立川の野鳥と生きもの タヌキは下水管で眠り、ホタルは公園に住み、タカの居場所は書かれない

街に暮らす獣たち──タヌキ、アライグマ、ハクビシン

立川市のホームページには、「タヌキは野生動物です」という短いページがある。タヌキは道路の側溝や下水道管などをねぐらにするなど、都市の環境に順応して暮らしている。街なかで見かけても、迷い込んだわけではない、と市は書く。

冬の芝生で地面に鼻を寄せるタヌキ(都内の明治神宮で撮影)。木の影が長く伸びている。
冬の芝生で地面に鼻を寄せるタヌキ(都内の明治神宮で撮影)。木の影が長く伸びている。
写真: Guilhem Vellut / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons

下水管で眠るタヌキ。私はこの一文を読んで、しばらく考えこんだ。タヌキにとって、立川の街の地下は、雨風をしのげる長い長いトンネル住宅なのだ。体長は50〜70センチほど、体重は4〜6キロほどで、夜行性だが昼間も動くという。市は、えさを与えないでほしい、人間の与えるえさは栄養が良すぎて、逆にタヌキが病気にかかりやすくなる、と頼んでいる。地域でそっと見守ってあげましょう、とも。下水管の住人には、下水管の住人の暮らしがある。

立川いきものデータベースには、ホンドタヌキの写真が9件ある。撮られた場所は、多摩川、昭和記念公園、泉町や緑町を含む中央の地域、富士見町や柴崎町を含む南の地域。街のほとんどどこにでもいる。

ところが、同じデータベースのアライグマも9件ある。アライグマとハクビシンは外来生物で、市によれば、近年は都内各地に分布が広がり、立川市内でも目撃の情報が寄せられている。どちらも、甘い果物や野菜を食べ、家の天井裏に入りこむことがある。市の注意書きには「池の金魚がいなくなった」という項目まである。被害の一覧に、金魚の失踪が並ぶ。のどかな文面だが、金魚にとってはのどかではない。

市は、アライグマやハクビシンに困っている人の家の敷地に、委託業者が捕獲器を置く防除事業を行っている。捕獲器の設置や捕まえた動物の回収は無料だが、捕獲器に仕掛けるえさの代金だけは、頼んだ人が負担する。そして、もしタヌキや猫が捕獲器に入っていたら、業者がその場で放す、と決まっている。罠のえさを買ったのに、かかったのはタヌキだった。その場合、タヌキはただ飯を食べて帰ることになる。

データベースの哺乳類の欄には、ほかにも、アズマモグラ、アブラコウモリ、カヤネズミ、ニホンイタチ、ホンドテン、そしてアカギツネの名前がある。アカギツネの写真は2件で、西砂町と一番町の地域と、南の地域で撮られている。カヤネズミは、ウィキペディアによれば、体重7〜14グラムほどの、日本でいちばん小さなネズミだ。ススキやオギなど背の高い草の葉を編んで、地面から1メートルほどの高さに直径10センチほどの丸い巣をつくる。立川の草むらに、手のひらに乗るほどの家があるのかもしれない。

獣たちの次は、もう少し足元に目を落としてみる。草むらの中にも、立川の住人はひしめいている。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

カナヘビとトカゲは14対14──草むらと森の小さな住人

立川いきものデータベースの「両生・爬虫類」の索引も、なかなか読ませる。いちばん多いのはニホンカナヘビとニホントカゲで、どちらも14件。きっちり引き分けている。続いてアズマヒキガエルが10件、アオダイショウが8件、シマヘビが7件。体の小さなヘビ、ヒバカリも1件ある。ヘビの写真を撮って投稿する人が立川には少なくとも何人かいる、ということでもある。

国の多摩川の調査でも、2018年度に両生類、爬虫類、哺乳類が調べられている。リストには、ニホンアカガエル、カジカガエル、ニホンスッポン、ヤマカガシ、そしてノウサギ、ニホンアナグマ、イノシシの名前まで並ぶ。ただし、これは浅川を含む多摩川の調査地点全体のリストで、立川の河原にイノシシがいるという意味ではない。ニホンアカガエルの欄には、北多摩で絶滅危惧の区分が付いている。立川いきものデータベースにも、ニホンアカガエルの写真が1件だけ載っている。

鳥の多い森については、市の資料がいくつも手がかりをくれる。柴崎町の諏訪の森公園は、神社を囲んでいた鎮守の森の一部で、緑を求めて野鳥が数多く集まってくると市は書く。羽衣町の矢川緑地を、市の「緑の十二景」は、野鳥も多く自然を満喫できる場所として選んだ。幸町の川越道緑地の紹介には、野鳥の声も聞こえる、静かな田園を思わせる場所だとある。玉川上水では、市民の会がかけた巣箱でシジュウカラが子育てをした。立川の鳥は、昭和記念公園だけに集まっているわけではない。神社の森にも、湧き水の湿地にも、雑木林にも、上水の巣箱にも、ちゃんといる。

ついでに、データベースの「魚貝」の索引も開いておく。カジカ、カワヨシノボリ、シマドジョウ、ナマズ、そしてライギョ。カタツムリのミスジマイマイが8件と妙に多いのは、たぶん雨の日の散歩の成果だろう。市の環境ブックによれば、この図鑑には、レッドデータに載る絶滅危惧種の生きものも投稿されている。名前のわからない一枚の写真が、ときに街の宝の記録になる。

森と草むらを見たら、いよいよ、街でいちばん身近な野生の鳥の話をしなければならない。あの黒い鳥である。

カラスとハト、いちばん身近な野鳥

市の「カラスの生態と対策」のページは、こう書き出す。都会のカラスは、都会の自然の中で野生の生活を営んでいる、最も身近な野鳥の一つです、と。身近なカラスには、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種がいる。立川いきものデータベースにも、両方が2件ずつ載っている。

カラスの巣づくりは3月から4月で、卵を3個から5個産み、20日ほどでかえる。ヒナが巣立つ6月から7月まで、親鳥が世話をする。人を攻撃するのは、主にこの6月から7月の繁殖期で、ヒナを守ろうとする行動だという。3羽以上の群れで襲いかかることは、めったにない。

面白いのは、市がカラスの声を書き分けていることだ。巣の近くに人が近づくと、カラスはまず「カウ、カウ、カウ」と比較的ピッチの早い声で鳴きながら、頭上を飛び回る。これが警戒だ。それでも人が去らないと、近くにとまって「ガーッ、ガーッ、ガーッ」と少し濁った声で鳴き、電線や枝をつつく。これが威嚇。さらに去らないと、小枝を折ったり、木の葉をむしって落としたりする。カラスは、ちゃんと三段階で警告しているのだ。いきなり怒鳴る上司より、段取りがいい。

身を守る方法として市が挙げるのは、近寄らないこと、帽子をかぶること、そして、杖や傘などの棒状のものを頭上に掲げること。傘をさして歩くのでもいい。晴れた日の初夏に、傘をさして歩く人を立川で見かけたら、その人はカラスの言葉がわかる人かもしれない。

市は、カラスに巣をつくらせないために、戸外にハンガーを置かないことも勧めている。カラスは木の枝のほか、ハンガーをうまく使って巣をつくる。物干し竿のハンガーが一本足りない朝、その一本は、どこかの電柱の上で家の骨組みになっている。

ハトについても、市のページは詳しい。いわゆるドバトは、年に5〜6回の繁殖ができ、栄養状態が良いと7〜8回も繰り返すことがある。だから、えさをやらないでほしい。2026年7月にも、市はハトなどの野鳥への迷惑なえさやりをやめるよう呼びかけるページを出した。野鳥はペットではありません、と。

旅人の寄り道クイズ

立川市によれば、巣の近くに人が来たときのカラスの最初の警戒の声は、どれだろう。(A)「ガーッ、ガーッ、ガーッ」(B)「カウ、カウ、カウ」(C)「カー、カー、カー」。答えは最後に明かす。

カラスの言葉を覚えたところで、最初の謎に戻ろう。タカの居場所は、なぜ書かれないのか。その答えは、鳥を見る人たちの作法の中にあった。

昭和記念公園の野鳥観察会──冬の回は抽選になる

その前に、立川でいちばん鳥を見やすい場所のことを短く書いておく。昭和記念公園では、ボランティアによる野鳥観察会が開かれている。2026年度の案内によれば、西立川口に集まり、水鳥の池、ふれあい橋、花木園を通ってバードサンクチュアリーまで歩く2時間のコースで、最後に専用のチェックリストで見た鳥の種類と数を参加者全員で確かめる。参加は無料(入園料は別)。双眼鏡の無料の貸し出しもあり、当日の希望者の先着12人までだという。

案内をよく読むと、1月と2月の回だけは、先着順ではなく抽選になっている。立川では、真冬の鳥を見るのに、くじ運が要る。

タカの居場所は書かれない──観察の作法

国の河川水辺の国勢調査の鳥類のリストには、一つの断り書きがある。環境省のレッドリストで絶滅危惧II類以上の種と、猛禽類については、保全上の理由から、確認された調査地点を示していない、と。いずれかの地点で確認されているが、どこかは書かない。オオタカ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、コアジサシの欄には、地点の印の代わりに横棒が並んでいる。

新緑の枝のあいだにとまる繁殖期のツミの雄。白い胸をこちらに向けている。
新緑の枝のあいだにとまる繁殖期のツミの雄。白い胸をこちらに向けている。
写真: Nmspec / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

立川いきものデータベースのタカたちの「未指定」も、同じ作法なのだろう。投稿のきまりを詳しく読んだわけではないので、意図は確かめていない。だが、ツミの7件とオオタカの2件が一つ残らず「未指定」で、カワセミも11件のうち10件が「未指定」という並びは、偶然とは思いにくい。

なぜ、居場所を書かないのか。日本野鳥の会は、野外で鳥を見るときの心得を「や・さ・し・い・き・も・ち」の7文字にまとめている。野外活動は無理なく楽しく。採集は控えて、自然はそのままに。静かに、そーっと。一本道、道からはずれないで。気をつけよう、写真、給餌、人への迷惑。持って帰ろう、思い出とゴミ。そして最後が、近づかないで、野鳥の巣。

会は、子育ての季節の親鳥は神経質になっていて、危険を感じたり巣のまわりの様子が変わったりすると、巣を捨ててしまうことがある、と説明する。巣の近くでの撮影は、ヒナを死なせることもあるという。居場所が知れれば、人が集まる。人が集まれば、タカは巣を捨てるかもしれない。だから、書かない。冒頭の謎の答えは、ここにある。タカの居場所を書かないことが、立川でタカと暮らしていくための作法なのだ。

もう一つ、春から夏に覚えておきたいことがある。巣立ったばかりのヒナは、地面に降りていることがある。日本野鳥の会は、親鳥が近くにいることが多いので、手を出さずにその場を離れ、そっと見守ってほしいと呼びかけている。心配なら、近くの茂みに移すだけでいい。親鳥は、姿が見えなくても声でヒナに気づける。立川市のカラスとハトのページも、落ちているヒナはそのままにしておくように、と書いている。

市の公園の決まりにも、観察の作法に通じる項目がある。昆虫を捕るなら自分で飼える程度に。捕まえたら放してあげる配慮を。公園の池で魚を捕ることも、魚を放すことも禁止だ。そして市は、野生の鳥や獣を捕まえるには、鳥獣保護管理法にもとづく許可が要ると、どのページでも繰り返している。

ワカケホンセイインコについても、ウィキペディアには一つ興味深い記述がある。ねぐらを広げてしまわないよう、見つけても不用意に追い払わないほうがいい、とされているという。外来の鳥であっても、人が驚かせれば、問題がよそへ移るだけなのだ。見る。数える。書く。ただし、居場所は書かない。驚かせない。えさをやらない。立川の生きものとのつき合い方は、案外シンプルである。

謎の答え──見えない地図の上で

タカの居場所は、なぜ書かれないのか。答えは、守るためだった。国の調査も、市民の図鑑も、同じ作法で、地図の一部を白いまま残している。

調べ終えて、私は立川の地図を少し違う目で見るようになった。地上には駅とビルとモノレール。その下の下水管にはタヌキが眠り、多摩川の流れの中では、海を目指すカニが脚を動かしている。玉川上水のこんぴら橋のあたりでは、6月の夜ごとに誰かがホタルを数え、立川公園の田んぼの裏では、蟹のいなくなった水路が光っている。そして、どこかの木の上では、ハトほどの大きさのタカが、誰にも場所を書かれないまま子を育てている。

昭和の多摩川では、人は屋形船から鮎を眺めた。高度経済成長の時代には、その川から生きものが消えかけた。いま、国の調査は多摩川に106種の鳥を数え、市民はスマートフォンで1万件を超える生きものの写真を集めた。立川の自然は、失われたあとで、もう一度、人の手と目で数えなおされている。

新宿から中央線で一本、川崎からなら南武線で一本。週末の朝、双眼鏡を一つ鞄に入れて、多摩川の河原まで下りてみてほしい。カワセミの居場所は、どの図鑑にも書かれていない。自分の目で見つけるしかない。

駅前のデッキで、ハトが一羽、首を振りながら歩いていく。あれも、れっきとした野鳥である。

寄り道クイズの答え

答えは(B)「カウ、カウ、カウ」。立川市によれば、巣の周辺や縄張りに人が近づくと、カラスは比較的ピッチの早い「カウ、カウ、カウ」という声で鳴きながら頭上を飛び回る。(A)の「ガーッ、ガーッ、ガーッ」は、それでも人が去らないときの威嚇の声だ。

訪ねる前に

  • 昭和記念公園の野鳥観察会: 毎月第3日曜日が基本(7〜9月を除く)、10時〜12時、西立川口に集合。WEBでの事前申込み制で、1月と2月の回は抽選。日程・定員・申込み方法は公式の案内で必ず確かめてほしい。 https://www.showakinen-koen.jp/event/64823/
  • 多摩川の河原: 立川市柴崎町・錦町の河川敷。多摩モノレール柴崎体育館駅から根川緑道を通って歩ける(根川と多摩川の記事の道筋)。増水時は河原に下りないこと。
  • 立川公園(ガニガラ広場): JR立川駅南口から徒歩約15分、多摩モノレール柴崎体育館駅から徒歩約1分(立川市の案内による)。ホタルの時期や観察の可否は、地域の会の案内に従ってほしい。 https://www.city.tachikawa.lg.jp/kanko/sports/1002924/1003007.html
  • 玉川上水: 市の北部を東西に流れる。こんぴら橋の周辺は、玉川上水と砂川を歩いた記事の道筋と重なる。
  • 生きものとのつき合い方: 立川市「野生動物との付き合い方」 https://www.city.tachikawa.lg.jp/kurashi/seikatsu/1001667/1002460/index.html /日本野鳥の会「フィールドマナー」 https://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/bbw/manner-field/
  • 市民の図鑑: 立川いきものデータベース https://ikimono-tachi.jp/ (現在の投稿の受け付けは野草と昆虫のみ)
  • 遠くから: 新宿からはJR中央線快速で立川まで乗り換えなし(30分台)。神奈川からは、川崎からJR南武線で乗り換えなし(立川まで約1時間)。時刻と所要時間はJR東日本の公式で確かめてほしい。
  • 組み合わせるなら: 多摩川の河原は根川と多摩川の記事、玉川上水は玉川上水と砂川の記事、湧き水とホトケドジョウは矢川の記事、公園の決まりごとは公園めぐりの記事と重ねて歩ける。

鳥を見たあとは、駅の北口で

鳥を見るのは、じっとしている時間の長い趣味だ。冬の河原で双眼鏡を構えていると、体は思った以上に冷える。カラスのために傘を掲げ続けた腕も、たぶん少しこわばっている。

立川駅の北口から徒歩1分、立川市曙町2-14-10のエトロワビル3階に、オンザショア立川店がある。溶岩プレートを敷いたスタジオで行うホットヨガのスタジオだ。常温のヨガやピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。

営業は8時から23時30分まで、年中無休で、曜日による違いはない。朝の観察会のあとでも、ホタルの夜の前でも、寄る時間はある。

ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。双眼鏡を首から下げたまま、身ひとつで寄れる。

妊娠中の人は溶岩ホットヨガには参加できないが、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている人は利用できない。

料金は https://ontheshore.jp/price/ 、店の案内は https://ontheshore.jp/ 、体験の予約は https://site.locaop.jp/C0aVK?_src=hp で確かめられる。

静かに、そーっと。鳥を見る作法は、ヨガのマットの上でも、たぶん通用する。

冒頭の写真: 水面を背に枯れ枝にとまるカワセミ。青い背と橙色の胸、長いくちばしが見える。(写真: Takashi Hososhima / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。

立川さんぽ特集のほかの記事

立川さんぽ特集の一覧

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2


Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

PAGE TOP
ご体験予約