レプチンは多いほど痩せるホルモンなのか 肥満の人で高く、減量で下がる数値の読み方

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遺伝子の違いは、減量した後の体重に差を残す

レプチンの信号は、脳の中でさらに次の信号へ受け渡される。その道筋の一つをレプチン・メラノコルチン経路と呼ぶ。この経路の遺伝子に変異がある人は、減量手術の後にどれだけ減るのか。2024年のメタ分析は、3つの文献データベースから研究を集め、手術後の総減量率を、変異のある人とない人で比べた[2]。総減量率とは、手術前の体重のうち何%が減ったかを表す値だ。

変異のある人の総減量率は、全体で3.03%低かった(平均差−3.03、95%信頼区間−3.63〜−2.44)[2]。時期を分けると、話はさらに興味深くなる。手術後12か月以内の短期では、差は−1.13(95%信頼区間−2.57〜0.31)で、はっきりした差はなかった[2]。差が出たのは長期で、−3.43(同−4.09〜−2.77)だった[2]。著者らは、変異は急速に減る時期には表に出にくく、減った体重を長く保つことを難しくすると結論している[2]。

減り始めの1年は、遺伝子の違いがあってもなくても似たように減る。違いが見えてくるのは、その後の維持の時期である。最初の1年は周りと同じように減ったのに、時間がたつにつれて差が開いていく。そうした経過の一部に、生まれつきの信号の受け渡しの違いが重なっている可能性を、この数字は示している。

この研究は減量手術を受けた人のものだ。とはいえ、「最初の1年の減り方だけでは、その後は読めない」という形は覚えておく価値がある。減量の取り組みを評価するときは、減った量だけでなく、どの時期の数字なのかを添えて見たい。

レプチンを中心に据えた2025年の総説も、グレリンとレプチンに影響する遺伝の要因を深く理解することが、肥満の成り立ちの複雑な相互作用をつかむ助けになると述べている[20]。遺伝と体質の全体像は「太りやすい体質は遺伝なのか FTOと減量研究で読む、変えられる環境の重さ」の記事が詳しい。レプチンの経路は、その中の一つの道筋にあたる。

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食欲の外でも働くホルモン

レプチンの受容体は全身にあるので、話は食欲にとどまらない。2014年の総説は、レプチンが直接と間接の両方の仕組みで、心臓と血管、腎臓の調整に役割を持つ可能性を示す証拠が増えているとし、健康な状態では血圧と体液の量を調整する因子として働くようだと述べた[10]。一方で、肥満のように高いレプチンが長く続く状態では、高血圧の発症に関わり、腎臓や血管や心臓を直接傷める可能性もあるとした[10]。ただし、体の中で自然につくられるレプチンの意味づけには、さらに検討が要るとも断っている[10]。前の節で見た血管の実験は、高い値が原因ではなく目印かもしれないという別の読み方を示していた[9]。研究の答えは、まだ一つにまとまっていない。

乳がんとの関わりも、長く論じられてきた。2002年の総説は、レプチンが細胞の増殖や移動、血管の新生を促し、脂肪組織でエストロゲンをつくる酵素の働きを高める可能性から、肥満が乳がんの経過を悪くする仕組みの一つではないかという仮説を立てた[6]。総説は、血中濃度がレプチンと相関するインスリンも、一緒に関わっているかもしれないと付け加えている[6]。

この仮説を人で確かめようとした研究がある。乳がんの手術を受けた26〜74歳の女性471人の、治療前の空腹時の血液でレプチンを測り、その後を追った[14]。平均のレプチンは15.2±10.1ng/mLだった[14]。レプチンだけを見ると全体の生存と関係したが、ほかの要因をそろえた分析では、遠くへの転移のない生存とも全体の生存とも、統計的に意味のある関係はなかった[14]。インスリンやBMIで調整すると、関係はさらに弱まった[14]。著者らは、レプチンは肥満やインスリンと強く相関するが、予後とは独立に関係するとは示せなかったと結論している[14]。そのうえで、小さな影響までは否定できないとして、とくに閉経後の女性での研究を続けるよう勧めている[14]。

仕組みの仮説は筋が通って見えても、人の経過を追った数字が同じ強さで支えるとは限らない。レプチンは体脂肪の量と一緒に動くので、レプチンの影響と体脂肪そのものの影響を切り分けるのは難しい。

運動の役割に触れた総説もある。2015年の総説は、肥満と閉経後の乳がんを結ぶ要因として、エストロゲンの増加、インスリンの仲間の濃度、炎症を挙げ、レプチンの分泌は脂肪の量と直接関係するとした[17]。そのうえで総説は、脂肪を減らす取り組みは好ましい方向に働きうるとしたうえで、脂肪の減少とは別に、運動によるエネルギー消費がレプチンの調整を改善する可能性にも目を向けるべきだと述べた[17]。体重計が止まっている週の運動にも、別の役目があるかもしれないという見方である。

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赤ちゃんのころの値と、その後の体格

レプチンの値は、人生のごく早い時期から研究されている。2013年に報告された研究は、正期産で生まれた健康な乳児237人の血中レプチンを測り、そのうち89人を中央値で8.8歳まで追った[11]。

母乳で育った乳児は、人工乳の乳児よりレプチンが高かった[11]。そして、乳児期に人工乳で育った子どもは、追跡の時点でBMIが高かった[11]。さらに、乳児期のレプチンが2.7ng/mLを下回る子どもでは、のちのBMIが高いという境目が見つかった[11]。著者らは、乳児期の高いレプチンが子どものころのBMIと逆向きに関係しうるとしつつ、結論にはさらなる研究が要ると書いている[11]。

この研究は2000年9月から2004年4月に登録した乳児を追った観察研究で、追跡できたのは237人のうち89人だった[11]。観察研究なので、母乳か人工乳か以外の違いがBMIの差に混ざっている可能性は残る。レプチンが原因で体格が決まったと読むことはできない。

大人になった私たちが、自分の乳児期の値を変えることはできない。ここで受け取りたいのは、太りやすさの一部が、本人の意志とは関係のない時期に形づくられうるという視点である。今の体重を責める材料ではなく、今から変えられる部分に目を向けるための材料として読みたい。

よくある誤解

「レプチンが多い人は痩せやすい」という思い込みがある。人では血中のレプチンは体脂肪の総量と相関し、肥満の女性でとくに高い[6]。そして体重の多い人では、多いのに効きにくいレプチン抵抗性が見られる[20]。値の高さは、痩せやすさの印ではなく、脂肪が多いことの印に近い。

「レプチンを外から補えば食欲が収まる」という期待も、そのままでは成り立たない。レプチン抵抗性は、外から補うレプチンの治療の効果を下げるとされ、効きを高める薬との組み合わせが検討されている段階だ[18]。血管の実験でも、すでに値の高い人は追加のレプチンに反応しなかった[9]。

「血液でレプチンを測れば、太りやすさが分かる」という考えも先走りだ。子どもでは取り組みへの反応を見分ける手がかりになりうるとされ、乳児期の値とのちのBMIの関係も報告されたが、どちらもさらなる確認を求めている[1][11]。大人の乳がんの研究では、ほかの要因をそろえると独立した関係は示せなかった[14]。

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今日からできること

  • 減量に取り組むなら、何か月の計画として組むかを始める前に決める。レプチンがほぼ半分に下がったのは、12か月の集中的な減量プログラムの中でのことだった[7]。
  • 体重が動かない週も続ける運動の日数を、1週間あたり何日にするか決める。脂肪の減少とは別に、運動によるエネルギー消費がレプチンの調整を改善しうるとする総説がある[17]。
  • 減量の成果を見直す時期を、始めてからの1年の中だけに置かず、1年を過ぎた後にも1回決めておく。減量手術を受けた人の研究では、遺伝子の違いによる差は12か月以内でははっきりせず、長い期間で開いた[2]。
  • 子どもの体重が気になる家庭では、家族で体を動かす日を週に何日にするか決める。子どもの運動の取り組みとレプチンの濃度を調べた研究がまとめられている[1]。

体重計が止まった週の行き先

レプチンの値は自分で毎日測れないが、体を動かした日は自分で数えられる。オンザショア立川店のヨガの体験は、60分のレッスンを税込1,980円で受けられ、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが料金に含まれる。スタジオがあるのは東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から歩いて1分の場所で、8:00〜23:30の営業は年中無休、全曜日同じだ。

医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。糖尿病の薬を使っている人や減量手術を受けた人は、溶岩ホットヨガに入る前に主治医の判断を仰ぎ、まず常温のヨガを選択肢に置く。

続けるときの選択肢は、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガ、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニング。ヨガのレッスンだけでも25種類以上あり、同じ週の中で種目を替えることもできる。

店の詳しい情報はホームページ、金額は料金のご案内、ヨガ体験の申し込みはこちらの予約ページにまとまっている。

体重やレプチンの数字が動かない週こそ、体を動かす日をカレンダーに先に書き入れる。

参考文献

[1] Leptin: a potential biomarker for childhood obesity? — Venner et al., 2006, Clinical biochemistry. DOI: 10.1016/j.clinbiochem.2006.07.010

[2] Mutations in the leptin-melanocortin pathway and weight loss after bariatric surgery: a systematic review and meta-analysis. — Zhang et al., 2024, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1002/oby.24007

[6] Adverse effects of obesity on breast cancer prognosis, and the biological actions of leptin (review). — Rose et al., 2002, International journal of oncology.

[7] Serum leptin changes during weight loss in obese diabetic subjects with and without microalbuminuria. — Verrotti et al., 2001, Diabetes, nutrition & metabolism.

[9] Leptin stimulates both endothelin-1 and nitric oxide activity in lean subjects but not in patients with obesity-related metabolic syndrome. — Schinzari et al., 2013, The Journal of clinical endocrinology and metabolism. DOI: 10.1210/jc.2012-3424

[10] Obesity hypertension: pathophysiological role of leptin in neuroendocrine dysregulation. — Go et al., 2014, The American journal of the medical sciences. DOI: 10.1097/MAJ.0b013e31827ad5cf

[11] High serum leptin levels in infancy can potentially predict obesity in childhood, especially in formula-fed infants. — Savino et al., 2013, Acta paediatrica (Oslo, Norway : 1992). DOI: 10.1111/apa.12354

[14] Is leptin a mediator of adverse prognostic effects of obesity in breast cancer? — Goodwin et al., 2005, Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology. DOI: 10.1200/JCO.2005.02.048

[17] The integrative role of leptin, oestrogen and the insulin family in obesity-associated breast cancer: potential effects of exercise. — Schmidt et al., 2015, Obesity reviews : an official journal of the International Association for the Study of Obesity. DOI: 10.1111/obr.12281

[18] Leptin and Obesity: Role and Clinical Implication. — Obradovic et al., 2021, Frontiers in endocrinology. DOI: 10.3389/fendo.2021.585887

[19] Leptin in Leanness and Obesity: JACC State-of-the-Art Review. — Perakakis et al., 2021, Journal of the American College of Cardiology. DOI: 10.1016/j.jacc.2020.11.069

[20] The role of leptin and ghrelin in the regulation of appetite in obesity. — Skoracka et al., 2025, Peptides. DOI: 10.1016/j.peptides.2025.171367

冒頭の写真: 顕微鏡で拡大した脂肪組織の標本。脂肪をためる細胞が並び、一部にしわが寄っている(写真: Mikael Häggström, M.D. Author info – Reusing images- Conflicts of interest: None Mikael Häggström, M.D.Consent note: Consent from the patient or patient’s relatives is regarded as redundant, because of absence of identifiable features (List of HIPAA identifiers) in the media and case information (See also HIPAA case reports guidance). / CC0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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