
湯から出て寝るまでの時間と、夜の血圧
夜の血圧を測った研究もある。2019年の研究は、平均70.9歳の高齢者758人について、家での入浴の条件と、持ち歩きの血圧計の値を2晩くり返し測った[3]。湯につかる時間(3等分の境は11分と15分)、湯から出て寝るまでの時間(同42分と106分)、湯の温度(同40.3℃と41.2℃)で、それぞれ3つの群に分けている[3]。
湯から出て寝るまでの時間が中くらいの群と短い群では、長い群より、夜の上の血圧がそれぞれ1.7mmHg(95%信頼区間0.2〜3.1)と1.9mmHg(0.1〜3.7)低かった[3]。夜に血圧が下がる幅(ディッピング)も、どちらも1.8%大きかった[3]。眠っている間の血圧でも同じ傾向だった[3]。
一方、湯の温度と湯につかる時間は、どの血圧の指標とも有意な関連がなかった[3]。面白いのは、湯の温度が高い群ほど、湯から出て寝るまでの時間が長かったことだ(傾向のp=0.006)[3]。熱い湯に入った人は、すぐには寝床に入らない。測られたのは家の入浴だが、銭湯の帰り道の長さを思えば、この並びはなんとなく分かる。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
温泉の研究は、湯の効果をほかの事情と分けにくい
銭湯に近い場面として、外へ出かけて入る湯の研究も見ておく。
2023年の日本全国のオンライン調査では、温泉に入る習慣と、心の健康に関わる主観的な満足度との間に正の相関があった[11]。ただ、同じ調査の因子分析では、温泉の習慣は良い心の健康だけでなく、健康への意識の高さや病気とも結びついていた[11]。温泉の習慣がある人は、健康への意識も高い傾向があったことになる。著者らは、温泉に入る習慣が心の健康に良い影響を与えうると示唆している[11]。
三朝町の成人5,250人を対象にした2023年の横断研究(ある時点で一度だけ調べる研究)は、ラドンを含む温泉に週1回より多く入る人では、週1回未満の人と比べて、高血圧の症状が和らいだと答える見込みが高かったと報告した(調整後のオッズ比5.40、95%信頼区間1.98〜14.74)[16]。胃腸炎では調整後9.18で、信頼区間は1.15〜72.96と、とても広かった[16]。信頼区間の端から端までが60倍以上ある数字は、方向を示す以上のことはほとんど言えない。
いちばん正直なのは、イタリアの硫黄泉の研究かもしれない。平均47.3歳の76人(54%が女性)が7〜12日続けて毎日60〜90分湯につかり、眠りの質問紙に答えた[9]。不眠の強かった47人では不眠の点数が26.4から20.1に下がった[9]。ところが著者ら自身が、対照群がないので、この改善は休暇の効果、仕事のストレスの減少、期待の効果、平均への回帰、そして硫黄の成分と関係なく温かい湯につかること自体の効果と区別できないと書いている[9]。

銭湯の健康効果は、2つに分けて考える
ここまでを銭湯に当てはめると、効果の候補は2つの層に分かれる。1つは湯船につかることそのもので、追跡調査が数えたのは湯船につかる回数だった[1][15]。こちらは家の風呂でも銭湯でも同じ行為である。
もう1つは、出かけること、歩くこと、知らない人と同じ湯に並ぶこと、日常から少し離れることだ。温泉の研究が自分で認めたように、休暇やストレスの減少のような要素は、湯の効果と分けにくい[9]。銭湯ならではの良さがあるとしたら、たぶんこちらの層にある。これは私の読みで、確かめた研究ではない。
立川の銭湯そのものの話は、同じサイトの「立川の銭湯めぐり 八王子より多い3軒の湯と、いまも湯の値段を決める戦後の勅令」に譲る。サウナと水風呂は同じサイトの特集と、同じ特集の運動後の冷水浴の記事に譲る。
よくある誤解
「毎日湯船につかれば病気を防げる」。言えるのは関連までである。ほぼ毎日つかる人で循環器病と要介護の認定のリスクが低かったが[1][15]、どちらも回数を割り付けた試験ではない。女性の乳がんでは関連が見られなかった[7]。
「熱い湯ほど体にいい」。873人の研究では湯の温度が高いほど動脈の硬さの目安は低かったが[2]、758人の研究では湯の温度は夜の血圧と関連しなかった[3]。湯の中では皮膚の温度が上がるほど血圧と脈が上がる[10]。熱いほど良いとは言えない。
「温泉の成分が効いている」。成分の効果は、休暇の効果や期待の効果、温かい湯そのものの効果と区別できていない[9]。症状が和らいだという研究も、一度だけ尋ねた横断研究である[16]。

今日からできること
- 1週間、湯船につかった日を記録してみる。追跡調査は「週0〜2回」「週3〜4回」「ほぼ毎日」のような回数で人を分けていた[1]。
- 冬は入る前に部屋を暖めておく。入浴前の居間が寒いほど、湯の中の皮膚の温度は高くなっていた[10]。
- 湯から出て寝るまでの時間を、気が向いた日にメモする。高齢者の研究では、この時間が短い群のほうが夜の血圧が低かった[3]。
- 湯の中で、めまい、吐き気、胸のどきどきが出たら、その場で我慢せず湯から出て、脱衣所など涼しい所へ移る。高齢の家族が家で一人で長湯をしないよう、声をかける。家の入浴が高齢者の溺水による死亡を増やしていると研究者は書いている[10]。
- 血圧や心臓の持病がある人は、湯の温度と時間を医師に相談する。湯の中では皮膚の温度が上がるほど血圧と脈が上がっていた[10]。
- 温泉や銭湯で体調が良くなった気がしても、それを湯の成分の効果と決めない[9]。
湯船の調査が数えたのは習慣、オンザショア立川店が置けるのも習慣
この記事の追跡調査が数えたのは、湯船につかるという習慣の回数で、当店のレッスンの効果ではない。だから当店で循環器病が減るとは書かない。共通する点があるとすれば、週の中に決まって体を温める時間を置くという、続け方の形くらいである。湯船と同じで、効くかどうかより先に、続くかどうかを考えたい人に向けて書いておく。
当店には、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上ある。
東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分(店のトップ)。営業は8:00〜23:30。8時の回があるのは土曜と日曜で、平日の朝いちばんは月曜から木曜が10時、金曜が13時。水曜と金曜には21時開始の回がある。
体験レッスン(ヨガ)は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる(体験の予約・料金)。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できないが、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
参考文献
[1] Habitual tub bathing and risks of incident coronary heart disease and stroke — Ukai T, Iso H, Yamagishi K, Saito I, Kokubo Y, Yatsuya H, Muraki I, Eshak ES, Sa, 2020, Heart (British Cardiac Society). DOI: 10.1136/heartjnl-2019-315752
[2] Habitual hot water bathing protects cardiovascular function in middle-aged to elderly Japanese subjects — Kohara K, Tabara Y, Ochi M, Okada Y, Ohara M, Nagai T, Ohyagi Y, Igase M., 2018, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-018-26908-1
[3] Association between timing of hot water bathing before bedtime and night-/sleep-time blood pressure and dipping in the elderly: a longitudinal analysis for repeated measurements in home settings — Tai Y, Saeki K, Yamagami Y, Yoshimoto K, Kurumatani N, Nishio K, Obayashi K., 2019, Chronobiology international. DOI: 10.1080/07420528.2019.1675685
[7] The Association between Habitual Tub Bathing and Risk of Breast Cancer: The Japan Public Health Center-Based Prospective Study — Teraoka N, Muraki I, Iso H, Kawasaki R, Inoue M, Tsugane S, Sawada N, For The Ja, 2025, Asian Pacific journal of cancer prevention : APJCP. DOI: 10.31557/apjcp.2025.26.5.1615
[8] A pilot study on the relationship between thermal habits, chronic inflammation, and arterial stiffness in young adults — Nagai M, Tanaka A., 2025, BMC research notes. DOI: 10.1186/s13104-025-07236-w
[9] Short-Term Sulfurous Balneotherapy and Self-Reported Sleep Quality: An Exploratory Retrospective Real-World Pre-Post Observational Study at Terme di Saturnia (Italy) — Ferrara E, Scaramuzzino M, Balice G, Murmura G, Sinjari B., 2026, Healthcare (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/healthcare14060782
[10] Blood pressure, pulse rate, and skin temperature during hot-water bathing in real-world settings among community-dwelling older adults: the HEIJO-KYO Study — Tai Y, Obayashi K, Okumura K, Yamagami Y, Saeki K., 2024, Environmental health and preventive medicine. DOI: 10.1265/ehpm.23-00320
[11] Hot spring bathing practices have a positive effect on mental health in Japan — Takeda M, Nakamura H, Otsu H, Mimori K, Maeda T, Managi S., 2023, Heliyon. DOI: 10.1016/j.heliyon.2023.e19631
[15] Bathing Frequency and Onset of Functional Disability Among Japanese Older Adults: A Prospective 3-Year Cohort Study From the JAGES — Yagi A, Hayasaka S, Ojima T, Sasaki Y, Tsuji T, Miyaguni Y, Nagamine Y, Namiki T, 2019, Journal of epidemiology. DOI: 10.2188/jea.je20180123
[16] Association between Radon Hot Spring Bathing and Health Conditions: A Cross-Sectional Study in Misasa, Japan — Kataoka T, Habu H, Tanaka A, Naoe S, Murakami K, Fujimoto Y, Yukimine R, Takao S, 2023, Acta medica Okayama. DOI: 10.18926/amo/65749
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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