立川の名物・名産品、東京うど 地下3メートルで白く育つ野菜は、夏を高原で過ごす

酢味噌と、皮のきんぴら──東京うどの食べ方とお土産

多摩府中保健所の食べもの暦は、山うどに比べて白うどはクセがなく柔らかく、酢の物や炒め物、天ぷら、サラダなど、さまざまな料理に使われると書く。立川市の広報は、立川のうどはアクが少なく、春を予感させる爽やかな香りと、シャキッとした食感が魅力だと紹介している。

東京うどのきんぴら。細く切ったうどを、醤油色に炒め煮にして小鉢に盛っている。
東京うどのきんぴら。細く切ったうどを、醤油色に炒め煮にして小鉢に盛っている。
写真: Kentin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
東京うどのぬた。短冊に切った白い茎を酢味噌で和え、藍の模様の小鉢に盛っている。
東京うどのぬた。短冊に切った白い茎を酢味噌で和え、藍の模様の小鉢に盛っている。
写真: Kentin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

代表格は、うどの酢味噌和えだろう。農林水産省の郷土料理のページは、東京都の料理としてこれを挙げている。厚めに皮をむいたうどを酢水につけ、短冊切りにして熱湯にくぐらせてから冷やす。砂糖と味噌をよく混ぜ、酢やみりんを加えて酢味噌をつくり、うどと和える。うどは色が変わりやすいので、早めに酢水につける。菜の花やホタルイカも、うどと酢味噌と相性がいいという。

東京うど生産組合連合会が公開しているレシピも、同じページに載っている。うどは4〜5センチの長さに切り、皮を厚めにむいて短冊に切り、酢水につけてあくを抜き、水気を切る。わかめはさっと湯通しして水にとり、食べやすく切る。器にわかめとうどを盛り、酢味噌をかける。白味噌を使うことが多いが、赤味噌や合わせ味噌を使うこともあるという。白い茎に、どの色の味噌をかけるか。冬の台所の、小さな悩みどころである。東京都の紹介は、クセがなくやわらかい東京うどは、酢の物や炒め物、天ぷら、汁物、サラダなど、どんな食材とも合わせやすいと書く。

色が変わりやすい。地下で白さを守られて育った野菜は、地上に出て包丁を入れたとたん、空気に触れて色を変えはじめる。急いで酢水へ。白いものを白いまま食べるのは、なかなか忙しい。

同じページには、皮は天ぷらやきんぴらに使えるとある。厚くむいた皮を捨てずに、もう一品にする。高級な白い茎と、台所の知恵の皮。私は、正直に言えば皮のきんぴらのほうに惹かれる。食い意地というのは、こういうところに出る。

立川らしい食べ方もある。東京都の紹介は、立川市内の飲食店などでうどラーメンなど多種多様な料理や加工品が登場していると書く。立川観光コンベンション協会は立川を代表するお土産品を「立川のたいこばん」の愛称で推奨しており、立川市によれば、東京うどを使ったものとして、うどパイ、笹らぎ、うどドレッシングが認定されている。うどをパイにする。思いついた人は、一度くらい周りに止められなかっただろうか。止められそうな思いつきが、いまは街の土産の看板である。

台所の次は、晴れ舞台だ。うどにも、年に一度、明るい場所に並べられる日がある。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

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品評会と、なりそこねた怪獣

立川市は毎年、うど生産の最盛期となる2月中旬に、うどの品評会を開いている。令和6年度は2月21日に開かれ、東京うど27点、立川こまち5点の、計32点が出品された。審査では、色、形、荷姿、病害虫の被害の有無などを見る。品評会のあとには、展示されたうどの即売会が開かれる。

地下で一か月、黙って背を伸ばしてきた白い茎が、この日だけは明るい会場で、色つやと立ち姿を比べられる。審査が終われば、そのまま買われていく。晴れ舞台と就職先が同じ日に決まる。うどの世界は、話が早い。

賞の名前を並べると、この野菜を誰が見守っているのかがわかる。立川市の報告によれば、令和6年度の特別賞は東京都知事賞、立川市長賞、立川市議会議長賞、立川農業振興会議会長賞、立川市農業委員会会長賞、全国農業協同組合連合会東京都本部本部長賞、東京みどり農業協同組合代表理事組合長賞、東京うど生産組合連合会会長賞。都知事から農協まで、白い茎一本にこれだけの肩書きが並ぶ。

隣の国分寺市でも、毎年、収穫の最盛期の2月に品評会が開かれていると東京都の紹介は書く。国分寺市は市内の農畜産物を飲食店と一緒に売り出す取り組みの中で、東京うどを使った料理を店が考える「うどフェスタ」も開いている。うどの冬は、北多摩のあちこちで祭りになる。

同じ時期には、東京うど生産組合連合会による「東京うど出荷改善共進会」も開かれる。立川市によれば、令和6年度は立川のうど農家11人が出品し、11点の特別賞のうち2点を受けた。

品評会の会場には、ウドラも遊びに来たと立川市は書いている。立川市のキャラクター紹介によれば、ウドラは、まっしろい立川うどから生まれた怪獣で、怪獣だけどこわくない、こどもたちが大好き、と紹介されている。広報たちかわの令和8年2月25日号によれば、ウドラは立川市キャラクター投票で2位だった。公認にはなれなかった。そこで作者は、SNSで「立川市公認なりそこねキャラクター」として活動を始めたという。

公認なりそこね。行政の広報紙に、この肩書きがそのまま印刷されている。私はこの一点で、立川という街をかなり信用する気になった。2位を2位のまま名乗って、堂々と品評会に顔を出す。日の目を見ずに育つ野菜の化身として、これ以上ふさわしい生き方はない。キャラクター紹介には、ひんやりした「うど室」から出てきて街の変わりように戸惑う「うどっ穂くん」までいる。うどの花を髪に見立てた「うど花ちゃん」もいる。一つの野菜から、ここまで登場人物が増える街も珍しい。

地上でうどに会うなら、ファーマーズセンターみのーれ立川がある。国土交通省の調査報告によれば、立川市が平成25年5月に立川農業の中核的な拠点施設として開設した。JA東京みどりの案内では、所在地は立川市砂川町2-1-5、国営昭和記念公園の北側。立川こまちの地方配送についても、立川市はこの施設への問い合わせを案内しているが、時期によっては在庫がないことがあると、わざわざ断っている。旬のある野菜は、いつでも会えるわけではない。

JA東京みどりの案内によれば、ここは地場の農畜産物や加工品、特産品を売るほか、立川の観光情報も発信している。年中無休で、休みは12月31日から1月4日まで。うどの季節には「うどフェア」を開くこともあり、JA東京みどりの品ぞろえの案内には、江戸東京野菜を使った東京うどドレッシングが「大好評」の見出しつきで載っている。

さて、そろそろ冒頭の謎に戻らなければならない。品評会に並ぶ白い茎の根っこは、去年の夏、どこにいたのか。

根株は高原で夏を過ごし、冬に立川の地下へ潜る

東京都の紹介によれば、東京うどの栽培は大きく二つの時期に分かれる。ひとつは、うど室に根株を伏せ込んで発芽させる「軟化栽培期」で、11月中旬ごろから4月末ごろまで。もうひとつは、次の年に向けて根株を畑で育てる「根株栽培期」で、4月末ごろから11月中旬ごろまでだ。この根株栽培期は、連作障害を避け、優良な根株を育てることなどを目的に、その多くが群馬県などの高冷地の畑で委託栽培されている。

多摩府中保健所の食べもの暦は、根株は4月末から11月中旬にかけて、栃木県や群馬県など高冷地の畑で育てられると書く。根株とは、畑で葉を茂らせて大きく育ったあと、茎が枯れたうどの根のことだ。立川市によれば、この方式は昭和40年代に始まった。栃木などの高原に根株の栽培を委託し、連作障害が出やすいうどの優良な根株の確保と、早出し生産に努めるようになった。

立川市は、うどは一般的な農産物とは異なり、収穫までに根株の株分けや室への伏せ込みなど多くの工程を経て生産される、とも書く。立川市うど生産組合は、うどがどう育てられるのかを伝える看板を作り、農業イベントなどで知らせているという。見えない場所で、しかも遠くの畑と行き来しながら育つ野菜は、育て方まで説明しなければ伝わらない。

謎の答えは、これだ。都内1位の東京うどは、夏を北関東の高原で過ごし、葉を茂らせて根を太らせる。秋に茎が枯れると、根株は立川へ運ばれ、冬の地下3メートルに潜って、一か月ほどで白い茎を伸ばす。同じ畑で続けて育てると障害が出やすい。だから、育つ場所と仕上げる場所を分けた。避暑地で体力をつけ、都会の穴ぐらで仕上がる。人間なら、ずいぶん贅沢な暮らしぶりである。

もうひとつ、調べていて思わず笑ってしまった事実がある。栃木県の公式サイトは、県の農畜産物で全国1位を占めるものとして、かんぴょう、もやしと並べて、うどを挙げている(うどは令和4年のデータ)。都内1位のうどの根っこが夏を過ごす土地のひとつは、うどの全国1位の県だったのだ。東京の名産の陰に、全国1位の夏休みがある。

では、なぜ仕上げは立川なのか。答えの半分は、土にある。崩れにくく、温度を逃がさない関東ローム層。米づくりには向かなかった赤土が、穴を掘れば頼れる壁になった。もう半分は、時代にある。養蚕が衰えた戦後、冬の農閑期に収入を生む作物が求められていた。そこへ、東から渡ってきた技術が届いた。高原の夏と、立川の地下の冬。その二つがそろって、はじめて東京うどは白くなる。

名物の無い街、と思いかけていた自分を、私は少し恥じている。立川の名物は、目に見えない場所にあっただけだ。江戸っ子が初物として待った野菜の、都内最大の産地。その仕上げを、駅から少し北の地下3メートルが引き受けている。ブロッコリーも都内1位で、旬は10月中旬から2月。冬の立川は、地上と地下の両方で、東京一の野菜を育てている。

旬は、立川市によれば12月中旬から4月。地上が一年でいちばん寒い季節に、高原で夏を過ごした根から伸びた白い茎が、旬を迎える。

冬の立川の地下で、今日も白い茎が、光の来ない方へ向かって伸びている。

寄り道クイズの答え

答えは(B)長さ。立川市によれば、「立川こまち」は東京うどを短い規格にしたもので、持ち運びに便利で求めやすい。電車で持ち帰るなら、こちらが気楽だ。

訪ねる前に

  • 旬と時期: 東京うどの旬は12月中旬から4月(立川市による)。うど品評会は毎年2月中旬で、即売会も開かれてきた。時期によっては店頭に無いこともある。
  • 買える場所と道順: ファーマーズセンターみのーれ立川(JA東京みどり、立川市砂川町2-1-5、国営昭和記念公園の北側)。JR立川駅北口の2番バス乗り場から「大山団地折返場」行き、または「東中神駅」「東中神駅入口」行きに乗り、砂川五差路で降りて進行方向へ徒歩2〜3分。バスで約20分(JA東京みどりの案内による)。営業時間・休業日・品ぞろえは公式で確かめてほしい: https://ja-tokyomidori.or.jp/minore/
  • 組み合わせるなら: みのーれ立川は国営昭和記念公園の北側にある。公園の散策と合わせれば半日の行程になる。うどの前に立川を支えた養蚕の名残は、砂川の阿豆佐味天神社の境内、蚕影神社で見られる(玉川上水と砂川の記事で歩いた道筋)。
  • 立川市「東京うど【生産量都内1位】」(生産の数字・立川こまち・土産の案内): https://www.city.tachikawa.lg.jp/sangyo/nogyo/1004072/1004090.html
  • うどの酢味噌和えの作り方: 農林水産省「うちの郷土料理」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/34_30_tokyo.html

白いうどの街の、駅の北口で

うどの旬は、立川がいちばん冷える季節と重なる。うどを探して公園の北側まで出かけ、バスで駅へ戻るころには、手も足もすっかり冷えているだろう。

立川駅の北口から徒歩1分、立川市曙町2-14-10のエトロワビル3階に、オンザショア立川店がある。溶岩プレートを敷いたスタジオで行うホットヨガのスタジオだ。常温のヨガやピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。

営業は8時から23時30分まで、年中無休で、曜日による違いはない。午前に買い物をすませても、夕方まで歩いても、寄る時間はある。

ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。うどの紙袋を提げたままでも、身ひとつで寄れる。

妊娠中の人は溶岩ホットヨガには参加できないが、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている人は利用できない。

料金は https://ontheshore.jp/price/ 、店の案内は https://ontheshore.jp/ 、体験の予約は https://site.locaop.jp/C0aVK?_src=hp で確かめられる。

地下で育った白い野菜を手に、駅前のビルの3階へ上がる。立川の冬は、上と下の行き来でできている。

冒頭の写真: 東京うどのおひたし。白く透きとおる茎の切り身に、穂先が添えられている。(写真: Kentin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。

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