双子の研究が示す体重と遺伝と暮らし 一卵性でも違った脂肪と血液の数字

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脂肪組織の違いを、サプリの処方箋にしない

体重が異なる双子では、脂肪の量だけでなく、脂肪組織で何が起きているかも調べられている。Pietiläinenらは、平均年齢25.8歳の一卵性双生児14組を調べた。重い側の脂肪組織では、細胞内のエネルギー代謝に関わるミトコンドリアのDNAコピー数が少なく、分岐鎖アミノ酸の分解に関わる経路の働きも低かった。これらの違いは、肝臓の脂肪蓄積や、インスリンが効きにくい状態と関連していた。[7]

重い側の男性の双子では、血清の分岐鎖アミノ酸が9%高かった。組織の経路の働きと血中濃度を併せて調べた点が特徴である。対象は男性8組、女性6組で、組内の平均BMI差は5.2。男女とも、脂肪組織のアミノ酸代謝経路の違いは、肝臓の脂肪、インスリン抵抗性、血中インスリンの高さと関連していた。[7]

Jukarainenらの横断研究は、一卵性双生児40組を調べ、その中にBMIが異なる26組を含めている。重い側の皮下脂肪では、細胞の代謝に関わるNADとサーチュインの経路に属する複数の遺伝子の発現が低下していた。発現とは、遺伝子の情報が使われる程度のことである。一部の発現の違いは脂肪の多さや炎症と負の関連があり、別のものはインスリンの効きやすさと正の関連を示した。[5]

この研究では皮下脂肪の遺伝子発現に加え、画像による体組成や肝臓の脂肪、経口糖負荷試験によるインスリン感受性も測った。重い側では、ミトコンドリア内のたんぱく質の状態を保つ応答に関わる遺伝子の発現も低かった。脂肪組織で観察された変化は、NADとサーチュインの経路だけにとどまっていなかったのである。[5]

血液の炎症の指標に目を向けたGreenfieldらは、健康な女性の双子194人について、体脂肪とCRPを調べた。CRPは炎症の指標として用いられる血液中のたんぱく質だ。一卵性の組内でも、CRPの差は総体脂肪や腹部の脂肪の差と関連していた。遺伝的な影響を考慮しても、脂肪と炎症の関連が残るという観察である。一卵性の組内差の相関は、総体脂肪で0.39、腹部の脂肪で0.34だった。[20]

女性たちの平均年齢は57.2歳で、CRPが10mg/Lを超える組は解析から除外されていた。全体の解析では、腹部の脂肪、中性脂肪、アポリポたんぱくB、ホルモン補充療法の使用を合わせると、CRPのばらつきの46%を説明した。一卵性の組内では、CRPの差は中性脂肪の差と正の関連、HDLコレステロールの差と負の関連があった。体脂肪と血液の状態を同時に測ることで、遺伝的な背景をそろえても残る関連を捉えている。[20]

脂肪組織の研究では、参加者を探す段階から比較の条件が絞られていた。Pietiläinenらが14組を得たのは、若く健康な双子2,453組の全国登録からである。皮下脂肪と末梢血の白血球ではミトコンドリアDNAの配列も調べたが、組内で異常な配列の混在の違いは見つからなかった。見つかったのはDNAコピー数や代謝経路の働きの差で、配列を調べる検査と発現を調べる検査では見ている層が違う。[7]

Jukarainenらの40組も健康な一卵性双生児であり、BMI差が3を超える組を体格の異なる組として扱った。NADを主に消費する酵素の活性は、重い側の皮下脂肪で高い傾向を示していた。遺伝子発現の有意な低下と、酵素活性の上昇傾向は、結果の確かさも含めて書き分けたい。この研究が並べたのは、遺伝子の情報の使われ方、組織の酵素活性、体脂肪の量、糖への応答という複数の測定結果である。[5]

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よくある誤解

「遺伝率が高ければ、年齢とともに増える体重も遺伝で決まる」という読み方には注意したい。Goodeらは男性の一卵性双生児235組と二卵性双生児260組を、平均48歳から63歳まで追った。BMIの遺伝率は0.48から0.61へと少し上がった一方、加齢に伴うBMIや脂質の変化のばらつきについては、遺伝的要因が有意な割合を説明するという結果は得られなかった。ある時点の体格が似ることと、そこからの変わり方が似ることは、異なる問いである。[9]

中年以降に家族と似た体形になったときも、その似方だけで今後の増減を予告しない方がよい。この追跡研究が分けたのは、各時点の値と、時間を経て起きた変化である。過去の健診結果を並べるなら、今の値だけでなく、以前からどちらへ動いたかを見る視点になる。遺伝率の高さを、変化を観察しなくてよい理由にはしない。[9]

「同じ遺伝子なら、同じ食品を減らせば同じ結果になる」とも言い切れない。Duboisらは一卵性双生児152組の9歳時の食事と、その後の思春期のBMIを調べた。男児では穀類や果物の少なさ、高脂肪の肉や牛乳の多さが高いBMIと関連したが、女児では穀類の関連が逆向きだった。9歳時の総エネルギー摂取量は、その後のBMIとは関連していなかった。食事と体格の関連を、単純な食品の良し悪しの一覧にするには収まらない結果である。[16]

食事の情報は、9歳時に親と子どもへ行った24時間の食事の聞き取りを2回用いて集めた。身長と体重を得た年齢は9歳、12歳、13歳、14歳である。男児と女児の両方で、高脂肪の肉や牛乳の多さが思春期の高いBMIと関連していた点も、この結果の一部だ。穀類の関連だけが男女で逆向きであり、食品ごとに結果をたどると、共通する部分と性別で違う部分の両方が見える。[16]

「一卵性の重い側に違いがあれば、それは太った原因だ」という読み方も早い。KronholmらはBMIが異なる一卵性双生児24組を比べ、重い側に夜間の体動の多さ、静かな睡眠の少なさ、習慣的ないびきの多さを認めた。いびきだけでは睡眠の組内差を説明できなかった。組内の平均BMI差は6.7で、睡眠習慣の質問票に加え、夜間の体動、呼吸、心臓の活動をベッドのセンサーで記録していた。[2]

さらに、Lundgrenらが双子1,424人を調べた横断研究では、DNAの化学的な目印から推定する年齢指標とBMIが関連していた。BMI差がある一卵性の組では、重い側の推定年齢が5.2か月高かった。ここでの年齢はGrimAgeという計算上の指標だ。エピジェネティクスの話は「食べ方は遺伝子のスイッチに残るのか エピジェネティクスと体重の変化」の記事に譲る。[15]

加齢の研究では、BMIだけでなく、総コレステロールの遺伝率も0.46から0.57へ、LDLでは0.49から0.64へ上昇した。HDLでも0.50から0.62への上昇が見られたが、中性脂肪では同じ傾向はなかった。臨床検査は追跡中に3回行われ、脂質に関係する遺伝子型も解析で調整されていた。体格と血液の各指標を追うと、年を取る間の似方の変化にも、指標ごとの違いがある。[9]

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今日からできること

  • 食卓を家族共通の禁止食品で縛らず、食べた内容から考える。 次の献立を考える前に、自分が思い出せる範囲の食事を具体的に挙げる。子どもの研究では24時間の食事の聞き取りを2回行い、穀類とBMIの関連は男女で逆向きだった。家族の誰に合わせるかより、誰が何を食べているかを話すところから始める。[16]
  • 健診結果を、体重・腹囲・脂質を合わせた自分の経過として読む。 手元に残る期間の結果を並べ、変化の向きをたどる。男性の双子を平均48歳から63歳まで追った研究では、各時点のBMIの遺伝率は高くても、加齢による変化のばらつきを遺伝が有意に説明する結果は得られなかった。体重の欄だけで話を終えず、腹囲や脂質で気になった変化を受診で伝える。[3][9]
  • 夜の休み方を話すときは、いびき以外の困りごとも言葉にする。 一緒に暮らす人に眠っている間の様子を聞けるなら、落ち着かない動きや静かに眠れているかも話題にする。24組の双子の比較では、いびきだけでは組内の睡眠の違いを説明できなかった。家族と体格を比べる会話を、自分の眠りの様子を知る会話へ変える。[2]

家族と似た体形でも、ヨガの好みは自分から

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参考文献

[1] The heritability of body mass index among an international sample of monozygotic twins reared apart. — Allison et al., 1996, International journal of obesity and related metabolic disorders : journal of the International Association for the Study of Obesity. DOI:

[2] Sleep in monozygotic twin pairs discordant for obesity. — Kronholm et al., 1996, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/jappl.1996.80.1.14

[3] Monozygotic co-twin analyses of body composition measurements and serum lipids. — Wang et al., 2007, Preventive medicine. DOI: 10.1016/j.ypmed.2007.07.014

[5] Obesity Is Associated With Low NAD(+)/SIRT Pathway Expression in Adipose Tissue of BMI-Discordant Monozygotic Twins. — Jukarainen et al., 2016, The Journal of clinical endocrinology and metabolism. DOI: 10.1210/jc.2015-3095

[7] Global transcript profiles of fat in monozygotic twins discordant for BMI: pathways behind acquired obesity. — Pietiläinen et al., 2008, PLoS medicine. DOI: 10.1371/journal.pmed.0050051

[8] Serum lipids, lipoproteins, and lipid metabolizing enzymes in identical twins discordant for obesity. — Rönnemaa et al., 1998, The Journal of clinical endocrinology and metabolism. DOI: 10.1210/jcem.83.8.4998

[9] Heritability of longitudinal measures of body mass index and lipid and lipoprotein levels in aging twins. — Goode et al., 2007, Twin research and human genetics : the official journal of the International Society for Twin Studies. DOI: 10.1375/twin.10.5.703

[13] Growth patterns in young adult monozygotic twin pairs discordant and concordant for obesity. — Pietiläinen et al., 2004, Twin research : the official journal of the International Society for Twin Studies. DOI: 10.1375/1369052042335368

[15] BMI is positively associated with accelerated epigenetic aging in twin pairs discordant for body mass index. — Lundgren et al., 2022, Journal of internal medicine. DOI: 10.1111/joim.13528

[16] Dietary Intake at 9 Years and Subsequent Body Mass Index in Adolescent Boys and Girls: A Study of Monozygotic Twin Pairs. — Dubois et al., 2016, Twin research and human genetics : the official journal of the International Society for Twin Studies. DOI: 10.1017/thg.2015.97

[19] Variation in the heritability of body mass index based on diverse twin studies: a systematic review. — Min et al., 2013, Obesity reviews : an official journal of the International Association for the Study of Obesity. DOI: 10.1111/obr.12065

[20] Obesity is an important determinant of baseline serum C-reactive protein concentration in monozygotic twins, independent of genetic influences. — Greenfield et al., 2004, Circulation. DOI: 10.1161/01.CIR.0000130640.77501.79

冒頭の写真: 伐採された木々のある林と水路の間を、二人の人が歩いている屋外の風景(写真: Matthew Prior / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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