ホットフラッシュは痩せると軽くなるのか 更年期のほてりと体脂肪、減量の試験が示したこと

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減量の試験で、ほてりは変わったのか

観察研究が示すのは、体脂肪とほてりが一緒に動くかどうかまでで、体重を減らせばほてりが減るかは教えてくれない。それを確かめるには、減量する人としない人を無作為に分けて比べる試験が要る。

1つ目は、尿失禁のある過体重・肥満の女性338人を、6か月の集中的な行動的減量プログラムと、体系立てた健康教育のプログラムに無作為に分けた試験である[3]。参加者は全員が尿失禁を抱えており、ほてりについては、どれくらい煩わしいかを自分で記入する質問票で尋ねた[3]。開始時に、ほてりを少なくとも少しは煩わしいと感じていたのは、約半数の154人だった[3]。

この154人で比べると、減量プログラムの群は健康教育の群より、ほてりの煩わしさが改善しやすかった。煩わしさの段階が1つ良くなる見込みは2.25倍(95%信頼区間1.20〜4.21)である[3]。体の変化との結びつきも調べられ、体重が5kg減るごとに改善の見込みは1.32倍(1.08〜1.61)、BMIが1下がるごとに1.17倍(1.05〜1.30)、腹囲が5cm減るごとに1.32倍(1.07〜1.64)になっていた[3]。

面白いのは、結びつかなかったものの側だ。身体活動の変化、摂取カロリーの変化、血圧、体と心の働きの変化は、どれもほてりの改善と関係していなかった[3]。体を動かした量や食べた量そのものより、結果として体重と腹囲が減ったかどうかが、ほてりの改善と並んで動いていた。ただし、媒介しうる要因をまとめて調整すると、プログラムの効果は2.25倍から1.92倍へといくらか小さくなり、信頼区間は0.95〜3.89と1をまたいだ[3]。効果の一部は体重などの変化を通っていそうだが、それだけで全部を説明できるとまでは言えない、という読み方になる。

2つ目は40人の小さな予備試験である[4]。著者らによれば、減量がほてりを減らすかを確かめるために設計された研究は、それまで1つもなかった[4]。対象は1日4回以上のほてりがある過体重・肥満の女性で、行動的な減量プログラムの群と、順番待ちの群(あとでプログラムを受ける群)に無作為に分けた[4]。ほてりは、機器による記録、日記、質問票の3つの方法で、前と後に測っている[4]。

体重は、減量の群が8.86kg減り、待機の群は0.23kg増えた[4]。質問票で尋ねた2週間のほてりの数の変化は、減量の群で−63.0、待機の群で−28.0で、その差は統計的に意味のある水準に届いた[4]。体重の減り方とほてりの減り方には中くらいの相関があった(相関係数0.47)[4]。一方、機器の記録と日記では、群の間にこの差は示されなかった[4]。

待機の群でも、質問票のほてりは28.0減っている[4]。プログラムを待っていただけの側でも、数字はそれなりに動くということだ。減量の群の減り幅はその倍を超えたが、比べる群を置かずに「試したら減った」とだけ書かれた話を見かけたら、この28.0を思い出したい。参加を続けた人は83%、プログラムへの満足は93.8%で、74.1%の人が、ほてりを減らすことが減量の大きな動機になったと答えた[4]。著者らは、より大きな試験で確かめるべきだとしている[4]。

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寝汗は、ほてりと同じものとして数えてよいか

血管運動症状は、ほてりと寝汗をひとまとめにした言葉だ。けれど、2つは同じ動き方をしないことがある。先の145人の研究では、体格の指標が大きいほど日中の症状は少なかったが、夜の症状とは結びつかなかった[20]。心臓や血管の危険の目印との関係でも、ほてりは危険の低い側と結びつき、寝汗はそうならなかった[20]。著者らは、今後の研究で寝汗とほてりを分けて扱うよう求めている[20]。

寝汗そのものも、更年期だけの症状とは限らない。家庭医に向けた2020年の総説によれば、寝汗はよくある、特定の病気に結びつかない症状で、患者は医師に聞かれない限りあまり口にしない[15]。寝汗と結びつきやすい状態として、更年期のほかに、気分の障害、胃食道逆流症、甲状腺の働きが強すぎる状態、そして肥満が挙げられている[15]。命に関わる原因も報告されてはいるが、一般の診療で続く寝汗を訴える人の多くは、重い病気を持っていない[15]。寝汗があるというだけで、死亡の危険が高いことを示すわけでもない[15]。安心してよい材料が多い一方で、寝汗が何週間も続く、ほかにも気になる体の変化が重なるといった場合は、更年期のせいと決めつけずに医師に相談したい。

眠りへの影響も見逃せない。2019年の総説は、更年期の不眠にかかわる要因として、ほてり、不安と抑うつ、ほかの病気、行動や心理社会的な要因を挙げる[13]。ほてりが眠りを妨げ、その不眠が抑うつへのなりやすさを高めるという「ドミノ仮説」が紹介される一方、睡眠の障害のほうが、ほてりよりも強く気分の乱れを予測するとも書かれている[13]。

この年代の睡眠を損ないうる病気として、肥満、胃食道逆流症、尿失禁や夜間の頻尿、甲状腺の病気、慢性の痛み、高血圧などが並ぶ[13]。中年の女性の睡眠の乱れのよくある原因には、寝る前の習慣の乱れ、周りの環境による妨げ、飲酒、夫婦関係の不満、子や孫や年老いた親からの世話の頼まれごと、お金の心配までが挙がっている[13]。夜中に目が覚める理由を、ほてり1つに背負わせないほうがよい。総説は、不眠をそれ自体として手当てを考えるべき状態とし、軽度から中等度の睡眠時無呼吸の人にも不眠がよく見られることに注意を促している[13]。

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ほてりの多さは、心臓の先行きと結びつくか

ほてりは数年で過ぎる不快と考えられがちだが、長い目で見た体の状態と結びつけた研究がある。1996年に45〜50歳だった女性11,725人を、3年おきに14年追った研究だ[18]。開始時に寝汗を「まれに」と答えたのは14%、「ときどき」は17%、「しばしば」は7%だった[18]。追跡の間に、心臓に血液を送る血管の病気(冠動脈の病気)が187件起きた[18]。

年齢だけをそろえた分析では、ほてりを「しばしば」と答えた女性は、症状のない女性に比べて冠動脈の病気のオッズが2.18倍(95%信頼区間1.49〜3.18)、寝汗では2.38倍(1.62〜3.50)だった[18]。閉経の状態、生活習慣、BMI、糖尿病、高血圧をそろえると、それぞれ1.70倍(1.16〜2.51)と1.84倍(1.24〜2.73)に縮んだが、関係は残った[18]。

向きのそろわない結果もある。先の145人の研究では、1日の症状の回数が多い人ほど上の血圧が低いという、逆向きの結びつきが出ていた[20]。

ここで見たのは観察研究で、ほてりが心臓病を起こすとも、ほてりを抑えれば心臓病が減るとも示していない。言えるのは、ほてりや寝汗が「しばしば」あることは、健診の結果と並べて医師に伝えてよい情報の1つだ、というところまでである。

体重を減らす前に、自分がどの研究に近いかを見る

ここまでの研究を自分の体に当てはめるとき、どこを見ればよいか。

減量でほてりが改善した2つの試験は、どちらも過体重か肥満の女性を対象にしていた[3][4]。標準的な体重の人を減量させて、ほてりが減るかを確かめた試験は、ここで見た研究の中にない。むしろ、54〜63歳のほてりのある女性や、平均BMIが25.0の健康な閉経後早期の女性では、体格が大きいほうがほてりは少なかった[1][20]。すでに標準的な体重の人が、ほてりを理由にさらに痩せようとする根拠は、この並びからは出てこない。

過体重や肥満で、閉経の前後にいる人にとっては話が変わる。閉経前から移行期の研究の多くでは、脂肪が多いほど症状を報告する人が多かった[5][6]。ただ、45〜54歳の631人を5年追った研究では、BMIや体重の変化とほてりの関係は見られなかった[8]。そのうえで、過体重・肥満の女性を無作為に分けた試験では、減量がほてりの煩わしさを改善している[3]。韓国の研究の著者らは、標準的な体重と代謝的に健康な状態を保つことが、閉経前の女性で症状を防ぐ助けになるかもしれないと書いている[5]。観察研究からの「かもしれない」で、関係なしという結果もある中での話だが、試験の結果とは同じ方向を向いている。

どの脂肪かにも差があった。ほてりと結びついたのはおなかの皮下脂肪で、内臓脂肪は結びつかなかった[2]。減量の試験では、腹囲が5cm減るごとに改善の見込みが1.32倍だった[3]。体重計の数字に加えて、メジャーで腹囲を測る意味はそこにある。

体重以外の要因も忘れたくない。5年追って体重とほてりに関係がなかった研究は、喫煙の習慣などのほうが重要だと考えている[8]。減量は、ほてりに対して自分で手を打てる方法の1つにすぎず、治療の代わりにもならない。症状が仕事や眠りを大きく妨げているなら、減量の成果を待たずに、治療の選択肢を医師と話してよい。

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よくある誤解

「ふっくらしている人のほうが、ほてりは軽い」という言い方は、痩せ型仮説の名残だ。47〜59歳の1,776人では、体脂肪率が高い人ほど症状の報告が多く、ホルモンの値を式に入れてもその関係は弱まらなかった[6]。おなかの皮下脂肪でも同じ向きが出ている[2]。ただ、54〜63歳のほてりのある女性では逆向きの関係も記録されており[1]、年齢を抜きにして一言で片づけられる話にはならない。

「痩せれば、ほてりは消える」も言い過ぎになる。6か月の試験で示されたのは、ほてりの煩わしさが1段階良くなる見込みが2.25倍になったことで[3]、ほてりがなくなったという結果は出ていない。40人の予備試験でも、質問票で数えた回数は減ったが、機器の記録と日記では群の差が示されなかった[4]。

「ほてりは一時のもので、過ぎてしまえば何も残らない」という見方も、研究とかみ合わない。ほてりや寝汗が「しばしば」あった女性は、14年の間に冠動脈の病気が起きやすく、生活習慣、BMI、糖尿病、高血圧をそろえても関係は残った[18]。ただしそれが原因と結果の関係かどうかは分かっておらず、健康な閉経後早期の女性では、ほてりが心臓や血管の危険の目印の低い側と結びついた研究もある[20]。

今日からできること

  • 過体重や肥満で減量に取り組むなら、健康の知識を学ぶだけの講座より、体重を減らすことを目標に組まれた方法を選び、何か月続けるかを決める。尿失禁のある過体重・肥満の女性の試験では、6か月の集中的な減量プログラムの群が、健康教育の群よりほてりの煩わしさが改善しやすかった[3]。
  • 減らす目標を、体重(何kg)と腹囲(何cm)の両方で決める。同じ試験では、体重が5kg減るごとに、また腹囲が5cm減るごとに、ほてりの煩わしさが改善する見込みがそれぞれ1.32倍だった[3]。
  • たばこを吸っているなら、やめる日を決める。ほてりを和らげる生活の変え方を集めた総説は、肥満、運動、リラクセーション、はり治療と並べて、喫煙を取り上げている[19]。
  • 寝汗が何週間続いたら受診するかの目安を、先に決めておく。ほかにも気になる体の変化が重なるときは、その目安を待たずに医師に相談する。寝汗は更年期のほかに、気分の障害や甲状腺の働きが強すぎる状態、胃食道逆流症などとも結びつく[15]。

ほてりのある時期は、常温のヨガから

ほてりの波を抱えたまま体を動かすなら、選ぶべきは運動の種類より部屋の温度だ。オンザショア立川店には常温のヨガがあり、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングも並ぶ。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。ほてりのある時期は、溶岩ホットヨガに参加してよいかを医師に確かめ、まず常温のヨガから考えたい。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

体験として受けられるのはヨガの60分のレッスンで、料金は税込1,980円。フェイスタオル1枚とバスタオル2枚、ヨガマットのレンタルもその中に入る。店はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにあり、8:00〜23:30の営業は年中無休で、どの曜日も同じ時間に開いている。レッスンの種類は店のトップページ、料金は料金のページ、体験の申し込みは予約の受付から確かめられる。

ほてりで医師にかかる日は、溶岩ホットヨガに参加してよいかの答えまで受け取って帰る。

参考文献

[1] Adiposity and hot flashes in midlife women: a modifying role of age. — Thurston et al., 2011, The Journal of clinical endocrinology and metabolism. DOI: 10.1210/jc.2011-1082

[2] Abdominal adiposity and hot flashes among midlife women. — Thurston et al., 2008, Menopause (New York, N.Y.). DOI: 10.1097/gme.0b013e31815879cf

[3] An intensive behavioral weight loss intervention and hot flushes in women. — Huang et al., 2010, Archives of internal medicine. DOI: 10.1001/archinternmed.2010.162

[4] Behavioral weight loss for the management of menopausal hot flashes: a pilot study. — Thurston et al., 2015, Menopause (New York, N.Y.). DOI: 10.1097/GME.0000000000000274

[5] Metabolically healthy and unhealthy obesity and risk of vasomotor symptoms in premenopausal women: cross-sectional and cohort studies. — Namgoung et al., 2022, BJOG : an international journal of obstetrics and gynaecology. DOI: 10.1111/1471-0528.17224

[6] Adiposity and reporting of vasomotor symptoms among midlife women: the study of women’s health across the nation. — Thurston et al., 2008, American journal of epidemiology. DOI: 10.1093/aje/kwm244

[8] Change in body mass index, weight, and hot flashes: a longitudinal analysis from the midlife women’s health study. — Gallicchio et al., 2014, Journal of women’s health (2002). DOI: 10.1089/jwh.2013.4526

[13] Insomnia and hot flashes. — Bonanni et al., 2019, Maturitas. DOI: 10.1016/j.maturitas.2019.05.001

[15] Persistent Night Sweats: Diagnostic Evaluation. — Bryce, 2020, American family physician.

[18] Hot flushes and night sweats are associated with coronary heart disease risk in midlife: a longitudinal study. — Herber-Gast et al., 2015, BJOG : an international journal of obstetrics and gynaecology. DOI: 10.1111/1471-0528.13163

[19] Lifestyle alterations for the amelioration of hot flashes. — Fisher et al., 2012, Maturitas. DOI: 10.1016/j.maturitas.2011.12.006

[20] Hot flushes and night sweats differ in associations with cardiovascular markers in healthy early postmenopausal women. — Hitchcock et al., 2012, Menopause (New York, N.Y.). DOI: 10.1097/gme.0b013e31825541cc

冒頭の写真: 彫りを入れたべっ甲の骨に絹を張り、中国風の情景を描いた18世紀の扇(スペイン・セビリア)(写真: Jebulon / CC0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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