スタチンを飲むと運動しにくくなるのか コレステロールの薬と筋肉の症状、脂肪の燃え方の研究

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筋肉の痛みは、運動する人で増えるのか

運動とスタチンの話でいちばん気になるのは、筋肉の症状だろう。2017年のレビューは、運動する人でのスタチンの影響を調べた65本の論文のうち、情報の十分な32本を読み込んだ。[3]

運動しながらスタチンを飲んだときの筋肉痛を調べた17の研究のうち、筋肉痛が増えたのは8研究(47%)だった。[3] 筋肉の傷みの目印を調べた17の研究のうち6研究(35%)では、運動で上がるクレアチンキナーゼという筋肉の酵素の上がり方を、スタチンが大きくしていた。[3] 一方、持久力の運動の能力を調べた10研究のうち、スタチンで下がったと結論したのは3研究(33%)にとどまった。[3] 筋力を調べた8研究では、下がったとするものが2研究(25%)、上がったとするものも2研究(25%)あった。[3] ふだんの運動を調べた5研究のうち3研究では、スタチンを飲む人のほうが活動が多かった。[3] スタチンの強さとこれらの結果の間に、相関は見られなかった。[3]

レビューの結論は、スタチンは運動にかかわる筋肉の訴えを増やすかもしれず、一部の研究では運動による筋肉の酵素の上昇を大きくするが、筋力、持久力、運動の能力全体、身体活動を一貫して下げるわけではない、というものだった。[3] 痛みの訴えは増えうる。けれども、走れる距離や持ち上げられる重さは、一貫しては落ちていない。症状と能力を分けて読む必要がある。

2016年のレビューは、それまでの16か月に出た研究を見直し、スタチンが心肺の体力、筋力、運動の成績、身体活動を続けることに悪い影響を与えないことを示唆するとまとめた。[4] 以前の報告では、筋肉痛、こむら返り、脱力といった筋肉の症状は、体をよく動かす人で多いとされてきたが、新しい研究はその考えをさらに支えるものではなかった。[4] ただ、筋肉痛のあるスタチン使用者と、スタチンを使っていない人を比べた研究では、最大の出力に達するまでの時間が遅く、お腹の脂肪が多く、インスリンが効きにくい傾向が報告されている。[4] 筋肉の遺伝子の働き方も違っていたが、その研究の設計からは結論が限られる、とレビューは書く。[4]

なぜ筋肉の症状が出るのかは、まだ決着していない。2020年のレビューは、細胞のミトコンドリアの代謝の変化、コエンザイムQ10やビタミンDの低下、カルシウムの調節の乱れ、細胞の外のグルタミン酸の増加、遺伝子の違いを候補に挙げ、どれも合意に至っていないとした。[6] 原因はおそらく一つではない、というのが著者らの見立てである。[6]

実際の診療の中では、どのくらいの人が訴えるのか。1つの施設で急性冠症候群の患者289人を追った研究では、退院時にスタチンを出された269人の97.0%が高い強度のスタチンだった。[19] 3か月後に副作用を訴えたのは6.0%で、筋肉が3.6%、肝臓が1.2%、胃腸が1.2%だった。[19] 3か月後も飲み続けていた人は98.4%で、BMIが30以上の人と30未満の人の間で、筋肉や肝臓の副作用に有意な差は無かった。[19] 著者らは、筋肉の副作用は予想どおりの頻度だったが、それがスタチンのせいだと言い切れる保証は無い、と添えている。[19]

筋肉が痛む、だるい、力が入らない、と感じたときに大事なのは、その症状が薬によるものかを自分で決めないことだ。痛みや力の入らなさが強いときや続くときは、次の受診を待たずに、薬を出した医師か薬剤師に連絡する。軽いものも、出た日、運動の内容、続いた日数を伝え、薬をやめるか、替えるか、量を変えるかは、医師と一緒に決める。原因の候補がこれだけ多く、訴えの一部は薬と無関係でもありうる以上、自分の判断で薬をやめるのは、確かめる前に答えを決めることになる。[6][19]

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運動中の脂肪の燃え方は、薬で落ちなかった

ダイエットの読者にとって気になるのは、スタチンを飲んでいると運動中に脂肪が燃えにくくなるのではないか、という点だろう。2023年の試験は、この問いを直接調べた。[15]

対象は、肥満と脂質異常症があり、メタボリックシンドロームのある、ふだんから運動している12人である。[15] 参加者は、スタチンを飲んでいる状態と、96時間スタチンを休んだ状態の両方で、自転車こぎを75分続けた。[15] どちらの順で行うかは無作為に決め、参加者にも研究者にも伏せる二重盲検で行われた。[15] 強さは最大酸素摂取量の54%、METsにして5.7で、論文は速歩きに相当すると書いている。[15]

休薬した状態では、安静時のLDLコレステロールが2.55から3.16mmol/Lに、総コレステロールが4.39から4.98mmol/Lに上がった。[15] 薬が効いていたことは、この差で確かめられる。安静時の脂肪の燃え方は、スタチンを飲んでいる状態で0.99、休薬した状態で0.76μmol/kg/分で、差は有意ではなかった(p=.068)。[15] 70分こいだ時点の脂肪の燃え方は、2.94と3.06μmol/kg/分で、ほぼ同じだった(p=.875)。[15] 運動中に血液から糖が使われる速さ(23.9と24.5)も、脂肪の分解で出るグリセロールが血液に出てくる速さ(8.5と7.9)も、変わらなかった。[15]

著者らは、肥満と脂質異常症とメタボリックシンドロームのある人では、スタチンは安静時にも、速歩きくらいの強さで長く続ける運動の間にも、脂肪を動かして燃やす力を損なわないと結論した。[15] そして、スタチンと運動を組み合わせることは、脂質異常症をよりよく管理する助けになりうる、と付け加えている。[15]

12人の試験で、休薬は4日間だけである。長く飲み続けた人と長く休んだ人を比べる設計は、とられていない。それでも、「スタチンのせいで運動しても脂肪が燃えない」という心配には、少なくともこの条件では根拠が見つからなかった。念のために書いておくと、この96時間の休薬は研究の手順として組まれたもので、読者が自分で試すものではない。

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体重とスタチンの数字は、どちらの向きにも出る

体重そのものとの関係はどうか。ここは研究が少なく、向きもそろっていない。

2型糖尿病の人を調べた後ろ向きの研究は、1年の間に体重が減った100人と、減らなかったか増えた102人を比べた。[14] アスピリンかスタチン、またはその両方を使っていた人の割合は、体重が減った群で85.0%、減らなかった群で71.5%だった(P=0.018)。[14] 年齢、性別、開始時のBMI、診断からの年数、糖尿病の飲み薬、ほかの病気を調整しても、これらの薬を使っていたことは体重が減ったことと関連し、オッズ比は2.3(95%信頼区間1.1〜4.8)だった。[14]

ただ、この研究で薬を使っていた158人は、使っていない人より年齢が高く(64.2歳と60.6歳)、糖尿病の年数が長く(14.5年と9.0年)、脂質異常症(72%と19%)、高血圧(57.3%と38.1%)、心臓と血管の病気(37.7%と9.5%)も多かった。[14] しかも、ここでの薬はアスピリンとスタチンをひとまとめにしたものである。[14] 著者ら自身、薬の役割を決めるには無作為化試験が要ると書いている。[14] この数字から「スタチンで痩せる」と読むのは、試験が出るまで待つべきだろう。

反対の向きの報告もある。先の2016年のレビューが紹介した研究では、筋肉痛のあるスタチン使用者は、使っていない人よりお腹の脂肪が多かった。[4] ただしこれも、設計の限られた1つの研究の結果である。[4]

体重がスタチンを飲む人の先の健康にかかわることを示す数字は、別の形で出ている。ギリシャの脂質の専門外来に3年以上通った人を振り返った研究では、スタチンで治療された882人のうち94人(11%)が、中央値6年の間に2型糖尿病を新たに発症した。[10] 発症と独立に関連していたのは、年齢(オッズ比1.05)、糖尿病の家族歴(3.58)、空腹時血糖の異常(6.56)、太りすぎか肥満(2.65)、動脈硬化を進めやすい脂質の型(3.27)、そして高い強度のスタチン(3.51)だった。[10] 太りすぎか肥満の人に限ると、動脈硬化を進めやすい脂質の型のオッズ比は5.60まで上がった。[10]

この研究からも、スタチンを飲んでいる人にとって、体重と血糖の数字が意味を持ち続けることは読み取れる。高い強度のスタチンの数字を見て、自分で薬の量を下げたくなるかもしれない。だが、この研究は1つの外来を振り返ったもので、薬の強さを下げた人がその後どうなったかは調べていない。[10] 量を決めるのは医師で、読者にできるのは、血糖の検査の時期を次の受診で尋ねることである。

体力と薬を合わせて見た、10年あまりの記録

運動の能力そのものに目を向けた研究もある。米国のワシントンとパロアルトの退役軍人医療センターで、1986年から2011年に運動負荷試験を受けた2型糖尿病の男性の退役軍人3,775人(平均58.9歳)の、前向きの観察データである。[9] 平均10.5年の追跡の間に930人が亡くなった。[9]

調整した分析では、スタチンを飲む人の死亡の危険は、飲まない人より34%低かった(ハザード比0.66、信頼区間0.57〜0.77)。[9] 体力と組み合わせると、体力の最も低い群どうしでは、スタチンを飲まない人の死亡の危険が飲む人より44%高かった。[9] 体力が上がるほど危険は順に下がり、運動負荷試験で9METsを超えた最も体力の高い人では、ハザード比がスタチンを飲む人で0.40、飲まない人で0.51だった。[9] 著者らは、スタチンを飲むことは生存の長さと関連し、その関連は体力と合わさるとさらに強まったと結論している。[9]

同じ研究には、体重について意外な数字もある。BMIが18.5〜24.9の人の死亡の危険は、BMI30〜34.9の肥満の人より高かった(ハザード比1.54)。[9] ところが、この逆転はスタチンを飲まない人でだけ見られ(1.79)、飲む人では見られなかった(1.06、P=.70)。[9] 著者らはこれを逆説的な関連と呼び、臨床にとって新しい意味があると書いた。[9] 観察研究で、なぜそうなったかを確かめた結果ではない。これを「痩せないほうがよい」と読むのは早い。

ここで注目したいのは、スタチンを飲まない人でも、最も体力の高い群ではハザード比が0.51まで下がっていたことだ。[9] 運動負荷試験で測った体力は、薬と並んで、記録に残る差になって表れていた。これも観察研究で、体力を上げれば危険が下がると確かめた試験ではない。

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飲みながら動くことについて、いま言えること

2020年のレビューは、ほとんどの調べられた集団で、スタチンが運動による体の適応を妨げたり運動の能力を下げたりするという証拠は限られているとまとめた。[6] そして、スタチンを飲みながら体を動かすことの益は、危険を大きく上回ると結論している。[6]

観察研究では、飲む人の活動が少し少ないという結果と、むしろ多いという結果が両方ある。[5][20] 無作為化試験を束ねると、体力の検査の数字に差は見えなかった。[11] 筋肉の痛みの訴えは増えうるが、筋力や持久力は一貫しては落ちない。[3] 速歩きくらいの運動中の脂肪の燃え方は、薬で変わらなかった。[15] 体重との関係は、研究が少なく、向きもそろっていない。[4][14]

薬の袋と運動靴は、同じ玄関に並べておいてかまわない。歩く速さと時間の上限だけは、薬を出した医師に一度確かめておく。

よくある誤解

「スタチンを飲み始めたら、運動は控えたほうがいい」と思われることがある。スタチンと偽薬などを比べた16の無作為化比較試験を集め、そのうち6試験を束ねた分析では、体力の検査の数字に有意な差は無く、飲みながら体を動かす益は危険を大きく上回るとするレビューもある。[6][11]

「筋肉が痛くなったら、自分の判断で薬をやめればいい」というのも誤解である。筋肉の症状の原因の候補は多く、まだ決着していない。[6] 診療の中で筋肉の副作用を訴えた人でも、それがスタチンのせいだと言い切れる保証は無いとされた。[19]

「スタチンを飲んでいると、運動しても脂肪が燃えない」と言われることもある。12人の試験では、薬を飲んでいる状態と休んだ状態で、75分の運動中の脂肪の燃え方に差は無かった。[15]

今日からできること

運動の量と強さは、スタチンを出している医師と相談して決める範囲の中で、次の数を自分で決めておく。

  • 中くらいの強さの活動を1日に何分にするかを決める。スタチンを飲む高齢の男性は、飲まない男性より、この強さの活動が1日5.4分短かった。[5]
  • 座って過ごす時間を、1日のうちどの時間帯で減らすかを決める。同じ研究で、飲む人は座っている時間が1日7.6分長かった。[5]
  • 速歩きくらいの強さで続ける運動を、1回何分にするかを決める。この強さで75分こいだ試験では、スタチンを飲んでいても運動中の脂肪の燃え方は落ちなかった。[15]
  • 筋肉の痛みやだるさが強いときや続くときは、次の受診を待たずに、薬を出した医師か薬剤師に連絡する。軽いものは、出た日、その前の運動、続いた日数を書き留め、次の受診で見せる。薬を自分でやめたり減らしたりはしない。[3][6]

コレステロールの薬と並べて続けるもの

スタチンの試験で差が見えなかったのは体力の検査の数字で、ふだんどれだけ体を動かすかは、暮らしの側で決まっていく。

医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。スタチンを飲んでいる人、とくに飲み始めたばかりの人や筋肉の症状がある人は、溶岩ホットヨガの前に薬を出した医師に相談し、常温のヨガから選んでほしい。

オンザショア立川店には、ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガと、常温のヨガに分かれる。ヨガのほかに、ピラティス、HIIT、ボクササイズ、女性専用のキックボクササイズ、パーソナルトレーニングもある。

60分のヨガ体験は税込1,980円で、バスタオル2枚とフェイスタオル1枚、ヨガマットも料金の中で借りられる。

店があるのは東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fで、JR立川駅北口を出て徒歩1分。8:00〜23:30の間なら、年中無休でどの曜日も同じように開いている。

料金は料金のページ、体験の申し込みはヨガ体験の予約、店の全体はトップページで見られる。

次の受診では、スタチンの話の続きに、週に何日、どのくらいの強さまで体を動かしてよいかの目安も聞き取る。

参考文献

[3] The effects of statins on exercise and physical activity. — Noyes et al., 2017, Journal of clinical lipidology. DOI: 10.1016/j.jacl.2017.07.003

[4] An update on the relationship between statins and physical activity. — Panza et al., 2016, Current opinion in cardiology. DOI: 10.1097/HCO.0000000000000317

[5] Statins and physical activity in older men: the osteoporotic fractures in men study. — Lee et al., 2014, JAMA internal medicine. DOI: 10.1001/jamainternmed.2014.2266

[6] The impact of statins on physical activity and exercise capacity: an overview of the evidence, mechanisms, and recommendations. — Schweitzer et al., 2020, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-020-04360-2

[8] The effect of statins on falls and physical activity in people aged 65 and older: A systematic review. — Densham et al., 2024, European journal of clinical pharmacology. DOI: 10.1007/s00228-024-03632-6

[9] Statins modulate the mortality risk associated with obesity and cardiorespiratory fitness in diabetics. — Nylén et al., 2013, The Journal of clinical endocrinology and metabolism. DOI: 10.1210/jc.2013-1431

[10] Atherogenic dyslipidemia increases the risk of incident diabetes in statin-treated patients with impaired fasting glucose or obesity. — Barkas et al., 2019, Journal of cardiology. DOI: 10.1016/j.jjcc.2019.02.009

[11] The Effects of Statins on Physical Activity or Physical Fitness Among Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. — Gadowski et al., 2019, Journal of aging and physical activity. DOI: 10.1123/japa.2018-0305

[14] The effect of anti-inflammatory (aspirin and/or statin) therapy on body weight in Type 2 diabetic individuals: EAT, a retrospective study. — Boaz et al., 2009, Diabetic medicine : a journal of the British Diabetic Association. DOI: 10.1111/j.1464-5491.2009.02747.x

[15] Chronic Statin Treatment Does Not Impair Exercise Lipolysis or Fat Oxidation in Exercise-Trained Individuals With Obesity and Dyslipidemia. — Alvarez-Jimenez et al., 2023, International journal of sport nutrition and exercise metabolism. DOI: 10.1123/ijsnem.2022-0175

[19] Impact of obesity on tolerance and persistence of statins in patients within 3months following an acute myocardial infarction: A real-world study. — Brobst et al., 2025, Archives of cardiovascular diseases. DOI: 10.1016/j.acvd.2024.10.332

[20] Association between the intensity of statin therapy and physical activity 1 year after acute coronary syndrome: a multicentre prospective cohort study in Switzerland. — Boudon et al., 2025, BMJ open. DOI: 10.1136/bmjopen-2024-088262

冒頭の写真: 白い皿の上に載せた、偽薬(プラセボ)の錠剤と本物の薬の錠剤を写した写真(写真: epSos .de / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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宮川涼 Founder
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