コロナ後遺症と運動 だるさが残る体で、6分間に歩ける距離はどこまで戻るか

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束ねて読むと、歩ける距離は伸びていた

1 本ずつの試験は小さい。そこで、無作為化比較試験を集めたまとめが複数作られている。[10][11]

肺リハビリに絞ったまとめは、1,406 本から 7 試験を選び、188 人がリハビリに割り当てられた結果を解析した。平均年齢は 50 歳、49% が女性である。6 分間歩行距離は対照と比べて平均 60.56 m 長く(95% 信頼区間 40.75〜80.36 m)、疲労の重症度の尺度は 0.90 下がった(−1.49〜−0.31)。一方、息切れ(−0.57、−1.32〜0.17)と筋力(3.03、−1.89〜7.96)には差が出ていない。[10]

同じまとめは、遠隔のリハビリと対面のリハビリで、筋力(P=.42)、息切れ(P=.83)、疲労(P=.34)に差がなかったことも報告している。4〜8 週の計画と 8 週を超える計画の比較でも、6 分間歩行距離(P=.83)、筋力(P=.42)、息切れ(P=.76)に差は見られなかった。ただし、これらは限られたデータに基づく下位集団の解析である。[10]

ベイズ統計を使った別のまとめは、1,834 件から 14 試験・1,244 人(45% が女性、年齢の中央値 50 歳)を選んだ。主要な評価項目である機能的運動能力の標準化平均差は −0.56(95% 確信区間 −0.87〜−0.22)で、7 試験・389 人から推定され、確実性は中等度と評価された。現在の標準的なケアより優れている事後確率は 99% である。研究間のばらつきを表す値は 0.04(95% 確信区間 0.00〜0.60)で、統計的な不均一性は低いと評価された。[11]

この研究が同時に示したのは、安全性についての不確かさだった。運動によって有害な出来事が起きる確率のオッズ比は 1.68 だが、95% 確信区間は 0.32〜9.94 と広い。改善の推定は比較的しっかりしているのに、害の推定はほとんど絞れていない。著者らは、有害事象の監視を強めた追加の試験が必要だと書いている。[11]

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37研究を束ねた結果と、期間と種類の違い

最も多くの研究を集めたまとめは、37 研究・3,363 人を対象にしている。対照と比べて、6 分間歩行距離、30 秒の立ち座りの回数、握力、1 秒量、努力肺活量、最大吸気圧、最大呼気圧、健康に関連した生活の質、だるさ、息切れ、不安が改善した。抑うつについては統計的な有意に届かなかった。[14]

期間で分けた解析では、4 週以下の計画でも 6 分間歩行距離は改善し、4〜8 週の計画では 6 分間歩行距離、1 秒量、努力肺活量、生活の質が改善してだるさが減り、8 週を超える計画では生活の質の改善とだるさの減少が示された。長くするほど良くなるという直線的な形ではない。運動の種類では、呼吸の運動が 6 分間歩行距離、1 秒量、努力肺活量、生活の質を改善し、複数の要素を組み合わせた運動が 6 分間歩行距離とだるさを改善した。両方を組み合わせた場合に最も多くの項目が改善している。[14]

運動を中心としたリハビリを集めた別のまとめも、同じ方向の結果を出した。23 研究・1,579 人(うち女性 752 人)を対象に、息切れ、だるさ、抑うつという症状、6 分間歩行距離、1 秒量と努力肺活量の比、生活の質に有益な効果が示されている。著者らは、それぞれの後遺症の型に合わせた計画については、今後の大規模な研究が要ると述べている。[5]

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呼吸の筋肉の訓練を、偽の手順と比べた88人

運動の中身を細かく分けた試験もある。だるさと息切れが長く続く 88 人を、吸う筋肉のトレーニング、その偽の手順、吸う筋肉と吐く筋肉の両方のトレーニング、その偽の手順の 4 群へ 1 対 1 の比で割り付け、1 日 40 分・週 6 回を 8 週間、遠隔の指導のもとで在宅で行った試験である。[7]

生活の質は、吸う筋肉と吐く筋肉の両方を鍛えた群で、その偽の手順の群と比べて統計的に有意かつ大きく改善した(効果量 0.90 超)。ところが、もう一つの主要な評価項目である運動の耐容能は改善していない。実際にトレーニングを行った 2 つの群では、吸気筋の筋力と持久力(効果量 0.80 以上)、下肢の筋力(0.77 以上)が、偽の手順の 2 群より改善した。呼気筋の筋力とピーク呼気流量は、両方を鍛えた群がほかの 3 群より改善している(0.87 以上)。[7]

肺機能そのものと心理の状態には、影響が出なかった。呼吸の筋肉の力が上がっても、運動の耐容能と心理の状態は付いてこなかったことになる。生活の質の改善が示されたのも、両方を鍛えた群だけである。[7]

鍛えた場所の数字が良くなることと、ほかの指標が良くなることは、この試験では別々の結果だった。何を良くしたいのかで主治医に聞く中身が変わる、というのは私の読みで、論文の結論ではない。

筋肉の中で起きていることと、労作の後の悪化

なぜ労作の後に症状が悪くなるのか。骨格筋の病態をまとめた論文は、2 つの所見を区別して挙げている。電子顕微鏡の研究でミトコンドリアの損傷が直接示されたのは筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群の患者であり、後遺症そのものの患者では示されなかった。一方、運動の翌日に採った生検で筋の損傷と再生の兆候が同時に見られたのは、後遺症から慢性疲労症候群の基準を満たすに至った人たちである。壊死と再生が同時にあることは、損傷が繰り返されていることを支持する。[4]

同じ論文は、握力の低下が症状の重さと予後に相関したという研究も挙げている。磁気共鳴画像で筋細胞内のナトリウムが高く、その値が握力と逆相関したのは、筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群の患者である。同じ病気の組織の検査では虚血や血管の閉塞、ウイルスの存在、免疫による筋炎が除外されており、残る運動で起きる損傷の仕組みはナトリウムによるカルシウムの過剰だと著者らはしている。イオンの乱れとミトコンドリアの機能不全によるエネルギーの不足が、運動に耐えられないことと労作の後の体調不良の最も考えられる原因で、動くことでさらに悪くなるともいう。[4]

体力の低下が疑われる患者では、心臓や呼吸の明らかな制限がないまま最高酸素摂取量が低く、一部には測定できる筋力の低下がある。ある詳細な研究では、疲労しやすい解糖系の筋線維の割合が高く、ミトコンドリアの機能が低下し、萎縮した線維と局所の壊死が見られたと報告されている。筋肉の中で起きていることと、本人が感じる「動けない」という感覚は、別々に測られている。[1]

運動の制限とリハビリをまとめたレビューは、運動能力が下がる理由を一つに絞っていない。心臓の制限、呼吸の制限、骨格筋の弱さ、体力の低下、測定された生理的な制限に不釣り合いな症状が挙がり、多くの患者は複数の理由を併せ持つ。多くの人は従来の心肺リハビリで改善する一方、労作後の体調不良がある人には、運動のプログラムへの特別な注意と有害作用の慎重な監視が必要だと書かれている。リハビリの計画は、その人の身体の能力と症状の形に基づくべきだという結論である。[1]

台湾の全国的な取り組みも紹介する別のレビューは、運動を中心とした治療を管理の欠かせない部分とし、遠隔のリハビリを含めていくつかの形があるとする。それでも最初の管理は、総合的な評価と危険な兆候の確認から始めるべきだと書く。運動の間に注意深く見るものとして挙げているのは、労作の後の症状の悪化と起立性低血圧(立ち上がったときに血圧が下がる状態)である。適切な開始の時期、量、形を決めるには、規模の大きな無作為化比較試験が要るとも述べている。[2]

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よくある誤解

「後遺症で体重が増えた・減ったという研究があるはずだ」。この記事で集めた論文の中に、後遺症のある人の体重や体脂肪、体組成を測った試験は無かった。測られていたのは 6 分間歩行距離、立ち座りの回数、握力、呼吸の筋力、肺機能、だるさと息切れの尺度、生活の質である。体重計の数字でこの状態を評価する枠組みは、ここには見当たらない。[10][14]

「リハビリは長く続けるほど効く」。期間で分けた解析では、4 週以下でも 6 分間歩行距離は改善し、4〜8 週で最も多くの項目が改善し、8 週を超える計画で示されたのは生活の質とだるさだった。別のまとめでも、4〜8 週と 8 週超の間に 6 分間歩行距離の差はない。期間を伸ばすことと効果が増えることは、同じではない。[10][14]

「安全性も確かめられている」。改善の推定が中等度の確実性で得られている一方、運動による有害事象のオッズ比は 1.68、95% 確信区間 0.32〜9.94 と、ほとんど絞れていない。[11] 小さな試験で有害事象が観察されなかったことは、起こらないことの証明ではない。労作の後に症状が悪くなる人への注意は、2 本のレビューがそれぞれ書いている。[1][2]

今日からできること

  • 運動の話より先に、2 つを確かめる。動いた後に症状が悪くなったことがあるか。立ちくらみが出る、血圧が下がると言われたことがあるか。どちらかに当てはまるなら、運動の計画を自分で組まず、主治医か担当の医療者に先に伝える。労作後の体調不良がある人には運動のプログラムへの特別な注意と有害作用の慎重な監視が要り[1]、運動中は症状の悪化と起立性低血圧を注意して見るべきだとされている[2]。
  • リハビリの紹介を受けられるかを主治医に聞く。その前に、週に何回なら通えるかを数えておく。例えば監督つきの試験は週 2 回から 3 回の通いだったが[8][17]、これは試験の条件で、目標の回数ではない。通うのが難しければ遠隔のリハビリがあるかも聞く。遠隔と対面で筋力、息切れ、疲労に差は無かった。ただし限られたデータの下位集団の解析である[10]。
  • 1 項目目に当たらず、主治医が運動を認めた人は、始める前の数字を医療者のいる場で測ってもらい、測り直す時期も聞いておく。例えば外来の肺リハビリの記録は、8〜12 週のプログラムの初回と修了時に 6 分間歩行距離を測り、修了した 56 人で平均 84.3 m 伸びていた。対照の群が無い記録なので、84.3 m は目標ではなく、測り方の手本として読む[6]。
  • 同じく 1 項目目に当たらない人は、運動の長さを主治医に相談するとき、見直す区切りを先に決める。例えば 4 週で区切るなら、期間で分けた解析では 4 週以下の計画でも 6 分間歩行距離は改善し、4〜8 週の計画で改善した項目が最も多かった[14]。動いた後に悪くなったら、回数も長さも増やさず、主治医に相談する。
  • 呼吸の筋肉の訓練の話が出たら、何の数字を良くする訓練なのかを聞く。吸う筋肉と吐く筋肉の両方を鍛えた群の生活の質は偽の手順の群より大きく改善したが、運動の耐容能は改善しなかった。生活の質の改善が示されたのは、この群だけである[7]。

監督つきの試験と、店のレッスンは別のもの

後遺症の症状が続いている間は、運動を始めてよいかどうかも、溶岩プレートを敷いた暑いスタジオに入ってよいかどうかも店では判断できないので、主治医に先に確かめる。動いた後に悪くなる人や、立ち上がると血圧が下がる人は、主治医か担当の医療者と運動の計画を決めるのが先で、店のレッスンを考える段階にはない。ここまで読んだ試験の運動は、検査を受けた人に合わせて調整し、監督をつけたものだった。オンザショア立川店のレッスンは、その代わりにはならない。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。主治医が運動を認めた人に向けて事実だけを書くと、ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、ヨガの体験は60分で税込1,980円、バスタオル2枚・フェイスタオル1枚・ヨガマットの貸し出しが付く。場所はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。営業は8:00〜23:30で年中無休、店の案内がある。動いた後に症状が悪くなった日の日付を拾い出し、それを見せて、運動を始めてよいかを主治医に聞く。

参考文献

[1] Post-Acute Sequelae of SARS-CoV-2 Infections: Exercise Limitation and Rehabilitation. — Mathew et al., 2024, The Yale journal of biology and medicine. DOI: 10.59249/NHFT4839

[2] Long COVID and rehabilitation. — Chuang et al., 2024, Journal of the Formosan Medical Association = Taiwan yi zhi. DOI: 10.1016/j.jfma.2023.03.022

[3] Fatigue and cognitive impairment in Post-COVID-19 Syndrome: A systematic review and meta-analysis. — Ceban et al., 2022, Brain, behavior, and immunity. DOI: 10.1016/j.bbi.2021.12.020

[4] Key Pathophysiological Role of Skeletal Muscle Disturbance in Post COVID and Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome (ME/CFS): Accumulated Evidence. — Scheibenbogen et al., 2025, Journal of cachexia, sarcopenia and muscle. DOI: 10.1002/jcsm.13669

[5] Effect of Physical Exercise-Based Rehabilitation on Long COVID: A Systematic Review and Meta-analysis. — Zheng et al., 2024, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/MSS.0000000000003280

[6] Pulmonary Rehabilitation for Post-COVID-19. — Aljazeeri et al., 2023, Journal of cardiopulmonary rehabilitation and prevention. DOI: 10.1097/HCR.0000000000000813

[7] Home-based respiratory muscle training on quality of life and exercise tolerance in long-term post-COVID-19: Randomized controlled trial. — Del Corral et al., 2023, Annals of physical and rehabilitation medicine. DOI: 10.1016/j.rehab.2022.101709

[8] Rehabilitation for post-COVID-19 condition through a supervised exercise intervention: A randomized controlled trial. — Jimeno-Almazán et al., 2022, Scandinavian journal of medicine & science in sports. DOI: 10.1111/sms.14240

[10] Effect of Pulmonary Rehabilitation on Exercise Capacity, Dyspnea, Fatigue, and Peripheral Muscle Strength in Patients With Post-COVID-19 Syndrome: A Systematic Review and Meta-analysis. — Oliveira et al., 2024, Archives of physical medicine and rehabilitation. DOI: 10.1016/j.apmr.2024.01.007

[11] Rehabilitation Interventions for Physical Capacity and Quality of Life in Adults With Post-COVID-19 Condition: A Systematic Review and Meta-Analysis. — Pouliopoulou et al., 2023, JAMA network open. DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2023.33838

[14] Effect of pulmonary rehabilitation for patients with long COVID-19: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. — Li et al., 2025, Therapeutic advances in respiratory disease. DOI: 10.1177/17534666251323482

[17] Effects of a concurrent training, respiratory muscle exercise, and self-management recommendations on recovery from post-COVID-19 conditions: the RECOVE trial. — Jimeno-Almazán et al., 2023, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/japplphysiol.00489.2022

[18] Post-COVID-19 Condition Fatigue Outcomes Among Danish Residents. — O’Regan et al., 2024, JAMA network open. DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2024.34863

冒頭の写真: スロバキアのブラチスラバの公園に置かれた、ゆっくり座れるベンチ(写真: Uoaei1 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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