立川のスポーツ観戦と走る場所──仮設のアリーナから日本一が二度、滑走路から1万人が走る街

立川の市民スポーツ施設──体育館が駅の名になる街

立川には、体育館の名を持つ駅が二つある。多摩モノレールの泉体育館駅と柴崎体育館駅だ。駅の名の由来はモノレールの記事に書いたので繰り返さない。ここでは、名前を貸した側の体育館を訪ねてみる。

空から見た立川の陸上競技場と野球場のあたり(2021年撮影)。左手に多摩川の河原が広がる
空から見た立川の陸上競技場と野球場のあたり(2021年撮影)。左手に多摩川の河原が広がる
写真: 国土地理院 / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons

立川市の施設案内によれば、泉市民体育館は立川市泉町786-11。モノレールの泉体育館駅から歩いて1分で、立川駅北口からなら村山団地行きのバスで「泉市民体育館」まで行ける。柴崎市民体育館は柴崎町6-15-9。モノレールの柴崎体育館駅から歩いて3分、立川駅南口からは歩いて15分ほどだ。市はどちらの頁にも、車での来館は控えてほしいと書いている。アリーナと同じく、ここも歩いて来る場所なのだ。

二つの体育館は、2026年4月から、同じ指定管理者が運営している。その案内によれば、泉は25メートルのプールが7コース。営業は9時から23時まで。夜の11時まで汗を流せる市民体育館は、勤め帰りの人には頼もしい。柴崎には、25メートル7コースのプールに加えて、競泳用の公認プールと、床が上下する15メートルに6メートルの小プールがあり、プールの大会を開けるという。床が上下するプール。子どもの背丈に合わせて、水の深さのほうが動いてくれる。

市のスポーツ施設の一覧を数えると、27の施設が並んでいた。二つの市民体育館、二つの陸上競技場、野球場が8か所、庭球場が5か所、多目的の運動広場、フットサル場、ゲートボール場、それに練成館とスケートパーク。立川公園野球場には「コトブキヤスタジアム」という呼び名がついていて、硬式も軟式も少年野球も使えるという。

立川公園陸上競技場は、錦町6丁目、多摩川のすぐそばにある。市の案内によれば、2026年3月1日から、団体の予約が入っていない日の9時から17時まで、個人に無料で開放されている。面白いのは曜日の決まりだ。日曜日から水曜日は陸上競技だけの日で、投てき種目は曜日ごとに決まっている。月曜日はやり投げ、火曜日は円盤投げ、水曜日は砲丸投げ。木曜日から土曜日は、インフィールドがボール遊びの場になり、サッカーやキャッチボールができる。月曜の朝に槍が飛び、木曜の午後には子どもの蹴ったボールが転がる。同じ芝生の、曜日ごとの二つの顔だ。用具の貸し出しはないから、槍は自分で持っていく。電車で槍を運ぶ人の姿を想像して、私は少し落ち着かなくなった。

市の陸上競技場では、全国の大会も開かれてきた。市の報告によれば、2024年11月、第12回近代3種日本選手権大会が、立川市陸上競技場と柴崎市民体育館の水泳場を会場に開かれた。近代3種とは、オリンピックの近代五種からフェンシングとオブスタクルを除いた3種目の競技だという。市内の小中学生のための「立川市民枠」が100人分設けられ、参加費は無料だった。表彰のプレゼンターは、パリのオリンピックで近代五種の日本代表だった選手たちが務めた。

2023年11月には、第6回マイナビ日本スケートボード選手権大会が、立飛にある民間のスケートパークで開かれた。後援した市は、上位の選手に立川にゆかりのある品を副賞として贈っている。市のキャラクター「くるりん」のクッキーのメダル、市公認になりそこねたキャラクター「ウドラ」のグッズ、そして市内の古川畜産が育てたブランド豚「柔豚」のソーセージの詰め合わせ。ソーセージは優勝者と準優勝者にだけ贈られた。日本一のスケートボーダーが、トロフィーと一緒に豚肉を抱えて帰る。世界のどこを探しても、こういう表彰台はあまりない。

市内には、市営のたちかわ中央公園スケートパークもある。滑る場所が、民間にも市にもある。若い人の遊びだと思っていた板の上の競技が、いつのまにか立川の日常の一部になっている。

昭和の運動場の地図──あのころ/いま

いまの施設の一覧を、市の年表と並べてみると、立川の運動場が一つずつ増えていった順番が見えてくる。年表は、昭和26年(1951)に市営競輪場が開設され、昭和32年(1957)に市営野球場が完成し、昭和34年(1959)に市営陸上競技場が陸上の第3種公認を受けた、と記す。昭和39年(1964)の行には、立川練成館の落成と並んで、「東京オリンピック開催。聖火が市内を通過。」とある。市は、聖火リレーが市内を走る写真も残している。

昭和48年(1973)には多摩川緑地公園が完成し、見影橋公園のプールが開いた。昭和55年(1980)、市民体育館が完成する。年表はこれに「現泉市民体育館」と注を添えている。柴崎市民体育館が開くのはまだ先のことだから、そのころは、ただ「市民体育館」と言えば通じたのだろう。昭和58年(1983)には練成館の相撲場、昭和60年(1985)には第1回の市立中学校総合体育大会。昭和61年(1986)には「立川マラソン」が日本陸連の公認レースになったと、年表は書いている。柴崎市民体育館が開くのは、平成5年(1993)になってからである。

町名が定められた昭和48年(1973)ごろの泉町を、地元の地域情報サイトは、郷土の民俗誌を引いて短く書き残している。町には市立の体育館と中学校と高校があり、ほかは旧飛行場の跡地と立川飛行機の敷地で、住む人の全くいない町だった、と。人の住まない広い土地の端に、体育館と学校だけが建っていた。その町に、いまは平成22年(2010)に移ってきた立川市役所がある。

あのころ、体育館の前にモノレールの駅はなかった。多摩モノレールが立川北と上北台のあいだで開業するのは、平成10年(1998)11月のことだ。いま、その体育館の前には駅があり、駅の名は体育館の名そのものだ。夜11時まで明かりがともり、プロのフットサルの公式戦が開かれる。住む人のいなかった隣の土地には、3,000人を超える観客を入れるアリーナが建った。聖火が通り過ぎていった街から、60年あまりのちに、東京の世界選手権の決勝を走る選手が出た。

競輪場の記事にも書いたが、市営競輪の収益を繰り入れてきた市のお金は、柴崎市民体育館や中央図書館、小中学校の校舎や体育館などの整備に充てられてきた、と市の報告書は書いている。昭和の街が自転車の競走で稼いだお金が、平成の体育館になり、令和の子どもたちが、そこのプールで泳いでいる。

施設の話を読みながら、私はもう一つの数字を思い出していた。体を動かしているのは、どれくらいの人なのか。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

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多摩川を走る、平らな街を歩く──数字で見る市民の運動

スポーツ庁が2026年3月に公表した「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によれば、20歳以上で週に1日以上スポーツをする人の割合は51.7パーセント。令和4年からほぼ横ばいだという。1週間あたりの運動の時間の中央値は69分。男性が90分、女性が59.8分で、とくに20代から50代の女性は週に30分から40分ほどと、同じ世代の男性の半分ほどにとどまる。子育てと仕事に追われる世代ほど、体を動かす時間が削られている。

同じ調査は、実施する人の多い種目として、ウォーキングや体操、トレーニング、階段の昇り降りを挙げ、これらは一人で行う人が9割前後にのぼると書く。日本人の運動の主役は、一人で、黙って、歩くことなのだ。

立川市は、その一人の歩みのための地図を作っている。「たちかわウォーキングマップ」には7つのコースがあり、たとえばAコースは柴崎市民体育館を出て、日野の渡し碑、多摩川サイクリングロード、根川緑道、普濟寺をめぐって体育館へ戻る4.5キロ、約67分。所要時間とカロリーは、時速4キロで歩き、10分で30キロカロリーを使う前提で計算されている。Aコースなら約201キロカロリー。コースの終わりに何を食べるかを、先に決めておける親切な地図である。

地図はまた、1日の歩数を約1,000歩、時間にして10分ほど増やそうという「+10(プラス・テン)」を勧め、20歳以上の都民で目標の歩数に届いている人は5割ほどにとどまる、という国の調査を引いている。立川は、ほとんどが平らな街だ。市の概要は、市域の南を多摩川が、北を玉川上水が流れ、地形は平坦だと書く。平らな街で10分多く歩くのは、坂の街で10分歩くより、たぶん少しだけやさしい。

多摩川の河川敷は、走る人にとっての立川の南の端だ。立川公園陸上競技場や多摩川緑地野球場、立川公園新堤防運動広場といった市の施設が、川に沿って並ぶ。市のウォーキングマップのAコースも、多摩川サイクリングロードを通って水辺をめぐる。国土交通省が「関東の富士見百景」に選んだ多摩川緑地からは、天気のよい冬、南西の方角に富士山が見えるという。

自転車なら、北の国営昭和記念公園にも道がある。公園の公式サイトによれば、園内には約14キロの自転車専用コースがあり、車や歩行者を気にせず走れる。立川口、西立川口、砂川口の3つのサイクルセンターに、合わせて2,000台ほどの貸し自転車がある。ただし、このコースは自転車専用で、歩いて通ることはできないと公園ははっきり書いている。走りたい人も、ここではペダルを漕ぐしかない。

立川ゆかりのアスリート──400mの日本記録は、立川第一中学校から

観る、走る、使うときて、最後に、立川から出ていった人たちのことを書いておきたい。

立川市は、市にゆかりのあるオリンピアン、パラリンピアン、デフリンピアンを応援する頁を持っている。その中に、中島佑気ジョセフ選手がいる。市の紹介によれば、出身校は立川第一中学校。男子400メートルの自己ベストは44秒44で、2025年9月の世界選手権で出した日本記録だ。その東京の世界選手権で、400メートル6位に入った。2024年のパリのオリンピックにも出場している。2024年9月には市長を表敬訪問し、パリの話や、地元立川のお気に入りの場所について語ったという。日本でいちばん速く400メートルを走る人は、立川の中学校の校庭から走り出した。

フェンシングの江村美咲選手も、市の頁に名がある。市の紹介では、市内の企業に所属する選手で、2022年の世界選手権で個人の金メダルを取った。日本のサーブル史上初の金メダルだという。2023年の世界選手権でも個人で金。パリのオリンピックでは団体で銅メダルを手にした。所属する立飛グループの頁によれば、2021年3月に大学を卒業するのを機に、日本のフェンシング界で初めてのプロの選手になる道を選んだ。2026年10月には、第20回アジア競技大会の女子サーブル個人で金メダル、団体で銀メダルを取ったと伝えている。世界一を二度取った剣士の所属先が、飛行機を作った会社の流れをくむ、立川の不動産の会社である。立川の会社の名刺には、ときどき思いもよらない肩書きが刷られている。

市の一覧には、ほかにも名前が並ぶ。車いすラグビー、アルペンスキー、近代五種、陸上の長距離、競泳、卓球、サッカー、バレーボール、新体操、体操、バスケットボール。古くはローマのオリンピックまでさかのぼる。デフリンピックの陸上で2大会に出場した選手もいる。立川の地名を背負って世界を走った人は、思っていたよりずっと多かった。

さて、冒頭の問いに戻ろう。なぜ立川では、物事がよく「始まる」のか。

一つ目の理由は、土地だ。滑走路は、1万人を一度に並べられる。飛行機の工場の跡地には、3,000人を超える観客を入れる体育館が、早く、安く建った。広くて平らな土地を最初から持っている街は、スタートラインを引くのに苦労しない。

二つ目は、駅だ。アリーナにも、体育館にも、駐車場はない、あるいは車で来ないでほしいと書いてある。それでも人は来る。立川駅と多摩モノレールが、人を運んでくるからだ。観客が歩いてやって来られる場所に、試合は開かれる。

三つ目は、地元の人たちが、自分で賽を振ったことだ。商工会議所と商店街の人たちが3人制のチームを作り、立川の会社がアリーナを建てて名を冠し、市とスポーツ協会と商工会議所が滑走路の大会を主催し、プロのチームが祝日の朝に駅前のごみを拾う。誰かが来るのを待つのではなく、先に場所を作り、先に名乗った。

仮設のつもりで建てた体育館が、半世紀使われるかもしれない。立川という街そのものが、たぶん、そういうふうにできている。飛行場の跡に公園ができ、工場の跡に砂浜ができ、滑走路の上を市民が走る。最初は仮のつもりで始めたことが、いつのまにか、この街の本当の顔になっている。

新宿から中央線で一本、川崎からなら南武線で一本。週末に、アリーナの予定表を一度開いてみてほしい。立川の名を背負ったチームが、モノレールの駅から歩いて1分の場所で、賽を振って待っている。

3月の朝、幅40メートルのスタートラインに、7,000人のランナーが並ぶ。号砲が鳴る直前の、あの一瞬の静けさだけは、滑走路が飛行機のためにあったころと、たぶん変わらない。

寄り道クイズの答え

答えは(C)やり投げ。立川市の案内によれば、立川公園陸上競技場の個人利用では、月曜日がやり投げ、火曜日が円盤投げ、水曜日が砲丸投げの日と決められている。用具の貸し出しはないので、槍は自分で運ぶことになる。

訪ねる前に

  • アリーナ立川立飛: 立川市泉町500番4。多摩モノレール立飛駅から徒歩1分(多摩モノレールは立川北駅から立飛駅まで4分)。観戦の人向けの駐車場と乗降場所はない。試合と催しの予定は公式で確かめてほしい: https://www.arenatachikawatachihi.com/
  • 立川ダイスの試合日程: https://tachikawa-dice.tokyo/ /立川アスレティックFCの試合日程: https://tachikawa-athletic.jp/
  • 立川シティハーフマラソン: 2027年3月14日(日)開催予定。種目・定員・参加資格・申込みは公式で: https://tachikawa-half.jp/
  • 箱根駅伝予選会: 2026年10月17日(土)、陸上自衛隊立川駐屯地から国営昭和記念公園へ(関東学生陸上競技連盟)。観戦の注意は主催者の案内を確かめてほしい: https://www.kgrr.org/
  • 泉市民体育館(泉町786-11、モノレール泉体育館駅から徒歩1分)と柴崎市民体育館(柴崎町6-15-9、モノレール柴崎体育館駅から徒歩3分): 営業時間・休館日・料金は https://tachikawa-sports.com/ で。車での来館は控えるよう市が案内している。
  • 立川公園陸上競技場の個人開放(錦町6-29-62): 曜日ごとの種目と受付の仕方は市の頁で: https://www.city.tachikawa.lg.jp/kanko/sports/1002923/1002944/1021320.html
  • 遠くから: 新宿からはJR中央線快速で立川まで乗り換えなし(30分台)。神奈川からは、川崎からJR南武線で乗り換えなし(立川まで約1時間)。時刻と所要時間はJR東日本の公式で確かめてほしい。
  • 組み合わせるなら: 柴崎体育館駅で降りて陸上競技場や河川敷を歩き、根川緑道を通って立川駅南口へ戻ると、南の水辺を半日で回れる(根川緑道と多摩川の記事の道筋)。アリーナに行く日は、立飛駅前のTACHIHI BEACHやららぽーと立川立飛(立飛の記事)、自転車なら国営昭和記念公園の約14キロのコースと組み合わせられる。

走ったあと、観たあとは、立川駅北口で

アリーナで声を出した夜も、多摩川の土手を走った朝も、帰り道はたいてい立川駅に集まる。モノレールを立川北駅で降りれば、JRの駅の北口はすぐそこだ。

立川駅北口から歩いて1分、立川市曙町2-14-10のエトロワビル3階に、オンザショア立川店がある。溶岩プレートを敷いたスタジオで行うホットヨガのスタジオで、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。

営業は8時から23時30分まで。年中無休で、曜日による違いはない。試合が夜までかかった日も、朝のうちに走り終えた日も、寄れる時間に開いている。

ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。着替えだけ持っていけば、身ひとつで試せる。

妊娠中の人は溶岩ホットヨガには参加できないが、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている人は利用できない。

料金は https://ontheshore.jp/price/ 、店の案内は https://ontheshore.jp/ 、体験の予約は https://site.locaop.jp/C0aVK?_src=hp で確かめられる。

週に69分。国の調査が示した、大人の運動時間のちょうど真ん中だ。滑走路を走る1万1,000人の一人になる前に、駅前の3階で、まず1時間を足してみるのもいい。

冒頭の写真: 正面の歩道から見たアリーナ立川立飛。銀色の外壁に施設名が掲げられている(写真: Bject / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。

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