猫の写真に癒されるのは丸い顔のせい?かわいさと世話したくなる心を読む

猫の写真をつい見つめる理由を、幼い顔の特徴であるベビースキーマから読む。顔立ちを変えた実験や子猫の画像を見た後の作業成績、保護猫の研究を比べ、かわいいと感じること、注意が向くこと、世話をしたくなることの関係と違いを整理する。写真の印象だけで猫の性格や必要なケアは決まらない。

同じ猫なのに、鼻先が小さく写った写真をつい選んでしまう。アルバムを整理していたはずなのに、今は顔の違いを見比べている。猫の写真に感じる「癒し」には、幼い顔立ちに注意が引かれ、かわいい、近づきたいと感じる反応が関わると考えられている。手がかりは輪郭の丸さだけでなく、顔の中の配置にもある。[1][2][15]

ベビースキーマとは、幼い個体を思わせる身体的な特徴のまとまりである。人、犬、猫の画像で顔の幼さを変えた研究では、かわいさの評価や子どもの視線に違いが生じた。画面の向こうにいる猫にも、人間の赤ちゃんの顔と一部重なる反応が向くのである。[1]

既存記事「猫の癒し動画を見ると気分は変わる?講義と相談前の実験で読む画面越しの効果」には、動画と気分の問いを譲る。ここでは静止画の顔に注目し、かわいいという評価が、見つめること、丁寧に動くこと、世話をしたい気持ちへどうつながるかを追う。その道筋は、健康への効果を保証する話とは分けて読んでいく。[2][3][4]

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丸い顔だけでなく、顔の中の配置を見る

猫の写真を選ぶとき、「丸いからかわいい」と言いたくなる。しかしベビースキーマは、輪郭の丸さだけにつけた名前ではない。幼い顔の手がかりには、大きく低い位置にある目や、小さな鼻と口などが含まれる。輪郭だけを眺める場合と、目や鼻の配置まで見る場合では、写真の読み方が変わる。[1][2]

この考えを確かめるため、Borgiらは人、犬、猫の画像のベビースキーマを段階的に操作した。調べたのは、幼さの程度が違う画像に対するかわいさの評価と、視線の向き方である。別々の猫をただ並べて人気投票をするよりも、顔の特徴が反応にどう関わるかを問う設計になっている。[1]

対象となった3〜6歳の子どもには、目の動きを記録する方法が用いられた。幼い顔の特徴は、かわいさの判断だけでなく、画像や特定の顔の部分にどのように視線を配るかにも影響した。比較のため、大人からもかわいさの評価が集められている。18〜39歳の女性の視線にも同じ変化が起こるかは、この子どもの結果からは判断できない。大人の評価と子どもの視線は別の測定である。[1]

この研究の面白さは、反応が人の顔に限られなかった点にある。猫をかわいいと呼ぶことは、ただ人間の赤ちゃんを連想して言葉を借りているだけではなく、顔の幼さに対する知覚や注意の反応としても調べられる。ただし、子どもで観察された視線の配分を、そのまま大人のスマホの閲覧時間に読み替えることはできない。[1]

日常の写真に戻るなら、「丸顔かどうか」に加え、どの部分を見てかわいいと思ったかを確かめるとよい。目に引かれたのか、鼻と口のまとまりに引かれたのか。同じ猫の別の写真を眺めるときも、これは自分の感じ方を言葉にするための問いになる。猫を採点するための物差しを増やす必要はない。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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猫の鼻の短さと、一緒に暮らす年月は別の話だ

猫そのものの顔の形を調べた研究もある。Hattoriらは3295枚の写真を集め、アフリカヤマネコ、野生化した雑種の猫、人に飼われている雑種の猫や純血種の猫を比較した。飼育されている猫では、アフリカヤマネコや野生化した雑種の猫より鼻が有意に短かった。一方、後の両群の間には有意差がなかった。[15]

同じ研究では、人に猫の顔写真のかわいさを評価してもらっている。鼻の長さが短い顔ほど、かわいいと評価された。丸い輪郭という大きな印象だけでなく、顔の中の具体的な部分が、人間の判断と結びついていることを示す結果である。これを「鼻が短ければ必ず全員が好きになる」という規則にするのは行き過ぎだ。[15]

ここで気になるのが、「かわいがられたから、かわいい顔になったのか」という問いである。研究では飼い主と暮らした年数と顔の形の関連も調べたが、年数によって顔の形が変わるという結果にはならなかった。著者らは、世代をまたぐ変化の可能性を示している。[15]

したがって、この比較から「毎日愛情を注げば鼻が短くなる」とは言えない。飼育されている群と別の群の違い、飼い主と暮らす年数、見る人のかわいさ評価は、それぞれ別の問いである。研究が示した群の差から、目の前の猫がどれほど大切にされてきたかを逆算することも避けたい。[15]

写真を見た人の好みと、その顔立ちが生まれた経緯を切り離しておくと、見た目の印象に物語を足しすぎずに済む。「優しい顔だから幸せな暮らしだったはず」と想像したくなる場面でも、顔写真を読む研究が答えているのは、主に形や評価の関係である。かわいさの判断は、猫の履歴書にはならない。[15]

かわいいは、ぼんやりすることと同じではない

猫の写真に癒される、と聞くと、頭の働きが緩み、何もしなくなる状態を思い浮かべるかもしれない。ところが、かわいい画像の研究には、見た後の動作が丁寧になったという結果がある。Shermanらの2つの実験では、子犬や子猫の画像を見た群が、成犬や成猫の画像を見た群より、その後の細かな手先の課題でよい成績を示した。[3]

課題は、子ども向けのゲームを使った精密な操作である。著者らは、壊れやすい幼い相手を世話するのに適した、慎重な行動とのつながりを考察している。これは「写真を見た人が実際に猫の世話を始めた」という測定ではない。手先の課題の変化から、かわいさの機能を探った実験である。[3]

Nittonoらの無作為化比較試験は、大学生の課題を使ってこの問いをさらに進めた。手先の精密さを調べる実験では、子犬や子猫の画像の後で成功回数が平均43.9%改善し、成犬や成猫の画像の後では平均11.9%の改善だった。示されているのは、それぞれの条件で画像を見る前から後にどれだけ成績が変わったかである。[4]

43.9%という数字は目を引く。しかし「子猫を見ると誰でも能力が43.9%上がる」という広告文にはできない。この値は特定の課題での改善率であり、知能や仕事全体の能率を表すものではない。また、成猫の画像の後にも改善があるため、子猫の数字だけを取り出すと比較の意味が薄れる。[4]

別の実験では、手を器用に動かす必要のない視覚探索課題が使われた。探す対象を見つける課題でも、幼い動物の画像の後に成績がより改善した。これは写真閲覧後の注意や作業を測る心理実験であり、動物との交流を治療に用いる臨床的な動物介在療法の効果を検証したものではない。さらに、全体と部分の文字を使う実験では、全体の情報が優先される傾向が、かわいい画像の後に弱まった。著者らは注意の焦点が狭まることと結びつけている。[4]

「癒し」という日常語の中には、気分の柔らかさと、対象を注意深く見ようとする感じが同居しているのかもしれない。ここは研究を日常へ引き寄せた私の読みである。少なくとも、かわいい画像の反応を、注意が散って何もできなくなる状態だけで説明するのは、これらの課題の結果と合わない。[3][4]

同じ「よく見た」という表現にも、異なる意味がある。顔の一部分に目が向いたのか、画像全体に注意を向けたのか、それとも画像を見た後の作業で見落としが減ったのか。顔の幼さを操作した研究が調べた視線と、課題の成績を調べた研究の結果は、つながりを考える材料にはなるが、同じ現象を同じ方法で測ったものではない。[1][4]

たとえば、帰宅して猫の写真を開き、その後に細かな手仕事をする場面を想像してみる。研究の問いに近いのは、写真を見たという事実だけでなく、その後にどの作業を行い、何をもって丁寧になったと判断するかという部分だ。「今日は集中できた」という感想と、成功回数のような成績は分けて記録できる。これは実験の結果を日常へ持ち込むときの考え方であり、同じ改善が自宅で再現するという約束ではない。[3][4]

猫の画像を楽しむ側にとっては、数字の再現を目標にしなくてもよい。見る前後で何が変わったと感じたのかを、気分、視線、作業の区別を保ったまま振り返る。そうすれば「癒し」という言葉を捨てずに、研究が測ったものも見失わずに済む。

数字で読む猫の写真と注意

3〜6歳:人、犬、猫の顔の幼さを操作し、かわいさの評価や視線を調べた子どもの年齢である。[1]

3295枚:猫の群ごとの顔の形を比較する研究で集められた写真の数であり、人間の評価者数ではない。[15]

43.9%と11.9%:幼い動物と成体の画像の後にみられた、精密な手先の課題の平均改善率である。[4]

15.7%と1.4%:視覚探索課題での平均改善率。幼い動物と成体の画像という比較である。[4]

165匹:顔の特徴と保護施設での滞在期間との関係を調べた猫の数である。[12]

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宮川涼 Founder

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