更年期のホルモン補充療法でおなかの脂肪は減るのか 体重計に映らない中身と、研究ごとに割れた答え

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減量の薬と重なったときの数字

補充療法そのものではなく、ほかの減量の治療との重なりを調べた研究もある。過体重や肥満の治療のためにセマグルチドという薬を3か月以上使った閉経後の女性を、診療記録から振り返って調べた研究だ[2]。補充療法を使っていた16人と、使っていなかった90人を比べている[2]。平均年齢は56歳と59歳、平均BMIは36と39で、統計的な差はなかった[2]。

体重の減少率は、補充療法のある群が3か月で7%、6か月で13%、9か月で15%、12か月で16%だった[2]。ない群は同じ時点で5%、9%、10%、12%だった[2]。12か月の時点で、5%以上、10%以上減った人の割合も、補充療法のある群で多かった[2]。影響しうる条件を調整しても、この関連は残った[2]。両方の群で、血糖、血圧、血中の脂質の指標は改善した[2]。

数字ははっきりしているが、読み方には注意が要る。振り返りの研究で、補充療法を使っていたのは16人だけだ。補充療法を使っていない群では、白人、脂質の異常、うつの割合が高かった[2]。著者らも、より大きな研究で確かめるべきだと書いている[2]。補充療法が減量の薬の効きを高めた、と言える段階にはない。使っている薬の組み合わせは、主治医と話す材料の一つにとどまる。

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体格の数字と並べて知っておきたいこと

補充療法を考えるとき、体組成だけを見て決めることはない。体重と補充療法が、病気の起こり方にどう関わるかも、研究で示されている。

観察研究の一部には、肥満の女性や黒人の女性では乳がんの危険がほとんど増えないという報告があった[8]。それを確かめるため、閉経後の女性の健康を調べた大規模な2つの無作為化試験を分析した研究がある[8]。この分析では、子宮のある閉経後の女性16,608人がエストロゲンと黄体ホルモン剤の併用か偽薬に、子宮を手術で取った女性10,736人がエストロゲン単独か偽薬に割り付けられた[8]。併用では乳がんの発生が増え(ハザード比1.28、95%信頼区間1.11〜1.48)、エストロゲン単独では減った(ハザード比0.79、95%信頼区間0.65〜0.90)[8]。ハザード比は、ある期間に病気が起こる速さを比べる値で、1より大きいと起こりやすいことを表す。そして、この向きはBMIの区分によっても、黒人と白人の間でも変わらなかった[8]。著者らは、併用と単独は乳がんの発生に逆の効果を持つので、まとめて扱うべきではないと述べている[8]。

米国の乳がんの発生の推移を50年分並べた研究は、2003年に乳がんの発生が急に下がり、その後も低いまま続いたことが、同じ時期の補充療法の使用の減少とだけ連動していたと示した[7]。1982年ごろから2002年ごろまでの増加は、乳房のX線検査の普及と補充療法の使用の両方と連動していた[7]。一方、同じ期間の肥満の増加は、乳がんの発生の推移には表れていなかった[7]。年ごとの全体の数字を並べた研究で、個人の危険を直接測ったものではない。

子宮体がんについては、24本の研究、17,710人の症例を集めたメタ分析がある[13]。BMIが5上がるごとに危険は1.60倍だった[13]。標準のBMIと比べると、BMIが27で1.22倍、32で2.09倍、37で4.36倍、42で9.11倍と、体格が大きくなるほど急に高まっていた[13]。その関係は、補充療法を使ったことのない人で強く(1.90倍)、使ったことのある人では弱かった(1.18倍)[13]。閉経の前か後か、がんの組織の型によって、この関係は変わらなかった[13]。著者らは、体のエストロゲンが過剰になることが、BMIと子宮体がんを結ぶ重要な仕組みだという仮説を支える結果と読んでいる[13]。

英国の閉経後の女性610,604人を平均11.4年追った研究では、手術で確かめられた子宮筋腫で入院した人が3,561人いた[10]。標準体重の人と比べた肥満の人の危険は1.46倍、補充療法を一度でも使った人は使ったことのない人の2.33倍だった[10]。肥満で補充療法を使ったことのある人では、3.30倍と最も高かった[10]。5年間の発生率は年齢とともに下がり、50〜54歳で0.50%(200人に1人)、75〜79歳で0.11%(1,000人に1人)だった[10]。著者らは、肥満と補充療法の使用を、変えられる危険因子として挙げている[10]。

体重は、補充療法の判断と切り離せない数字の一つだ。どの数字を重く見るかは、年齢、子宮の有無、症状などで変わりうる。だからこそ、体重の目標と補充療法の話は、主治医との会話で同じ机に並べたい。

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「ホルモンを足せば痩せる」の線引き

ホルモンで代謝を上げて痩せる、という発想は昔からある。甲状腺ホルモンを肥満の治療に使えるかを調べた系統的レビューは、その一例だ[18]。食事を制限している肥満の人に甲状腺ホルモンを与えた研究を集めたところ、甲状腺の検査値は動いたが、体重の減少、たんぱく質の分解、代謝の速さ、心拍数への一貫した効果は確かめられなかった[18]。使える研究の数も各研究の参加者も少なく、無作為化試験は少なく、それ以外の研究の質も低かった[18]。結論は出ていない一方で、こうした使い方は症状の出ない甲状腺の働き過ぎの状態を引き起こすとまとめている[18]。

更年期の補充療法でも、冒頭の交差試験で体重は変わらなかった[14]。1年追った研究では、おなかの脂肪にも差がなかった[1]。体組成への好ましい変化を示した試験はあるが、どれも体重を減らす治療として設計されたものではない[4][9][14]。ここで見た研究の中に、体重を減らす目的で補充療法を試した試験はない。補充療法は症状の治療などのために使われてきた医療で[15]、体重の目標は、それとは別の欄に書いておくほうが、研究の並びと合う。

よくある誤解

「補充療法を始めると太る」という心配をよく聞く。交差試験では、補充療法の期間と偽薬の期間で体重の変化に差はなかった[14]。1年追った研究でも、脂肪の総量に差はなかった[1]。少なくともここで見た研究からは、体重が増えるという結果は出ていない。

「補充療法はおなかをへこませる治療だ」という期待も、言い過ぎになる。おなかの脂肪が減った試験がある一方で、差がなかった研究もあり、組み合わせによってはおなか周りへ脂肪が移った[1][4][14]。総説は、研究ごとの効果のばらつきが大きいとしている[15]。

「痩せたいならホルモン剤で代謝を上げればよい」という考えは、研究とかみ合わない。甲状腺ホルモンの系統的レビューでは、体重への一貫した効果は確かめられず、甲状腺の働き過ぎの状態を引き起こすとされた[18]。

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今日からできること

  • 体重計の数字が変わらない月も、腹囲を測る日を月に何回にするか決め、体重と並べて書く。体重と腹部の脂肪は、別々に動くことがある。
  • 筋力を使う運動を週に何日、1回何分にするか決める。補充療法の判断を待たずに、今週から自分で動かせる数字である。
  • 体重を減らす計画は補充療法とは別に立て、何か月でBMIをどこまで下げるかを自分で決める。ここで見た研究に、体重を減らす目的で補充療法を試した試験はない。
  • 補充療法を考えているなら、受診の前に、相談したい目的(症状、骨、体型)の優先順位と、子宮の手術を受けたことがあるかを書き出しておく。エストロゲン単独と黄体ホルモン剤との併用では、乳がんの起こり方が逆向きだった[8]。

主治医と話したあとで、体を動かす場所を選ぶ

補充療法を使うかどうかは主治医と決める医療だが、体を動かす習慣の組み立ては自分の手で進められる。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。ホルモン補充療法を受けている人や始めるか迷っている人は、溶岩ホットヨガに参加してよいかを主治医に確かめ、まず常温のヨガから考えたい。

オンザショア立川店には、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニング、そして溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがそろう。店は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。営業は8:00〜23:30で年中無休、曜日による違いはない。

初回に受けられるヨガの体験は、60分で税込1,980円のレッスンだ。ヨガマット、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚のレンタルが料金に含まれる。店の紹介はオンザショアの公式サイト、料金は料金の一覧、ヨガ体験は予約の受付ページで確かめられる。

主治医と補充療法の話をした週に、常温のヨガのレッスンから通う日を選んでおく。

参考文献

[1] The association between hormone therapy use and changes in strength and body composition in early postmenopausal women. — Maddalozzo et al., 2004, Menopause (New York, N.Y.). DOI: 10.1097/01.gme.0000113847.74835.fe

[2] Weight loss response to semaglutide in postmenopausal women with and without hormone therapy use. — Hurtado et al., 2024, Menopause (New York, N.Y.). DOI: 10.1097/GME.0000000000002310

[4] Effects of different menopausal hormone replacement regimens on body composition in Chinese women. — Deng et al., 2018, Climacteric : the journal of the International Menopause Society. DOI: 10.1080/13697137.2018.1523387

[7] Long-term breast cancer incidence trends by mammography, obesity, and menopausal hormone therapy. — Chlebowski et al., 2024, Breast cancer research and treatment. DOI: 10.1007/s10549-023-07113-9

[8] Breast Cancer and Menopausal Hormone Therapy by Race/Ethnicity and Body Mass Index. — Chlebowski et al., 2016, Journal of the National Cancer Institute. DOI: 10.1093/jnci/djv327

[9] Changes in body composition during post-menopausal hormone therapy: a 2 year prospective study. — Arabi et al., 2003, Human reproduction (Oxford, England). DOI: 10.1093/humrep/deg331

[10] Effects of obesity and hormone therapy on surgically-confirmed fibroids in postmenopausal women. — Sommer et al., 2015, European journal of epidemiology. DOI: 10.1007/s10654-015-0016-7

[13] Body mass index, hormone replacement therapy, and endometrial cancer risk: a meta-analysis. — Crosbie et al., 2010, Cancer epidemiology, biomarkers & prevention : a publication of the American Association for Cancer Research, cosponsored by the American Society of Preventive Oncology. DOI: 10.1158/1055-9965.EPI-10-0832

[14] Obesity and sarcopenia after menopause are reversed by sex hormone replacement therapy. — Sørensen et al., 2001, Obesity research. DOI: 10.1038/oby.2001.81

[15] Body composition and muscle performance during menopause and hormone replacement therapy. — Sipilä, 2003, Journal of endocrinological investigation. DOI: 10.1007/BF03345241

[18] Thyroid hormone therapy for obesity and nonthyroidal illnesses: a systematic review. — Kaptein et al., 2009, The Journal of clinical endocrinology and metabolism. DOI: 10.1210/jc.2009-0899

冒頭の写真: 包装シートのくぼみに一つずつ収められた錠剤(ブリスター包装)を写した写真(写真: Unknown / CC0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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