脊髄損傷のあとの体重管理 消費が減った体で脂肪と筋肉、腹囲をどう測るか

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食事介入で腹部の指標に差、総脂肪量には有意差なし

体組成の測定が、管理の成果の見え方を変える例がある。2026年に報告された、亜急性期の外傷性脊髄損傷の成人を対象とした単施設の無作為化比較試験である。専門職が主導する個別の栄養介入と通常ケアを比べ、受傷後の最初の1年を評価した。参加者の76%が男性で、平均年齢は48歳だった。[1]

主要な評価項目は、全身の脂肪量の変化である。多周波の生体電気インピーダンス法、体に流す電気への反応を利用する方法で測っている。年齢、性別、神経学的な重症度を考慮した群間差は−1.5 kg、95%信頼区間は−4.8〜1.9 kgで、統計的に有意な差はなかった。[1] 推定に幅があり、差がない値も含む。個別支援が全身の脂肪を確実に減らしたという見出しは、この試験には合わない。

一方、別の評価項目では差が出た。内臓脂肪組織の変化の調整済み群間差は−0.5 L、95%信頼区間は−1.0〜−0.1 L、腹囲は−4.0 cm、95%信頼区間は−7.0〜−1.0 cmであった。[1] いずれも通常ケア群との変化の差を表している。

体重、BMI、除脂肪量、血液の指標には、有意な群間差は確認されなかった。[1] 血液の指標が変わらなかった事実も、腹囲の結果と一緒に置く。腹部への脂肪の蓄積を抑える可能性は示されたが、そのことが将来の代謝や循環器のリスクの低下、機能の改善につながるかは長期の追跡が課題とされている。[1]

脂肪量を身長で調整した脂肪量指数の群間差は−1.6 kg/m2で、95%信頼区間は−3.2〜0.0 kg/m2、有意性は境界的だった。評価は当初割り付けられた群に基づいて行われ、感度分析や計画に沿って参加した人の分析でも結果は一貫していた。[1]

また、試験は非盲検、つまり介入の内容を伏せずに実施されている。[1] 無作為化して比べた強みがあっても、対象や施設、測定方法の条件は残る。この結果からは、早期から退院後まで続く個別の栄養支援が腹部の脂肪の蓄積を抑えうる、という可能性までを読み取る。全身の脂肪量という主要な評価項目に有意差がなかったことも、その可能性の範囲を考える条件になる。[1]

日常では、体重があまり動かないと「何も変わっていない」と評価を終えがちだ。この試験は、体重と腹部の評価が同じ答えを出さない場合があると示している。[1] 反対に、腹囲が小さくなったから血液検査も改善したはずだ、と先取りすることも避けたい。本人と支援者が、どの項目を見て食事を調整しているかを共有する価値はここにある。

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腕の運動だけに消費を背負わせず、機能も評価する

脊髄損傷後の肥満を対象とする運動のレビューは、活動に動員できる筋肉の量が少ないと、運動で作れるエネルギーの赤字にも限りがあると述べている。使える筋肉の酸化能力、エネルギー源を利用する働きにも制約があるため、腕を使う運動の時間を増やすだけでは話が完結しにくい。[13]

著者らは、大きな筋群を使い、その量を増やすことを狙う運動の可能性を提案している。[13] 訓練の採用や負荷の変更は主治医とリハビリの担当者が判断する。どの筋肉を使えるか、どんな設備や支援が必要かを含め、リハビリの担当者が個別に検討する対象になる。

日常の身体活動にも目を向けたい。運動機能が完全に障害された四肢麻痺の成人を対象とする横断研究では、間接熱量測定を使って安静時とさまざまな活動を比べた。運動以外の身体活動中の酸素摂取量または体重当たりの活動消費は、座っている活動中の3〜4倍となり、運動中には最大6倍になった。[17] この倍率は測定した活動中の値を表す。

対麻痺の参照群と比較すると、安静時や座っている活動では酸素摂取量に有意差がなかった一方、運動中には四肢麻痺群で約50%低かった。[17] 障害の部位から、どんな場面でも消費の差が一定だと考えると、この違いを見落とす。活動の種類を添えて測ることが、本人に合う生活介入につながるという研究の示唆である。[17]

さらに、減量のための運動と、筋肉や骨の評価も分けておきたい。受傷後早期の外傷性脊髄損傷がある人に、体重を支えながら歩行用ベルトの上を歩く訓練を行った症例集積では、全員で筋肉の断面積が増えた。その一方で、脚のほとんどの測定部位で骨密度が低下した。[3] 対象は受傷後2〜6か月の5人で、訓練は週2回だった。筋肉の断面積の増加は3.8〜56.9%、脚の骨密度の低下は1.2〜26.7%と幅があった。[3]

この訓練の研究は、筋肉の萎縮を部分的に戻す可能性を示す一方、骨の減少は防げなかったと結んでいる。[3] 体重を減らす、筋肉を保つ、骨の状態を把握する、動作を保つという目的を、別々に言葉にしたい。望ましい変化を見逃さないためにも、望ましくない変化を取り落とさないためにも、評価の項目をひとまとめにしない。

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よくある誤解

「重くなった分だけ運動を足せばよい」という計算は、腕が生活を支える役割を見落としやすい。上肢の使いすぎを扱うレビューでは、車いすの駆動、乗り移り、身の回りの動作などで肩や肘、手首、手に負担がかかること、体重と過用による損傷の関係が論じられている。[10] 腕は運動専用の道具ではなく、暮らしの仕事も持っている。体重管理の評価には、日々の動作や痛み、機能を保つ視点も加えたい。[10]

「測定が細かいほど、家で毎回行うべきだ」という読み方にも距離を置こう。体組成のレビューは、測定の負担や費用、利用のしやすさを問題として取り上げていた。[11] 検査の回数を増やすこと自体を成果にせず、何の判断に使うかを決めて選ぶ。腹囲という簡便な指標と、体組成を評価する検査は、目的に合わせて組み合わせるものと考えたい。[11][14]

「食欲に合わせれば必要量に収まる」とも言い切れない。脊髄損傷後の生理を扱うレビューには、満腹感が弱まることもエネルギー収支を変える要因として挙げられている。[10] 食欲だけで摂取量を決めにくい場合があることを踏まえ、本人を責めずに食事の支援を設計する。栄養介入は本人の意志を試す場より、変化した体の条件に食事を合わせる作業として扱いたい。[1][18]

今日からできること

  • 栄養専門職と組み立てた個別の食事調整を、まず何週間続けるか自分の生活に合わせて数字で決める。試験ではリハビリ中から受傷後1年まで支援を続け、体重に有意な群間差がなくても腹囲と内臓脂肪の変化には差があった。食事の成果を確かめる際には、体重と腹部の変化を分けて扱う。[1]
  • すでに安全に行えている身の回りの動作から、自分が担う動作を選び、1日に何回行うかを今の生活に沿って決める。四肢麻痺の成人を調べた研究では、非運動活動中の消費は座位の活動中より高かった。普段の動作を続ける機会を、生活の中に具体的に残す。[17]
  • 担当者と決めてすでに受けている訓練は、その実施枠の中から生活に組み込みやすい開始時刻を選び、何時から行うかを決める。体重免荷歩行訓練を追った研究では、筋肉の断面積は全員で増えた一方、脚の骨密度はほとんどの部位で低下した。訓練の成果は、筋肉と骨の評価を分けて受け止める。[3]
  • 次の診療に持参する体重・腹囲・体組成の結果をまとめ、測定法と測定時期を添える。42本の研究を整理したレビューでは、測定法ごとの検証状況と費用・利用のしやすさが異なっていた。手元の数値が何を測ったものか、説明を受けたい点をまとめておく。[11]
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脊髄損傷後の外出に、常温ヨガの選択肢

脊髄損傷後の生活で外出と休息の配分を考えるとき、オンザショア立川店には、全曜日8:00〜23:30、年中無休という営業時間がある。まず常温のヨガを検討の対象にし、溶岩ホットヨガは主治医の判断が出るまで候補に入れない。

医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

ヨガの種類は25以上で、溶岩プレートを敷くスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングもある。ヨガ体験の料金は税込1,980円で、レッスン60分に、ヨガマットとバスタオル2枚、フェイスタオル1枚のレンタルが付く。

所在地は東京都立川市曙町2-14-10、エトロワビルの3F。JR立川駅北口から歩いて1分の場所だ。店舗情報・料金表・ヨガ体験の案内 に利用の情報がまとまっている。脊髄損傷後の運動参加について主治医の判断を受けたうえで、常温ヨガへの外出を日々の移動と休息の間に組み入れるかを考える。

参考文献

[1] Effects of an individualized dietitian-led nutrition intervention on body composition during the first year after traumatic spinal cord injury: A randomized controlled trial. — Slettahjell et al., 2026, Clinical nutrition ESPEN. DOI: 10.1016/j.clnesp.2026.103133

[2] Fat to lean mass ratio in spinal cord injury: Possible interplay of components of body composition that may instigate systemic inflammation and metabolic syndrome. — Dolbow et al., 2022, The journal of spinal cord medicine. DOI: 10.1080/10790268.2022.2111900

[3] Body weight supported treadmill training in acute spinal cord injury: impact on muscle and bone. — Giangregorio et al., 2005, Spinal cord. DOI: 10.1038/sj.sc.3101774

[6] Energy Expenditure Following Spinal Cord Injury: A Delicate Balance. — Farkas et al., 2021, Topics in spinal cord injury rehabilitation. DOI: 10.46292/sci20-00030

[10] Upper Extremity Overuse Injuries and Obesity After Spinal Cord Injury. — Vives Alvarado et al., 2021, Topics in spinal cord injury rehabilitation. DOI: 10.46292/sci20-00061

[11] Assessment of body composition in spinal cord injury: A scoping review. — van der Scheer et al., 2021, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0251142

[12] The Physiology of Neurogenic Obesity: Lessons from Spinal Cord Injury Research. — McMillan et al., 2023, Obesity facts. DOI: 10.1159/000530888

[13] Exercise Interventions Targeting Obesity in Persons With Spinal Cord Injury. — McMillan et al., 2021, Topics in spinal cord injury rehabilitation. DOI: 10.46292/sci20-00058

[14] Methods for classifying obesity in spinal cord injury: a review. — Silveira et al., 2017, Spinal cord. DOI: 10.1038/sc.2017.79

[17] Energy expenditure after spinal cord injury in people with motor-complete tetraplegia or motor-complete paraplegia. — Holmlund et al., 2018, Spinal cord. DOI: 10.1038/s41393-017-0024-4

[18] Energy expenditure and nutrient intake after spinal cord injury: a comprehensive review and practical recommendations. — Farkas et al., 2022, The British journal of nutrition. DOI: 10.1017/S0007114521003822

[19] Weight gain following spinal cord injury: a pilot study. — Crane et al., 2011, The journal of spinal cord medicine. DOI: 10.1179/2045772311Y.0000000001

冒頭の写真: ベルリンマラソンの競技中にハンドサイクルで走行する参加者たち(写真: Leonhard Lenz / CC0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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