食べ物のにおいは食欲を増やすのか減らすのか 嗅覚と体重を結ぶ研究の現在地

コーヒーカップとそのそばに置かれた茶色いコーヒー豆を写した写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

肥満のある人は、においを感じにくいのか

においが食欲を動かすなら、嗅覚の働きそのものは体重とどう関わるのか。Pengらの2019年の系統的レビューは、体重の違う群で嗅覚の能力を比べた観察研究10本と、減量手術のあとの嗅覚の変化を調べた臨床研究9本をもとにしている[1]。標準的な嗅覚の検査で集めたデータについてメタ分析を行い、38のデータの組、1432件の嗅覚の評価をまとめた[1]。

メタ分析は、嗅覚の機能が体重と負の相関を示すことを示唆した[1]。体重が重いほど、においを感じ取る働きが低い方向にある。減量手術では、胃バイパス術を受けた患者が嗅覚の変化をしばしば報告し、袖状胃切除術を受けた人では、より大きく早い変化が見られた[1]。著者らは、肥満と嗅覚の結びつきを示す強い証拠があり、減量手術、とくに袖状胃切除術が、肥満に伴う嗅覚の衰えを戻すのに有効だと結論している[1]。

2025年のBenítez-Ruizらの系統的レビューは、2024年1月までの論文を探し、最初に見つかった11,311本から30本、計2482人の研究を選んだ[2]。介入のない研究21本のうち14本が、体重の重い人で嗅覚の低下を示した。減量手術の研究9本のうち6本は、手術のあとの嗅覚の有意な改善を報告した[2]。

ただし、このレビューは慎重だ。においの情報を受け取る脳の入り口、嗅球の体積を測った研究では、BMIとの相関を見いだしたものが2本ある一方、結果は全体としてそろっていない[2]。著者らは、肥満と嗅覚の間には関係があり、嗅覚の低下を指し示しているとしながらも、データは不均一で、さらに研究が要るとしている[2]。

体の中の物質との関係を調べた研究もある。Pastorらは、低体重から高度の肥満まで5つの区分にわたる女性161人で、嗅覚の能力と血液中の物質を測った[20]。嗅覚は、においを感じ取る濃さ、においの区別、においの名前の当てを合わせた得点で評価した[20]。

肥満と高度の肥満の女性では、この嗅覚の得点が低かった[20]。内因性カンナビノイドと呼ばれる体内の物質の一つ、2-AGの空腹時の濃度は、肥満の人で高かった[20]。年齢、喫煙、月経、避妊薬の使用を調整しても、嗅覚の得点の低さは、2-AGの高さ、体脂肪率の高さ、BMIの高さと、それぞれ独立に結びついていた[20]。マウスでは、この物質の系が、においを感じ取りやすくして食べる量を増やすことが報告されており、人の肥満ではこの系が働き過ぎている[20]。

ここまでの研究の多くは、ある時点で嗅覚と体格を比べたものだ。嗅覚が衰えて太るのか、太ったことで嗅覚が衰えるのかは、この形の研究だけでは決まらない。減量手術のあとに嗅覚が戻るという報告は後者を思わせるが、手術は体重以外にも多くのものを変える。向きを決めるには、まだ材料が足りない。

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喫煙する高齢者では、嗅覚の低さとBMIの低さが並んだ

嗅覚が落ちると太るのか、と問いたくなるが、別の集団では逆向きの心配が語られてきた。年をとって嗅覚が衰えると、食べる楽しみや食欲が落ち、低栄養の一因になると考えられてきた[9]。Fluitmanらは、オランダで地域に暮らす高齢者を追う調査の参加者に、40問のにおいの識別の検査を行った[9]。

解析に入ったのは55〜65歳の673人で、検査の得点の中央値は33だった[9]。ほかの要因を調整すると、得点が低い、つまり嗅覚が衰えていることは、食欲の低下とも、3年後までの体重の変化とも結びついていなかった[9]。一方で、たばこを吸う人に限ると、嗅覚が衰えている人ほどBMIが低かった。たばこを吸わない人では、その関係は見られていない[9]。

著者らは、嗅覚の衰えたたばこを吸う高齢者は、低栄養になりやすい集団かもしれないと結論している[9]。嗅覚の働きと体格の関係は、年齢や喫煙によって、肥満の研究とは違う顔を見せる。

においを足して食べる量を増やそうとした試験もある。Verwijsらは、オランダの4つの介護施設で暮らす認知症の45人を対象に、4週間の観察期間のあと、12週間にわたって主な食事の前に食べ物のにおいを漂わせた[7]。若く健康な人では、食べ物のにおいが食欲と摂取を高めることが示されていたからだ[7]。

食欲の変化は小さかった。1日のエネルギー摂取は、においを使い始めた最初の4週間には変わらず、その後の二つの期間に、それぞれ1日118 kcalと122 kcal増えた[7]。たんぱく質の摂取と体重には有意な変化がなかった[7]。著者らは、臨床的に意味のある変化は見られなかったと結論し、自然な食べ物のにおいや、食事に合わせたにおいを試す研究を求めている[7]。対照群のない、一つの群だけの試験である点も、結果を読むときの条件になる。

においを足せば食べる量が増え、においが衰えれば食べる量が減る。そんな単純な仕掛けではないことを、二つの研究は示している。体重を減らしたい人に向けた話としても、においを操作して食べる量を大きく変えられる、という期待には今のところ届かない。

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同じにおいに飽きても、手は止まらない

においへの飽きは、食べる量を止めるのか。Sailerらは25人に、ココナツのにおいを120回かがせ、そのたびに、においの好ましさ(好き)と、もう一度かぎたいか(欲しい)を評価してもらった[11]。その後、ココナツの菓子を出し、食べた量を測った[11]。

はじめは「好き」も「欲しい」も高かったが、繰り返すうちに、75%の人で下がっていった[11]。下がり方は人によって違い、指数関数の曲線に沿う型が約40%、階段のように段を踏む型が約40%、まっすぐ下がる型が約20%だった[11]。

ところが、菓子を食べた量は、この下がり方の型と関係しなかった[11]。においの心地よさが落ちても、食べ方は変わらなかったように見える[11]。目立ったのは別の点だ。はじめにココナツのにおいを高く評価した人は、ほかの人の2倍の菓子を食べた[11]。においに飽きることより、もともとそのにおいがどれだけ好きかのほうが、食べる量と結びついていた。

同じ論文は、3種類のにおいを交互にかがせた以前の研究とも比べている。においの種類を変えても、かいだときの心地よさ(好き)は変わらなかったが、同じにおいをまたかぎたい動機(欲しい)は変わった[11]。食べ物や触覚の刺激では報告されていない現象で、においに特有かもしれない、と著者らは書く[11]。好きと欲しいが、においでも別々に動く。

Rollsの2011年の総説は、こうした感覚の報酬の側から肥満を論じた[14]。多くの場合、食べ過ぎと肥満は、食べ物が生む感覚の入力の報酬の価値が高まり、それが認知や注意によって変えられ、すでにある満腹の信号を上書きすることと関係している、という主張だ[14]。そのうえで総説は、食べ物の報酬と食べ方に影響する要因の一つや二つではなく、すべてを扱うことが、食べ過ぎと肥満の予防と治療に大切かもしれないと提案している[14]。

においは、その要因の一つにすぎない。においだけを操作しても食べる量が大きく動かなかったという試験の結果は、この総説の見方とも矛盾しない。においは、味、食感、見た目、言葉、注意と束になって、食べ物の報酬を作っている。舌の側から同じ問いを考えた「脂肪の味は減量で感じやすくなるのか 味覚の感受性と体重をめぐる研究の食い違い」も、その束の別の一本を扱っている。

よくある誤解

「おいしそうなにおいをかげば、食べた気になって満たされる」という期待は、実験では裏切られた。食べ物のにおいを20分かぎ続けた実験では、食欲は高まったまま満腹のほうへ転じなかった[5]。香りだけを付けた水は、ただの水と食欲の感じ方が変わらなかった[16]。

「においに敏感な人ほど食べ過ぎて太る」という思い込みもある。系統的レビューのメタ分析が示したのは、体重が重いほど嗅覚の機能が低いという逆向きの関係だった[1]。ただし、別の系統的レビューは、集めたデータが不均一だと書いている[2]。その多くはある時点の比較で、どちらが原因かは、この形の研究だけでは決まらない。

「香りを工夫すれば、食べる量を減らせる」と期待したくなる。香りを複雑にしたヨーグルトでも、香りと味を組み合わせた飲み物でも、満たされた感じは高まったが、食べた量は変わらなかった[19][16]。

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今日からできること

  • 焼き菓子や揚げ物のにおいが強い店先を通らない帰り道を、週に何日選ぶか決める[5]。
  • 香りと甘みのある飲み物を食事前の空腹しのぎにする日を、週に何日までにするか決める。空腹感は下がっても、次の食事の量は変わらなかった[16]。
  • 特に好きな香りの菓子ほど、食べ始める前に何個で終えるかを決めておく。ココナツのにおいを使った研究では、はじめにその香りを高く評価した人が、ほかの人の2倍の菓子を食べていた[11]。
  • においが急に分かりにくくなったと感じたら、自分の判断で食事の量を変える前に医師に伝える。

鼻の外に打つ、もう一つの手

においの工夫だけでは食べる量が大きく動かなかったのなら、鼻の外にも一つ、体を動かす曜日という手を打っておく。オンザショア立川店は、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガを中心に、常温のヨガも行っていて、ヨガのレッスンは25種類以上ある。

スタジオが入るのは東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fで、JR立川駅北口から歩いて1分の距離にある。

鼻ではなく体の状態について、守ってほしい決まりがある。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

ヨガを体験する場合は、60分のレッスンが税込1,980円で、そこにヨガマットとバスタオル2枚、フェイスタオル1枚のレンタルが付く。ヨガのほかの選択肢は、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングの5つ。8:00から23:30まで、一年中休まず開いている。

案内はオンザショアの公式サイト、価格は料金の一覧、体験の申し込みは予約フォームを見るとよい。

レッスンのある日は、駅までの道のうち、においの強い店先を通らない一本を先に決めておく。

参考文献

[1] Systematic review of olfactory shifts related to obesity. — Peng et al., 2019, Obesity reviews : an official journal of the International Association for the Study of Obesity. DOI: 10.1111/obr.12800

[2] Obesity, Olfaction and Cognition: A Systematic Review. — Benítez-Ruiz et al., 2025, Current obesity reports. DOI: 10.1007/s13679-025-00678-0

[5] Odors: appetizing or satiating? Development of appetite during odor exposure over time. — Ramaekers et al., 2014, International journal of obesity (2005). DOI: 10.1038/ijo.2013.143

[7] The Effect of Food Odor Exposure on Appetite and Nutritional Intake of Older Adults with Dementia. — Verwijs et al., 2022, The journal of nutrition, health & aging. DOI: 10.1007/s12603-021-1719-y

[8] Olfactory influences on appetite and satiety in humans. — Yeomans, 2006, Physiology & behavior. DOI: 10.1016/j.physbeh.2006.01.029

[9] The Association of Olfactory Function with BMI, Appetite, and Prospective Weight Change in Dutch Community-Dwelling Older Adults. — Fluitman et al., 2019, The journal of nutrition, health & aging. DOI: 10.1007/s12603-019-1241-7

[11] Still Eating Despite Decreased Olfactory Pleasure-The Influence of Odor Liking and Wanting on Food Intake. — Sailer et al., 2016, Chemical senses. DOI: 10.1093/chemse/bjw052

[14] Taste, olfactory and food texture reward processing in the brain and obesity. — Rolls, 2011, International journal of obesity (2005). DOI: 10.1038/ijo.2010.155

[16] Effects of aroma and taste, independently or in combination, on appetite sensation and subsequent food intake. — Yin et al., 2017, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2017.04.005

[18] Functions of the orbitofrontal and pregenual cingulate cortex in taste, olfaction, appetite and emotion. — Rolls, 2008, Acta physiologica Hungarica. DOI: 10.1556/APhysiol.95.2008.2.1

[19] Acute effects of complexity in aroma composition on satiation and food intake. — Ruijschop et al., 2010, Chemical senses. DOI: 10.1093/chemse/bjp086

[20] A Lower Olfactory Capacity Is Related to Higher Circulating Concentrations of Endocannabinoid 2-Arachidonoylglycerol and Higher Body Mass Index in Women. — Pastor et al., 2016, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0148734

冒頭の写真: コーヒーカップと、そのそばに置かれた茶色いコーヒー豆を写した写真(写真: mcfoodie / CC0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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