立川・昭和記念公園の見どころを歩く イチョウ並木が四角いのは、空のせいだった

9月の青空の下に広がるみんなの原っぱ芝の向こうに木立が低く連なる 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

秋の昭和記念公園 コスモス、紅葉、そして四角いイチョウの謎

いま、10月。この公園がいちばん人を集める季節のひとつが始まっている。

コスモスとキバナコスモスの花畑は、9月上旬から11月上旬まで。大輪のピンクの「センセーション」や、暑い時期から咲き始めるキバナコスモスが、昭和記念公園の秋を代表する花だという。毎年9月から10月にかけては「コスモスまつり」が開かれ、11月には「黄葉・紅葉まつり」が続く。花の丘では秋にもコスモスが大きく咲く。

9月下旬から10月中旬にかけては、園内に点在するキンモクセイが一斉に咲く。目より先に、鼻が秋を知る。ヒガンバナは9月中旬から10月上旬、こもれびの丘やこもれびの里で咲く。田畑を守るために周辺や堤防に植えられてきた花だと、案内は説明している。

紅葉は日本庭園がいい。平成9年(1997)4月に誕生した約6haの庭園で、首都圏では戦後最大の規模になる。「戦後最大」という但し書きには、戦前の大名庭園には遠慮しておく、という奥ゆかしさが感じられる。江戸時代に発展した池泉回遊式の庭で、池の周りをめぐるごとに景色が変わる。北側には高低差30mの人工の山が築かれ、それを借景にしている。山の脇の北の森から湧き出した水は、落差7mの岩組を落ちて渓流になり、池に注ぐ。古い日本庭園は常緑樹が多く重厚なところが多いが、ここではモミジやコナラなどの落葉広葉樹が全体の6割を占め、明るい武蔵野の林をイメージしている。日本庭園ができたことで、それまで公園では見られなかった紅葉が楽しめるようになった、と公式サイトは書く。

庭の西の岸には、銅板葺きの木造平屋の数寄屋建築「歓楓亭」があり、本格的な茶会が開かれる。池に突き出して建つ「清池軒」は、対岸から見ると池に浮かんでいるように見える。飛行場の跡に、数寄屋大工の技が建っている。それもまた、この公園の折り返しのひとつだ。

紅葉の時期は10月下旬から12月上旬。令和元年(2019)からは「秋の夜散歩」として、日本庭園などの紅葉のライトアップも始まった。夜の庭で、水面に映る赤を見る。昼に犬と子どもが走り回っていた土地と同じ番地だとは、ちょっと信じにくい。

秋の公園は、昼と夜とで気温の差が大きい。日が傾くと、原っぱを渡る風が急に冷たくなる。汗をかいたシャツが背中に貼りつき、その冷たさで、自分がずいぶん歩いたことに気づく。

そして10月の下旬から、イチョウが色づきはじめる。いよいよ、あの並木の話をする。

立川ゲートを入ると、まず目に飛び込んでくるのがカナールだ。カナールとは造園の用語で、細長い直線の水路を意味する。全長200mの水路に大小5つの噴水があり、その両側に合計106本のイチョウが左右対称に2列ずつ植えられている。このイチョウは、基地の時代に植えられた木を移したものだ。水路の奥、大きな噴水の上には、峯田義郎の「明日の空へ」というモニュメントが立っている。

冒頭に書いたとおり、カナールのイチョウ並木は四角い。私は最初、よほど几帳面な植木職人がいるのだろうと思った。次に、銀杏が通路に落ちすぎないようにという実務の都合を疑った。どちらも外れだった。

答えは空にある。公式サイトによれば、公園に隣接する自衛隊の滑走路の航空制限が8mに定められていて、木の高さを7mにしなければならない。ただ7mでぶつ切りにするだけでは景色が台無しになるので、並木の両側と手前、奥の面をきれいに刈り込み、ボックス状に整えた。それがカナールの直線と溶け合って、この公園にしかない景色になった。

隣の滑走路とは、あの防災基地の滑走路である。かつての飛行場は、公園と防災基地という二本の柱に分けられた。その一本は、いまも空を使っている。だからもう一本の柱の木は、空に頭を出してはいけない。イチョウ並木が四角いのは、立川の空がいまも飛行機のものだからだ。

この事実を知ってから、私は四角いイチョウを笑えなくなった。むしろ感心する。制限を受けた木を、制限のままに見せず、ひとつの造形に変えてしまった人たちがいる。空に頭を押さえられても、並木は並木として、毎年きちんと黄色くなる。

一方、西立川ゲートから歩いて約7分の「かたらいのイチョウ並木」は全長約300m。こちらには航空制限がなく、イチョウ本来の自然な樹形のまま伸びている。地面に高低差があるため、まっすぐな並木に奥行きが生まれる。この並木も米軍基地の時代からの木を残したものだ。11月の黄葉の最盛期には黄金色のトンネルが現れ、令和元年からはライトアップも行われている。

同じ基地の木でありながら、片方は空に頭を押さえられ、片方は空へ伸びている。二つの並木を続けて歩くと、ひとつの土地に流れた時間の、二つの顔を見ることになる。

立川は、何でもあって何もない街だと言われることがある。だが、四角いイチョウのある公園を持つ街は、ほかに知らない。日本一の大きさのハンモックを森に吊り、国の非常口を隣に置き、33年で8,000万人を迎えた公園が、駅から10分のところにある。地味だと思われているのは、この街が自分のことを語るのが下手なだけなのだ。

平らな土地は、何でも受け入れる。飛行機も、兵舎も、芝生も、雑木林も、花火も、犬も。公園は、その百年を隠さない。四角いイチョウにも、瓦礫の丘にも、ちゃんと書いてある。読もうとする人にだけ見える字で。

四角いイチョウも、基地の瓦礫の上の雑木林も、新宿から中央線一本、川崎から南武線一本で会いに来られる場所にある。雑木林の下草を刈り、農家の庭を手入れしてきた市民のボランティアの手で、この公園はいまの姿を保っている。今度の週末、その手入れの跡を、自分の足で確かめに来てほしい。

寄り道クイズの答え

答えはB。大ケヤキは公園整備のために植えられたものではなく、公園ができる前からその場所に立っていた。見つかったときは樹高17m、樹齢70〜80年と推測され、いまは100年を超える。設計担当者がこの木を中心に原っぱをつくろうと考え、みんなの原っぱが生まれた。木が先で、原っぱが後なのである。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

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訪ねる前に

  • 都心からは、JR中央線で新宿から乗り換えなしで立川駅へ。神奈川からは、JR南武線が川崎駅と立川駅を結んでいて(全長35.5km)、乗り換えなしで来られる。横浜方面からは、横浜線で八王子へ出て中央線に乗り換える道もある。時刻と所要時間は JR東日本の公式で確かめてほしい。
  • 所在地は東京都立川市と昭島市にまたがる。JR立川駅北口からあけぼの口まで徒歩約10分(駅の北口を出て北へ)、多摩都市モノレール立川北駅からあけぼの口まで約8分。立川ゲートはJR立川駅北口から約18分、西立川ゲートはJR青梅線西立川駅から約2分、昭島ゲートはJR青梅線東中神駅から約10分、砂川ゲートは西武拝島線武蔵砂川駅から約20分(いずれも公式サイトのアクセス案内による)。
  • 一周の目安は、パークトレインで約50〜60分(乗る日によってルートと運行間隔が変わる)。自転車専用コースは約14kmで、立川口・西立川口・砂川口のサイクルセンターで自転車を借りられる。借りたセンターに返す決まりなので、入ったゲートで返すつもりで回るとよい。歩くなら、立川ゲートからこもれびの里まで約38分かかる。
  • 回り方の一例: 立川ゲートから入ってカナールと原っぱ、日本庭園まで歩き、花の季節は花の丘へ。駅へ戻る途中に、この特集で扱ったファーレ立川のアート作品や多摩モノレールの車窓を組み合わせると、立川を一日で歩ける。北の砂川ゲート側から出るなら、玉川上水と砂川の記事の題材が近い。
  • ドッグランは、接種から1年以内の三種以上の混合ワクチン証明書と、狂犬病の予防注射済証か注射済票の提示が毎回必要(または愛犬登録カード「わんパス!」)。利用時間と細かな決まりは公式の「ドッグラン」の頁で確かめてほしい。
  • あけぼの口から入ってすぐの「みどりの文化ゾーン」は無料区域。それ以外の区域の入園料・開園時間・休園日、パークトレインと貸し自転車の料金は変わることがあるので、最新は公式サイトで確かめてほしい。花の見頃は年によって変わり、公式サイトの「花だより」に週ごとの開花情報が出る。
  • 昭和天皇記念館は大規模改修のため、2026年6月1日から11月27日まで休館と公式に案内されている。
  • 公式サイト: https://www.showakinen-koen.jp/ (アクセス https://www.showakinen-koen.jp/access/ /花・植物 https://www.showakinen-koen.jp/flower-information/ /ドッグラン https://www.showakinen-koen.jp/facility/facility-522/ )
yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

歩いたあとは、立川駅北口で

180haを歩いたあと、体に残るのは、脚の重さと、風に冷えた背中と、少し浅くなった呼吸である。私はそれを、そのまま家に持ち帰るのが惜しいと思う。

公園からあけぼの口を出て、来た道を駅へ戻る。立川駅北口から徒歩1分、曙町2-14-10のエトロワビル3階に、オンザショア立川店がある。溶岩プレートを敷いたスタジオでホットヨガをする店だ。ほかに常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。

この店を営む宮川涼と、その妻でオーナーの藤田尚美にとっても、昭和記念公園は特別な場所だという。夏の花火大会には毎年足を運び、二人が「この辺りでは珍しい」と言うドッグランにも、大きな思い入れを持っている。駅の北口で汗を流す人たちの、すぐ北に広がる空白を、店の主もまた歩いているのだ。

営業は8時から23時30分まで、年中無休で、どの曜日も同じ時間だ。朝いちばんに体をほぐしてから公園へ向かうこともできるし、閉園後の冷えた体を夜に温め直すこともできる。

初めてなら、ヨガの体験レッスンがある。税込1,980円で、60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。妊娠中の人は溶岩ホットヨガには参加できず、代わりに常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている人は利用できない。

料金の詳細は https://ontheshore.jp/price/ に、店のことは https://ontheshore.jp/ にある。体験の予約は https://site.locaop.jp/C0aVK?_src=hp から。

原っぱで浅くなった呼吸を、ひとつずつ深くしていく。滑走路の跡を歩いた一日の終わりに、それは悪くない着陸の仕方だと思う。

冒頭の写真: 9月の青空の下に広がる、みんなの原っぱ。芝の向こうに木立が低く連なる(写真: Kakidai / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。

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