多発性硬化症と体重 若い頃の肥満、診断後の経過と食事の試験を分けて考える

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食事試験の好結果には、根拠の弱さも添える

食事を変えた場合の成果について、2023年の系統的レビューとネットワークメタ分析は、成人の多発性硬化症患者を対象とする12試験をまとめた。食事法は通常食を含めて8種類で、少なくとも4週間の介入と、本人が回答する疲労または生活の質の評価を条件としていた。[11]

この解析では、通常食と比べ、旧石器時代食、低脂肪食、地中海食に疲労の低下が見られた。地中海食の標準化平均差は−0.89、95%信頼区間は−1.15〜−0.64だった。標準化平均差は異なる尺度の結果をそろえて比べるための値であり、体重のkgや疲労が減った人の割合を表す数字ではない。[11]

生活の質にも結果がある。地中海食では、身体面の標準化平均差が0.47、95%信頼区間が0.08〜0.86、精神面が0.36、0.06〜0.65と、通常食より好ましい方向だった。旧石器時代食にも身体面・精神面で改善が示されている。[11]

しかし、著者らはすべての直接比較について、根拠の確かさを非常に低いと判定した。多くの試験に高い、または中程度の偏りのリスクがあり、人数も研究数も限られていたためだ。よい方向の推定値と、推定を強く信頼できないという評価は両立する。数字が小数点まで並んでも、根拠の弱さが消えるわけではない。[11]

このメタ分析から、特定の食事法を誰にでも勧める結論は出せない。著者らも、質の高い無作為化比較試験による確認を求めている。[11] すでに食事療法を検討している人には、主治医と目的を疲労や生活の質まで具体化し、栄養の支援を受けるための話題になる。

食事を変える試験には、実施できるかを確かめる段階もある。2026年のMIND食試験は、多発性硬化症のある40人を無作為に分け、12週間、遠隔で支援した。両群に毎日1食の宅配と食事指針を提供し、対照群にはエネルギー量をそろえた食事を届けている。[1]

試験を終えたのは31人で、両群で食事の質が改善した。MIND食群では、その食事法への沿い方を示すスコアも上がった。一方、認知機能には群と時間の交互作用の有意差がなかった。つまり、MIND食群だけが対照群より認知機能を改善した、という比較結果は得られていない。[1]

MIND食群内では、食事スコアの改善が注意や空間記憶の改善と関連した。これは、群内の変化同士の関連であり、群間比較の結果とは区別する。研究の主眼は実行可能性にあり、配食と遠隔支援を含む仕組みが受け入れられたことは、今後の試験を組み立てる材料になる。[1]

MIND食試験では、40人を各20人の群に分けていた。提供された食事を摂った割合は平均91.1%で、MIND食群89.7%、対照群92.6%だった。食事を届ける計画に対し、実際にどの程度食べてもらえたかも調べている。完了者の数に加え、この実施状況を測った点に、実行可能性を調べる試験としての特徴がある。[1]

MIND食群の食事スコアの変化は平均3.97で、P<0.01だった。両群にエネルギー量をそろえた食事と指針を渡したうえで、MIND食に沿う内容を加えた群に特有の変化を調べた構成である。支援を受けた人と何もしなかった人を比べた試験とは、比較相手が異なる。[1]

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発症前の食事と、診断後の歩行訓練

地中海食を扱っていても、発症を追う研究では問いが変わる。スウェーデンの前向きコホートは41,428人を平均17.6年追跡し、89人の新しい多発性硬化症を確認した。研究開始時の食事を質問票で調べ、地中海食スコアが高い人ほど発症が少ないかを検討している。[13]

スコアが1点高いごとのハザード比は0.86、95%信頼区間は0.75〜0.99で、発症リスクが14%低いことと関連した。ただし、喫煙者ではリスク低下が見られず、年齢による解析でも関連の現れ方が異なった。全員に同じ大きさの関連が出た結果ではない。[13]

これは、診断を受けた人の再発を防ぐ食事試験とも、減量の試験とも異なる。発症前の食事と診断後の疲労の研究を並べる意義はあるが、それぞれがどこまで答えたかを保ちたい。[11][13] 地中海食の一般的な減量研究は、「地中海食で体重は落ちるのか」の記事に譲り、ここでは病気に関する結果を中心に据える。

断食にも、対象を分ける必要がある。断続的断食の無作為化試験を集めた系統的レビューでは、肥満や2型糖尿病における体重や代謝の好結果が記される一方、多発性硬化症ではデータが少なすぎて、確かな結論を出せないとされた。小規模で短期間の研究が中心で、長期の効果の検討が課題である。[8]

診断後の運動については、体重を支える装置を使ってトレッドミル上で歩く訓練の予備的研究がある。対象は、主に脊髄の症状があり、歩行に重い障害のある4人だった。数か月かけ、平均40回の訓練を行っている。日常の散歩とは異なる、補助を伴う歩行の練習だ。[6]

訓練終了時には、筋力、筋肉のこわばり、持久力、バランス、歩行速度、生活の質で改善が報告された。参加者は疲労やその他の有害な影響なしに訓練を行えたという。ただし、4人の予備的研究で、長期の効果や幅広い患者での再現性は今後の課題となる。研究者は機能的な移動能力に関係する指標を改善する可能性として捉えている。[6]

この研究の体重支持は、体重を減らすことではなく、歩く際に体を支える方法を指す。体格の違いを調べた横断研究と、補助を使って歩く練習をした研究では、体重という言葉の役割も変わる。歩行に制限がある人がリハビリの選択肢を考えるときには、支え方や訓練の形式も具体的な話題になる。[6]

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よくある誤解

「疲労が楽になれば、再発や進行も抑えられたはず」という読み方には、評価項目の飛躍がある。古い食事試験も、この区別を考える材料になる。患者75人を対象とする2年間の二重盲検試験では、リノール酸を含む油の補給とオレイン酸を含む油の補給を比べた。再発の頻度は少ない傾向で、重症度と持続時間は有意に小さかったが、全体の臨床的悪化の速度を変えたという明確な証拠は得られなかった。[18]

この試験では、再発についての結果にも「傾向」と「有意な差」が混在する。好結果を一語の「改善」で包むと、その違いが落ちる。食事療法を読む際は、どの指標で、どれだけの差を認めたかまで確かめたい。油の補給試験を、日常の調理油の量やサプリの自己調整に置き換えることも避ける。[18]

「食事を変えられた試験なら、認知機能への効果も確認された」という理解も早い。MIND食試験では、食事スコアの改善と認知機能に関する群間の結果は一致していない。食べ方の変化を達成できたことは介入の成果だが、別の健康指標まで達成したことにはならない。[1]

「BMIに差があるから、歩行の不調も体重だけが原因」という説明もできない。歩行研究では、肥満群と標準体重群で差が出た指標と出なかった指標があった。同時点の比較を根拠に、個人の歩きにくさの原因を一つに絞ることは難しい。[4] 本人の訴えを体格の評価だけで終わらせず、診療で機能を確かめる視点が大切だ。

今日からできること

  • 配食を使う回数を、週に何食にするか自分で決める。治療中の食事方針に合う献立を選び、準備の負担が大きい食事に充てる。試験では1日1食を12週間届け、食事指針も併せて提供していた。[1]
  • 医療者と合意した地中海食や低脂肪食の方針に沿って、食べ方を変える期間を何週間にするか決める。普段の食事から変更する内容を具体化し、その期間の食卓に取り入れる。[11]
  • 担当者の支援下で行う、体重を支える補助付きの歩行練習について、参加できる開始時刻を自分の生活に合わせて決める。装置や介助を含めて担当者が組み立てた練習に、その時刻に参加する。[6]
yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

多発性硬化症の通院と、常温ヨガの選択肢

多発性硬化症で通院のある暮らしにヨガを取り入れるなら、オンザショア立川店には常温のヨガがあり、8:00〜23:30の営業時間は年中変わらない。全曜日に営業しているため、通院日以外にも通える時間帯がある。

医師から運動を止められている方は利用できない。多発性硬化症の治療を受けている人は、暑いスタジオでの参加について主治医に尋ね、まず常温のヨガを候補にする。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

ヨガのレッスンには25種類以上の選択肢があり、溶岩プレートのあるスタジオのホットヨガも含まれる。ほかにピラティスやパーソナルトレーニング、ボクササイズ、HIIT、女性専用のキックボクササイズも扱う。所在地は東京都立川市曙町2-14-10のエトロワビル3Fで、JR立川駅北口から歩いて1分の距離だ。

ヨガの体験には税込1,980円で60分のレッスンと、バスタオル2枚・フェイスタオル1枚・ヨガマットのレンタルが含まれる。店の案内と料金、ヨガ体験の予約を掲載している。多発性硬化症の通院と重ならない日に、医師と相談した参加条件を店に伝えて常温ヨガの利用を申し込む。

参考文献

[1] Mediterranean-DASH intervention for neurodegenerative delay (MIND) diet intervention in persons with multiple sclerosis: A feasibility, randomized controlled trial. — Martell et al., 2026, Nutrition research (New York, N.Y.). DOI: 10.1016/j.nutres.2026.05.006

[2] High body mass index before age 20 is associated with increased risk for multiple sclerosis in both men and women. — Hedström et al., 2012, Multiple sclerosis (Houndmills, Basingstoke, England). DOI: 10.1177/1352458512436596

[4] Relationship of Obesity With Gait and Balance in People With Multiple Sclerosis. — Kalron, 2017, American journal of physical medicine & rehabilitation. DOI: 10.1097/PHM.0000000000000552

[6] Locomotor training using body weight support on a treadmill improves mobility in persons with multiple sclerosis: a pilot study. — Giesser et al., 2007, Multiple sclerosis (Houndmills, Basingstoke, England). DOI: 10.1177/1352458506070663

[7] The Role of Diet and Interventions on Multiple Sclerosis: A Review. — Stoiloudis et al., 2022, Nutrients. DOI: 10.3390/nu14061150

[8] Intermittent Fasting and the Possible Benefits in Obesity, Diabetes, and Multiple Sclerosis: A Systematic Review of Randomized Clinical Trials. — Morales-Suarez-Varela et al., 2021, Nutrients. DOI: 10.3390/nu13093179

[11] Efficacy of Diet on Fatigue and Quality of Life in Multiple Sclerosis: A Systematic Review and Network Meta-analysis of Randomized Trials. — Snetselaar et al., 2023, Neurology. DOI: 10.1212/WNL.0000000000201371

[12] Body mass index influence interferon-beta treatment response in multiple sclerosis. — Kvistad et al., 2015, Journal of neuroimmunology. DOI: 10.1016/j.jneuroim.2015.09.008

[13] Mediterranean diet and risk of multiple sclerosis: A prospective cohort study. — Ratti et al., 2026, Multiple sclerosis (Houndmills, Basingstoke, England). DOI: 10.1177/13524585251396408

[15] Mendelian randomization in multiple sclerosis: A causal role for vitamin D and obesity? — Harroud et al., 2018, Multiple sclerosis (Houndmills, Basingstoke, England). DOI: 10.1177/1352458517737373

[17] Childhood body mass index and multiple sclerosis risk: a long-term cohort study. — Munger et al., 2013, Multiple sclerosis (Houndmills, Basingstoke, England). DOI: 10.1177/1352458513483889

[18] Double-blind trial of linoleate supplementation of the diet in multiple sclerosis. — Millar et al., 1973, British medical journal. DOI: 10.1136/bmj.1.5856.765

冒頭の写真: 理学療法のクリニック内に設置された、運動のために使う各種の器具。(写真: Curezone Physiotherapy / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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