歩きやすい街とダイエットの科学 引っ越しで増える歩数と体重が変わる条件

新北市の市民広場北側にある日よけ設備が設置された歩道の様子 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

住所の周りより、実際に通る道を見たい

ロンドンの追跡研究は、街の条件をもう少し細かく考える材料になる。研究には、異なる賃貸住宅区分の住まいへの転居を希望する成人1,278人が参加し、2年後に追跡された。研究者は活動量計による歩数と、地理情報を用いた歩きやすさ、公園との距離、公共交通へのアクセスを調べた。[3]

歩きやすさが1標準偏差増す変化は、1日の歩数が302歩多いことと関連し、95%信頼区間は110〜494歩だった。標準偏差は、研究対象内のばらつきを基準にした量で、歩道の長さや徒歩の分数に直接換算できる単位ではない。信頼区間は推定の不確かさを示す範囲である。[3] 数字を見て「この距離を歩けば同じ効果」と読み替えることは避けたい。

ロンドンでの環境変化を具体的に見ると、近隣の歩きやすさの指標は平均1.4単位上がり、最寄りの公園までの距離は270m短くなり、公共交通へのアクセス指標は0.7点上がっていた。研究者は、追跡時の歩数を開始時の歩数や交絡要因も考慮して分析した。[3] 道、公園、交通の条件が一緒に動いた集団を追い、それぞれの環境の変化と歩数の変化との関連を検討した研究なのだ。

公共交通へのアクセスの改善は、全体では歩数の変化と関連しなかった。さらに住宅区分によって関連の向きが異なり、社会的な条件によって恩恵が同じように届くとは限らないことが示唆された。[3] 駅や停留所が便利になることと、誰もが歩くようになることの間には、生活条件を挟んで考える余地がある。

自宅周辺の地図だけでは行動を捉え切れない、という指摘もある。Drewnowskiらは、家を中心とする地域の評価から、本人が実際に移動する経路や交通手段、目的地を捉える評価へと研究が進んできたと整理している。[6] 寝に帰る場所と、昼間の行動範囲が違う人にとっては、理解しやすい話だろう。住所の周りに道はあっても、本人は別の地域で一日を過ごしているかもしれない。

実際の位置と活動量を合わせた研究では、米国の成人女性360人が7日間、位置情報を測る機器と活動量計を装着した。平均年齢は55.3歳で、緑が多い場所、歩きやすい場所ほど、その時点の身体活動が多いという、直線的とは限らない関連がみられた。[20] 家の近くに何があるかだけでなく、どこにいるときに動いているかを調べた点に意味がある。

ただし、この結果だけでは、環境が活動を増やしたのか、動く用事のためにその場所を訪れたのかを分け切れない。探索的な分析では、所得や年齢などによって関連の強さも異なった。[20] だから自分の街を採点するときも、地域全体の評価をそのまま自分の生活の評価にせず、よく行く場所と実際の行き方を照らし合わせるのがよい。

読者の作業としては、買い物、通院以外の用事、仕事の行き帰りなどから、普段の経路を思い浮かべればよい。目的地まで歩けそうかだけでなく、帰りに荷物を持つ場面や、暗くなる時間に通る場面も考える。これは研究で検証された減量手順ではなく、実際の移動を重視する研究の視点を、生活に引き寄せるための点検である。[6]

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同じ街でも、体重との結びつきは一様にならない

体重を直接調べた研究も見ておこう。Jamesらは、米国北東部に住む60〜87歳の女性23,435人を対象に、街の歩きやすさ、緑、大気汚染と、本人が申告したBMIとの関連を調べた。複数の環境要素を同時に考慮しても、歩きやすさとBMIには単純な直線にならない関連が残った。[14]

歩きやすさの低い範囲では、指標が高くなるほどBMIが高い関連があり、より歩きやすい範囲では、指標が高いほどBMIが低い関連に変わった。また、歩きやすさとBMIの関係がみられたのは、この対象集団の中でも71歳未満の人だった。[14] 「点数を上げれば上げるほど同じ割合で痩せる」という図を、この結果から描くことはできない。

この研究の対象は高齢の女性であり、BMIも自己申告である。[14] 立川で暮らす働き盛りの男女に、そのまま数値を当てはめるものではない。さらに、街の緑や空気、道路の密度は互いに無関係に並んでいるわけでもない。研究は、こうした環境要素の関連と、直線的でない関係を扱う重要性を示している。[14] 大気の汚れそのものの研究は別の題材に譲り、ここでは街を単一の点数だけで理解しない手掛かりにしたい。

研究の広がりにも偏りがある。客観的に測った環境と成人の身体活動を扱う2022年の系統的レビューは、21か国の94研究を含んだ。活動量計や地理情報による測定がよく使われた一方、民族的背景や社会経済的な条件の報告は概して乏しかった。環境データの出所や、測定法を選んだ理由の説明にも不足があった。[7]

測定機器を使えば、すべての問題が片づくわけでもない。歩数を細かく測れても、住民がどんな条件でその道を使っているかが抜ければ、別の集団への応用は難しくなる。[7] 熱帯・亜熱帯などのレビューでも、日陰や屋内の活動場所など、暑い気候に特有の条件を調べた研究は少なく、非西洋諸国の知見も限られていた。[9] 海外の都市の結果を、日本の季節や生活へ移すときには、その空白も踏まえたい。

ここまでの研究から、読者が自分を責める材料を探す必要はない。通れる経路、行く理由、利用できる交通、生活上の制約を並べる方が、街の研究の問いに近い。環境と活動量の関連を確かめることと、歩けない日を本人の落ち度にすることは、別の作業である。[3][6]

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よくある誤解

「歩きやすい街へ移れば、体重も同じように下がる」という見方は、途中を省いている。転居に伴う活動量の増加は大規模データで示されたが、ここで紹介した増加の数字は歩数の結果だ。[11] 体重に関するレビューでは、関連の多くが小さいか不明確だった。[16] 引っ越しの判断に使うなら、歩いて暮らせる条件の情報と、減量を保証する情報を混同しないことが大切になる。

「街の歩きやすさは、住民なら誰でも同じように使える」という理解にも無理がある。ロンドンの追跡研究では公共交通へのアクセスの変化との関係が住宅区分によって異なり、位置情報を用いた女性の研究でも集団によって関連の強さが違った。[3][20] 地図の上では共有している道も、本人が使う時間帯や行き先まで共通とは限らない。自分が使う道に絞れば、地域の平均より具体的に考えられる。

「歩数が増えなかったら、環境を見直す意味がない」と急ぐのも早い。研究で扱う環境は、道の接続、安全性、景観、目的地へのアクセスなど幅広く、それらが重なって活動量と関連する。[9] 道を変えても行く用事がなければ、歩く機会を作りにくい場合を想像できる。単に遠回りを足すより、普段の用事と合う道を探すという試し方もある。

今日からできること

  • 買い物に出る人は、今週の用事を1回、無理なく歩いて往復できる近所の店で済ませる。目的地へのアクセスを日常の移動に生かす。[9]
  • 通勤や外出で駅を使う人は、今週2回、安全に通れる駅までの区間を徒歩で移動する。[6][9]
  • いつも同じ道を歩く人は、次の外出で別の安全な経路を1回歩き、横断場所や歩道のつながりを比べる。[9]
  • 暑さや雨で外出を控えがちな人は、次の1週間で屋内の運動場所を1回利用する。行き帰りも含めて通える場所から始める。[9]
  • よく行く目的地がある人は、今日、そこまでの経路を2通り地図で確認し、荷物を持つ帰り道まで考える。[6]
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用事の先に、体を動かす行き先をつくる

歩く目的地を日常の用事につなげたい人にとって、JR立川駅北口から徒歩1分のオンザショア立川店も、駅から向かえる運動の行き先になる。東京都立川市曙町2-14-10のエトロワビル3Fにある溶岩ホットヨガスタジオで、全曜日8:00〜23:30に営業し、年中無休だ。

通って試す入口として、ヨガの60分体験を税込1,980円で受けられる。体験料金にはバスタオル2枚とフェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルも入っている。駅からの行き帰りに加え、持ち物を含めて通う準備を考えられる。

溶岩プレートを敷いた空間でのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティスもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングも扱う。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。

内容は店の案内、費用は料金、申し込みは体験の予約で確認できる。次に立川駅を使う日に、歩く経路の先へ体験の行き先を加えてみよう。

参考文献

  1. Longitudinal impact of changes in the residential built environment on physical activity: findings from the ENABLE London cohort study. — Clary et al., 2020, The international journal of behavioral nutrition and physical activity. DOI: 10.1186/s12966-020-01003-9
  2. Obesity and the Built Environment: A Reappraisal. — Drewnowski et al., 2020, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1002/oby.22672
  3. Objectively measuring the association between the built environment and physical activity: a systematic review and reporting framework. — Pontin et al., 2022, The international journal of behavioral nutrition and physical activity. DOI: 10.1186/s12966-022-01352-7
  4. A systematic review on the associations between the built environment and adult’s physical activity in global tropical and subtropical climate regions. — Nigg et al., 2024, The international journal of behavioral nutrition and physical activity. DOI: 10.1186/s12966-024-01582-x
  5. Countrywide natural experiment links built environment to physical activity. — Althoff et al., 2025, Nature. DOI: 10.1038/s41586-025-09321-3
  6. Walkability indices and childhood obesity: A review of epidemiologic evidence. — Yang et al., 2021, Obesity reviews : an official journal of the International Association for the Study of Obesity. DOI: 10.1111/obr.13096
  7. Interrelationships Between Walkability, Air Pollution, Greenness, and Body Mass Index. — James et al., 2017, Epidemiology (Cambridge, Mass.). DOI: 10.1097/EDE.0000000000000724
  8. Associations between the built environment and obesity: an umbrella review. — Lam et al., 2021, International journal of health geographics. DOI: 10.1186/s12942-021-00260-6
  9. GPS-Based Exposure to Greenness and Walkability and Accelerometry-Based Physical Activity. — James et al., 2017, Cancer epidemiology, biomarkers & prevention : a publication of the American Association for Cancer Research, cosponsored by the American Society of Preventive Oncology. DOI: 10.1158/1055-9965.EPI-16-0925

冒頭の写真: 新北市の市民広場北側にある、日よけ設備が設置された歩道の様子。(写真: Junyu-K / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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