体力をつけながら痩せたい時は食事を減らす?体重と練習の成果を分ける見方

体力をつけたいのに、痩せるために食事を減らしてよいのか。女性の減量試験、食事指導を伴う持久力訓練、男性ランナーの短期試験を比べ、体重の減少と動ける力の変化を分けて読む。エネルギー不足でも記録が保たれた結果の限界や、食事量だけでは判断できない補給の考え方を、日常の練習に結びつける。

夕食のお皿を小さくして、練習用の靴を履く。動ける体をつくりたいのに、食べる量も減らそうとしている。その日の練習を支える食事まで削っていないか。体力づくりと減量を同時に考える時は、まずこの問いを置きたい。

体力づくりのために、食事を減らす必要はない。女性を対象とした無作為化試験では、食事調整だけの群と運動を加えた群で体重の減少に有意な差がなくても、最大運動能力は運動を加えた群で改善した。ただし、これは食事を減らすほど体力がつくという意味ではない。[5]

逆に、短い検査で走る力が落ちなかったからといって、補給が足りているとも限らない。男性ランナーでは、エネルギーが少ない条件で筋肉の燃料が減っても、限界まで走る時間に有意な差が出なかった。[9] この男性競技者の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめ、安全性を判断することはできない。ここで見るのは、体重計の数字と、練習で育つ力が同じ方向を向いているかである。

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体重を減らすことと、動ける力を育てることは別の仕事

エネルギー収支は、食べて取り入れる量と使う量の関係である。成人の運動と食行動を扱った総説では、運動直後に生じたエネルギーの不足分は、次の食事や翌日の摂取で全部が埋め合わされるとは限らず、運動を繰り返すことで中程度の体重減少につながると整理されている。対象は成人全般であり、18〜39歳の女性の補給量をそのまま決める根拠にはならない。[18]

一方、体力の変化を問うなら、体重とは別の測定が要る。自転車でどれほどの出力を出せるか、一定の負荷に体がどう反応するか、運動中にどれほど酸素を取り込めるか。女性の食事・運動試験でも、体重、運動中の乳酸、最大運動能力は別々に測られている。体重が減ることと、練習への適応、つまり運動に応じて体の働きが変わることは、分けて評価すべき結果である。[5]

既存記事「痩せ型の女性の筋トレは食事を増やすべき?余るエネルギーと筋肉の成長を読む」には筋肥大と食事増量の問いを譲る。また「REDs(スポーツにおける相対的エネルギー不足)|男性のほうが多いという統合結果」は不足の広がりを扱う。本記事は、食事を調整しながら持久力の練習を続ける時、体重と運動の成果をどう読み分けるかに絞る。

たとえば「通勤で楽に歩きたい」が目標なら、朝の体重だけを成果欄に書くと、肝心の通勤が抜け落ちる。記録を考える時は、体重の欄とは別に、歩いた道、途中で休んだ場面、その日の練習内容を置いてみる。これは病気を見つける検査ではなく、自分が何を改善したかったのかを忘れないための整理である。体重の変化だけでは、試験で認められた運動能力の違いを表せない。[5]

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女性の比較試験では、同じように減量しても運動の成果が違った

非肥満から中程度の肥満の女性20人を対象にした無作為化試験では、食事調整のみと、食事調整に有酸素運動を加える方法を8週間比べた。平均年齢は27.3歳で、両群のエネルギー不足が同程度になるように組まれた研究である。運動群は最大酸素摂取量の60%に相当する強度で、週に3回、各60分の運動を行った。[5]

体重は食事のみで1.95±1.13 kg、食事と運動で2.23±1.28 kg減少し、群間に有意な差はなかった。体脂肪の割合も両群で下がったが、こちらも群間差は認められなかった。減った重さだけを並べれば、両方とも似た結果に見える。[5]

ところが、最大運動能力は食事と運動の群で12.2±8.8 W改善し、食事のみの群では有意に変わらなかった。Wは自転車で発揮した出力の単位である。さらに、100 Wの一定負荷で運動した時の乳酸は、運動を加えた群で0.8±1.4 mmol/L減り、食事のみの群では0.4±0.5 mmol/L増えた。体重の減り方が似ていても、運動への反応は同じではなかった。[5]

ただし、同じ一定負荷での心拍数や、測定した血中脂質には有意な変化がなかった。運動したから測定項目が全部よくなった、という研究ではない。また、これは少人数の女性を対象にした試験であり、個々の結果を保証するものでもない。ここから受け取れるのは、減量の成否を体重だけで判定すると、練習によって得られた違いを見逃すという点である。[5]

この比較は、食事を減らす方法の優劣を体重の結果だけで決めたい時にも役立つ。研究で比べたのは、運動の有無を含む生活の組み方である。食事のみで体重が減ったことは、持久力の練習を省いても同じ体ができる証明にはならない。自分の目的が「軽くなること」に加えて「動き続けられること」なら、後者に対応する練習を残す理由がある。[5]

もうひとつ注目したいのは、食事と運動を合わせる群では、食事だけの群より食事から減らす量を小さくし、運動による消費を含めて比較していた点である。食事を同じだけ減らしたうえで運動を上乗せする設計ではなかった。[5] 夕食を変えた日から運動も始める人にとって、この違いは大きい。研究と似たことをしているつもりでも、食事と運動の両方で不足を広げれば、比べている条件が変わってしまう。

数値に添えられた「±」は参加者の結果にばらつきがあることも伝えている。平均の改善量を、自分が必ず得る増加量として予約することはできない。この試験の最大運動能力の改善は、同じ参加者全員が同じ幅で伸びたという結果ではない。[5] 朝の階段が楽になるかを知りたい人は、研究の平均を達成ノルマにするより、自分が続けた運動と実際の変化を並べて考えるほうが、問いに近づける。

食事制限の強化より、練習を支える補給を考える

食事指導のある試験で運動能力が伸びても、制限を強める理由にはならない。肥満のある思春期の参加者304人を対象とした無作為化試験では、有酸素運動、筋力トレーニング、両者の併用、運動なしを22週間比較した。全群で食事指導が行われ、設定されたエネルギー不足は最大で1日250 kcalだった。対象は肥満のある思春期の参加者であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[12]

有酸素運動群のピーク酸素摂取量は30.6±0.6から33.4±0.7 mL/kg/分へ増え、対照群の30.6±0.5から30.9±0.7 mL/kg/分という変化より大きかった。ピーク酸素摂取量は、負荷を段階的に上げる運動中に測った酸素取り込みの最大値である。この試験では体重あたりの値として示され、有酸素運動の効果は対照群に比べて有意だった。[12]

筋力や腕立て伏せの回数の伸びは、筋力トレーニングや併用に有利な比較があった。したがって、食事量をどうするかだけでなく、何の力を育てる練習なのかも結果を左右する。有酸素運動の成果を、重いものを持つ記録だけで採点するわけにはいかない。[12]

もっとも、この研究は成人女性のための摂取量処方ではない。対象は14〜18歳の肥満のある参加者であり、練習前の導入期間と食事指導を伴っている。[12] 研究に出てくる不足量を、そのまま自分の食事から引く計算表にしてはいけない。ここで確かめられたのは、その条件で有酸素運動の効果が得られたという事実である。

また、この試験は不足量の大きい群と小さい群を直接比べたものではない。全群に食事指導があるため、食事をもっと減らしたら伸びが大きくなるかは、この比較の問いではない。[12] 「食事調整をしながらでも伸びた」と「食事調整のおかげで伸びた」は別の文章である。前者を読んで後者まで受け取ると、練習の働きが食事制限の手柄にすり替わってしまう。

体重あたりの酸素摂取量という単位にも注意が要る。この研究で示された数値は、取り込んだ酸素量を体重で割った指標である。[12] 日常では、体重の数字とその指標を完全に無関係なものとして扱うこともできない。だからこそ、単位のある検査値と、実際に行った運動の種類を組にして読みたい。「体力が上がった」という短い表現の内側には、何をどう測ったかという条件が入っている。

数字で読む体重と持久力のずれ

女性20人、8週間:食事のみと食事・有酸素運動の比較で、体重減少の群間差は有意ではなかった。[5]

12.2±8.8 W:食事・有酸素運動群で認められた最大運動能力の改善量である。[5]

304人、22週間:食事指導を伴う思春期の運動比較では、有酸素運動群のピーク酸素摂取量が対照群より改善した。[12]

約30%:男性ランナーの低エネルギー条件で減少した筋グリコーゲンの量である。[9]

約20分:同じランナー試験での限界走の時間は、この程度で両条件に有意差がなかった。[9]

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