太る原因は糖質かカロリーか 炭水化物・インスリン説とエネルギー収支説の論争

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1年の減量試験を、糖質の側から読み直すと

体重を測るだけの減量試験でも、二つの説は火花を散らしている。「遺伝子検査で食事を選ぶと痩せやすいのか 体質別ダイエットを比べた試験の結果」で扱った1年の試験DIETFITSは、健康的な低糖質と低脂肪のどちらの食事でも、意味のある減量ができることを示した。[5] ここで見るのは、2023年にそのデータを炭水化物・インスリン説の目で読み直した解析である。

読み直しの出発点は、どちらの食事でもグリセミック負荷が大きく下がっていたことだ。[5] グリセミック負荷は、食べた炭水化物の血糖の上げやすさに量を掛け合わせた目安である。低脂肪の群でも、グリセミック負荷は下がっていたことになる。それなら、体重を減らしたのは脂質の削減か、炭水化物の質と量の変化か。

全員を合わせて見ると、炭水化物にかかわる指標、つまり炭水化物の総量、血糖の上げやすさ、加えた砂糖、食物繊維が、3か月、6か月、12か月のどの時点でも減量と強く結びついていた。[5] 脂質の総量にかかわる指標の結びつきは、弱いか、無かった。[5]

血液の値も同じ向きを示した。炭水化物の食べ方を映す目印とされる、中性脂肪とHDLコレステロールの比は、どの時点でも減量を予測した。[5] 血液の目印が標準偏差1つ分動くごとの体重の差は、3か月で1.1kg、6か月で1.7kg、12か月で2.6kgだった。[5] 脂質の食べ方の目印とされたLDLとHDLのコレステロールの和は、どの時点でも予測しなかった。[5] さらに、カロリーの摂取量が体重の変化に効いて見える部分のうち、多くはグリセミック負荷の低下で説明できた。[5]

インスリンの出方との組み合わせも調べられた。開始時のインスリン分泌とグリセミック負荷の下がり方で参加者を5つずつに分けると、減量の大きさがインスリン分泌によって変わる気配があった。その組み合わせの効果を示すP値は、3か月で0.0009、6か月で0.01、12か月で0.07だった。[5] 時間がたつほど値は大きくなり、12か月では有意とは言えない値になっている。

著者らは、説の予測どおり、二つの群の減量は脂質やカロリーよりグリセミック負荷の低下で動いていたようで、インスリン分泌の多い人で目立つかもしれないと結論した。[5] 同時に、探索のための解析なので慎重に読むべきだとも書いている。[5] くじで分けたのは低脂肪か低糖質かであって、炭水化物を減らした量ではない。炭水化物を多く減らした人は、ほかの点でも食べ方を大きく変えた人だった可能性がある。この解析が示すのは、試験の中での結びつきまでだ。

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インスリンが先か、太ったのが先か

炭水化物・インスリン説の根っこには、インスリンの出方が体重を増やす、という前提がある。[11] しかし、空腹時のインスリンが高いのは、太ったことでインスリンが効きにくくなった結果でもありうる。[11] 鶏が先か卵が先かのこの問題に、遺伝子を使って切り込んだ研究がある。

使われたのは、メンデルのランダム化と呼ばれる方法だ。生まれつきの遺伝子の違いは、生活の影響を受ける前にくじのように割り振られている。インスリンを多く出しやすい遺伝子の違いを持つ人がBMIも高ければ、インスリンの出方が体重の側に働いている、と推し量れる。この研究は、主に欧州系の人の大規模なデータを使った。インスリン分泌のメタ分析は26,037人、BMIのメタ分析は322,154人、さらにイギリスの大規模な住民データ138,541人分である。[11]

結果は、遺伝的に糖を飲んだ30分後のインスリンが高くなる人ほど、BMIも高かった(係数0.098、P=2.2×10⁻²¹)。[11] 逆向き、つまり遺伝的にBMIが高くなる人で、インスリンの値が高いという関係は見られなかった。[11] 著者らは、糖で刺激されたインスリン分泌が体重に因果的に働く証拠で、炭水化物・インスリン説と一致すると結論した。[11]

一方、太った子どもを実際に追った研究は、別の景色を見せた。肥満の外来に通う子どもと若者591人(男子217人、女子374人)が糖を飲む検査を受け、通常の肥満の治療を受けながら、平均1.86年追われた。[16] インスリンの総量、最も高い値、空腹時の値、出始めの勢い、30分後の値のどれも、肥満の度合いがより強まることと結びつかなかった。[16] 食後の血糖が75mg/dL未満に下がることも関係しなかった。[16] 4年を超えて追えた104人に絞っても、結果は同じだった。[16] 著者らは、もっとBMIの低い子どもで、もっと長く追って確かめる必要があるとしている。[16]

遺伝子の解析と子どもの追跡は、対象(主に欧州系の人の大規模な遺伝子データと、肥満の外来に通う子ども)も方法も違う。

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審判役の論文は、どちらにも軍配を上げていない

この論争には、中立の立場から交通整理を試みた論文がある。2023年の論考によれば、二つの説はどちらも役に立つ知見を生んだが、そもそも説明しようとしているものが根本から違う。[15] そして、肥満が一部の人にだけ増えた理由を、確かめられた仕組みとして示せた説は、まだどちらでもない。[15] そのうえで、説どうしの論争に力を注ぐより、特定の患者の集団で具体的な仕組みを確かめ、それに基づく手立てにつなげるべきだと述べている。[15]

2026年の批判的な総説は、11の筋の証拠を一つずつ検討した。[4] エネルギーをそろえた食事と自由に食べる食事の試験、消費エネルギーの研究、集団の食事の推移、血糖の上げやすさを変えた試験、GLP-1受容体作動薬を使った治療、食べ過ぎの実験、たんぱく質がインスリンを出させる働き、脳でのインスリンの食欲への作用などである。[4] いくつかの結果は今の形の説とも合うが、たんぱく質はインスリンを出させるのに太らせない方向に働くこと、脳ではインスリンが食欲を抑える側に働くことは、説の中心の予測と折り合いにくい。[4]

この総説は、ただ一つの筋の証拠だけでは結論を出せないとし、説を直接確かめようとした研究の多くは、設計や混じり込む要因、データの限りのため、二つの説を見分けきれないと認めている。[4] それでも全体を見ると、炭水化物・インスリン説は、よくある肥満の成り立ちを十分に説明しきれていない可能性がある。[4] インスリンの動きと炭水化物の質が代謝と体重の調節に関わることは疑いないが、それが肥満の主な原因だという主張は、証拠から一貫して支持されてはいない、というのがその結論である。[4]

エネルギー収支説の研究者らは、さらに踏み込んだ。かつての炭水化物・インスリン説は、脂肪組織に脂肪がたまることこそが、摂取が消費を上回る状態を生む主な原因だと考えていた。新しい形の説はこの中心の主張を手放している、とこの研究者らは指摘する。[6] それなら新しい説は、グリセミック負荷の高い食事に焦点を絞った、エネルギー収支説の特別な場合と見なせる、というのがその主張だ。[6] 相手の説を自分の説の中に入れてしまう、という論じ方である。

二つの説が、同じ方を指している場所

激しい論争だが、日々の食事に下ろすと、重なる部分もある。炭水化物・インスリン説の側の研究者らは、論争の決着を待たずに公衆衛生の手は打てる、なぜなら二つの説はどちらも加工された炭水化物を肥満の大きな原因として狙っているから、と書いている。[10]

違いが残るのは、食べる量を数えることの位置づけだ。炭水化物・インスリン説の側は、決定的な研究が出るまでのあいだ、血糖を上げにくい食事の原則が、脂質やカロリーの制限に焦点を当てる従来のやり方の、実際的な代わりになると述べる。[1] 行動を変える試験をまとめた分析では、グリセミック負荷を下げた食事のほうが低脂肪の食事より減量が大きかったが、長く守り続けるのは難しかった、ともいう。[1]

炭水化物の多い少ないで消費エネルギーが変わるとしても、その向きと大きさは、試験と期間によって1日−50kcalから200kcal台まで揺れている。[8][9][18] 読み手にとっての現実的な答えは、どちらの説を信じるかより、加工度が高く砂糖の多い食品を減らすという、二つの説が重なるところから始め、食べる量の感覚を手放さないこと、になる。

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よくある誤解

「糖質さえ減らせば、カロリーは気にしなくてよい」と受け取られやすい。同じエネルギーのまま糖質を脂質に替えたケトン食では、消費はわずかに増えたものの、体脂肪の減りは速くならなかった。[9] 摂取と消費の差が体に残るという原理は物理の法則で、肥満の原因をどう説明するかとは別の話だとされる。[6]

「インスリンは太るホルモンだから、インスリンを上げる食べ物はみな太る」と考える人もいる。たんぱく質はインスリンを出させるが太らせない方向に働き、脳ではインスリンが食欲を抑える側に働くことが、この単純な見方と合わない証拠として挙げられている。[4]

「エネルギー収支説は、太るのは意志が弱く食べ過ぎるからだという説だ」という理解も広い。エネルギー収支説では、食べる量は脳がホルモンや神経の信号を使い、ほとんど意識の外で、体の必要と環境に合わせて調節するとされる。[6]

今日からできること

  • 減量の後に体重を保つ時期に、炭水化物の割合を今より下げた食事を試すかを決め、試すなら何週続けて体重の幅を見るかを決める。減量後の20週の試験では、炭水化物の少ない食事ほど1日の消費の変化が大きかった。[8] 糖尿病などで薬を使っている人は主治医と、痩せ型の人や食べ方の乱れを経験した人は医師と、炭水化物を大きく減らす前に話し合う。
  • 主食を減らした分を、脂質の多いおかずで同じだけ埋めていないかを、週に何回見直すかを決める。代謝病棟の試験では、同じエネルギーのまま糖質を脂質に替えても、消費の増え方は測定の限界に近い小ささだった。[9]
  • 加えた砂糖の多い飲み物や菓子を週に何回までにするか、食物繊維の多い主食に替える食事を週に何回にするかを決める。1年の減量試験の読み直しでは、加えた砂糖や食物繊維など炭水化物の質の指標が減量と結びついていた。[5]
  • 血糖を上げにくい食べ方に切り替えるなら、何か月続けるかを決め、守れなくなった週にどこまで戻すかも決めておく。行動の試験では減量が大きかった一方、長く守るのが難しかった。[1]

糖質かカロリーかの答えを待つあいだに

二つの試験が食い違ったのは食事の中身についてで、体を動かす習慣のほうは、どちらの説の勝ち負けにも左右されずに続けられる。

オンザショア立川店があるのは、JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。朝8:00から夜23:30まで年中無休で開いているから、主食を減らした日の夕方にも、普段どおり食べた日の夜にも寄れる。

レッスンは、溶岩プレートの上で行うホットヨガ、常温のヨガ、ピラティスに、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングまであり、ヨガだけで25種類以上ある。

体験できるのはヨガで、60分のレッスンが税込1,980円、バスタオル2枚とフェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルも料金の内に入っている。申し込む前に、利用の決まりも見ておく。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

店の案内はオンザショアのホームページ、料金は料金の表、ヨガの体験は体験の申し込みにまとまっている。

次に「糖質かカロリーか」という見出しを見かけたら、その話が消費エネルギーを測った試験か、体脂肪を測った試験かを、本文を読む前に確かめる。

参考文献

[1] The Carbohydrate-Insulin Model of Obesity: Beyond “Calories In, Calories Out”. — Ludwig et al., 2018, JAMA internal medicine. DOI: 10.1001/jamainternmed.2018.2933

[2] A review of the carbohydrate-insulin model of obesity. — Hall, 2017, European journal of clinical nutrition. DOI: 10.1038/ejcn.2016.260

[4] Does the Carbohydrate-Insulin Model Explain Obesity? Evidence from Mechanistic and Clinical Studies: A Critical Review. — Ashtary-Larky, 2026, Current obesity reports. DOI: 10.1007/s13679-026-00751-2

[5] Evidence for the carbohydrate-insulin model in a reanalysis of the Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success (DIETFITS) trial. — Soto-Mota et al., 2023, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.1016/j.ajcnut.2022.12.014

[6] The energy balance model of obesity: beyond calories in, calories out. — Hall et al., 2022, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.1093/ajcn/nqac031

[8] Effects of a low carbohydrate diet on energy expenditure during weight loss maintenance: randomized trial. — Ebbeling et al., 2018, BMJ (Clinical research ed.). DOI: 10.1136/bmj.k4583

[9] Energy expenditure and body composition changes after an isocaloric ketogenic diet in overweight and obese men. — Hall et al., 2016, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.3945/ajcn.116.133561

[10] Competing paradigms of obesity pathogenesis: energy balance versus carbohydrate-insulin models. — Ludwig et al., 2022, European journal of clinical nutrition. DOI: 10.1038/s41430-022-01179-2

[11] Genetic Evidence That Carbohydrate-Stimulated Insulin Secretion Leads to Obesity. — Astley et al., 2018, Clinical chemistry. DOI: 10.1373/clinchem.2017.280727

[15] Moderating “the great debate”: The carbohydrate-insulin vs. the energy balance models of obesity. — Flier, 2023, Cell metabolism. DOI: 10.1016/j.cmet.2023.03.020

[16] Lack of Evidence for a Causal Role of Hyperinsulinemia in the Progression of Obesity in Children and Adolescents: A Longitudinal Study. — Halloun et al., 2022, Diabetes care. DOI: 10.2337/dc21-2210

[18] Do Lower-Carbohydrate Diets Increase Total Energy Expenditure? An Updated and Reanalyzed Meta-Analysis of 29 Controlled-Feeding Studies. — Ludwig et al., 2021, The Journal of nutrition. DOI: 10.1093/jn/nxaa350

冒頭の写真: かごに盛られた、黄色や緑の平たいパスタを丸めたもの、スパゲッティ、ねじれたパスタなど数種類のパスタ(写真: David Adam Kess / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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宮川涼 Founder
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