袖釣込腰（そでつりこみごし）
＝「相手の袖を強く引き込み、腰で持ち上げて投げる技」
✅ 技の分類と基本構造
分類：腰技（こしわざ）
主な作用：相手の体を浮かせて、腰を支点に回転させて投げる
この技は、**「引き（袖）・浮かせ（釣込）・腰を差し入れる（腰）」という3つの要素が組み合わさっています。
相手を“斜め上に浮かせて”→“自分の腰に乗せて”→“腰を軸にして回転させる”**のが特徴です。
✅ 技の入り方（右組の場合）
右手で相手の左襟、左手で相手の右袖を握る（標準の組み手）
左袖を強く引き込みつつ、右手（釣り手）で斜め上方向に相手を浮かせる
自分の腰を相手の股関節あたりに差し込むように前へ踏み込む
体を回転させながら、相手のバランスを腰の上で崩し切って投げる
✅ ワンポイントアドバイス・コツ
| ポイント | 解説 |
|---|---|
| ✔ 袖の“引き込み”が命 | 相手の前腕を自分の腰の上まで引きつけるように引くと腰に乗せやすい。 |
| ✔ 自分の腰位置は“相手より低く” | 浮かせるだけでなく、腰を差し込んだ瞬間に自分が沈み込む意識が大切。 |
| ✔ タイミングは「浮いた瞬間に腰」 | 袖と襟で浮かせたら**間髪入れずに腰を差し込む！**この一体感が成功の鍵。 |
✅ 実戦での強さ・応用
スピードと技術で勝負できる技なので、体格差を超える場面が多い
袖を握ったままの投げなので、倒した後も制圧や寝技への移行がスムーズ
総合格闘技では「壁際での制圧・テイクダウンの導入」としても活用可
🥇 袖釣込腰が得意な柔道家・格闘家と逸話
🔹【野村 忠宏（柔道男子60kg級・五輪3連覇）】
代名詞とも言える美しい袖釣込腰での一本勝ち多数
特に**組み際から一瞬で相手を浮かせて腰に乗せて投げる“高速版”**は、教科書以上の完成度
特徴：釣り手の“引きつけながら浮かせる軌道”が異常に滑らか
🔹【古賀 稔彦（バルセロナ五輪金メダリスト）】
袖釣込腰ではない「一本背負い」も代表技だが、変化形としての袖釣込腰の強さも見せた
相手を誘い込みながら、腰に重みを乗せて投げる「柔よく剛を制す」典型
🔹【五味 隆典（元PRIDEライト級王者／柔道出身）】
MMAでは直接この技を出す場面は少ないが、クリンチからのテイクダウンや押し相撲的な攻防での“腰の入れ方”が非常に柔道的
特に壁際での組みついてからの“回転投げ”が、袖釣込腰に近い発想
✅ 袖釣込腰の実戦的価値まとめ
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 投げ方 | 引いて浮かせて腰で回す（3ステップ連動） |
| メリット | 相手の重心を奪いやすい／組み手制圧後の展開が豊富 |
| 難しさ | 引き込みと腰差し込みの連動がやや難しい（中級技） |
| 対応力 | 自分より大きい相手にも通じる／クリンチや壁際にも応用可 |
| 寝技連携 | 投げながら袖を離さない＝抑え込み・関節にすぐ移行可 |
🔧 練習・応用メニュー
✅ 崩し練習：釣り手で浮かせ→引き手で重心誘導の繰り返し
✅ 投げ練習：スピードではなく「タイミングの連動」に集中する
✅ MMA応用：壁際でクリンチ→釣込→腰回転から崩して寝技へ（組技格闘との融合）
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| 【監修者】 | 宮川涼 |
| プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |
