
走れた日にも、筋肉の燃料は減っていた
筋グリコーゲンは、筋肉に蓄えられた糖質である。男性長距離ランナー7人を対象とした無作為化クロスオーバー試験では、同じ参加者が順序を変えて、エネルギー利用可能量が低い条件と通常の条件を経験した。運動に使った分を差し引いて体に残るエネルギーの条件を変え、連日走った時の燃料と走行能力を調べた研究である。男性競技者の短期試験なので、18〜39歳の女性の長期的な健康への影響にはそのまま当てはめられない。女性の月経への影響を評価する試験でもない。[9]
参加者は最大酸素摂取量の70%で75分の走行を3日間続けた。低い条件のエネルギー利用可能量は除脂肪量あたり1日18.9±1.9 kcal/kg、通常の条件は52.9±5.0 kcal/kgだった。除脂肪量とは脂肪を除いた体の重さである。これらは研究条件を説明する数値であって、読者が目標にする摂取量や、安全と危険を分ける自己判定の線ではない。[9]
低い条件では筋グリコーゲンが約30%減り、通常条件より有意に低くなった。体重、除脂肪量、骨格筋の体積も有意に減少した。しかし、翌日に最大酸素摂取量の90%に相当する速さで限界まで走った時間は約20分で、条件間の差は有意ではなかった。[9]
ここは結果の都合のよい半分だけを選びたくなる。「燃料が減ったから、必ずその場で記録が落ちる」は、この試験では支持されなかった。逆に「走れたから、体の中も変わっていない」も結果に合わない。走行時間に差が検出されなかったことと、筋肉の燃料が減ったことは、同じ試験の中で同時に起きている。[9]
さらに、短期に測られた除脂肪量の減少を、そのまま長期の筋肉の損失量と読むことはできない。この試験が直接示すのは、連日の運動と補給条件によって測定値が変わったことまでである。[9] 体重計が軽くなった朝に、脂肪だけが減ったと決めることも、筋肉を全部失ったと慌てることも避けたい。どの指標を、どの期間で測った結果なのかが先に来る。
普段の練習に置き換えるなら、「今日は最後まで動けた」を食事が十分だった証明書にしないことだ。検査の結果を正確に読む時には、体重と運動能力に加えて、燃料の測定も必要だった。[9] 自宅で筋グリコーゲンを測る代わりに、少なくとも食事を抜いた日や練習が重なった日を、記録から消さずに残すという使い方ができる。
運動の成果が出ても、健康を損なう変化が並行する可能性には注意が要る。若い雌ラットの実験では、走行と食事制限の組み合わせで、筋肉の持久的な適応が見られる一方、骨密度や骨の微細な構造が悪化した。動物実験であり、18〜39歳の女性に影響の大きさをそのまま当てはめることはできないが、筋肉の適応だけを安全性の判定に使えない結果である。[6]
男性持久系競技者の生殖機能と骨密度を扱うレビューも、エネルギー不足や体重減少などを骨密度に悪影響を及ぼしうる要因に挙げ、女性競技者では男性より生殖機能や骨への影響が顕著になりうると整理している。男性中心のレビューであり、18〜39歳の女性個人のリスクをそのまま推定することはできない。[19] 練習を完遂できることを理由に、制限を強めない。月経の変化など健康上の不安があれば、記録の低下を待たず医師に相談する。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
エネルギーを埋めれば、何を食べても同じなのか
食事量の話を、合計のエネルギーだけで閉じるのも早い。十分に訓練された男性9人を対象としたクロスオーバー試験では、夜の運動で筋グリコーゲンを減らし、糖質を少なくしたまま翌朝も運動する条件が用いられた。18〜39歳の女性に同じ反応が起きるかは、この男性の試験だけでは判断できない。運動後の食事は糖質を少なく、たんぱく質をそろえ、一方では主に脂肪で消費分を補い、もう一方ではエネルギー不足を残した。[2]
脂肪を中心に消費分を補った条件でも、翌朝の運動に伴う筋肉の早期適応の指標は高まらなかった。そのうえ、回復用の糖質・たんぱく質飲料を取った後の血糖とインスリンの反応は、脂肪中心で補った条件のほうが高かった。著者らは、この特定の低糖質条件では、脂肪でエネルギー収支を合わせても早期適応の指標を改善せず、飲料への血糖反応を損ねたと報告している。[2]
これは、エネルギー不足を残す食べ方の推奨ではない。比べた両方の条件が、運動後の糖質を少なくする特殊な組み方だったからである。また、測ったのは短時間の筋肉や血液の反応であり、日常生活を送りながら長期に伸ばした持久力そのものではない。[2] 筋肉の中の反応が強いという話を、次の季節に楽に歩けるという話と同一視することはできない。
この研究が食事の相談に投げかけるのは、「足りない分を埋めた」という説明にも中身があるという点である。合計量を合わせた食事でも、糖質を少なくした条件が自動的に解消されるわけではなかった。[2] 仕事帰りの運動を続けたい人が、補給を考える時も、単に食べたか食べなかったかでなく、どの食事をどう変えたかまで見たい。特定の栄養素だけを足せば解決する、という結論をこの比較から作るのは無理がある。

よくある誤解
「体重が減らなければ、運動しても体には意味がない」。この考えは、運動の成果を狭くしすぎる。座る時間が長く、中程度の過体重がある男性48人の無作為化試験では、12週間の持久力訓練について、体重減少を伴う条件と、食事を増やして体重を保つ条件などを比べた。体重を保った訓練群でも、インスリンの作用によって糖を取り込む働きに改善が認められた。対象は男性であり、18〜39歳の女性に同じ改善幅をそのまま当てはめることはできない。[15]
この研究では、食事で減量した群も、訓練で減量した群も、肝臓のインスリン感受性を主に反映する指標は改善した。一方、筋肉など末梢のインスリン感受性を主に反映する糖の処理は、訓練を行った群で改善した。[15] これは持久力の記録そのものではなく、代謝面の結果である。しかし、体重を落とすことだけを運動の採点基準にできない理由を、別の測定から示している。
「同じだけ食べる量を減らせば、運動の有無は関係ない」。女性の比較試験では体重の減少が似ていても、最大運動能力と一定負荷での乳酸の変化は異なった。[5] 食事で作る変化と、練習で作る変化を、ひとつの体重の数字へ押し込めないことだ。痩せることを望まない人まで、運動のために体重減少を目指す必要もない。
「運動後に空腹でなければ、補給は足りている」。成人を対象とした総説では、運動で生まれた不足分が、その後の食事で部分的にしか埋め合わされないことが整理されている。[18] 空腹の感覚だけを、使った分が戻ったかどうかの精算係にはできない。反対に、運動後の食欲だけから過剰摂取を決めつけることも避けたい。食事の実際と、練習の経過を合わせて見るための話である。
今日からできること
- 体重と練習の成果を別々に記録する。女性の8週間の試験では、体重減少の群間差がなくても最大運動能力の変化には違いがあった。通勤や練習でできるようになりたいことも、記録の欄に入れる。[5]
- 研究にある運動量を、食事をさらに削る許可にしない。週3回、各60分という女性の試験は、食事と運動を組み合わせた比較であり、自己流の制限量を決める処方ではない。[5]
- 練習が重なる時は、食事を抜いた場面も書き残す。男性ランナーの3日間の試験では、走行能力に有意差がなくても筋グリコーゲンが減った。動けたという実感だけで食事の条件を評価しない。[9]
- 食事の相談では、総量だけでなく運動前後に何を食べたかを伝える。男性9人の短期試験では、脂肪中心に消費分を補っても、低糖質条件での早期適応の指標は改善しなかった。[2]
- 目標に対応する運動を選ぶ。304人の比較では、心肺の体力には有酸素運動、筋力には筋力トレーニングを含む方法が異なる成果を示した。体重だけを目標にせず、育てたい働きを言葉にする。[12]
食事を減らし続けないと運動の意味がない、と感じ始めたら、目的をいったん書き直してみる。体重減少を伴わない訓練にも代謝面の改善が認められている。[15] 記録のどこを見るかを変えることは、努力をやめることではない。食事や運動をどう調整すべきか迷う場合、個別の健康状態については医師に相談する。

オンザショア立川店を、運動の予定を置く場所に
食事の引き算だけで予定表を埋めず、続けたい運動の時間も置いておく。オンザショア立川店は、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分の溶岩ホットヨガスタジオである。営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休。仕事帰りや休日など、自分の生活の中で通う時間を考えるための情報として使ってほしい。
妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。選べる運動は溶岩ホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニング。ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。
通える時間と利用条件は店舗の案内で、費用は料金で確認できる。ヨガの体験は税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれ、体験の予約から申し込める。食事を削った量ではなく、補給も含めて無理なく通える予定を考える場所として選んでほしい。予約の時刻だけでなく、その前後に食事を取る時間も予定表に残す。体重を減らすことを参加の目標にする必要はない。
参考文献
[2] Achieving energy balance with a high-fat meal does not enhance skeletal muscle adaptation and impairs glycaemic response in a sleep-low training model — Areta JL, Iraki J, Owens DJ, Joanisse S, Philp A, Morton JP, Hallén J., 2020, Experimental physiology. DOI: 10.1113/ep088795
[5] Fat loss depends on energy deficit only, independently of the method for weight loss — Strasser B, Spreitzer A, Haber P., 2007, Annals of nutrition & metabolism. DOI: 10.1159/000111162
[6] Combination of running and energy restriction impairs bone parameters but does not inhibit endurance adaptations in fast-twitch muscle in young female rats — Aikawa Y, Wakasugi Y, Fukuyasu T, Sasai N, Yamashita T, Ohtsuki M, Hori A, Kioka, 2025, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/japplphysiol.00978.2024
[9] Muscle Glycogen Content during Endurance Training under Low Energy Availability — Kojima C, Ishibashi A, Tanabe Y, Iwayama K, Kamei A, Takahashi H, Goto K., 2020, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0000000000002098
[12] Effects of aerobic training, resistance training, or both on cardiorespiratory and musculoskeletal fitness in adolescents with obesity: the HEARTY trial — Alberga AS, Prud’homme D, Sigal RJ, Goldfield GS, Hadjiyannakis S, Phillips P, M, 2016, Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme. DOI: 10.1139/apnm-2015-0413
[15] Endurance training per se increases metabolic health in young, moderately overweight men — Nordby P, Auerbach PL, Rosenkilde M, Kristiansen L, Thomasen JR, Rygaard L, Grot, 2012, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1038/oby.2012.70
[18] Exercise patterns, ingestive behaviors, and energy balance — Li J, O’Connor LE, Zhou J, Campbell WW., 2014, Physiology & behavior. DOI: 10.1016/j.physbeh.2014.04.023
[19] Effect of altered reproductive function and lowered testosterone levels on bone density in male endurance athletes — Bennell KL, Brukner PD, Malcolm SA., 1996, British journal of sports medicine. DOI: 10.1136/bjsm.30.3.205
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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