医師は体重をどう診ているか 重要と答えた研修医98.5%でも記録に残りにくい肥満

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医師自身の運動は、助言に映る

ここからが、不養生という言葉に一番近い話である。医師の運動と助言についてのレビューは、米国の成人のうち前回の受診で運動の助言を受けたと答えた人は34%にとどまると述べる。その壁として挙がるのは、訓練の不足、動機、そして医師自身の運動の習慣である。自分の助言を実行している医療者ほど、より良い助言と動機づけを行うという研究も紹介され、医師自身の運動の習慣は運動についての考え方に影響すると結論している[7]。

英国の医師の認識を調べたスコーピングレビュー(広く文献を集めて全体像を描く方法)は、16,961件を確かめて19研究を選んだ。多くは総合診療の医師の研究である。運動を患者に勧めるかどうかを左右する要因は7つ挙げられた。知識と研修、本人の関心と運動量、時間、資源、自信、医師の役割の捉え方、患者にとっての関連性である[15]。本人の運動量は7つのうちの1つであり、残りの多くは個人の品行というより、仕事の組み立ての話だ。著者らは、昔からの壁が今も残り、これまでの対策の成果は限られていたと書いている。

この2本は、医師の運動が患者の体重を変えたと示したものではない。示しているのは、助言の量と質に医師自身の習慣が関わるという関連である[7][15]。「不養生」を個人の弱さとして笑うより、医師が動ける職場かどうかを問うほうが、この研究の向きに近い。

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忙しい研修医に歩数計を配った試験

その職場の問いに正面から取り組んだのが、ボストンの大きな病院の研修医104人の試験である。論文は、医師は健康な暮らしの手本と期待されるが、長い勤務が健康な行動の時間を削ると書き出す。最初の6週間は、歩数と消費エネルギーが見える活動量計と、見えない活動量計を無作為に割り当てた。1日の歩数の中央値は順に6,369歩、6,063歩で有意差はなく、装着した日の割合はどちらも77%だった[9]。数字が見えるだけでは、研修医の歩数は変わらなかった。

続く6週間は、全員が数字を見られる状態でチーム対抗の歩数競争を行った。ここは無作為化ではない。前半に見えない計を着けていた人の平均は7,567歩から7,971歩へ有意に増え、見える計を着けていた人は7,739歩から7,832歩で有意差はなかった。装着率は77%から60%へ下がっている。試験の終わりには参加者全体で収縮期血圧が下がり、HDLコレステロールが上がった[9]。著者らは、活動量計が活動や健康に大きな影響を与えたわけではないとしつつ、忙しい研修医の参加率の高さと小さな変化から、より強力な院内の取り組みには可能性があると結んだ。

医師の食事と睡眠を同じ人で測った記録もある。カラチの公立の医科大学で、ラマダンに断食を予定していた健康な医師193人(平均30.05歳)を追った研究である。1日の摂取カロリーはラマダン前の月の2,288 kcalから、期間中は2,089 kcalへ減り、たんぱく質からのカロリーは減って脂質からのカロリーは増えた。身体活動量は増え、BMIは下がった。睡眠は全体に減り、昼の睡眠が増えて夜の睡眠が減っている[20]。これは断食を勧める研究ではなく、医師という職業の平均像を示す研究でもない。ただ、体重の数字が良くなった月に、食事の質と睡眠は悪い方向へ動いていたという組み合わせが、この193人の記録には残っている。

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話し方を学んだ医師の前で、患者は動いたか

助言の仕方は教えられるのか。古い小規模な予備試験だが、医師が運動の助言を行う形を試した研究がある。助言と自習用の資料を受け、4週後に運動の話をする再診を予約された患者と、通常の診療の患者を、順に比べた。6週後の自己申告の運動量は両群で増え、助言の内容をより多く受け取ったと答えた患者ほど増え方が大きかった[11]。短い期間の変化だが、医師が無理なく行えて、再診まで組み込める形があることを示している。

体重の助言が実際に体重を変えるかについては、「医師の減量の助言で体重は変わるか かかりつけ医の一言を続く支援につなぐ条件」の記事に譲る。薬の話が出たときの土台としては、米国内科学会の2026年の指針がある。妊娠していない肥満の成人などに、生活習慣の改善と合わせて薬を始めることを条件つきで提案しつつ、利益、害、費用、入手のしやすさ、持病、減量の目標、余命、価値観と好みを、医療者と本人で話し合うよう求めている[1]。これは米国の指針で、処方は医師が判断することだが、「話し合う」項目が具体的に並んでいる点は、患者の側にも手がかりになる。

よくある誤解

「太っている医師の助言は聞かなくていい」という言い方がある。逆に、痩せた医師の言葉なら確かだと思う人もいる。しかし読めた論文が扱っているのは医師の運動の習慣であり、体形と助言の質を比べたものは見当たらなかった[7]。見た目の判定が当てにならないことを思い出せば、体形を根拠に人を判定する読み方そのものが、かなり危うい。

「何も言われなかったから、体重は問題ない」も、そのままは受け取れない。外来の調査では、持病が多い人で対応を受ける見込みが高かった一方、高齢の人や喫煙している人では見込みが低かった[14]。なぜ低いのかは、論文の要約には書かれていない。分かるのは、肥満があっても対応を受けない人がいるということで、言われなかったという事実は、問題が無いことの証拠にはならない。

「医師はすぐ薬を勧める」という思い込みもある。最初の診療を担う人たちの調査では、抵抗なく助言できると答えたのは運動で72%、食事で61%だったのに対し、薬の処方は16.4%、手術の選択肢は36%だった[4]。2019年の報告なので今の診療を映すとは限らないが、この時点の数字は思い込みとは逆を向いている。

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今日からできること

  • 家で測った体重と身長を紙に書いて受診する。見た目のBMI判定の正答率は52%で、低めに外れやすかった[4]。持っていくこと自体を試した論文は無いが、例えば朝の体重の3日分の平均を書いて渡す。
  • 腹囲は測る人と測る場面を固定して見る。医師が測っても、腹囲の区分は6%取り違えられ、1時間の講習の後でも5%残った[13]。別の人が測った1 cmの差は気にせず、自分で測るなら間隔を月に1回などと決め、同じ条件の数字だけを比べる。
  • 体重の話は定期の受診に持ち込み、自分から切り出す。外来の調査では、急な不調の受診より予防や慢性の病気の受診で対応が多く[14]、イスラエルの調査では医師の71%が患者の関心の薄さを切り出さない理由に挙げた[19]。次の予約を1つ選び、最初の一言を決めておく。
  • 話の続きを、次の受診の約束にする。例えば運動の助言の予備試験では4週後の再診を組み込み、受け取った助言の内容が多いと答えた人ほど運動が増えた[11]。4週は試験の条件なので、何週後に何を報告するかは自分の受診の間隔に合わせて申し出る。
  • 忙しい人が歩数を増やすなら、数字を見るだけで終えず、人と比べる形を試す。研修医の試験では、見えるだけの6週間に差は出なかった。例えば無作為化ではない後半のチーム対抗では、片方の組が7,567歩から7,971歩へ増えたが、もう一方の組に有意差は無く、装着率は77%から60%へ下がった[9]。同僚や家族の誰と、どのくらいの長さで比べるかは、続けられる形で置く。

診察の帰り道に、体を動かす話の続きを

医師の一言を受け取った日の帰り道に寄れるかを考えると、JR立川駅北口から徒歩1分という場所がこの話に関わってくる。オンザショア立川店は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにあり、8:00〜23:30の営業で年中無休なので、午前の診察の後にも夕方の診察の後にも時刻を合わせられる。溶岩プレートのスタジオでのホットヨガ、常温のヨガ、ピラティス、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを組んでいる。

持病で通院している人は、どの運動ならよいか、暑い部屋に入ってよいかを、次の診察で主治医に聞いておく。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

ヨガの体験は60分、税込1,980円で、バスタオル2枚とフェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが入っている。料金の案内と体験の申し込みはこちらから開ける。ここで読んだ研究が調べたのは診察室の中の話で、店に通った結果ではない。次の受診日の予約票を見て、帰りの電車を1本遅らせて寄れる日かどうかを考える。

参考文献

[1] Pharmacologic Treatments With Lifestyle Modifications in Nonpregnant Adults With Overweight or Obesity in Outpatient Settings: A Living Clinical Guideline From the American College of Physicians (April 2026). — Qaseem et al., 2026, Annals of internal medicine. DOI: 10.7326/ANNALS-25-02714

[2] Underdocumentation of Obesity by Medical Residents Highlights Challenges to Effective Obesity Care. — Srivastava et al., 2018, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1002/oby.22219

[4] An Exploration of Barriers Facing Physicians in Diagnosing and Treating Obesity. — Hite et al., 2019, American journal of health promotion : AJHP. DOI: 10.1177/0890117118784227

[6] Physicians and Physician Trainees Rarely Identify or Address Overweight/Obesity in Hospitalized Children. — King et al., 2015, The Journal of pediatrics. DOI: 10.1016/j.jpeds.2015.06.040

[7] Physical activity habits of doctors and medical students influence their counselling practices. — Lobelo et al., 2009, British journal of sports medicine. DOI: 10.1136/bjsm.2008.055426

[9] Activity monitor intervention to promote physical activity of physicians-in-training: randomized controlled trial. — Thorndike et al., 2014, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0100251

[11] Training physicians to conduct physical activity counseling. — Marcus et al., 1997, Preventive medicine. DOI: 10.1006/pmed.1997.0158

[13] Reliability of doctors’ anthropometric measurements to detect obesity. — Sebo et al., 2008, Preventive medicine. DOI: 10.1016/j.ypmed.2008.06.012

[14] Differences in obesity management among physicians. — Mehta et al., 2012, Population health management. DOI: 10.1089/pop.2011.0068

[15] Promoting physical activity to patients: a scoping review of the perceptions of doctors in the United Kingdom. — Woodhead et al., 2023, Systematic reviews. DOI: 10.1186/s13643-023-02245-x

[19] ACTION-IO as a platform to understand differences in perceptions, attitudes, and behaviors of people with obesity and physicians across countries – the Israeli experience. — Dicker et al., 2020, Israel journal of health policy research. DOI: 10.1186/s13584-020-00404-2

[20] Changes in caloric consumption, physical activity, body mass index and sleeping pattern during holy month of Ramadan among doctors of a public sector University. — Parkash et al., 2023, JPMA. The Journal of the Pakistan Medical Association. DOI: 10.47391/JPMA.8177

冒頭の写真: 米国ノースカロライナ州フランクリンの診療所にある、一般的な診察室と診察台(写真: Harrison Keely / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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