元アスリートの体重 引退後に増えた脂肪は1年の試験で減ったが、代謝の節約は残った

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元選手だけを集めた減量の試験がある

引退の後に脂肪が増えた元選手を対象にした減量の取り組みは、これまで乏しかった、と論文は書いている[4]。そこで、太り気味か肥満の元エリート選手94人(平均42.4歳、女性34.0%)を、介入群49人と対照群45人に無作為に分けた試験が組まれた[4]。

介入群は、運動、体重管理、栄養を扱う12回の教育セッションに参加し、1日およそ300〜500kcalの控えめな不足を目標にする栄養面談を受けた[4]。元選手向けと聞くと、きつい練習メニューを想像するかもしれないが、中身の中心は学ぶ機会と食事の相談である。女性が3割あまり含まれるが、男女別の結果は要約には載っていない。

12か月後、介入群は対照群より体重で5.3kg、体脂肪で4.1kg、腹部の脂肪で0.49kg多く減らした[4]。論文は、脂肪を減らしながら脂肪以外の組織の量を保てたとまとめている[4]。インスリンや総コレステロール(対照群との差は21.8mg/dL)の値も介入群で改善し、体の働き、全般の健康感、活力、心の健康といった生活の質の項目でも差がついた[4]。

ここで注目したいのは、数字の派手さよりも、元選手に必要だったものの中身である。運動の知識なら十分に持っていそうな人たちに、教育と相談を組み合わせた取り組みで差がついた。競技の経験と、引退後の体重を自分で管理する力は、別のものなのかもしれない。

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1年たっても残った代謝の節約

同じ試験の参加者について、安静時の消費を詳しく測った報告がある[6]。適応熱産生という言葉が出てくる。減量で体の組成が変わると、そこから予測できる分だけ安静時の消費は下がるが、実際にはそれ以上に下がることがあり、この差を指す用語である。

試験は4か月の減量期と8か月の維持期に分かれていた[6]。介入群の体重の減少は4.8%、体脂肪の減少は11.3%と、控えめな減量である[6]。それでも減量の直後に1日85kcalの節約が見られ、1年の時点でも1日72kcalの節約が有意に残った[6]。

減量の後の消費の低下と聞くと、代謝が壊れたように感じる人がいるが、数字の大きさはこのくらいである。目標にした不足の数分の1にあたる分を、体が取り返している形と読める[4][6]。無視できないが、減量そのものを無意味にする大きさでもない。元選手の体でも起きた、という事実のほうに意味がある。鍛えた過去があっても、体は消費を絞っていた。減量全般の話は「代謝適応で食べていないのに痩せない?身体の省エネと停滞の理由を論文で読む」の記事に譲る。

個人差も大きかった。食事の制限が強い人ほど節約が大きい関連があり、相関係数は−0.325と−0.308だった[6]。節約の大きかった群では、体重と脂肪の減りが小さく、開始時の摂取エネルギーが多かった[6]。著者らは、ばらつきの理由はまだ分からないとして、大げさな解釈を避ける測り方と、脂肪以外の組織の中身まで見ることを求めている[6]。

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短い制限は数字を動かすが、途中でやめる人も出る

短期の試験も見ておく。太り気味か肥満の元選手の男性94人(平均35.7歳、平均96.82kg)を、1日の総消費の20%分を減らす群と、30%分を減らす群に分け、6週間の変化を比べた[7]。

著者らは、30%の群のほうが体脂肪と脂質の改善に効果的に見えたと結論し、どちらの群でも、脂肪細胞から出るホルモンのレプチンとアディポネクチンの値が改善したとしている[7]。ただし、要約に書かれた結果は有意差の有無が中心で、変化の大きさも、脂肪以外の組織や筋肉量の差がどちらの群に有利だったかも読み取れない。筋肉の側で何が起きたかが分からないまま、強い制限を良しとするわけにはいかない。

見落とせないのは、参加者のうち31人が途中で試験をやめたことである(20%の群で18人、30%の群で13人)[7]。3人に1人の割合に近い。6週間の結果で30%を勧めることはできないし、この試験は1年先の体重を見ていない。先の1年の試験の控えめな不足とは、問いの立て方も期間も違う。

動き続けることが、体重の外に残すもの

元選手を追った研究は、運動を体重のためだけの道具として見ない視点もくれる。元代表の男性664人と対照500人に1985年と1995年の質問票で答えてもらった研究では、余暇の活動が多い人ほど、10年後の抑うつ症状のリスクが低かった[2]。活動量が1日あたり1MET時間(活動の強さと時間を掛けた単位)増えるごとに、リスクは8%低かった[2]。

一方、長期の分析で活動量と不安の間に有意な関連は無かった[2]。10年後の抑うつには、性格の傾向、暮らしへの不満、結婚の状態、人生の出来事、社会階層も関わっていた[2]。観察研究であり、気分の良い人が動けている、という逆の向きも排除できない。それでも、競技を離れた後の体の使い方が、気分とも結びついていることは読み取れる。

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よくある誤解

「太ったのは意志が弱いからだ」。元選手の試験で、食事の指示をどれだけ守ったかと代謝の節約の大きさの間に関連は見られなかった[6]。節約は、真面目に取り組まなかった人に起きる罰のようなものとして説明できない。引退の後の体重の増加も、多くの選手が経験するものとして論文に書かれている[4]。

「元アスリートは体がぼろぼろだ」。全体で見ると、この印象は当たらない。元選手6,692人を含む17本の論文を集めたレビューでは、そのうち7本を統合すると、体の面の生活の質の平均は50.0、心の面は51.4で、一般の人の基準と比べて体の面は同程度、心の面はむしろ良かった[14]。体の面の点数が低い元選手でも、心の面は基準より良かった[14]。関節の問題を抱える人の苦労が消えるわけではないが、一括りの悲観は合わない。

「減量すると無意識に動かなくなる」。これは元選手の試験では確かめられなかった。加速度計で測った日常の活動のエネルギー消費を見ると、減量の後も介入群に差は無く、平均では節約も見られなかった[8]。個人差の大きさも4か月で−2、12か月で24kcal/日と、意味のある変化の基準にした87kcal/日に届かず、ばらつきは測定の誤差などを映している可能性があると著者らは見ている[8]。節約は、この試験では日常の動きより安静時の側に出ていた。

今日からできること

  • 20歳ごろの体重と今の体重の差を計算する。元選手の調査は、この差が10kgを超える群とそれ以外を分けて見ていた。写真や健診の記録から、自分の差を出してみる[10]。
  • 減量の幅を強くしすぎない。制限の強い人ほど代謝の節約が大きい関連があった[6]。例えば1日の総消費の20%分か30%分を減らす6週間の試験では、94人のうち31人が途中でやめていた[7]。幅はこの数字ではなく、今の食事から決める。
  • 競技をやめても、余暇の運動を残す。数は今の週の回数を基準に決め、例えば0回の週が続いているなら週1回から始める。元選手と対照の調査では、余暇の活動が1日あたり1MET時間増えるごとに、10年後の抑うつ症状のリスクが8%低かった[2]。観察研究で逆の向きも否定できないので、気分の落ち込みが続くときは、運動の回数より先に医師に相談する。
  • 運動、体重管理、栄養のうち、これまで一人で考えてきたものを1つ選び、管理栄養士などの専門家に聞く機会を持つ。元選手の試験で差がついたのは、12回の教育と栄養面談の組み合わせだった[4]。

勝ち負けのない60分

競技の勝ち負けを離れた余暇の運動として、60分のヨガの体験がバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタル込みで税込1,980円で受けられる。試合の日程のない暮らしに合わせるなら、営業は8:00〜23:30、年中無休で、仕事の前後のどちらにも組み込める。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

オンザショア立川店は、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。パーソナルトレーニング、HIIT、ボクササイズ、女性専用のキックボクササイズ、ピラティスのほか、溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガと常温のヨガがあり、ヨガは25種類以上に分かれている。現役の頃の記録を持ち込む必要はない。古傷の治療中の人は、暑い部屋に入ってよいかを主治医に確かめておく。店の案内、料金、体験の予約はそれぞれのページにある。20歳ごろとの体重の差を出したら、その数字を持ったまま体験の日を1日押さえる。

参考文献

[1] Mortality and health-related habits in 900 Finnish former elite athletes and their brothers. — Kontro et al., 2018, British journal of sports medicine. DOI: 10.1136/bjsports-2017-098206

[2] Influence of physical activity on depression and anxiety of former elite athletes. — Bäckmand et al., 2003, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/s-2003-43271

[4] Effectiveness of a lifestyle weight-loss intervention targeting inactive former elite athletes: the Champ4Life randomised controlled trial. — Silva et al., 2022, British journal of sports medicine. DOI: 10.1136/bjsports-2021-104212

[5] Supervised and free-living physical activity: no differences in former athletes and nonathletes. — Dishman, 1988, American journal of preventive medicine.

[6] Effects of a 4-month active weight loss phase followed by weight loss maintenance on adaptive thermogenesis in resting energy expenditure in former elite athletes. — Nunes et al., 2022, European journal of nutrition. DOI: 10.1007/s00394-022-02951-7

[7] Six Weeks of Calorie Restriction Improves Body Composition and Lipid Profile in Obese and Overweight Former Athletes. — Hołowko et al., 2019, Nutrients. DOI: 10.3390/nu11071461

[8] Interindividual variability in metabolic adaptation of non-exercise activity thermogenesis after a 1-year weight loss intervention in former elite athletes. — Nunes et al., 2023, European journal of sport science. DOI: 10.1080/17461391.2022.2147020

[10] Relationships between body weight change and cardiovascular disease risk factors in male former athletes. — Pihl et al., 2001, International journal of obesity and related metabolic disorders : journal of the International Association for the Study of Obesity. DOI: 10.1038/sj.ijo.0801642

[11] Physical activity, use of alcohol and smoking in middle-aged and aging men. A longitudinal study among Finnish male former athletes and controls. — Kontro et al., 2021, European journal of sport science. DOI: 10.1080/17461391.2020.1761889

[14] Quality of Life and Life Satisfaction in Former Athletes: A Systematic Review and Meta-Analysis. — Filbay et al., 2019, Sports medicine (Auckland, N.Z.). DOI: 10.1007/s40279-019-01163-0

[15] Use of Alcohol and Alcohol-Related Morbidity in Finnish Former Elite Athletes. — Kontro et al., 2017, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/MSS.0000000000001137

[20] Prevalence of diabetes, hypertension, and ischemic heart disease in former elite athletes. — Kujala et al., 1994, Metabolism: clinical and experimental. DOI: 10.1016/0026-0495(94)90219-4

冒頭の写真: 曇り空の下、観客のいない米国ヒューストンのライス大学のスタジアム(写真: Brandonrush / CC0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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