過敏性腸症候群と肥満の重なり お腹の不調と体重・腹囲の研究を読む

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腸と脂肪をつなぐ仮説は、減量の処方箋になるか

肥満とIBSをつなぐ仕組みについて、2019年のレビューは複数の仮説を挙げている。腸内細菌の構成、ホルモン、吸収されにくい食事成分、心理的ストレス、肥満に伴う軽い炎症などである。腸の状態を評価する重要性を論じたもので、食事量だけで両者の関係を片づけない視点を与えている。[1]

例えば、炎症に関係する物質が腸の神経の末端を刺激する可能性や、ストレスが大腸の刺激への敏感さに関わる可能性が挙げられている。これは生物学的な説明の候補だ。仕組みとして筋が通ることと、その仕組みを変える治療が人の症状を改善すると確かめたことの間には、まだ段差がある。[1]

腸内細菌をめぐる話も、単純な善玉と悪玉の入れ替えには収まらない。このレビューは、腸内細菌の構成変化が食事から取り出すエネルギーや腸の機能に関わる可能性を論じている。食欲を抑えるホルモンの水準の変化も、両者を結ぶ候補として扱われた。[1]

炎症だけで説明しようとすると、子どものデータにも足元をすくわれる。IBSのある18歳未満の277人を後ろ向きに調べた研究では、便中カルプロテクチンという炎症の指標は、過体重・肥満の群より、それ以外の群で高かった。BMIが85パーセンタイル未満の202人と、それ以上の75人を比較し、指標の平均はそれぞれ75.60、45.89 µg/gだった。年齢別では6〜12歳で差が有意だった一方、12〜18歳では有意差が見られなかった。特に年齢が低い患者で差が目立ち、著者らは幼い子どもの症状には炎症以外の要因の影響が大きい可能性を述べている。[2]

子どもの体格区分は年齢に応じたBMIの位置によって定められていた。また、調べたのはIBSがある子ども同士の指標の違いで、一般の子どもに発症が増えるかを追った研究とも異なる。親のお腹の不調と子どもの腹痛を、同じ体重の説明で済ませない理由になる。[2]

大人についても、仕組みの候補と実際の症状を行き来して読む必要がある。腸内細菌、ホルモン、炎症という異なる仮説を、体重の増減だけで選び分けることはできない。体重への対応を続けながら腸の状態も評価する、というレビューの視点が、両方の経過を見る手がかりになる。[1]

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大きく痩せた後も、腹痛は別に確かめる

冒頭の胃バイパス手術後の研究では、経過観察の対象234人のうち165人が来院し、160人が研究参加に同意した。平均年齢は42.5歳、女性は59%だった。平均の追跡期間は64か月で、重度の肥満に対する胃バイパス治療後の経過を調べている。[10]

術後の調査では、消化不良の症状を48.8%、IBSの症状を29.1%が報告していた。慢性的な腹痛は、健康に関連する生活の質の低下とも結びついていた。腹痛との関連が見られた項目には、女性であること、全身の痛みの平均的な強さ、痛みを破局的に捉える傾向の尺度の合計点があった。[10]

参加しなかった患者もいるため、調査結果が手術を受けた全員の経験をそのまま表すとも限らない。さらに、術前からのIBSがどれだけ改善したかという比較と、術後に症状を持つ人がどれだけいたかという集計は違う。この研究を、手術でIBSが治る証拠にも、必ず悪化する証拠にも使わないほうが正確だ。[10]

著者らは、術後の経過観察で腹痛を扱うべきだとしている。術後の評価には、体重の推移に加えて、腹痛や便通の経過という別の情報が要る。減量の数字が良好でも、腹痛を我慢する理由にはならない。[10]

消化器疾患と肥満を併せ持つ成人を扱う欧州の診療ガイドラインも、医師、外科医、管理栄養士など複数の専門職による対応を扱っている。IBSと肥満の併存も対象に含まれる。体重だけ、便通だけを孤立した課題にするより、併存する状態として扱う方向が示されている。[8]

このガイドラインは消化器疾患全般を広く扱い、特に肝疾患に重点を置いた文書でもある。成人を中心に、消化器疾患と肥満を併せ持つ人の診療を扱う。提言は100項目で、根拠の評価による区分と専門家の実践上の合意を併用し、いずれも90%以上の合意を得ている。小児についてはデータが乏しく、経験ある小児科医の判断に委ねるとしている。[8]

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よくある誤解

「食物繊維なら、便秘にも減量にも同じように使える」とは限らない。便秘が中心のIBS患者68人を対象に、部分加水分解グアーガムという食物繊維を用いた研究では、症状や便の性状などに改善が見られた。評価したのは便秘型の症状、便の性状、大腸の通過時間などだった。[6]

この研究では、観察期間の後に4週間の摂取期間を置き、摂取前と比べている。排便回数、張り、残便感、下剤や浣腸の使用では、性別や年齢、BMIによって変化が異なった。例えば、排便回数の改善が見られた群と、張りの改善が見られた群は同じではなかった。排便回数は女性、45歳以上、BMIが25以上の患者で改善した。一方、張りは男性、45歳未満、BMIが25未満の患者で改善している。残便感の回数の減少はBMIが25以上の群で報告された。下剤や浣腸の使用の減少は女性、45歳未満、BMIが25未満の患者で見られた。「繊維を増やす」の一言では、どの症状を見たいのかまで決まらない。[6]

この研究は摂取前後の比較で、無作為化比較試験による検証とは区別する必要がある。著者らも、食物繊維を増やした食事と患者の特徴の相互作用をさらに調べる必要性を示している。部分加水分解グアーガムで得られた変化を、食物繊維なら何でも同じと広げず、対象者と成分をそろえて読むことが大切だ。[6]

「ビタミンDが低いなら、補えばお腹も改善する」という読み方にも飛躍がある。重い肥満で手術を検討する人を後ろ向きに調べた研究では、血液検査を受けた229人において、ビタミンD濃度が低いこととIBSを示唆する腸症状との間に関連が見られた。しかし、ビタミンDを飲ませて症状が変わるかを検証した研究ではない。[18]

この集団のBMIの範囲は35〜91で、一般の成人全体とは条件が大きく違う。研究者らも、補充と腸症状の軽減を評価するには前向き研究が必要としている。検査を受けた集団の79%にビタミンD不足があり、29%にはIBSを示唆する3〜6項目の腸症状が見られた。不足の頻度が高いという結果と、補充によって症状が変わるという結果は分けて読む。[18]

「痩せた人の腹痛は気にしなくてよい」という思い込みも避けたい。術後研究では、慢性的な腹痛は生活の質と結びついていた。[10] 体重に満足していることと、お腹のつらさを医療者に伝えることは両立する。ダイエットの評価表に体重だけを書くと、別に扱うべき困りごとが抜け落ちてしまう。

今日からできること

  • 食事の時間を生活に組み込むため、朝食か夕食のどちらかを選ぶ。週に何日、何時ごろ食べるかと、何週間続けるかを自分で決め、食べた時刻と慌ただしさを短く残す。
  • 仕事や家事の合間に、普段から無理なく行える散歩を入れる。週に何回、1回何分にするかと、続ける週数を自分で決め、歩けた回数とその日の体調を記録する。
  • 寝る前の過ごし方を整えるため、画面を見るのをやめる時刻を自分で選ぶ。週に何日行うか、何週間続けるかも決め、実施した日と就寝時刻を手帳に残す。
  • 腹痛や便通、体重の変化をまとめて相談する機会を持つ。便の回数・硬さ・切迫感、手術歴、薬やサプリの使用を一緒に伝え、食物繊維製品やビタミンDを足す適否、薬の開始・中止は医師に判断を求める。

体格と結びつく症状、腸の通過と結びつく症状は同じとは限らず、診断や性別でも関連の向きが異なる。[5][16] 体重の目標に向かう日々にも、食事を落ち着いて取れたか、いつ休めたかという生活の手触りを残せる。お腹のつらさも体重の変化も、自分の経過として言葉にしていこう。

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お腹の不調がある人にも、常温ヨガという入口

お腹の調子と外出の都合を並べて運動を考えるとき、オンザショア立川店の8:00〜23:30という営業時間は、生活の中で参加先を探すための情報になる。年中無休の同店へはJR立川駅北口から徒歩1分で、住所は東京都立川市曙町2-14-10、エトロワビル3Fとなる。

医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。IBSの診療中や胃バイパス手術後の参加では、溶岩ホットヨガが可能かを主治医に尋ね、まず常温のヨガを候補にする。

ヨガは25種類以上で、溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガと常温のヨガを扱う。ほかにピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。60分のヨガ体験に税込1,980円で参加でき、貸し出し品はバスタオル2枚とフェイスタオル1枚、ヨガマットだ。

店の紹介と料金案内を読み、ヨガ体験は予約ページから申し込める。参加するときは、お腹の不調で配慮してほしいことを短い言葉でスタッフに伝えよう。

参考文献

[1] Irritable bowel syndrome: a new therapeutic target when treating obesity? — Pugliese et al., 2019, Hormones (Athens, Greece). DOI: 10.1007/s42000-019-00113-9

[2] Association between body mass index and fecal calprotectin levels in children and adolescents with irritable bowel syndrome. — Kim et al., 2022, Medicine. DOI: 10.1097/MD.0000000000029968

[3] Examining the Association Between Overweight, Obesity, and Irritable Bowel Syndrome: A Systematic Review and Meta-Analysis. — Yau et al., 2024, Nutrients. DOI: 10.3390/nu16233984

[5] The relationship between symptoms, body mass index, gastrointestinal transit and stool frequency in patients with irritable bowel syndrome. — Sadik et al., 2010, European journal of gastroenterology & hepatology. DOI: 10.1097/MEG.0b013e32832ffd9b

[6] Partially hydrolyzed guar gum in the treatment of irritable bowel syndrome with constipation: effects of gender, age, and body mass index. — Russo et al., 2015, Saudi journal of gastroenterology : official journal of the Saudi Gastroenterology Association. DOI: 10.4103/1319-3767.153835

[7] Both general and central obesity are associated with increased risk of irritable bowel syndrome: A large-scale prospective cohort study. — Yu et al., 2025, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.1016/j.ajcnut.2025.03.001

[8] European guideline on obesity care in patients with gastrointestinal and liver diseases – Joint European Society for Clinical Nutrition and Metabolism / United European Gastroenterology guideline. — Bischoff et al., 2022, United European gastroenterology journal. DOI: 10.1002/ueg2.12280

[10] Chronic Abdominal Pain and Symptoms 5 Years After Gastric Bypass for Morbid Obesity. — Høgestøl et al., 2017, Obesity surgery. DOI: 10.1007/s11695-016-2499-z

[16] Functional gastrointestinal disorders in 35,447 adults and their association with body mass index. — Le Pluart et al., 2015, Alimentary pharmacology & therapeutics. DOI: 10.1111/apt.13143

[18] Bowel symptoms are associated with hypovitaminosis D in individuals with medically complicated obesity. — Nath et al., 2019, Nutrition research (New York, N.Y.). DOI: 10.1016/j.nutres.2018.12.002

冒頭の写真: 衣服の上から両手をお腹に当てた人物の、腹部と手元を中心に写した写真。(写真: Darko Djurin (https://pixabay.com/en/users/derneuemann-6406309/) / CC0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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宮川涼 Founder
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