冬に太るのはなぜ?年末の休暇の体重増は平均0.37kgと小さく、春と夏を越えても戻らなかった

冬に太るのはなぜか。年末の休暇に2.3kg増えるという通説を195人で測ると平均0.37kgで、その分は翌年の秋まで戻らなかった。クリスマスの1.35%、寒い季節と乾季の体重、休暇の介入の確かさまで、増え方と戻りにくさを研究で分けて読み直す。

冬に太るのはなぜか。先に「どれだけ増えるのか」を確かめると、問いの形が変わる。アメリカでは、感謝祭から元日までの休暇の時期に平均で2.3kg以上増える、とよく言われてきた。けれど、それを支えるデータはほとんど無かった[1]。

実際に195人を測った研究では、休暇の時期の増加は平均0.37kgだった[1]。言われてきた数字の6分の1ほどである。ただし話はそこで終わらない。その小さな増え方は春にも夏にも戻らず、翌年の秋まで残っていた[1]。著者らは、この秋と冬の増加が、大人の時期にしばしば起きる体重の増加に、おそらく寄与していると書く[1]。

つまり答えの芯は「冬に大きく太る」ではなく「休暇の時期に少し増え、それが戻りにくい」である。なぜ増えるのかについては、体重の高い季節には食べる中身も違うという観察[17]、休暇がストレスになる人がいるという整理[5]、減量に取り組む人では休暇中に体重計に乗る回数が減るという報告[8]がある。そして季節で体重が重くなる時期は、国と暮らしで違った[17]。

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「休暇に2.3kg太る」は、測ってみると0.37kgだった

2000年に載ったこの研究は、手順が地味で面白い。参加したのは、集めやすい形で募った大人195人[1]。9月の終わりか10月の初めから、6〜8週間おきに4回体重を量り、3つの時期の変化を出した[1]。休暇の前(11月の半ばまで)、休暇の時期(11月の半ばから1月の初めか半ばまで)、休暇の後(2月の終わりか3月の初めまで)である。

目を引くのは、本当の目的の隠し方だ。主な関心が体重だと気づかれないように、ほかの体の測定値や自己申告の健康の項目も集めた[1]。体重を気にして年末だけ食べ方を変えられたら、測る意味が無くなるからだろう。これは私の読みである。

結果はこうだ。休暇の時期の体重は平均0.37±1.52kg増え、統計的に有意だった(P<0.001)[1]。休暇の前の時期は0.18±1.49kgの増加で有意ではなく(P=0.09)、休暇の後の時期は0.07±1.14kgの減少で、これも有意ではなかった(P=0.36)[1]。著者らの結論の一文目は、休暇の平均の体重増は、よく言われるより小さい、である[1]。

0.37kgの横に付いた±1.52kgにも目を留めておきたい。ばらつきが平均の4倍ある。平均では小さくても、大きく増えた人も、減った人もいたはずだ。これも私の読みで、どんな人が大きく増えたのかは、この研究の結論には入っていない。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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小さな増え方が、春と夏を越えても戻らない

この研究の本題は、増え方より戻り方にある。9月の終わりか10月の初めの体重と比べると、2月か3月の時点で平均0.48±2.22kgの増加が残っていた(P=0.003)[1]。

翌年の9月か10月に、165人がもう一度体重を量った[1]。2月か3月から秋までの間に、体重はそれ以上の有意な変化を見せなかった(0.21±2.3kgの増加、P=0.13)[1]。冬に増えた分を、春と夏が取り返していない。

著者らの結論はこう続く。この増加は春や夏の間に元に戻らないので、秋と冬の0.48kgの正味の増加は、大人の時期にしばしば起きる体重の増加に、おそらく寄与している[1]。「おそらく」が付いていることも、写し落とさないでおく。

年末に増えた体重は、年が明けて仕事が始まれば元に戻る。多くの人がそう思っている。少なくともこの195人では、休暇の後の時期の変化は−0.07kgで、有意な戻りは見られなかった[1]。1月の立川駅北口の人の多さが戻っても、体重のほうは戻っていない、ということになる。

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クリスマスの1.35%と、週末の0.35%

ヨーロッパの大きな試験も、同じ向きの数字を出している。減量した体重の維持を目指す多国の試験の参加者を、遠隔で体重を記録する仕組みで追った研究で、1週間の分析に1,421人、休暇の分析に1,062人、季節の分析に1,242人が入った[11]。

1週間の中では0.35%の揺れがあり、週末に増えて平日に減る形で、その揺れ方は群によって違った[11]。クリスマスの時期には体重が平均1.35%増え、その後の数か月で完全には埋め合わされなかった[11]。国によって違いも見られた[11]。1年の季節の形は、主にクリスマスの増加で特徴づけられ、性別や年齢、体格などの群の間でおおむね違わなかった[11]。

読むときの注意が2つある。1つ目。対象は一般の人ではなく、減量のあとの維持に取り組む人たちである[11]。2つ目。数字はkgではなく、体重に対する割合で示されている[11]。

それでも、週末の0.35%とクリスマスの1.35%を並べると見えてくるものがある。週末に増えて平日に減る形なら、月曜の朝の体重計の数字は高めに出やすいことになる[11]。月曜に慌てる必要はない。慌てるとしたら、その揺れが年末に1回、戻りきらない形で起きることのほうかもしれない。

冬に重い暮らしもあれば、乾季に重い暮らしもある

「冬に太る」は、どこでも同じなのか。大人の体重と食事の季節の変化を調べた観察研究16本を、系統的に集めて文章で整理したレビューがある[17]。

農業で暮らす人々の研究は6本あり、そのうち5本は乾季と雨季の2つの季節がある国で行われた[17]。その全部で、乾季に体重が高かった。季節の差は最大で3.1kgである[17]。残る1本は亜熱帯の国で、季節による体重の形は見られなかった[17]。熱帯の国では、乾季に食べる量も多いと報告されていた[17]。

農業以外の暮らしの10本でも季節の形はあり、秋と冬の寒い季節に体重と体脂肪が高かった[17]。ところがイランの研究では逆で、夏に体重が高い結果だった[17]。体重が高い時期には、エネルギー、脂質、炭水化物、清涼飲料の摂取が多く、食物繊維と野菜が少なかった[17]。

著者らの結論は、体重と食事の季節の形は存在するが、国と暮らしの文脈によって違い、活動量、季節、職業といった要因とも関わっている、というものだ[17]。16本はどれも観察研究で、体重の高い季節に食べる量が多いことは、季節が体重を増やす原因だと確かめた結果ではない。

これで「冬に太るのはなぜか」の問いの立て方が変わる。寒さだけの話ではなく、その土地のその季節に、何を食べ、どれだけ動き、どんな仕事をしているかの話だということになる。冬という言葉は、日本の多くの都市では、その組み合わせの名前なのだろう。最後の一文は私の読みである。

季節と体の話は、同じサイトにもある。年末年始の増え方と戻りにくさそのものは「年末年始の体重増加は戻るのか 平均の小ささと春まで残る重さを論文で読む」と「正月太りは実在するのか 休暇の体重増加と春まで残る小さな変化を論文で読む」が先に扱っている。冬と夏で1日に要るエネルギーが変わるかは「ダイエット中の30代女性は夏と冬で必要量が違う?暮らし全体の消費を読む」に、体脂肪率の測る季節は「体脂肪率が下がらない女性は測る季節も確認、冬と夏の比較で分けたい変化」に、日の短さと運動は「冬の運動不足解消は日が短いと難しい?気温と明るい時間を分けて予定を考える」に譲る。ここでは、なぜ冬なのかを、休暇の過ごし方と季節の暮らしの側から続ける。

数字で読む冬の体重

  • 2.3kg:アメリカで休暇の時期に増えるとよく言われてきた量。支えるデータはほとんど無かった[1]
  • 0.37kg:195人を測った休暇の時期の平均の増加。ばらつきは±1.52kg[1]
  • 0.48kg:秋から2〜3月までの正味の増加。その後、翌年の秋まで有意な変化はなかった[1]
  • 1.35%:減量の維持に取り組むヨーロッパの1,062人で、クリスマスの時期に増えた体重の割合[11]
  • 0.35%:同じ試験の1週間の揺れ。週末に増え、平日に減る[11]
  • 3.1kg:農業で暮らす人々の研究で見られた、乾季と雨季の体重の差の最大[17]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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