更年期のダイエットは運動なしでも体重が減るのか。太りすぎや肥満の閉経前後〜閉経後の女性の11研究では食事の介入は運動だけより体重を減らし、運動を足すとさらに少し減った。同じだけ減らした試験で違いが出た筋肉などの除脂肪量と皮下脂肪、減量中の骨、閉経の前後の差も読む。
50代に入ってから、同じ量を食べているのにスカートのウエストがきつい。仕事と親の通院の付き添いで、運動の時間は取れない。食事だけ見直せば、体重は動くのか。母や職場の先輩から、あるいは何年か先の自分から、こういう声を聞く人は少なくないはずだ。
太りすぎや肥満の、閉経の前後から閉経後の女性を対象にした11研究のメタ分析では、食事の介入も運動の介入も対照より体重を大きく減らし、著者らは、食事の介入は運動だけより体重と体組成を大きく変えたと結論している[13]。運動を足すと、食事だけより体重の減りがやや大きかった[13]。運動なしでも、食事の介入で体重は減る。これが、試験から言えることの半分である。
残りの半分は、何が減ったかだ。エネルギーの不足を同じにそろえた閉経後の女性の試験では、体重の減りは群で変わらず、食事だけの群は、運動を足した群より除脂肪量(筋肉などを含む脂肪以外の重さ)を相対的に多く失った[5]。皮下脂肪の減りは運動を足した群で大きく[16]、減量中の股関節の骨密度は運動を足した群で高かった[12]。ただし、運動を足した群のほうが体重の減りが大きく、除脂肪量の減りも大きかったと報告したメタ分析もあり、結果は揃っていない[13]。なお、ここで読む試験の多くはBMI(体格の指標)が25を超える人など、太りすぎや肥満の女性が対象で、体重を減らすことを誰にでも勧める根拠ではない。

食事の介入だけでも体重は減った:11研究のメタ分析
2018年のメタ分析は、2016年12月31日までの試験を4つのデータベースで探し、太りすぎや肥満の、閉経の前後から閉経後の女性に食事か運動、あるいは両方の介入を行ったランダム化試験と前向きの研究を集めた[13]。最初に見つかった292本のうち、条件を満たしたのは11研究(参加者の組は12)で、主な結果は体重の減少の割合だった[13]。
食事の介入の群も、運動の介入の群も、対照の群より有意に大きく体重が減った(食事と対照の差−6.55、95%信頼区間−9.51〜−3.59、運動と対照の差−3.49、同−6.96〜−0.02)[13]。食事と運動を合わせた介入は、食事だけの介入より体重の減りが大きかった(差−1.22、同−2.14〜−0.29)[13]。
体組成も見ている。食事と運動を合わせた介入は、食事だけの介入より脂肪の減りが大きかった(差−0.44、同−0.67〜−0.20)が、除脂肪量の減りも大きかった(差−0.84、同−1.13〜−0.55)[13]。著者らは、閉経の前後から閉経後の女性では、食事の介入は運動だけより体重と体組成を大きく変え、運動を足すと食事の介入の効果が強まったと結論している[13]。
運動の差−3.49の信頼区間の端は−0.02で、ぎりぎりのところで有意だった。食事の差−6.55と並べると、体重の数字を動かす力は、この束の中では食事の側のほうが大きく出ている。運動なしでも痩せるか、という問いへの答えは、体重の数字だけで言えば「減る」になる。
閉経の時期の体重の増え方そのもの、つまり同じ食事でもお腹が変わる理由の話は、同じサイトの「更年期の体重増加とダイエット 昔と同じ食事でもお腹が変わる理由を論文で読む」に譲る。たんぱく質を足す話は「更年期のダイエット食事は同じ量でも違う?たんぱく質を足す前に読む筋肉の反応」に譲る。こちらは、食事だけと運動を足した試験の比べ方に絞る。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
同じだけ減らしても、失ったものが違った:20週の112人
エネルギーの不足をそろえて、運動の有無と強さを比べた試験がある。2009年の研究は、BMIが25〜40で腹囲が88cmを超える、太りすぎや肥満の閉経後の女性112人を、エネルギーの不足の大きさが等しい3つの20週の介入に分けた[5]。食事の制限だけの群、食事の制限に中くらいの強さの有酸素運動を足した群、食事の制限に強めの運動を足した群である[5]。
食事は、一人ひとりの量で食事を出す管理された制限の形で、運動は週3日、トレッドミルを歩くものだった[5]。運動の強さは、心拍の予備の45〜50%か、70〜75%に設定された[5]。主な結果は、お腹の内臓脂肪の体積だった[5]。
最後まで終えた95人の平均の体重の減少は12.1kg(±4.5kg)で、群の間に有意な差はなかった[5]。最大酸素摂取量(持久力の指標)は、強めの運動を足した群で、ほかの2群より大きく伸びた[5]。そして、食事の制限だけの群は、運動を足したどちらの群より、相対的に多くの除脂肪量を失った[5]。
一方で、内臓脂肪の減り方は3群とも同じくらいで、およそ25%だった[5]。運動を足しても、お腹の脂肪だけが選んで減るわけではなかった。ただし、内臓脂肪の変化は、最大酸素摂取量の伸びと逆の向きに関係していた[5]。血中の脂質、空腹時の血糖とインスリン、糖を飲む検査の結果の変化も、群の間で同じくらいだった[5]。
著者らは、全体の体重の減少が同じくらいなら、運動を足すと除脂肪量は保たれるが、中くらいでも強めでも、有酸素運動はお腹の脂肪を選んで減らすわけではないと結論している[5]。体重計の上では同じ12kgでも、中身の配分が違った。運動を足した群は、筋肉などを手放す割合が相対的に小さかった、ということになる。

皮下脂肪の減りは運動を足した群で大きかった:オランダの16週
お腹の脂肪を、皮下と内側に分けて測った試験もある。2019年の研究は、2012〜2013年にオランダで行われた3群のランダム化試験で、太りすぎの閉経後の女性を、食事の群97人、運動と食事の群98人、対照の群48人に分けた[16]。
二つの介入の群は、同じだけの体重の減少(6〜7%)を目標にした[16]。食事の群は食事のエネルギーを制限し、運動と食事の群は、一部を指導者が見守る週4時間の強めの運動に、小さな食事の制限を組み合わせた[16]。16週の後、お腹の脂肪の量と分布をMRIで測った[16]。
体重は、食事の群で6.1%、運動と食事の群で6.9%減った[16]。対照と比べると、皮下脂肪とお腹の内側の脂肪は、食事の群で12.5%と12.0%、運動と食事の群で16.0%と14.6%減った[16]。二つの介入を直接比べると、皮下脂肪の減りは運動と食事の群で有意に大きく、食事の群より10.6cm²(95%信頼区間−18.7〜−2.4)多く減った[16]。お腹の内側の脂肪の減りは、運動と食事の群で有意に大きいとは言えなかった(−3.8cm²、同−9.0〜1.3)[16]。
著者らは、食事でも運動と食事でも、6〜7%の体重の減少は皮下脂肪とお腹の内側の脂肪の両方を減らし、運動を小さな食事の制限と組み合わせたときにより大きく減ったのは皮下脂肪だけだったと結論している[16]。20週の112人の試験で内臓脂肪の減りが群で変わらなかったことと[5]、向きは重なる。
2型糖尿病の閉経後の女性:食事を変えた14週と、食事を変えずに運動した16週
2型糖尿病のある閉経後の女性の、小さな試験が二つある。
2005年の研究は、50〜70歳の33人を、食事だけ、運動だけ、食事と運動の3群に分け、14週の介入を行った[3]。体重は、食事の群と食事と運動の群でおよそ4.5±0.6kg減ったが、運動だけの群の変化は小さかった[3]。血中のC反応性たんぱく(炎症の指標)は3群とも約15%下がり、レプチンは食事の群と食事と運動の群で下がった[3]。著者らは、一般的に処方される生活の見直しの減量では、高齢の2型糖尿病の女性の脂肪組織が出す物質と炎症の物質はあまり変わらず、より大きな減量か医療の介入が要ることを示唆していると結論している[3]。
2016年の研究は、反対側から見る。69±1歳、BMI31±1の2型糖尿病の閉経後の女性17人を、8秒の強い漕ぎと12秒の軽い漕ぎを60回繰り返す高強度インターバルの群と、中くらいの強さで40分漕ぐ群に分け、週2日、16週の自転車の運動をした[6]。7日間の自己申告で見た食事の量と身体活動の量、そして体重は、どちらの群でも始めから終わりまで変わらなかった[6]。それでも、全身の脂肪の量は減り、除脂肪量は2〜3%ほど有意に増えた[6]。全身の脂肪の減りに、群の間の有意な差はなかった[6]。お腹全体の脂肪(−8.3%)と内臓脂肪(−24.2%)が有意に減ったのは、高強度インターバルの群だけだった[6]。著者らは、食事の制限をともなわない場合、この集団では高強度インターバルの運動が中くらいの運動よりお腹まわりの脂肪を減らすのに効果的に見えたとしている[6]。
二つを並べると、体重の数字を動かしたのは食事の側で[3]、体重が動かなくても体の中身を動かしたのは運動の側だった[6]。どちらも17人と33人の小さな試験で、2型糖尿病の人が対象だという点は割り引いて読む。
数字で読む食事だけと運動を足した試験
- −6.55と−3.49: 閉経の前後〜閉経後の女性の11研究で、食事の介入と運動の介入が対照より体重を減らした差[13]。
- −1.22: 同じメタ分析で、食事と運動を合わせた介入が、食事だけより体重を減らした差[13]。
- 12.1kg: 同じエネルギーの不足を3群で組んだ20週の試験で、完了した95人の平均の体重の減少。群の差はなかった[5]。
- 約25%: 同じ試験で、3群とも同じくらいだった内臓脂肪の減り。除脂肪量は食事だけの群で相対的に多く減った[5]。
- 10.6cm²: オランダの16週の試験で、運動と食事の群が食事の群より多く減らした皮下脂肪[16]。
- 2〜3%: 食事の量(自己申告)も体重も変わらなかった16週の運動で、17人の全身の除脂肪量が増えた幅[6]。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
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