立川・サンサンロードを歩く──車の入れない幅40メートルの道に、冬は60万の灯り

この記事は2026年10月時点のお知らせです。
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ケヤキとこぶしの道──サンサンロードの四季

サンサンロードの主役は、木である。

GREEN SPRINGSから見た多摩都市モノレールと、その下で色づく木々
GREEN SPRINGSから見た多摩都市モノレールと、その下で色づく木々
写真: DiKnK8713 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

立川観光コンベンション協会が2024年のイルミネーションの案内で書いた紹介によれば、この道は、ケヤキを中心に木々が並ぶ、立川市を象徴するにぎやかで特別なエリアだ。同じ案内は、サンサンロードを代表するケヤキを48本と数えている。

ケヤキは、立川の市の木である。そして、この街の暮らしの中で長く頼りにされてきた木でもある。市の北の幸町にある古民家園には、江戸の末から明治の初めごろに建てられたと推定される、砂川の旧家の三階建ての質蔵が移されている。市の説明によれば、その蔵の梁や板壁には、高価なケヤキがふんだんに使われているという。かつては梁になり、蔵の壁になった木が、いまは駅前で、48本並んで人を待っている。蔵の奥で質草を守っていた木が、駅前で待ち合わせの目印になった。出世である。

春、まだ肌寒いころに、白い花が咲く。市のパンフレットが、季節には市の花のこぶしが咲くと書いている、あの花だ。こぶしは葉が出る前に花を開くので、冬の枝の先に、急に白い灯りがともったように見える。ケヤキは、そのあとで芽吹く。

夏は、影の季節になる。モノレールの軌道と、ケヤキの枝が二重に日を遮る。千葉大学の報告は、グランドレベルのレストランやカフェがテラス席を出して、街ににぎわいをもたらしていると書いている。同じ報告は、この一帯の特徴として、立ち止まりたくなるベンチや木陰、まちに溶け込んだ車止めやベンチ、見つけて楽しい看板や外国の人にもわかりやすい案内のサインを挙げている。日なたを避けて歩く人にとって、この道は、駅前でいちばん涼しい通路のひとつだろう。サンサンと名のつく道で、真夏の人は日陰を探して歩く。

秋になると、ケヤキが色づく。この道の西側に建つGREEN SPRINGSの上の階から見下ろすと、モノレールの軌道の下で、赤や黄色に染まった木々の帯が北へ延びていくのが見える。そして冬、ケヤキは葉を落とし、枝だけになる。その枝が、冬の主役の舞台装置になる。

数字で読む サンサンロード

  • 40 — 道の幅(メートル)。都市計画では「40m以上」の区分に入る。車は一台も入れないのに。
  • 約550 — 道の長さ(メートル)。端から端まで、急げば10分かからない。急ぐ人は、まずいない。
  • 1,865 — 愛称の応募の数。採用は一通だが、「サンサン」と書いた人は一人とは限らない。
  • 48 — サンサンロードを代表するケヤキの本数。冬は一本に約1万球を背負う。
  • 約60万 — 冬のイルミネーションの電球の数。48本に1万球ずつ配っても、まだ12万ほど余る。勘定の合わない分は、名もない木たちが黙って背負っている。
  • 2003年4月5日 — 開通の日。この道は、成人式をとうに過ぎている。

旅人の寄り道クイズ

サンサンロードの正式な名前「立8・1・1号都市軸線」。その最初の「8」が表しているものはどれか。

  • A 8車線分の幅があること
  • B 自転車歩行者道であること
  • C 8番目に計画された道であること

答えは、この記事の終わり近くで。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

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道は祭りの舞台になる

広い道は、人を集める器でもある。

市のパンフレットが、この道で開かれる催しの代表として名を挙げるのが、立川よいと祭りだ。立川観光コンベンション協会によれば、山車やお囃子、万灯みこし、民踊流しは、平成元年、1989年から受け継がれてきた。2026年が第38回なので、勘定も合う。サンサンロードの開通は2003年。祭りのほうが、道より14年も年上なのである。38回。山車を引き、万灯を担ぎ、お囃子をさらう地元の人たちが、平成元年からその数まで、この祭りを運んできた。広い道ができたのはあとからで、祭りのほうが先に、この街の秋を知っていた。

2026年は、第38回が10月11日の日曜日に開かれる。会場はサンサンロード、時間は13時から21時まで。万灯みこしと山車の巡行、お囃子、民踊流し、太鼓、YOSAKOI、松明回し、歌謡ショー。今年は立川にゆかりのある落語家のトークショーや、猿まわしも予定されている。主催は立川よいと祭り実行委員会で、市と立川市地域文化振興財団が共催する。副題は「光と音のシンフォニー」。協会の告知は、昼のにぎわいから、万灯みこしやお囃子が繰り広げられる夜までを楽しんでほしいと書いている。モノレールの下で、万灯の灯りが揺れる。この道が光の道になるのは、冬だけではない。

民踊流しには、事前の練習会まである。財団の案内によれば、2026年の練習会の曲目は、新立川音頭、東京音頭、炭坑節、そして橋幸夫の「恋をするなら」と三波春夫の「チャンチキおけさ」。練習会の会場は、立川競輪場の集合棟の3階集会室だった。競輪場で、盆踊りの稽古をする。立川らしい、いい組み合わせだと思う。持ち物は、タオルと飲み物。

秋のサンサンロードには、ほかの顔もある。2026年10月のファーレ立川アートミュージアム・デーでは、10日と12日にサンサンロードでクラフトアートなどのマーケットが開かれる。催しの一つとして、多摩川の近くの文化施設「たちかわ創造舎」を拠点にする劇団が、子どもたちと一緒に、巨大な人形を使ったシアターパレードでこの道をねり歩く。協会のイベントの一覧には、2022年と2023年に「サンサンロードオープンカフェ」が開かれた記録も残っている。2004年の指針が「強く求めた」オープンカフェは、少なくとも催しとしては、この道に来ていた。

祭りが終わると、道はしばらく静かになる。そして11月の最初の日に、もう一度、目を覚ます。

冬のたちかわイルミネーション──48本のケヤキに60万の灯り

協会の2024年の案内によれば、サンサンロードには、長い間、立川の冬を彩ってきた「Tachikawa燦燦Illumination」というイルミネーションがあった。燦燦。ここで、道の名前の謎の半分が、少しだけ照らされる。少なくとも冬のあいだ、この道は名前どおりに燦燦と光る。

2024年、そのイルミネーションは装いを改め、「2024 たちかわイルミネーション 星の並木」として開かれた。期間は2024年11月1日から2025年1月13日まで。主催は一般社団法人たちきたエリアマネジメントで、立川商工会議所、立川観光コンベンション協会、立飛ホールディングスが協力し、立川市が後援した。案内によれば、サンサンロードに立ち並ぶ木々を約60万球で飾り、サンサンロードを代表する48本のケヤキには、一本につき約1万球の灯りがともった。南の端にあるモミの木は「BIG TREE」として、光の入口になった。並木を星空に見立てて、「550mの星の並木」と案内は呼んでいる。

2025年は、11月1日から2026年1月18日まで。点灯式は、多摩信用金庫の本店前の特設ステージで開かれた。立川市の頁によれば、この年の点灯式には、立川にゆかりのあるキャラクターが13体も集まった。市のくるりん、立飛グループのたっぴくんとたっぴちゃん、信用金庫のRISURU、モノレールのタマオ、壽屋のウドラ。点灯式というより、ちょっとした同窓会である。特別ゲストは、アイドルグループのロージークロニクル。協会の紹介によれば、東京都立川市が舞台になっているテレビアニメ『かいじゅうせかいせいふく』の主題歌を歌っている。立川を舞台にしたアニメの歌が、立川の並木に灯りをともした。そのアニメのキャラクターも、点灯式に顔を出す予定として名が挙がっていた。

そして2026年。たちかわイルミネーションの公式サイトと協会の告知によれば、今年の会期は2026年11月1日から2027年1月17日まで、点灯は17時から24時まで、サンサンロードが約60万球で彩られる。11月1日の点灯式は、今年も多摩信用金庫の本店前の特設ステージで、17時30分から始まる予定だ。ゲストは昨年に続いてロージークロニクルで、公式サイトによれば観覧は抽選、申し込みの締め切りは10月15日の20時。点灯式のあとは、ダンスやゴスペルのステージが続く。会期中は、写真を投稿するフォトキャンペーンや、周遊クーポンも用意される。

12月18日から20日と、24日と25日の5日間は、キッチンカーやマルシェ、音楽のステージが並ぶ「TACHIKAWA WINTER MARKET」が開かれる。公式サイトに並ぶステージの顔ぶれを見ると、この街の層の厚さがわかる。アンサンブル、金管八重奏、ピアノとヴァイオリン、オペラのアリア、キッズダンス、チアダンス。プロスポーツのトークショーには、立川の名を持つチームを含む八つのクラブや団体の名が並び、競輪の選手会の東京支部まで加わっている。出演者の中には「柴崎カーリング協会」という名前もある。演目の欄には「バンド」とある。カーリングの石の代わりに何を滑らせるのか、私は少し気になっている。公式サイトの最初の一行は、こうだ。「ここは、冬の天の川。」

ただし、イルミネーションは毎年同じではない。名前も期間も、年によって変わってきた。行く前には、その年の公式サイトで必ず確かめてほしい。

立川を歩いた人のブログには、駅からIKEAの方へ続く遊歩道としてサンサンロードを挙げ、夕方から夜の散歩を勧める一文がある。夜のライトアップもきれい、と。その一文は短いが、冬にこの道を歩いた人なら、たいてい同じことを言うだろう。

冬の夜、灯りの下を歩いていて、ふと気づく。この道には、車のヘッドライトがない。光っているのは、木と、モノレールの窓と、人の手元のスマートフォンだけだ。エンジンの音がしない光は、こんなにも静かなのか。頭の上を、ときおりモノレールが、灯りの帯をなでるように滑っていく。

車の入れない道を、なぜ駅前につくったのか

冒頭の問いに戻ろう。なぜ立川は、駅前の一等地に、車の通れない40メートルの道をつくったのか。

資料をたどって見えてきた答えの半分は、こうだ。この道は、基地の跡地に街を組み立てるための「軸」として引かれた。片側に駅前の商業、片側に業務の街、奥に国営の公園。そのあいだを、人が歩いて行き来できるように、モノレールの下の空間を、そっくり人に渡した。2004年の指針は、その軸の上にオープンカフェと「多摩オンリーワン」の施設を夢見て、入札の空振りに耐え、16年かけて、ほぼその通りの街を手に入れた。

数字も、ひとつ手がかりをくれる。市のパンフレットが引く2015年の国勢調査によれば、立川市の夜間人口は176,295人、昼間人口は201,294人。昼間人口を夜間人口で割った昼間人口指数は114.2である。毎日、市の外から7万4千人あまりが立川へ入ってきて、4万9千人あまりが出ていく。昼の立川は、夜の立川より2万5千人ほど多い。よそから来た人が、歩いて、待ち合わせて、腰を下ろす場所が、この街にはどうしても要る。

もう半分は、私にはこう見える。車の道は、通り過ぎるための道だ。人の道は、立ち止まるための道だ。祭りの山車が通り、マーケットのテントが並び、巨大な人形がねり歩き、冬には並木が星になる。そのどれも、車の道ではできない。立川は、駅前のいちばん広い場所を、通り過ぎる人のためではなく、立ち止まる人のために取っておいた。乗り換えの街と呼ばれる立川が、乗り換えずに立ち止まる場所をつくったのだと思う。旅人の勝手な読みである。残りの半分は、ケヤキの下のベンチに座って、それぞれが考えればいい。

十一月から一月の週末なら、夕方に新宿から中央線に乗るといい。30分ほどで立川に着き、北口の階段を下りれば、ちょうど灯りがともるころだ。川崎からなら、南武線に揺られて乗り換えなしで来られる。都心の並木の灯りを見慣れた人でも、車の音のしない550メートルの光の帯は、たぶん初めてである。

寄り道クイズの答え

答えはB、自転車歩行者道であることだ。立川市の「都市軸沿道地域まちづくり誘導指針」によれば、「立8・1・1」の「8」は区分で「特殊街路=自転車歩行者道」を、次の「1」は規模で「道路幅員=40m以上」を表す。8車線の道ではなく、車線がひとつもない道の番号が「8」なのである。

訪ねる前に

  • 来やすさ: 新宿からJR中央線で約30分(東京都環境局のリーフレットによる)、東京駅からは特別快速で40分(立川市による)。神奈川からは、JR南武線が川崎駅と立川駅を結んでいて、川崎から乗り換えなしで着く。時刻はその日の時刻表で確かめてほしい
  • 場所: JR立川駅北口から歩行者デッキを渡り、多摩都市モノレールの下へ。緑川通りを起点に、モノレールに沿って北へ約550メートル続く。モノレール立川北駅からすぐ。協会の案内では「立川駅北口徒歩3分」
  • 歩く時間の目安: 公式の所要時間は示されていない。端から端まで約550メートルなので、立ち止まらなければ10分もかからないが、立ち止まるための道なので、時間は多めに見ておきたい
  • 2026 たちかわイルミネーション: 2026年11月1日〜2027年1月17日、17時〜24時(公式サイトの告知による)。点灯式やWINTER MARKETの内容、雨の日の扱いは公式で確かめてほしい。https://tachikawaillumination.com/
  • 第38回立川よいと祭り: 2026年10月11日(日)13時〜21時、荒天中止(立川観光コンベンション協会の告知による)。https://tokyo-tachikawa.org/event/16759/
  • 催しの最新情報: 立川観光コンベンション協会 たちかわ観光ナビ https://tokyo-tachikawa.org/event/
  • 組み合わせて歩くなら: 道の西側にGREEN SPRINGS、東側にファーレ立川アートの作品群、北の先に国営昭和記念公園がある。沿道の多摩信用金庫本店1階にはたましん美術館がある。昼に公園と美術館を回り、日が暮れてからサンサンロードの灯りの下を駅へ戻ると、冬の立川を一日で味わえる
  • 道は自転車と歩行者の専用道路で、自転車も通る。催しの日は混み合うので、周りに気を配りたい

灯りの下を歩いたあとは、立川駅北口で

冬のイルミネーションを見て歩く夜は、思いのほか体が冷える。上を見上げて、首をすくめて、ゆっくり歩くからだ。駅へ戻る前に、その体を温めてほぐしておきたいなら、立川駅北口から歩いて1分の場所にオンザショア立川店がある。東京都立川市曙町2-14-10、エトロワビルの3階だ。

ここは溶岩ホットヨガのスタジオで、溶岩のプレートを敷いたスタジオでヨガをする。ほかに常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。

営業時間は8時から23時30分まで、年中無休で、どの曜日も同じ時間に開いている。点灯の17時を待つあいだにレッスンを受けて、灯りのともったサンサンロードへ出ていくこともできる。

初めての人には、税込1,980円のヨガの体験レッスンがある。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれている。

妊娠中の人は溶岩ホットヨガには参加できないが、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている人は利用できない。

  • オンザショア: https://ontheshore.jp/
  • 料金: https://ontheshore.jp/price/
  • 体験の予約: https://site.locaop.jp/C0aVK?_src=hp

駅へ戻るデッキの上から振り返ると、モノレールの下に、光の帯が北へ延びている。車の一台も通らない道が、今夜もいちばん明るい。

冒頭の写真: モノレールの高架の下を北へ延びるサンサンロード。両側に木が並ぶ(2026年7月)(写真: 深鸣 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。

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