星座で性格は分かるのか。701人の大人を調べた研究では、星座は気質と性格のどの側面とも関係がなかった。一方、生まれた季節と性格の一部の尺度に関係を見た研究もあれば、見なかった研究もある。星占いの本から作った質問票、膝の手術と星座、信じる人の心理まで読む。
朝の情報番組の終わりに、今日の星占いが流れる。12位は魚座。「思わぬ出費に注意」。そのまま家を出て、中央線の車内でふと思う。同じ日に生まれた人は、みんな同じ一日を過ごすのだろうか。そもそも、星座で性格は分かるのか。
星座と性格を直接比べた研究は、この記事で読んだ中では1本で、18〜67歳の大人701人を調べたその研究では、星座は気質と性格のどの側面とも関係がなかった[9]。一方、星座ではなく「生まれた季節」や「生まれた月」と性格の検査の点数を比べた研究は、いくつもある。スウェーデンの2,130人の研究では、2〜4月生まれの女性は、10〜1月生まれの女性より、新しいものを求める傾向の点が高い群に入りやすかった[2]。ただ、同じ問いで関係が見つからなかった研究もある[6][9]。
つまり、ここには二つの別の話がある。一つは、星の配置で決まる星座と性格の話。もう一つは、生まれた季節の日の長さや気温のような環境が、生まれたばかりの体に何かを残すのか、という話である[7][17]。後者の研究で見つかった関係は、説明できるばらつきの割合を示した研究では1%台と小さく[19]、研究によって食い違う。前者を支える研究は、この記事で読んだ中にはない。だからといって、たった1本の研究で「星座は性格と無関係と証明された」と言い切るのも、研究より強い言い方になる。
血液型と性格の話は、同じサイトの「血液型と性格は関係ない?1万人調査の0.3%と、日本だけの話でもなかった信じられ方」に譲る。干支と性格を調べた研究は、この記事で読んだ中にはない。

星座と性格を直接比べた研究:701人で関係は見つからなかった
2025年の研究は、生まれた季節、生まれたときの気候、出産時の親の年齢が、大人の気質や性格を予測するかを調べた[9]。対象は18〜67歳の701人で、59.48%が女性だった[9]。正確な誕生日と出産時の親の年齢を集め、気質と性格の四つの検査を受けてもらった[9]。
結果ははっきりしていた。気質と性格を測る三つの代表的な枠組みの、昔からある変数のどれも、生まれた季節、生まれたときの気候の変数、親の年齢と関係を示さなかった[9]。そして、星座は気質と性格のどの側面とも関係がなかった[9]。
一つだけ例外がある。四つ目の検査にある、人とのあいだの感情を内にためこむ傾向の尺度だけは、春に生まれた人で点が高く、夏と秋に生まれた人で低かった[9]。体重と体格指数は、すべての気候の変数と、弱いが有意な相関を示した[9]。
著者らは、気質が環境と生物学の要因の絡み合いで決まることの大切さを指摘し、春に生まれることが、人との感情のやりとりの面の弱さと関わるのかもしれないと論じた[9]。春という季節そのものが、少なくとも傷つきやすい人たちでは、心の健康に不利に働いているのかもしれない、とも書いている[9]。季節の話は残った。星座の話は残らなかった。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
生まれた季節と性格:スウェーデンの2,130人
生まれた季節と性格の関係を、一般の人で調べた2001年の研究がある[2]。研究の背景には、生まれた季節によって、病気のかかりやすさ、自殺に関わる行動、脳と脊髄を包む液の中の神経伝達物質の分解物が違うという、いくつもの研究があった[2]。
対象は、スウェーデンのウメオで住民を無作為に選んで追いかけている研究に参加した2,130人である[2]。気質と性格の検査の結果を、年齢、性別、検査を受けた季節で層に分け、それぞれの層で中央値を境に点の高い群と低い群に分けて比べた[2]。性格の次元は、年齢と性別と有意に相関していた[2]。
2〜4月に生まれた人は、10〜1月に生まれた人より、女性では新しいものを求める傾向(新奇性追求)の点が高い群に入りやすく、とくにその中の衝動性の下位尺度で目立った[2]。男性では、粘り強さ(持続)の点が高い群に入りやすかった[2]。気質の組み合わせの型にも、生まれた季節による違いがあった[2]。
著者らは、この結果は、生まれた季節によって脳の中のセロトニンやドーパミンといった物質の代謝が違うという仮説と矛盾しないとし、性格はいくつもの遺伝と環境の要因に影響され、その一つが生まれた季節なのだろうと結論している[2]。生まれた季節は、要因の「一つ」として置かれている。

大学生2,962人、日本の健康な595人
2021年の研究は、大学生2,962人を、生まれた月で四つの季節の群に分け、同じ気質と性格の検査で調べた[11]。秋に生まれた男性は、新奇性追求の中の「無秩序さ」の下位尺度で点が高かった(β=0.055、P=0.042)[11]。夏と冬に生まれた男性は、同じく「浪費しやすさ」の下位尺度で点が高かった(夏β=0.072、冬β=0.078)[11]。
著者らは、生まれた季節と気質、とくに新奇性追求のあいだの関係を示す違いだとし、環境の要因が早い時期の発達で気質に影響しうることを示唆するとしつつ、因果を明らかにするにはさらに研究が要ると書いている[11]。βの値は0.05〜0.08ほどである。2,962人の研究で報告された違いは、男性の下位尺度の、この大きさのものだった。
日本の研究もある。2009年の研究は、健康な日本人595人を、同じ気質と性格の検査で調べた[17]。一年の月を、気温か日の長さで分けて群を比べ、さらに、生まれ月の気温と日の長さ、年齢を使った重回帰の分析を行った[17]。
二つの分析の両方で、生まれ月の気温が高いほど、女性では自分で目標を決めて進む傾向(自己志向)と持続の点が高かった[17]。また、生まれ月の気温が高いほど、女性の体格指数は低かった[17]。著者らは、生まれ月が健康な日本人女性の自己志向と持続に影響し、その影響は、生まれ月の気温に結びついた体格指数の変化を通じているのかもしれないと示唆している[17]。
スウェーデンでは2〜4月生まれの女性で新奇性追求、日本では暖かい月生まれの女性で自己志向と持続、大学生の研究では男性の下位尺度。見つかった性格の側面は、研究ごとにばらばらである。
関係が見つからなかった研究と、効き目の大きさ
関係が見つからなかった研究もある。2012年の研究では、健康な大人451人が統合失調症に近い性格の傾向を測る質問票に答え、その大半は気質と性格の検査と、記憶と知能の検査も受けた[6]。冬に生まれた人では、その性格の傾向の質問票の合計点が、ほかの季節の人より有意に高かった[6]。けれど、生まれた季節は、気質と性格の検査のどの次元とも、知能などの検査の結果とも、有意な関係がなかった[6]。著者らは、この性格の傾向と統合失調症が、発達の上で一続きのものだという考えを支える結果だとしている[6]。
先に見た701人の研究でも、気質と性格の代表的な検査は、生まれた季節と関係を示さなかった[9]。
関係が見つかった研究でも、その大きさを見ておきたい。2015年の研究は、ロシアの17〜25歳の若い大人1,018人(68%が女性)で、脳の神経の育ちに関わる物質の遺伝子の型と、気質と性格の関係を調べた[19]。遺伝子の型と生まれた季節の組み合わせが、危険を避ける傾向(損害回避)の点に影響していたが、その組み合わせで説明できたばらつきの割合は1.4%と1.3%だった[19]。女性だけで見つかった、遺伝子の型と持続の関係も1.3%だった[19]。
性格の点数のばらつきを100とすると、生まれた季節と遺伝子の組み合わせで説明できるのは1.3〜1.4ほど、ということになる。著者らは、生まれた季節が遺伝子と損害回避の結びつきを変える効果の証拠だとしている[19]。証拠としてはある。ただ、毎朝の星占いで性格を一覧にできるほどの大きさではない。
数字で読む星座と生まれ月と性格
- 701人: 星座と気質・性格を比べた研究の人数。星座はどの側面とも関係がなかった[9]。
- 2,130人: 生まれた季節と性格を調べたスウェーデンの人数。2〜4月生まれの女性で新奇性追求の高い群が多かった[2]。
- 2,962人: 生まれた季節で四つに分けて調べた大学生の人数。違いは男性の下位尺度で、βは0.055〜0.078[11]。
- 595人: 生まれ月の気温と性格を調べた健康な日本人の人数。女性で自己志向と持続に関係があった[17]。
- 1.4%と1.3%: 生まれた季節と遺伝子の型の組み合わせで説明できた、損害回避の点のばらつきの割合[19]。
- 451人: 生まれた季節と性格の傾向を調べた健康な大人の人数。気質と性格の検査は大半の人が受け、どの次元とも生まれた季節との関係は見つからなかった[6]。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
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