randomized mobile MRI observational cohort study on 44 endurance runners at a 64-stage 4,486 km transcontinental ultramarathon. — Schütz et al., 2012, BMC medicine. DOI: 10.1186/1741-7015-10-78

[19] A fat mass and obesity-associated gene polymorphism influences fat mass in exercise-trained individuals. — Antonio et al., 2018, Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1186/s12970-018-0246-7

冒頭の写真: テルアビブのマラソン大会で走る、複数のランナーたちの様子を写した写真(写真: MoserB / CC0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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