GLP-1薬の吐き気は効いている証拠か 体重減少への寄与が1ポイント未満だった試験

大きさの違う注射器が 4 本斜めに並べて置かれている写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

リラグルチドの試験には2.9 kgの開きが残る

食い違う結果も一つある。リラグルチド3.0 mgの試験の1年の平均体重減少は、吐き気や嘔吐があった人で9.2 kg、なかった人で6.3 kgだった[8]。著者らの結論も「より大きな体重減少と関連した」という表現になっている。

ここで落としてはいけない点が二つある。一つは、症状がなかった人の6.3 kgも、偽薬やオルリスタット(別の減量薬)を使った人の同じ区分より有意に大きかったことだ[8]。吐き気がなければ薬の効き目が見えない、という結果にはなっていない。もう一つは、これが関連であって、吐き気が体重を減らしたことの証明にはならないことである。媒介分析の結果は要約に書かれておらず、前の節の解析と同じ物差しでは比べられない。

なぜこの1本だけ開いたのかは、いまの材料では分からない。薬が違う、量が違う、症状の記録の取り方が違う。どれもありうるが、どれかに決める材料がない。いまの時点で言えるのは、セマグルチドとチルゼパチドの解析では症状が体重の差をほとんど説明せず、リラグルチドの1本では関連が見えた、というところまでである[1][2][8][9][20]。

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同じ量でも、体に届く量は同じとは限らない

飲むセマグルチドは吸収に個人差がある。これを手がかりにした研究が、2型糖尿病で飲むセマグルチドを始めた256人の診療記録を後ろ向きに調べた。女性は31.6%、平均年齢は65.6歳である。処方量とは別に、量、体重、性別、民族、胃腸の病気から個人の曝露量を推定している。曝露量とは、体の中で薬にさらされている度合いを指す。血液の中の濃度を実際に測ったわけではなく、あくまで計算上の推定だ。中央値19か月の追跡で体重は7.5%減り、41.8%が胃腸の副作用を報告した[7]。

血糖の変化は処方量の式で十分に説明できたのに対し、体重の減りでは推定の曝露量を入れた式のほうがわずかに当てはまりが良く、胃腸の症状でも曝露量が処方量を超える予測の情報を持っていた[7]。曝露量と効果の関係を描くと、体重の曲線は血糖の曲線より右にずれていた。血糖より体重のほうが、多くの曝露を要する形である。処方箋に書かれた数字が同じ2人の、症状の出方が違う理由の一部は、ここにあるのかもしれない。

この結果からは、吐き気と体重の関係について別の説明も浮かぶ。体に届いた薬が多い人ほど症状も体重の減りも大きくなるなら、症状が体重を動かしていなくても、二つは連れ立って見える。ただしこれは、飲み薬の観察研究から私が引いた仮説である。リラグルチドの試験の開きの説明として示された話とは違うので、確かめられた事実として受け取らないでほしい[7][8]。

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胃腸の外の欄も、同じ表の中にある

吐き気ばかり追うと、隣の欄を見落とす。21の無作為化試験、99,599人、平均2.4年の追跡をまとめたメタ分析は、GLP-1薬が対照より死亡や心血管の大きな出来事を減らしたと報告する一方で、胃腸の病気が63%、胆のうの病気が26%増えたことも示した[13]。全死亡の率比は0.88(95%信頼区間0.84〜0.92)で、重篤な有害事象の全体は9%少なかった。膵炎、脳卒中、腫瘍には群の差がなかった。胃腸の欄は増えたが、それが重い出来事の欄と同じ向きに動いたわけではない、という組み合わせである。

このメタ分析の結論は、高いリスクの集団における利益という書き方をしている[13]。糖尿病、腎機能、肥満、心不全で分けた解析も行われたが、減量だけを目的にする人へそのまま持ち込める数字とは限らない。著者らは、薬の種類によって効き目と耐えやすさに差がありうることから、患者ごとの特徴と治療の目標に合わせて選ぶことを勧めている。良い数字も悪い数字も同じ論文の同じ表にあり、片方だけを切り取った説明は、どちらの向きでも不正確になる。

よくある誤解

「吐き気が強い人ほどよく痩せる」という話がある。ここまで見た解析は、症状があったかなかったかで人を分けている。強さの段階ごとに体重を比べた結果は、読んだ要約の中には出てこない[1][2][9][20]。強い吐き気に耐えた分だけ体重が減るという取引の図は、これらの数字からは描けない。

「飲み薬なら胃腸の症状は出ない」も違う。インスリンで血糖が十分に下がらない2型糖尿病の人に飲むセマグルチドを足したPIONEER 8では、吐き気が最も多い有害事象で、薬の群の11.4〜23.2%、偽薬の群の7.1%に報告された[19]。健康な中国人の成人32人を飲むセマグルチドか偽薬に割り付けた12週の試験でも、最も多かった有害事象は胃腸の症状である[18]。飲み方が変わっても、胃腸の欄は消えない。用量ごとの成績は「飲むGLP-1薬の減量幅 経口セマグルチドの用量別成績と胃腸の有害事象」の記事に譲る。

「軽いと書いてあるのだから我慢するもの」という受け取り方もある。試験の参加者も、必要なときには下痢止めや吐き気止めを使っていた。チルゼパチドの解析は、それらを初めて使った時期が増量中に多かったと報告している[2]。試験の数字は、耐え抜いた人だけの記録ではなく、手当てを受けながら続けた人も含む記録として読みたい。

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

今日からできること

  • 症状が出た日を、開始から何週目かで数える。週で数えるのはリラグルチドの試験の読み方にならったもので、この試験では多くが1〜6週目の増量の期間に起きた[8]。振り返る間隔は例えば週に1回など自分で決め、その週の症状と、量が変わった週かどうかを1行で並べておく。
  • 便秘は吐き気と別の欄で数える。STEPの解析も症状を分けて数えており、便秘を報告した人はセマグルチド群の24.2%、偽薬の群の11.1%だった[1]。例えば排便のなかった日が週に何日あったかを、自分の数字として見る。
  • 開始時の体重の5%がいくつかを計算して書き留める。これは勧められた目標ではなく、過体重や肥満の成人の診療記録を調べた研究が成績の物差しにした数である。中央値7か月の追跡で、5%以上減った人は1日最大3 mgのリラグルチドで64.7%、オルリスタットで27.4%だった[5]。物差しを1つ持つと、吐き気のある週もない週も同じ尺度で体重を見られる。
  • 体重とは別に、暮らしの困りごとの点数を持つ。リラグルチドの試験は体重と並べて20週の生活の質も測っていた[8]。点の付け方は自分で決めてよく、例えば仕事や家事が胃腸の症状でどれだけ妨げられたかを10点満点で、月に1回付ける。「軽い」の中身を自分の言葉で伝えられる。
  • 診察で聞く問いを2つ、紙に書いて持って行く。1つは下痢止めや吐き気止めを使う場面があるか[2]、もう1つは胆のうの病気について自分が気をつけることは何か[13]。

吐き気の波と通う日を重ねないために

胃腸の症状が増量の週に寄りやすいなら、通う日は薬の予定を聞いてから選ぶことになり、その日が何曜日でも店は8:00〜23:30に開いている。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにあり、年中無休で営業している。溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを組んでいる。

吐き気や下痢が続く週は、溶岩ホットヨガの暑い部屋を見送る。症状が落ち着いた後に入ってよいかは、薬を処方した主治医に確かめておく。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。店のレッスンが薬の症状を和らげるわけではなく、ここに書けるのは、体調の落ち着いた週に通う先の事実だけである。

ヨガの体験は60分で税込1,980円、バスタオル2枚とフェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。申し込む前に、料金の一覧と体験の予約の画面で内容を見比べられる。次の診察では、増量の予定と一緒に、運動を再開してよい時期の答えをもらって帰る。

参考文献

[1] Gastrointestinal tolerability of once-weekly semaglutide 2.4 mg in adults with overweight or obesity, and the relationship between gastrointestinal adverse events and weight loss. — Wharton et al., 2022, Diabetes, obesity & metabolism. DOI: 10.1111/dom.14551

[2] Gastrointestinal tolerability and weight reduction associated with tirzepatide in adults with obesity or overweight with and without type 2 diabetes in the SURMOUNT-1 to -4 trials. — Rubino et al., 2025, Diabetes, obesity & metabolism. DOI: 10.1111/dom.16176

[3] Safety, tolerability and sustained weight loss over 2 years with the once-daily human GLP-1 analog, liraglutide. — Astrup et al., 2012, International journal of obesity (2005). DOI: 10.1038/ijo.2011.158

[5] Effectiveness and tolerability of orlistat and liraglutide in patients with obesity in a real-world setting: The XENSOR Study. — Gorgojo-Martínez et al., 2019, International journal of clinical practice. DOI: 10.1111/ijcp.13399

[7] Estimated Oral Semaglutide Exposure Has Distinct Relationships With Glycaemic Response, Weight Loss and Gastrointestinal Tolerability. — Fadini et al., 2026, Diabetes, obesity & metabolism. DOI: 10.1111/dom.70840

[8] Tolerability of nausea and vomiting and associations with weight loss in a randomized trial of liraglutide in obese, non-diabetic adults. — Lean et al., 2014, International journal of obesity (2005). DOI: 10.1038/ijo.2013.149

[9] Semaglutide induces weight loss in subjects with type 2 diabetes regardless of baseline BMI or gastrointestinal adverse events in the SUSTAIN 1 to 5 trials. — Ahrén et al., 2018, Diabetes, obesity & metabolism. DOI: 10.1111/dom.13353

[13] Cardiovascular Effects and Tolerability of GLP-1 Receptor Agonists: A Systematic Review and Meta-Analysis of 99,599 Patients. — Galli et al., 2025, Journal of the American College of Cardiology. DOI: 10.1016/j.jacc.2025.08.027

[18] A phase 1, randomized, double-blind, placebo-controlled trial investigating the pharmacokinetics, pharmacodynamics, safety and tolerability of oral semaglutide in healthy Chinese subjects. — Xie et al., 2024, Diabetes, obesity & metabolism. DOI: 10.1111/dom.15624

[19] Efficacy, Safety, and Tolerability of Oral Semaglutide Versus Placebo Added to Insulin With or Without Metformin in Patients With Type 2 Diabetes: The PIONEER 8 Trial. — Zinman et al., 2019, Diabetes care. DOI: 10.2337/dc19-0898

[20] Gastrointestinal adverse events and weight reduction in people with type 2 diabetes treated with tirzepatide in the SURPASS clinical trials. — Patel et al., 2024, Diabetes, obesity & metabolism. DOI: 10.1111/dom.15333

冒頭の写真: 大きさの違う注射器が 4 本、斜めに並べて置かれている写真(写真: Intropin / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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