お尻と太ももの脂肪は悪者なのか 腹囲が同じなら、腰回りの大きい人ほど糖尿病は少なかった

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お尻と太ももの脂肪は、長く寝かせる貯金箱に近い

腰回りの大きさは、なぜ守る側に回るのか。2010年の総説は、お尻と太ももの脂肪に特有の守る働きがあるという証拠を整理した[1]。人の集団の研究では、お尻と太ももの脂肪の量が多いことが、ほかの要因と独立に、好ましい脂質と血糖の状態や、心臓・血管と代謝の病気の危険の低さと結びついていた[1]。

鍵になるのは、脂肪のため方と出し方である。お尻と太ももの脂肪は、脂肪を分解して血中に出す働きと、血中の脂肪酸を取り込む働きの両方で、腹部の脂肪とは性質が違う[1]。日々の代謝では腹部の脂肪より受け身で、余った脂肪酸を長い期間ためこむことで体を守っている、と総説はみる[1]。腹部の脂肪を、毎日出し入れする財布にたとえるなら、お尻と太ももの脂肪は、めったに開けない貯金箱に近い。

貯金箱に入りきらない脂肪酸は、肝臓や筋肉など、本来は脂肪をためない場所にたまる。総説は、お尻と太ももの脂肪の役目を、余分な脂肪酸を長く閉じこめ、こうした場所に脂肪がたまる害から体を守ることにあるとまとめている[1]。脂肪組織が出すホルモンの面でも、お尻と太ももの脂肪が多いほどレプチンとアディポネクチンが多く、炎症を起こす物質は少なかった[1]。体の炎症の目印が減量でどう動くかは「減量で炎症はおさまるのか 1年でCRPが4割下がった試験と、10%痩せても動かなかったIL-6」が扱う。

逆の側の証拠もある。クッシング症候群や脂肪萎縮症のように、お尻と太ももの脂肪が失われる状態では、代謝と心臓・血管の危険が高まる[1]。ただしこれは、病気で下半身の脂肪が失われた状態の話で、減量で脚が細くなる場合と同じだとは、総説は書いていない。

遺伝子の側から確かめた研究もある。10,052人と7,840人の2つの集団で血中のバスピンという物質を測った研究では、バスピンが1標準偏差多いと、2型糖尿病の新たな発症は16%多かった(ハザード比1.16)[2]。この研究は、生まれつきの遺伝子の違いをくじ引きのように使って因果を推し量る、メンデルランダム化という方法も使った[2]。その解析では、遺伝的に決まるお尻と太ももの脂肪が1標準偏差少ないごとに、バスピンは0.10標準偏差増えていた[2]。お腹の皮下脂肪や内臓脂肪とバスピンの間には関係が見られなかった[2]。お尻と太ももの脂肪が少ないことと糖尿病の危険を結ぶ物質の候補が1つ見つかった、という段階の研究である。

先の米国の調査でも、脚の脂肪が糖尿病を遠ざける向きの関係のうち、36.18%はインスリンの効きの良さを通じたものと計算された[4]。残りの部分の中身は、この研究からは分からない。

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太ももの太さは、脂肪の量だけを映していない

太ももの太さと脂肪の量は、同じものだろうか。日系アメリカ人を対象にした研究がそれを確かめた。糖尿病のない489人の、太ももの皮下脂肪、お腹の皮下脂肪、内臓脂肪の面積をCTで測り、太ももの中ほどの周囲をメジャーで測って、10年追った[17]。その間に103人が糖尿病になった[17]。

年齢、性別、BMI、お腹の皮下脂肪、内臓脂肪で調整すると、太ももの皮下脂肪の面積は、糖尿病の発症と独立した関係を示さなかった(1標準偏差ごとのオッズ比0.8、95%信頼区間0.5〜1.2)[17]。発症と独立に結びついていた脂肪は、内臓脂肪だけだった[17]。一方、メジャーで測った太ももの周囲は、糖尿病の起こりにくさと境界線上の関係を示した(オッズ比0.7、95%信頼区間0.5〜1.0)[17]。著者らは、ほかの研究で見られてきた太ももの太さと糖尿病の逆向きの関係は、太ももの皮下脂肪の量によるものではない、と論じている[17]。

では何によるのか。この研究は、そこまでは答えていない。太ももの周囲には脂肪のほかに筋肉も骨も含まれるが、それらが関係を運んでいるかは、この研究では確かめられていない。少なくとも、太ももの脂肪を増やせば糖尿病が遠ざかる、という読み方は、この結果からはできない。メジャーで測った「太さ」と、CTで見た「脂肪」は、別の数字として扱ったほうがよい。

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腰回りを細くしても、危険は動かなかった

もう1つ、気になる研究がある。先のデンマークとスウェーデンの女性2,867人の研究は、最初の時点の腰回りに加えて、6年の間の腰回りの変化も調べていた[8]。最初の時点で腰回りが小さい女性は死亡の危険が高かった一方、6年の間に腰回りが増えたか減ったかは、死亡とも心臓・血管の病気とも結びついていなかった[8]。

著者らは、腰回りが小さいことに伴う危険は、お尻と太ももの量の変化とは独立した「もともとの危険」で、変えられる性質のものではなさそうだ、と結論している[8]。腰回りを細くしても危険は下がらず、逆に腰回りを太くしようとしても危険は下がらない、という読み方になる。下半身痩せに励んできた人には肩透かしの結果だが、死亡と病気との関係で見るかぎり、6年の間に腰回りの数字を動かすことに意味は見えなかった。

ここで役に立つのは、腹囲と腰回りの使い分けである。腹囲を腰回りで割った比は広く使われてきたが、2型糖尿病の患者で高血圧という限られた場面を調べた研究では、思わしくない結果が出ている。高血圧のない患者1,685人を平均4.8年追った研究で、高血圧の発症を見分ける力は、腹囲身長比0.609、BMI0.571、腹囲と腰回りの比0.518だった[3]。この値は1に近いほど見分けがよく、0.5なら当て推量と変わらない。腹囲と腰回りの比は、ほとんど当て推量に近かったことになる。系統的レビューも、腹囲と腰回りは比にせず、2つの数字として一緒に扱うことで予測がよくなるかもしれないと述べていた[19]。大きなお腹の危険と大きな腰回りの守りを1つの割り算に入れると、互いの情報を打ち消し合うのかもしれない。

測り方の違いも、数字を動かす。60人の腹囲と腰回りを、3次元の体表スキャナーと、訓練を受けた人の手によるメジャーの両方で測った研究では、スキャナーの値のほうが大きく、女性で腹囲が4.7cm、腰回りが3.0cm、男性で腹囲が1.5cm、腰回りが2.3cm上回った[14]。ただし2つの測り方の相関は0.96〜0.98と強く、スキャナーで繰り返し測った値もよくそろっていた[14]。同じ方法で測り続ければ変化は追えるが、方法を変えた日の数字は、前の日の数字と並べても比べたことにならない。

よくある誤解

「下半身の脂肪は、お腹の脂肪と同じように体に悪い」と思われがちだ。腰回りだけで比べればそう見えるが、BMIと腹囲をそろえると、腰回りの大きい人ほど血管と代謝の病気による死亡が少なかった[5]。調整の有無を問わない18件のまとめでも、腰回りが大きいほど2型糖尿病の危険は低かった[10]。お尻と太ももの脂肪には、余分な脂肪酸を長くためて、ほかの場所に脂肪がたまるのを防ぐ働きがあるとされる[1]。

「腰回りを細くすれば、体の危険も下がる」という期待もある。6年の間の腰回りの変化は、死亡とも心臓・血管の病気とも結びついていなかった[8]。腰回りの小ささに伴う危険は、変えにくい性質のものと考えられている[8]。

「太ももが太い人ほど糖尿病が少ないのは、太ももの脂肪が多いから」と考えやすい。日系アメリカ人の研究では、メジャーで測った太ももの周囲は糖尿病の起こりにくさと境界線上の関係を示したが、CTで測った太ももの皮下脂肪の面積は、ほかの脂肪とBMIで調整すると独立した関係を示さなかった[17]。著者らは、太ももの太さと糖尿病の関係は皮下脂肪の量によるものではない、と論じている[17]。

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今日からできること

  • 腹囲と腰回りを、同じメジャーと同じ方法で何週ごとに測るかを決める。スキャナーと手で測った値は、女性で腹囲が4.7cm、腰回りが3.0cm違った[14]。
  • 減量の目標は、腰回りではなく腹囲を何cm減らすかで決める。BMIと腹囲をそろえると、腹部の目印は死亡と結びつき続け、腰回りは逆の向きになった[5]。ただし、この研究が調べたのは最初の時点の値と死亡の関係で、腹囲を減らしたときの変化ではない。
  • 腹囲を減らす目標の期限を何か月後にするかを決め、その間は腰回りの増減で成果を判断しない。腰回りがもともと小さい人も、太くしようとして食べる量を増やさない。6年の間の腰回りの増減は、死亡とも心臓・血管の病気とも結びついていなかった[8]。
  • 自分のBMIを計算し、23.6以下なら、脚やお尻だけを細くする目標を立てるかどうかを考え直す。上海の研究では、BMIが中央値の23.6以下の人で、腰回りの大きい人ほど糖尿病が少ない関係が強かった[20]。

腹囲と腰回りを別々に読むために

腰回りを細くしても危険は動かなかった研究を読むと、下半身だけを細くする目標より、腹囲と腰回りを並べて見守る習慣のほうが筋に合う。ヨガもそれ以外の運動も選べるオンザショア立川店は、その習慣の脇で体を動かしたい人に開いている。

ヨガだけでも25種類以上のレッスンがあり、溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガと常温のヨガに加えて、ピラティス、HIIT、ボクササイズ、女性専用のキックボクササイズ、パーソナルトレーニングが選べる。はじめての人向けのヨガの体験は60分、税込1,980円で、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットの貸し出しも入る。

医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。糖尿病や心臓の病気で通院している人は、溶岩ホットヨガに加わってよいかを主治医に尋ね、それまでは常温のヨガを選ぶ。

スタジオは東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅の北口から1分で、8:00〜23:30の年中無休だ。くわしくはオンザショアのトップページ、料金表、ヨガ体験の申し込みへ。

次に腰回りにメジャーを回すときは、お尻のいちばん出たところに高さを合わせ、出た数字を腹囲で割らずに、そのまま腹囲と見比べる。

参考文献

[1] Gluteofemoral body fat as a determinant of metabolic health. — Manolopoulos et al., 2010, International journal of obesity (2005). DOI: 10.1038/ijo.2009.286

[2] Vaspin: A Novel Biomarker Linking Gluteofemoral Body Fat and Type 2 Diabetes Risk. — Wang et al., 2024, Diabetes care. DOI: 10.2337/dc23-1488

[3] Waist-To-Height Ratio Is a More Accurate Tool for Predicting Hypertension Than Waist-To-Hip Circumference and BMI in Patients With Type 2 Diabetes: A Prospective Study. — Moosaie et al., 2021, Frontiers in public health. DOI: 10.3389/fpubh.2021.726288

[4] Sex-specific protective role of lower-body fat in type 2 diabetes: mediation through insulin resistance in a BMI-matched population. — Wang et al., 2025, BMJ open diabetes research & care. DOI: 10.1136/bmjdrc-2025-005397

[5] Abdominal and gluteo-femoral markers of adiposity and risk of vascular-metabolic mortality in a prospective study of 150 000 Mexican adults. — Gnatiuc et al., 2022, European journal of preventive cardiology. DOI: 10.1093/eurjpc/zwab038

[6] Hip circumference and cardiovascular morbidity and mortality in men and women. — Heitmann et al., 2004, Obesity research. DOI: 10.1038/oby.2004.54

[8] Does change in hip circumference predict cardiovascular disease and overall mortality in Danish and Swedish women? — Lanfer et al., 2014, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1002/oby.20604

[10] Hip circumference, height and risk of type 2 diabetes: systematic review and meta-analysis. — Janghorbani et al., 2012, Obesity reviews : an official journal of the International Association for the Study of Obesity. DOI: 10.1111/j.1467-789X.2012.01030.x

[14] Measurement of waist and hip circumference with a body surface scanner: feasibility, validity, reliability, and correlations with markers of the metabolic syndrome. — Jaeschke et al., 2015, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0119430

[17] Subcutaneous thigh fat area is unrelated to risk of type 2 diabetes in a prospective study of Japanese Americans. — Hoyer et al., 2011, Diabetologia. DOI: 10.1007/s00125-011-2275-5

[19] A systematic review of the impact of including both waist and hip circumference in risk models for cardiovascular diseases, diabetes and mortality. — Cameron et al., 2013, Obesity reviews : an official journal of the International Association for the Study of Obesity. DOI: 10.1111/j.1467-789X.2012.01051.x

[20] Hip circumference and the risk of type 2 diabetes in middle-aged and elderly men and women: the Shanghai women and Shanghai men’s health studies. — Conway et al., 2011, Annals of epidemiology. DOI: 10.1016/j.annepidem.2011.02.005

冒頭の写真: ベルトを締めたジーンズをはいた、腰から下だけの形のマネキンが店の床に並んでいる(写真: Mark Hillary / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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