立川・オニ公園(錦第二公園)へ子連れで──鬼門を守る赤鬼は方角を45度まちがえたのか

電車の見える公園、立川駅の背中

東京ロケーションボックスは、この公園の売りをこう書いている。オニの滑り台がインパクト大。線路が近く、電車が行き交う様子が遊具の背景に入り込む。

立川駅のホームに停まる、青梅特快のE233系電車(2009年撮影)
立川駅のホームに停まる、青梅特快のE233系電車(2009年撮影)
写真: Rsa / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

撮影の案内としては、それで十分だろう。だが子どもにとっては、背景どころの話ではない。鬼と電車が、同じ画面に同時に入ってくるのだ。

ニッポン旅マガジンは、公園のすぐ横をJR中央本線と南武線が通ると書く。子どもを連れてこの公園に通う人のブログは、ここを電車好きの幼児にはたまらない公園と呼び、遊んでいるあいだ電車の音が鳴りやまない、近くの歩道橋からずっと電車を眺め続けることもある、と書いている。地元の情報サイトの書き手は、公園の隣にある錦町歩道橋からの眺めを紹介し、子どもたちが滑り台を滑りながら「あ、でんしゃきた」と指をさして遊んでいる、と書いた。『散歩の達人』の記事でも、公園の敷地から線路の貨物列車が見えると語られている。

オレンジ色の中央線、南武線の電車、そしてときおり、長い貨車を引いた機関車が、低い唸りを残して西へ東へ抜けていく。鬼の滑り台を滑り、電車を見上げ、また階段をのぼる。子どもの一日は、こういう往復でできている。付き添う大人の一日は、その往復を階段の下で数えることでできている。

背後にある立川駅は、子どもが思うよりずっと大きな駅だ。立川市の統計年報によれば、JR立川駅の1日あたりの乗車人員は2024年度で154,091人。JR東日本がまとめた2024年度の駅別の順位では、新宿、池袋、東京、横浜、渋谷と続く表の14位に立川が入っている。上にある13駅は、いずれも東京23区か、横浜・大宮・川崎といった大都市の駅だ。東京の23区の外にある駅で、立川より多くの人が乗る駅は、この表にはない。

鬼の背中のほうでは、23区の外にあるJRの駅でいちばん多くの人が、毎日、電車に乗りこんでいる。

それぞれの線路にも来歴がある。市の年表によれば、青梅、南武、五日市の三つの線は、もとはそれぞれ別の私鉄で、1944年にそろって国に買収された。ひとつの駅に、もとは別々の会社だった線路が、四方から集まってきたのだ。オニ公園の鬼がいま眺めている線路の束は、その歴史の結び目である。子どもに「どうしてこんなに電車がいっぱい通るの」と聞かれたら、答えは、昔はみんな別の会社だったから、ということになる。たぶん、余計に分からなくなる。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

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ドラマの鬼、商店街の鬼

オニ公園には、もうひとつの顔がある。画面の中の顔だ。

たちかわ観光ナビは、この公園が、劇場アニメ化された漫画『聖☆おにいさん』で、主人公のブッダとイエスがジョギングをする場面などに登場するほか、ドラマ『ごくせん』や『凪のお暇』のロケ地にもなったと紹介している。立川のアパートで暮らす二人の聖人が、鬼の前を走っていく。仏教とキリスト教の開祖が、日本の鬼の前でジョギングをしている。宗教史の上で、これほど国際色の豊かな滑り台は、まず見当たらない。

ロケ地としての人気には、事情もあるようだ。東京ロケーションボックスは、この公園の雰囲気をあらわす言葉として「昭和レトロ」という札をつけている。『散歩の達人』の記事では、立川市内のロケを市から委託されている立川ロケーションサービスの人が、昔は立川駅の南口側が少し足を向けにくい場所だったこと、『ごくせん』のロケ地になって知名度が上がってからは、やんちゃな若者たちの聖地のようになっていたことを語っている。それが今ではかなり落ち着き、昼間は保育園の子どもたちも遊びに来る場所になった、と記事は伝える。

一つの公園に、夜の顔と昼の顔がある。鬼は、そのどちらにも同じ顔を向けてきた。相手によって表情を変えない。鬼にしておくには惜しい人柄である。

商店街も、この鬼を放ってはおかなかった。立川市商店街連合会のサイトには、錦商店街が主催する食べ歩きの催し「鬼うまフェス」の記録が残っている。2018年2月の回では、2月25日にオニ公園で、商店街の店が出店するフードマーケットと、マジシャンや芸人が出るステージが開かれた。参加店を使うとトレーディングカードがもらえ、3枚集めると先着50名に「鬼ストラップ」が贈られる仕組みだった。

翌年、テレビドラマ『凪のお暇』が放送されると、同じ連合会のサイトには、ロケ地のオニ公園で「凪ロス解消フェス」を開くという告知が載った。ドラマが終わって寂しくなった人を、鬼のいる公園に呼んで慰める。商店街の発想は、いつもたくましい。

この鬼を自分たちの看板に育ててきたのは、役所でも観光業者でもなかった。毎朝シャッターを上げ、錦町で店を続けてきた人たちである。

節分には、豆まき大会も開かれていると『散歩の達人』の記事は伝えている。鬼の前で豆をまくのは、ずいぶん度胸のいる遊びだ。コンクリートの鬼は豆をぶつけられても逃げないし、たぶん痛がりもしない。昭和レトロの名所を訪ね歩く人のブログには、節分の日には豆まきならぬお菓子まきの催しが開かれるそうだ、と書かれていた。鬼に向かって投げるより、子どもたちに向かって投げるほうが、拾う側の熱も上がるのだろう。

同じブログは、鬼の裏側の顔も確かめたうえで、特に変わらない、せめて青鬼にするとか工夫が欲しい、と書いている。表が赤鬼、裏が青鬼。言われてみれば、ちょっと見てみたい。

コンクリートの鬼が45年たっても赤い顔をしているのは、たぶん誰かが手を入れてきたからだ。地元のニュースサイト「いいね!立川」は2022年3月、オニ公園のリニューアル工事が終わり、砂とベンチがきれいになったと伝えた。多摩てばこネットは2024年、令和6年6月26日から1週間ほど、遊具のまわりの水たまりを解消する工事のため、鬼の滑り台や砂場、ブランコが使えなくなるという案内看板が出ていたことを記録している。記事の書き手は、工事の原因を一瞬「オニのしわざ」かと疑い、オニさんには申し訳ないことをした、と書いていた。街の人は、鬼に対していつも少しだけ遠慮がちだ。

立川には、赤い公園という名前のロックバンドもあった。2010年に結成され、2021年に解散したガールズバンドで、最初のメンバーはみな立川市の出身だった。バンド名は「怪獣公園」にするつもりが、すでに使われていたために「赤い公園」になったという。立川市の年表には、2014年に「赤い公園」地元恩返しプロジェクトとして、子ども未来センターの広場に赤いベンチが置かれたことが記されている。怪獣にはなれなかった赤い公園と、ずっと赤い鬼のいる公園。立川という街は、どうも赤い公園と縁がある。

子どもと歩く立川、公園の数を数えてみる

オニ公園を出て、子どもと一緒に立川を歩くなら、どこへ行けばいいのか。その前に、立川にどれだけの公園があるのかを数えてみた。

立川市の統計年報の令和7年版によれば、2024年4月1日現在、市の都市公園は、住まいの近くにある小さな街区公園が79か所で約10.7ヘクタール、近隣公園が7か所、地区公園が1か所、総合公園が2か所、広場公園が4か所、緑地が8か所ある。都市公園ではない公園も157か所ある。数字を足すと、公園や緑地と名のつく場所が市内に250以上ある勘定だ。

オニ公園のある錦町だけを見ると、街区公園は5か所で、面積は合わせて9,141平方メートル。そこに加えて、立川公園という大きな総合公園がある。立川公園の野球場や根川緑道の話は、この特集の別の記事に譲ろう。

そして、言うまでもなく、市の真ん中には国営昭和記念公園がある。同じ統計年報には、国の事務所がまとめた入園者数が載っていて、2024年度は3,509,564人。その表の注記には、2018年度から子どもの料金が無料になったため、子どもの入園者数は「無料」の欄に含めている、とある。広大な国営公園に、子どもはお金を払わずに入れる。子連れの散歩にとって、これほど頼もしい背景はない。昭和記念公園の歩き方も、別の記事で書いた。

立川市の年表には、子どもの居場所をつくってきた跡も刻まれている。1972年には富士見児童館が開き、年表はそれを「児童館第1号」と記している。1997年には、オニ公園と同じ錦町に、錦児童館と学童保育所が開いた。2012年には、旧市役所の跡地に立川市子ども未来センターがオープンしている。かつて鬼が守っていたかもしれない役所の跡が、いまは子どものための建物になっている。鬼の仕事は、案外まだ終わっていないのかもしれない。

公園が、ときどき、いつもと違う顔になる日もある。東京都の子ども政策の資料には、市民団体「冒険遊び場の会たちかわ」が2023年に、砂川公園、緑町北公園、立川公園のガニガラ広場という市内3か所の公園でプレーパークを開いた記録が載っている。ターザンロープ、ベーゴマ、水遊び、段ボールでの基地づくり、かまどでの火おこし。禁止事項をなるべくつくらず、子どもたちの「やってみたい」を応援する、と団体は書いている。

同じ資料には、参加した子どもたちの感想がそのまま載っている。小学3年生のひとりは、ターザンロープで最初は地面に体がついたけれど、2回目からは最後まで行けたので、最後までチャレンジしたほうがいいと思った、と書いた。別の3年生は、たき火の手伝いで、できなかったらどうしようと思ったけれど、がんばって振ったら火がついて、いい気持ちになった、と書いている。

役所の文書に、これほど率直な文章が載ることは珍しい。私は少し、背筋を伸ばして読んだ。

団体は、その後も市内の公園で、おおむね月に1度のペースでプレーパークを開いていると、自分たちのページで告知している。

さて、鬼の前に戻らなければならない。方角の宿題が、まだ片づいていない。

鬼が守っていたもの

結局、この鬼が何の北東を守っているのか、資料ははっきりとは教えてくれなかった。旧市役所から見ればほぼ真北で、駅から見ればほぼ真東で、古い柴崎の村から見れば北東に当たる。どこから見るかで、鬼の仕事が変わる。設計者の頭の中にあった地図は、もう確かめようがない。

ただ、ひとつだけ確かなことがある。鬼門の鬼は、門の外から入ってくるものを追い払うためにいる。けれども、この鬼の前に毎日やって来るのは、災いではなく子どもたちだ。鬼は子どもを追い払わない。それどころか、肩によじ登らせ、顔の横を滑らせている。

鬼門を守るはずだった鬼は、45年かけて、子どもたちの門番になった。

1981年、駅が建て替わり、南口が組み替えられ、北の基地跡には巨大な公園の計画が描かれた。その年に、誰かが街の片隅に鬼を置いた。半世紀が過ぎて、区画整理は終わり、国営公園は年に350万人を迎え、駅は23区の外にあるJRの駅で、いちばん多くの人が乗る駅になった。そのあいだ、鬼は同じ場所で同じ顔をしていた。

立川は、自分の街を自慢するのが下手だと言われる。だが、駅から歩いて6分のところに、45年も子どもの相手をしてきた鬼がいる街は、そう多くない。

週末、子どもに「鬼を見に行こう」と言ってみるといい。泣くか、喜ぶか。どちらに転んでも、帰り道の話の種にはなる。新宿からは中央線で30分ほど。川崎からなら南武線に乗ったまま、鬼の背中を走る線路の上まで運ばれてくる。

寄り道クイズの答え

答えはB。立川市の年表によれば、1981年には、基地跡地に関連する幹線道路や国営昭和記念公園の区域などの都市計画決定がなされている。同じ年に立川駅の仮駅舎の使用が始まり、駅ビルの工事も始まった。多摩都市モノレールの最初の区間が開業したのは1998年、ファーレ立川のまちびらきは1994年である。

訪ねる前に

  • 所在地: 東京都立川市錦町1-5-13(錦第二公園。通称オニ公園)
  • 行き方: JR立川駅から徒歩6分(東京ロケーションボックス・『散歩の達人』による)。南口に出て線路沿いに東へ。立川通りがJRの線路の下をくぐるアンダーパス「立川立体」の南西側にある。
  • 都心と神奈川から: 新宿からJR中央線で約30分(東京都の雑木林のみちのリーフレットによる)。JR南武線は川崎駅と立川駅を結ぶので、川崎方面からは乗り換えなしで立川に着く。時刻はその日の時刻表で確かめてほしい。
  • 公園の設備: 鬼の滑り台(幅の広い側と、階段で途中から上る小さな子ども向けの側)、ブランコ、スプリング遊具、砂場、南側のグラウンド。多目的トイレと水飲み場あり。自動販売機はない(『散歩の達人』2023年12月号の記事による)。専用の駐車場はない。
  • 工事などで遊具が使えない期間があることもある。最新の情報は立川市の公園担当(都市整備部公園緑地課)に確かめてほしい: https://www.city.tachikawa.lg.jp/
  • たちかわ観光ナビ(オニ公園): https://tokyo-tachikawa.org/spot/1603/
  • 線路に近い公園なので、電車を見に行くときは子どもの手を離さないように。
  • 組み合わせるなら: 旧市役所の跡に建つ立川市子ども未来センターと立川まんがぱーくは、同じ錦町にある。少し足を延ばせば、根川緑道と立川公園、多摩川の河原へも歩いて行ける。北口へ抜ければ、ファーレ立川のアート、さらに国営昭和記念公園へ続く。
  • プレーパークの開催日と場所は「冒険遊び場の会たちかわ」の告知で確かめてほしい。

遊んだあとは、立川駅北口で

鬼の滑り台は、子どもだけの遊具ではない。抱き上げ、支え、追いかけ、何度も階段の下で待つ。子どもを連れて公園で過ごした一日の終わりには、大人の腰と肩のほうが先に音を上げている。

立川駅の北口から歩いて1分のところに、オンザショア立川店がある。住所は東京都立川市曙町2-14-10、エトロワビルの3階。溶岩のプレートを敷いたスタジオで行うホットヨガのスタジオで、常温のヨガやピラティスのほか、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがそろっている。

営業は8時から23時30分まで、年中無休で、曜日による違いはない。子どもを送り出した朝の時間にも、家族が寝静まった夜にも開いている。

初めての人には、税込1,980円のヨガの体験レッスンがある。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれている。

妊娠中の人は溶岩ホットヨガには参加できないが、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている人は利用できない。

  • オンザショア: https://ontheshore.jp/
  • 料金: https://ontheshore.jp/price/
  • 体験の予約: https://site.locaop.jp/C0aVK?_src=hp

南口の線路際では、今日も鬼が口をあけたまま、電車と子どもを交互に見送っている。

冒頭の写真: 立川駅南口の駅前。歩行者デッキと駅ビルが見える(2014年撮影)(写真: Nyao148 / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。

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