消防士の体重と心臓を守るには 体力が向上しても血中脂質が悪化した現場

防護装備を身に着けた消防隊員たちが模擬火災の消火訓練に取り組む様子 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

現場の負荷は、装備と熱を外して語れない

消防士の体力試験を読むとき、運動着だけで受けたのか、防護装備を着て受けたのかは見逃せない。南フロリダの消防士計62人を対象に、装備の有無を変えて職業に関連した無酸素運動の試験を行った研究では、装備を着けるとシャトル走の完了時間が18%延びた。無酸素の能力とは、この研究では握力や跳躍など短い時間に力を発揮する課題で評価された能力である。[15]

相対的な握力や跳躍のパワーにも低下があった。ただし、装備を着けた条件では装備を含む重量で補正するなど、評価の分母も関わる。安全のために必要な装備を着けた状態で、どれだけ作業できるかという職業上の評価なのだ。[15]

熱と激しい運動を含む消火活動の負荷は、さらに別の試験で調べられた。健康な消防士19人が、火災を再現した訓練と軽作業を順番を変えて受ける、無作為化クロスオーバー試験である。同じ参加者が両方の条件を経験し、各条件の後の血液や血管の指標を比べた。[2]

20分の模擬消火訓練の後には、深部体温が平均1.0℃上がり、体重が平均0.46kg減っていた。対照条件より血栓形成が増え、血管の反応が低下したほか、症状を伴わない心筋虚血や心筋の傷害を示す変化も報告された。心筋虚血は心臓の筋肉への血流が不足する状態を指す。[2]

血栓形成は、対照条件と比べて血液の流れによるずり応力が低い条件で73%、高い条件で66%増加した。血液から測る反応と、血管を拡張させる物質に対する前腕の血流の反応を組み合わせて評価している。体温と体重だけでなく、血液が固まる働きと血管の反応まで調べた試験だった。[2]

長い時間軸で発症を調べたデンマークの男性消防士11,691人の歴史的コホート研究では、働く男性の比較集団に対する心血管疾患全体の標準化罹患比が1.10、95%信頼区間は1.05〜1.15だった。標準化罹患比は、年齢などを考慮した比較で予想される発症数に対し、実際の発症がどの程度あったかを表す。[11]

デンマークの研究では、狭心症と急性心筋梗塞の標準化罹患比はいずれも1.16、慢性虚血性心疾患では1.15、心房細動・粗動では1.25だった。全体をまとめた指標に加えて、疾患の種類ごとにも発症を集計している。常勤消防士で上昇が最も大きく、軍の職員との比較でも似た傾向が見られた。[11]

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訓練で得た体力は、その後の維持までが課題になる

新人男性消防士27人を追った観察研究では、訓練校の開始時から終了時にかけて、瞬発的な筋パワーを除く体組成や有酸素能力、筋力、筋持久力の指標が改善した。しかし、その後の試用期間が終わるまでに、多くの指標で有意な低下が見られた。集中的に訓練する時期と、現職として働く時期をつなげて追った研究である。[13]

測定の時点は、訓練開始時の第1週、訓練終了時の第14週、試用期間終了時の第38週だった。平均年齢29.9歳の男性を、この区切りに沿って追っている。訓練校の終了で測定を終えず、現職になってからも調べたことが、改善後の低下を捉える鍵になった。[13]

運動を続けることに改善の根拠はある。現職消防士462人を含む9件の無作為化比較試験を統合したメタ分析では、対照条件と比べて運動介入による体脂肪率、有酸素能力、持久力、筋力、パワーの改善が見られた。参加者のうち女性は18人だった。メタ分析は複数の試験をまとめ、対照条件との差を共通の尺度で集計する手法である。[17]

体脂肪率についての効果量は0.52、95%信頼区間は0.16〜0.88だった。この値は、試験間の尺度をそろえた標準化効果量である。筋力トレーニング、有酸素運動、それらの併用を分けて集計している点も押さえたい。[17]

筋力トレーニングでは体脂肪率や筋力など、有酸素運動では有酸素能力、併用では有酸素能力と持久力の改善が報告された。運動の種類によって、集計された指標と試験数が違う。目的に応じて、体脂肪を含む体組成と、保ちたい体力の両方を見る根拠になる。[17]

年齢に伴う体力の見方にも注意がいる。ブラジルの男性消防士297人を追った研究では、8年後に体力基準を満たす人の割合の減少が、固定基準では30.5%、年齢を考慮した基準では7%だった。同じ追跡でも、どの物差しを使うかで判定が変わる。年齢を考慮した評価と、実務に求められる負荷を満たす評価には、それぞれの問いがある。[10]

職場の評価を受ける本人にとっては、何の能力をどの条件で測ったのかを知ることが重要だ。年齢別の順位を知りたいのか、装備を着た作業をこなせるか確かめたいのか。一般の運動でも、他人との順位、以前の自分との比較、日々の動作に必要な力を、同じ合否に押し込めないほうが目標を整理しやすい。[10][15]

有酸素能力の標準化効果量は運動介入全体で1.20、95%信頼区間は0.52〜1.87だった。持久力は1.74で区間は0.94〜2.53、筋力は1.27で0.42〜2.11、パワーは1.02で0.52〜1.52と報告されている。体脂肪率に加えて、力を発揮する能力や動き続ける能力にも改善が認められた。[17]

種目別では、筋力トレーニングの体脂肪率の効果量は0.87、95%信頼区間は0.38〜1.36だった。有酸素運動の有酸素能力は0.69で0.24〜1.15、併用の有酸素能力は0.52で0.15〜0.89、持久力は0.44で0.19〜0.70である。筋力トレーニング、有酸素運動、併用という分類で、どの指標が改善したかを追える。[17]

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よくある誤解

「体力試験で動ければ、血圧が多少高くても心配はない」とは判断できない。40歳を超える消防士8,242人と比較対象28,678人を含む追跡研究では、高血圧は両集団で重大な心血管イベントのリスク増加と関連した。対象の背景をそろえる解析でも、消防士は比較対象より重大な心血管イベントによる死亡または入院のリスクが高く、ハザード比は1.29、95%信頼区間は1.14〜1.47だった。[12]

ハザード比は追跡中の出来事の起こりやすさを比較する値で、発症した人の割合とは異なる。同じ血圧区分でも消防士の心血管リスクが高いと報告された。健診で指摘された血圧を体力への自信で打ち消さず、評価や治療の判断は医師に委ねる。[12]

「職場で走る、持ち上げる、汗をかくのだから、計画的な運動を考える余地はない」という受け取り方も狭い。運動介入の試験が対象にしたのは現職消防士だった。体力を仕事任せにすることと、目的を持った運動を組み込むことは、研究上も同じ条件として扱われていない。[17]

ここまでの観察研究は、活動期の前後や集団間の関連を示すもので、減量や仕事そのものの因果効果を確定しない。海外の応募者、訓練生、現職の結果を、日本の読者個人の予測へ置き換えることにも限界がある。また、模擬消火の急性の体重減少と長期の体脂肪減少、標準化効果量と体脂肪率のポイント差は区別して読む。運動介入の参加者は主に男性であり、試験条件と読者の生活の違いも踏まえる必要がある。[2][3][4][6][13][17]

今日からできること

  • 筋力トレーニングを続けるなら、慣れた種目について、1回に行う反復回数と週に取り組む日数を決める。まず今の経験でこなせる範囲を選び、減量中も筋力を保つ運動を生活に入れる。消防士の介入をまとめた研究では、筋力トレーニングで体脂肪率や筋力などが改善した。[17]
  • 有酸素運動の日には、始める時刻と1回に動く分数を決めて実行する。勤務で動く時間に加えて、息を続けて動くための運動を確保する。有酸素運動の介入では、有酸素能力の改善が報告されている。[17]
  • 両方に取り組むなら、週の中で筋力トレーニングを行う日と有酸素運動を行う日を割り振り、それぞれ何分使うか決める。併用した試験では、有酸素能力と持久力に改善が見られた。筋力だけ、有酸素だけの計画から、目的に応じて組み合わせを変える方法もある。[17]
  • 健診結果は、手元にある受診日の違う結果を並べ、体重、血圧、脂質の変化を見る。次に見返す時期も決めておき、血圧などの指摘があれば医師に評価を求める。長期追跡では体重変化とともに血圧や脂質が測られている。[4][12]
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消防士の訓練を離れた日のヨガ

勤務外に続ける身体活動としてヨガに取り組むなら、オンザショア立川店で常温のヨガを選ぶこともできる。溶岩プレートのあるスタジオでのホットヨガのほか、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングも扱っている。ヨガだけでも25種類以上のレッスンがそろう。勤務先で行う訓練とは別に、休日に受けるレッスンを内容から探すことになる。

勤務帰りに立川駅を使う人なら、北口を出て徒歩1分のエトロワビル3Fが店の所在地となる。住所は東京都立川市曙町2-14-10。曜日によらず8:00〜23:30に営業し、年中無休だ。体験として用意されているのはヨガのレッスンで、60分を使って参加する内容だ。税込1,980円の体験料金には、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。タオルとマットはこの体験に含まれる貸し出し品となっている。

医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。店のレッスン案内や料金のページに利用の情報がまとまっている。消防士の勤務外の運動を考えるときは、ヨガに取り組む日を勤務表の休日から選ぶ。

参考文献

[2] Fire Simulation and Cardiovascular Health in Firefighters. — Hunter et al., 2017, Circulation. DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.116.025711

[3] The Influence of Body Mass on Physical Fitness Test Performance in Male Firefighter Applicants. — Phillips et al., 2017, Journal of occupational and environmental medicine. DOI: 10.1097/JOM.0000000000001145

[4] Changes in Firefighter Weight and Cardiovascular Disease Risk Factors over Five Years. — Mathias et al., 2020, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/MSS.0000000000002398

[6] Deterioration of Lipid Metabolism Despite Fitness Improvements in Wildland Firefighters. — Rosales et al., 2022, Journal of occupational and environmental medicine. DOI: 10.1097/JOM.0000000000002446

[7] Aviation Rescue Firefighters physical fitness and predictors of task performance. — Skinner et al., 2020, Journal of science and medicine in sport. DOI: 10.1016/j.jsams.2020.05.013

[10] Longitudinal changes in cardiorespiratory fitness among firefighters based on a fixed 12.0 MET standard and an age-adjusted fitness standard. — Nogueira et al., 2023, Work (Reading, Mass.). DOI: 10.3233/WOR-220608

[11] Incidence of cardiovascular disease in a historical cohort of Danish firefighters. — Pedersen et al., 2018, Occupational and environmental medicine. DOI: 10.1136/oemed-2017-104734

[12] Blood pressure and the risk of major adverse cardiovascular events among firefighters. — Noh et al., 2020, Journal of hypertension. DOI: 10.1097/HJH.0000000000002336

[13] Changes in Health and Fitness in Firefighter Recruits: An Observational Cohort Study. — Cornell et al., 2017, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/MSS.0000000000001356

[15] Personal protective equipment impacts firefighters’ anaerobic fitness. — Papadakis et al., 2024, Occupational medicine (Oxford, England). DOI: 10.1093/occmed/kqae046

[17] The effects of exercise interventions on health and fitness of firefighters: A meta-analysis. — Andrews et al., 2019, Scandinavian journal of medicine & science in sports. DOI: 10.1111/sms.13411

[19] Prevalence of cardiovascular risk factors in a population of French firefighters. — Savall et al., 2021, Archives of environmental & occupational health. DOI: 10.1080/19338244.2020.1779017

冒頭の写真: 防護装備を身に着けた消防隊員たちが、模擬火災の消火訓練に取り組む様子(写真: Manuel F. Guerrero, U.S. Marine Corps / Public domain / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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