
腹筋の運動を6週間足しても、お腹の脂肪の値は動かなかった
ここから二つ目の棚に移る。筋肉が働いても、その上の脂肪が減るとは限らない。
2011年のランダム化比較試験は、運動の習慣のない健康な24人(男性14人、女性10人、18〜40歳)を、何もしない群と、腹筋の運動の群に分けた[10]。腹筋の群は、7つの腹筋の種目を10回2セット、週5日、6週間行った[10]。全員が、体重を保つ量の食事を続けた[10]。
6週間後、体重、体脂肪率、お腹まわりの脂肪の割合と量、腹囲、お腹と腰骨の上の皮下脂肪の厚さのどれにも、腹筋の運動の有意な効果はなかった[10]。一方、終わりの上体起こしの回数は、腹筋の群が47回、何もしない群が32回で、有意に多かった[10]。著者らは、6週間の腹筋の運動だけでは、お腹の皮下脂肪や体組成のほかの値を減らすには足りなかったが、筋肉の持久力は何もしない群より大きく高まったと結論している[10]。
上体起こしの回数は何もしない群の1.5倍近くで、お腹の脂肪の値は動かなかった。腹筋の持久力は確かに高まった。けれど、お腹の脂肪の値は、6週間では反応しなかった。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
食事の制限に腹筋の運動を足しても、皮下脂肪の差は出なかった
食事を減らす人に腹筋の運動を足すとどうか。2015年のランダム化比較試験は、過体重と肥満の女性40人を、食事の制限だけの群と、食事の制限に12週間の腹筋の筋力トレーニングを足した群に分けた[8]。お腹の皮下脂肪の厚さは超音波の画像で測り、腹囲、腰まわり、お腹の皮膚のつまみの厚さ、体脂肪率なども測った[8]。
12週間後、体重はどちらの群でも減ったが、群の差は有意でなかった(p=0.45)[8]。お腹の皮下脂肪、腹囲、腰まわり、BMI、体脂肪率、皮膚のつまみの厚さも、どちらの群でも減ったが、群の間に有意な差はなかった[8]。著者らは、過体重や肥満の女性では、食事に腹筋の筋力トレーニングを足しても、食事だけと比べてお腹の皮下脂肪の厚さは減らなかったと結論している[8]。
お腹の脂肪は減った。ただ、それは食事の側の群にも同じように起きていて、腹筋の運動を足したぶんの上乗せは見えなかった。

消費をそろえると、ひねりと腹筋を足した群で体幹の脂肪が多く減った
逆の結果を出した試験もある。2023年のランダム化比較試験は、部分的に脂肪が減るかという半世紀続く議論に、運動で使うエネルギーをそろえた比べ方で答えようとした[7]。対象は、過体重(平均BMI 29.8)の男性16人(平均43歳)である[7]。
腹筋の群は、最大心拍数の70%でのランニング27分に、最大の力の30〜40%の重さで体幹をひねる運動と腹筋を4分×4本組み合わせ、週4日、10週間続けた[7]。対照の群は、同じ強さのランニングを45分だけ行った[7]。運動中の酸素の取り込みを測り、使うエネルギーがそろうようにした[7]。脂肪の量は、二重エネルギーX線の装置で部位ごとに測った[7]。
体幹の脂肪の量は、腹筋の群で1,170g(7%)減り、対照の群では変化がなく、腹筋の群のほうが697g(3%)多く減った[7]。全身の脂肪の量は、腹筋の群で1,705g(6%)、対照の群で1,134g(5%)と、どちらも同じように減った[7]。体重は腹筋の群で1.2kg(1%)、対照の群で2.3kg(3%)減り、これも両群で似た減り方だった[7]。体幹をひねる運動と腹筋の最大の重さは、腹筋の群でより大きく伸びた[7]。著者らは、腹筋の持久的な運動はランニングより体の局所の脂肪を多く使ったとし、大人の男性で部分的な脂肪の減少は存在すると結論している[7]。
体重の減り方は両群で似ていたが、体幹の脂肪は腹筋の群で多く減った。体重計の数字だけでは、脂肪がどこから減ったかは見えない。なお、この試験で測ったのは体幹(胴体)の脂肪の量で、お腹の皮下脂肪だけを取り出した値ではない。
三つの脂肪の試験は、何が違ったのか
結論が割れたのはなぜか。私の読みでは、三つの試験は、少なくとも四つの点で違っている。
一つ目は対象で、男性16人の過体重の試験[7]、過体重と肥満の女性40人の試験[8]、運動の習慣のない健康な男女24人の試験[10]である。二つ目は比べ方で、[7]は運動で使うエネルギーをそろえ、[8]は両群とも食事を減らし、[10]は運動しない群と比べた。三つ目は運動の中身で、[7]は重さをかけたひねる運動と腹筋をランニングと組み合わせ、10週間、週4日続けた。四つ目は測る場所で、[7]は体幹の脂肪の量、[8]は超音波で測ったお腹の皮下脂肪の厚さ、[10]は体のお腹まわりの脂肪や皮下脂肪の厚さだった。
部分的な減少を見つけた[7]は、体幹をひねる運動を含んでいた。だからといって、ひねる腹筋が脂肪を減らすとまでは言えない。16人の男性の1本の試験で、女性の試験はお腹の皮下脂肪の差を見つけていない[8]。いまの時点で言えるのは、腹筋の運動でお腹の脂肪が部分的に減るかは、試験によって答えが割れている、ということまでである。

よくある誤解
「バイシクルクランチをすれば腹筋が割れる」。バイシクルクランチそのものを測った研究は、この記事で読んだ中にはない。近い、ひねる腹筋で脇腹の筋電図の値が高く出た研究はあるが[14][17]、それは筋肉の電気の活動で、脂肪の量や見た目を測ったものではない。腹筋が割れて見えるかどうかを測った試験も、ここにはない。
「筋電図の値が高い種目ほど、お腹が引き締まる」。筋電図はその瞬間の活動の記録である。腹筋の運動の群の上体起こしが、何もしない群の32回に対して47回だった試験でも、お腹の脂肪の値に有意な効果はなかった[10]。
「腹筋の運動では、お腹の脂肪は絶対に減らない」。消費のエネルギーをそろえた男性16人の試験では、ひねる運動と腹筋を足した群で体幹の脂肪が697g多く減った[7]。一方で、女性40人の試験と男女24人の試験では差が出なかった[8][10]。どちらにも言い切れない。
今日からできること
- 腹筋の種目を選ぶときは、「割れる」より「どこが働くか」で選ぶ。ひねる動きや脚を動かす動きで、脇腹の筋肉の数字が高く出た研究がある[9][14][17]。
- 同じクランチでも、支えの位置で負荷が変わる。ボールを背中の上から腰へ移すと、お腹の筋肉の活動は平均で約2倍になった[3]。きつすぎるなら支えを上へ戻す。
- 腰に痛みがある人は、脚の付け根の筋肉が強く働く形に注意する。マシンのクランチでは大腿直筋が65、ボールでは27だった[1]。痛みが続くときは医師に相談する。
- 腹筋の成果は、回数で記録する。6週間後の上体起こしの回数は、何もしない群より15回多かった[10]。
- お腹の脂肪を減らしたい理由があるときは、腹筋だけに頼らない。食事を減らした女性の試験では、腹筋を足しても皮下脂肪の上乗せは見えず[8]、部分的な減少を見つけた試験もランニングと組み合わせていた[7]。
脇腹が働く日を、オンザショアの床で記録する
研究がはっきり示したのは、腹筋の種目で筋肉の働き方が変わることだった[3][14][17]。お腹の脂肪については、試験によって答えが割れていた[7][8][10]。オンザショアのレッスンで腹筋が割れる、お腹が引き締まる、と示した研究はない。ここに書けるのは、体を動かす時間を週の中に置く場所の事実である。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガのほかに、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがそろう。
医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。初めての方の体験レッスン(ヨガ)は税込1,980円で、60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが付く。
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参考文献
[1] Swiss ball abdominal crunch with added elastic resistance is an effective alternative to training machines — Sundstrup E, Jakobsen MD, Andersen CH, Jay K, Andersen LL., 2012, International journal of sports physical therapy. DOI: なし
[3] Electromyographic comparison of a stability ball crunch with a traditional crunch — Sternlicht E, Rugg S, Fujii LL, Tomomitsu KF, Seki MM., 2007, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/r-20436.1
[6] Comparison of the Electromyographic Activity of the Trunk and Rectus Femoris Muscles During Traditional Crunch and Exercise Using the 5-Minute Shaper Device — Silva FHO, Arantes FJ, Gregorio FC, Santos FRA, Fidale TM, Bérzin F, Bigaton DR,, 2020, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000003250
[7] Abdominal aerobic endurance exercise reveals spot reduction exists: A randomized controlled trial — Brobakken MF, Krogsaeter I, Helgerud J, Wang E, Hoff J., 2023, Physiological reports. DOI: 10.14814/phy2.15853
[8] Effect of abdominal resistance exercise on abdominal subcutaneous fat of obese women: a randomized controlled trial using ultrasound imaging assessments — Kordi R, Dehghani S, Noormohammadpour P, Rostami M, Mansournia MA., 2015, Journal of manipulative and physiological therapeutics. DOI: 10.1016/j.jmpt.2014.12.004
[9] Immediate Effects of Sprinter-Pattern Exercise on the Lordotic Curve and Abdominal Muscle Activity in Individuals with Hyperlordosis — Lee S, Kim H, Jung J, Lee S., 2023, Medicina (Kaunas, Lithuania). DOI: 10.3390/medicina59122177
[10] The effect of abdominal exercise on abdominal fat — Vispute SS, Smith JD, LeCheminant JD, Hurley KS., 2011, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e3181fb4a46
[14] Association between expiratory mouth pressure and abdominal muscle activity in healthy young males — Chino K, Ohya T, Suzuki Y., 2024, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-024-05430-5
[17] The EMG of conventional abdominal exercise and exercise with a semi-upright commercial device: comparative effects and technique considerations — Olson MS, Esco MR, Williford H., 2008, The Journal of sports medicine and physical fitness. DOI: なし
[18] Electromyographic comparison of the ab-slide and crunch exercises — Bird M, Fletcher KM, Koch AJ., 2006, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/r-15814.1
[20] Electromyographic Comparison of an Abdominal Rise on a Ball with a Traditional Crunch — Dolenec A, Svetina M, Strojnik V., 2022, Sensors (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/s22051979
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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