オピオイドと体重 食べる快楽に関わる体の中の物質と、受容体をふさぐ薬の試験

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メサドンを使う人の体で、握力は何を語ったか

メサドンはオピオイド使用障害の治療として効果のある薬だが、体のいくつもの系に負担をかけ、老いを早めるかもしれないという指摘がある。そこで、米国ボルティモアで注射による薬物の使用歴がある成人を 2005〜2020 年に追った ALIVE という集団のデータから、メサドンの使用と虚弱、体の働きの関係を調べた研究がある。対象は 2,153 人、追跡は延べ 13,909 人年で、研究の始まりの時点で 883 人がメサドンを使っていた。年齢の中央値は 48 歳、81% が黒人、34% が女性、80% が年収 5,000 ドル未満、31% が HIV とともに暮らしていた。メサドンの使用は、処方か処方外かを問わず本人の申告で、虚弱は決められた基準(Fried の虚弱の表現型)で判定し、体の働きは握力と 4 m を歩く速さで測っている[13]。

属性、BMI、薬物の使用、HIV、ほかの病気をそろえて比べると、メサドンを使っている人は虚弱に当てはまるオッズが高かった。著者らはこの差を、メサドンを使う 50 歳の人の虚弱のなりやすさが、使っていない 54 歳の人と同じくらい、と言い換えている。握力は平均で 0.71 kg 低く(95% 信頼区間 −0.94〜−0.48 kg)、歩く速さには差が無かった[13]。これは観察研究で、メサドンが虚弱を起こしたと決められるものではなく、HIV や暮らしの苦しさを抱えた特定の集団の結果でもある。体重はそろえる側の項目に入っていて、結果として測ったのは体重ではない。著者らが勧めているのは治療をやめることではなく、虚弱などの老いに伴う状態を早めに確かめることだった。

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痛み止めの量を決めるとき、体の組成と体重が問われる

オピオイドと体重の関係は、薬が体をどう変えるかだけでなく、体が薬をどう扱うかという向きにも現れる。高齢者の痛みについての先の合意文書は、年を重ねると腎臓と肝臓が薬を片づける力が落ち、筋肉などの除脂肪量が減り、体脂肪が増え、たんぱく質と薬の結びつき方も変わるため、薬の吸収、分布、代謝、排出が変わると書く。だから量を調整し、飲む間隔を空け、「少なく始めて、ゆっくり上げる」ことが勧められる。便秘、考える力への影響、転倒の危険といった副作用を先回りして見張ることも欠かせないとし、がん以外の長引く痛みでは、痛みの原因に向かう治療や、期限を区切った使い方を重んじている[9]。

体重の多い人が手術を受ける場面でも、痛み止めの使い方は特別な問いになる。腹腔鏡での減量手術の痛みの管理を扱ったレビューは、41 本の研究を読み、肥満、閉塞性睡眠時無呼吸、心臓と代謝の病気を持つ人では、オピオイドの副作用が特に問題になりやすいとする。痛みが十分に抑えられないと早く体を起こして動き出すことが妨げられうるし、逆にオピオイドを使い過ぎると、呼吸が弱まる危険、術後の吐き気、入院の長期化が増える。オピオイドを使わない、または減らす麻酔はオピオイドの使用量と吐き気を減らしうるが、痛みや入院日数で通常の麻酔に勝るかは研究によってそろわなかった。いちばん裏づけがあったのは、早く回復するための手順をまとめた ERAS という枠組みで、その効果は手順をどれだけ守ったかに比例していた[14]。

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妊娠中のオピオイド使用障害と、母と子の体重

妊娠とオピオイドの研究では、体重は「増える」より「足りない」の側で語られることが多い。米国ウィスコンシン州の公的医療保険で 2011〜2019 年の単胎の出生 216,684 件を調べた観察研究では、オピオイド使用障害のあった 5,184 件(2.4%)の母親は、無かった人に比べて喫煙が多く、妊娠中の体重の増え方は平均で 2.0 ポンド少なかった。生まれた子の、在胎週数に対する出生体重の順位(パーセンタイル)は平均で 11.2 低かったが、その差の 62.3% は解析に入れた要因で説明でき、説明できた部分にいちばん大きく寄与したのは喫煙、続いて母親のほかの病気、妊娠中の体重の増え方、妊娠前の BMI だった[10]。著者らは、この差の半分以上がオピオイドそのものではなく、変えられる要因に帰せられると結論している。

生まれた後の数日にも目が向けられている。大学病院で 2010〜2021 年に生まれ、妊娠中にオピオイドにさらされた赤ちゃんの記録を振り返った研究では、868 組の母子のうち 622 組(71.7%)で、ほかにも何らかの物質にさらされていた。ほかの物質にもさらされた赤ちゃんは、そうでない赤ちゃんに比べて体重の減り方の中央値が大きく、底を打つ時期も遅かった。物質ごとに見ると、母親が依存症の治療薬を処方されていたこと、オピオイド以外の薬物の検査が陽性だったことが、出生体重からの最大の減少率の大きさと結びついていた[1]。著者らは、入院中の赤ちゃんの体重の減りを和らげる管理に役立てるための知見だとしている。治療を受けながら出産に臨んだ母親を責める材料として読むものではない。

肥満の薬が、オピオイド依存の治療に試されている

ここまでとは逆の向きの研究もある。オピオイド使用障害には承認された薬が少なくとも 3 つあるが、過量服用で亡くなる人は減りきらず、新しい治療が求められている。そこで注目されているのが、肥満や 2 型糖尿病に使う GLP-1 受容体作動薬と、GIP 受容体にも働く薬などである。動物の実験では、これらの薬がオピオイドを取りにいく行動や探す行動を減らした。ただし多めの量を続けると効きにくくなる耐性も見られた[15]。

人では、リラグルチドを使った 1 本の小さな試験で、オピオイドへの渇望が減った。進行中の試験は 3 本あり、2 本はセマグルチド、1 本はチルゼパチドを、ブプレノルフィンやメサドンの治療に上乗せして試している。電子カルテや保険請求のデータを使った研究では、糖尿病や肥満のために GLP-1 の薬を使っていた人で、過量服用と、オピオイド使用障害での入院が 4 割少なかった[15]。カルテのデータは観察の結果で、薬を使った人と使わなかった人の違いをすべて取り除けたわけではない。総説も、さらに臨床試験が要ると書いている。痩せる薬で依存が治るという話としては、まだ読めない。

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よくある誤解

一つ目は、「オピオイドの薬を使う人は太る」という思い込みだ。集めた論文の中に、メサドンやブプレノルフィンの使用で体重がどれだけ増えるかを測った研究は無かった。少なくとも妊娠中の人を調べた大きな研究では、オピオイド使用障害のある人のほうが妊娠前の BMI が低く、妊娠中の体重の増え方も小さかった[10]。対象が限られた一つの集団の結果ではあるが、体重の向きを一語で言い切れないことは分かる。

二つ目は、「オピオイドの受容体をふさぐ薬なら、誰が飲んでも痩せる」という読み方である。サミドルファンの試験は、オランザピンを飲む人の体重の増え方を小さくしたのであって、体重を減らしたのではない。同じ仲間のナルトレキソンをオランザピンに上乗せした試験では、体重の増加にも BMI の増加にも差が出なかった[4]。仲間の薬なら同じように効く、という前提がまず崩れている。

三つ目は、「牛乳で太るのは、牛乳の中のオピオイドのせい」という話だ。牛乳の A1 型β-カゼインが消化されてできるβ-カソモルフィン-7 は、μ受容体に結びつく。腸内細菌の顔ぶれ、腸の壁の守り、胆汁酸の代謝、腸を通る時間、腸の炎症を変え、骨折や肥満にも関わるという仮説はある。けれども総説自身が、証拠は限られていて、動物と人での研究で仮説を確かめる段階だと書いている[5]。牛乳と体脂肪の試験そのものは「牛乳・ヨーグルトは体脂肪を減らすのか カルシウムと減量試験の条件を読む」の記事が扱っている。

今日からできること

  • メサドンなど依存症の治療薬を使っている人は、握力を測れる機会(健診や自治体の体力測定など)があれば、4 m を歩く速さと並べて見る。注射による薬物の使用歴がある人の観察研究は、体の働きをこの 2 つで測り、メサドンを使う人では握力が平均で 0.71 kg 低く、歩く速さには差が無かった[13]。相関を見た研究なので、数字は早めに体の状態を確かめるきっかけとして使う
  • 医師にオランザピンを処方された人は、飲み始めた日の体重を基準にして、何 % 増えたかで体重を見る。試験は 7% と 10% の増加を区切りにして数えていたが、どこを相談の目安にするかは自分で決めてよい。体重と一緒に腹囲を測ると、試験と同じ物差しが手に入る[2]
  • 妊娠を考えていてたばこを吸う人は、妊娠より前の時期から本数を減らし始め、やめる日を自分で決める。妊娠中のオピオイド使用障害と子の出生体重の差を分解した観察研究では、例えば出生体重の順位の差 11.2 のうち 62.3% が解析に入れた要因で説明でき、その中で最も大きく寄与したのが喫煙だった。禁煙の試験ではないが、変えられる要因として挙げられている[10]
  • オピオイドの痛み止めを処方されている人、特に年を重ねた人は、次の受診で処方した医師に「少なく始めて、ゆっくり上げる」考え方でいまの量を決めているか、便秘やぼんやりする感じ、転びそうになったことをどの時点で伝えればよいかを尋ねる。合意文書は、年齢による体の組成の変化に合わせた量の調整と、こうした副作用を先回りして見張ることを勧めている。量を自分の判断で減らしたり止めたりはしない[9]

立川駅北口から、薬と相談しながら体を動かす

依存症の治療薬や痛み止めを使いながら運動を続けるには、通院の帰りにも寄れる距離が助けになり、オンザショア立川店は JR 立川駅北口から歩いて 1 分の所にある。住所は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F で、8:00〜23:30 の間、曜日を問わず開いており、休みの日は無い。

スタジオの床には溶岩プレートが敷かれ、ホットヨガのほかに常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。ヨガのレッスンだけで 25 種類以上ある。

温めた部屋に入ってよいかどうかは、いま飲んでいる薬の名前を伝えたうえで、処方している主治医に確かめておきたい。眠気やふらつきが出やすい薬を使っているなら、なおさらである。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

初めての人が受けられるのはヨガの体験で、60 分のレッスンが税込1,980円、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットの貸し出しまで含まれる。費用の全体は料金のページに、予約の手順は体験の予約に載っている。次の診察の質問に「温かい部屋で体を動かしてよいか」を一つ加え、答えを聞いた日の帰りに、北口から 1 分の道を歩いてスタジオの場所を確かめておく。

参考文献

[1] Association of Polysubstance Exposure and Neonatal Weight Loss Among Infants Exposed to Opioids. — Andersen et al., 2026, Journal of pediatrics. Clinical practice. DOI: 10.1016/j.jpedcp.2026.200210

[2] Centrally-acting opioid receptor antagonists as a treatment for antipsychotic-induced weight gain: A systematic review and meta-analysis of clinical trial data. — Lee et al., 2025, Journal of psychopharmacology (Oxford, England). DOI: 10.1177/02698811251337374

[4] Opioid antagonists to prevent olanzapine-induced weight gain: A systematic review. — Laguado et al., 2022, The mental health clinician. DOI: 10.9740/mhc.2022.08.254

[5] Unravelled facets of milk derived opioid peptides: a focus on gut physiology, fractures and obesity. — Aslam et al., 2020, International journal of food sciences and nutrition. DOI: 10.1080/09637486.2019.1614540

[6] Possible involvement of endogenous opioids in beta-cell hyperresponsiveness in human obesity. — Vettor et al., 1989, International journal of obesity.

[9] Opioids to Treat Chronic Pain in the Older Adult: A Clinical Consensus to Guarantee Safety and Avoid Adverse Events. — Ribeiro et al., 2026, Drugs & aging. DOI: 10.1007/s40266-026-01329-2

[10] Importance of Modifiable Factors to Infant Health in the Context of Prenatal Opioid Use Disorder. — Ehrenthal et al., 2025, Journal of addiction medicine. DOI: 10.1097/adm.0000000000001389

[11] The Endogenous Opioid System in Compulsive Eating. — Janbandhu et al., 2026, Brain sciences. DOI: 10.3390/brainsci16070741

[13] The association of methadone use with physical function and frailty among persons who inject drugs. — Kulik et al., 2026, Addiction (Abingdon, England). DOI: 10.1111/add.70306

[14] Pharmacological Modulation of Perioperative Pain in Laparoscopic Bariatric Surgery: An Updated Evidence-Based Narrative Review of Intravenous Lidocaine, Dexmedetomidine, Opioid-Free and Opioid-Sparing Anesthesia, and ERAS-Based Protocols. — Zavaleta-Corvera et al., 2026, Anesthesiology research and practice. DOI: 10.1155/anrp/6019290

[15] Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists as a Candidate Treatment for Opioid Use Disorder: From Rats to Humans. — Grigson et al., 2026, Biological psychiatry. DOI: 10.1016/j.biopsych.2026.06.033

[17] Endogenous opioid receptors and the feast or famine of maladaptive feeding. — Sutton Hickey et al., 2025, Nature communications. DOI: 10.1038/s41467-025-57515-0

この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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