
画像の性質の説:穴が粒より強く不快とは言えなかった
病気の説とは別に、画像そのものの性質から説明する流れもある。2015年の研究は、集合体恐怖症を見分けるための症状の尺度、集合体恐怖症の質問票を作り、その確かさを確かめた[1]。いろいろな症状の報告をもとに作ったのに、質問票は一つのまとまった性質を測っており、内部の一貫性も、時間をおいた再検査での安定性も高かった[1]。
質問票の点数は、集合体の画像による不快感を予測したが、ふつうの画像や、ただ嫌な画像による不快感は予測せず、不安とも相関しなかった[1]。
同じ研究は、画像の処理も試した[1]。集合体の画像や見ていて不快な画像に共通する、中くらいの細かさの模様(空間周波数)の成分の過剰なエネルギーを、画像の処理で減らしたのである[1]。処理した画像では、質問票の点数が高い人の不快感が、処理していない画像に比べて小さくなった[1]。
さらに、へこんだ物の集まり(穴)は、出っ張った物の集まり(粒)より有意に強い不快感を生まなかった[1]。著者らは、集合体恐怖症に関わるのは穴の集まりそのものではなく、特定の周波数の特徴を持つ画像だと示唆している[1]。穴か粒かは、この研究では決め手にならなかった。
ところが、2017年の研究は、少し違う結果を出した[3]。画像からいろいろな空間周波数の成分を取り除いて、不快感への影響を調べたところ、一つ目の実験では、中くらいの空間周波数を取り除いても不快感は変わらなかった[3]。二つ目の実験では、高い空間周波数だけでできた穴の画像は不快感が小さく、低い、あるいは中くらいの空間周波数だけの画像は、元の画像と同じくらい不快感を生んだ[3]。
三つ目の実験では、集合体恐怖症の傾向が強い人は、弱い人より、元の画像と、低いか中くらいの空間周波数だけの画像に強い不快感を感じた[3]。著者らは、集合体の不快感は中くらいと低い空間周波数で生じうると結論している[3]。どの細かさの成分が効くのかは、研究によって答えが揺れている。
先に見た目の動きの研究は、この説に別の角度から疑問を出している[13]。人の体の背景の画像と物の背景の画像のあいだで、画像の周波数ごとの強さに有意な差はなかったのに、人の体の背景の画像のほうが強い感情と視線の反応を生んだ[13]。著者らは、反応の違いは周波数の強さの違いからは生じていないらしいとし、結果は画像の性質の説ではなく、危険な物を頭で評価するという考え方を支持すると結論している[13]。嫌悪と高ぶりの強さは、性格の特性とは相関しなかった[13]。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
見ているあいだ、体の中で起きていること
鳥肌そのものは測られていない。では、体のほかの反応はどうか。2025年の研究は、50人の参加者の集合体恐怖症への敏感さを質問票で測ったうえで、肌に関係する集合体の画像を見る群と、肌に関係しない自然の集合体の画像を見る群に、無作為に分けた[11]。
画像を見る前と後で血液をとって調べると、炎症に関わるたんぱく質のインターロイキン6と腫瘍壊死因子アルファが、見た後で有意に増えていた[11]。インターロイキン6の変化は、画像の種類によって違った[11]。遺伝子の働きの指標は、参加者の敏感さの点数と有意な関わりを示した[11]。
心拍と心拍の揺らぎも、見る前、見ている間、見た後に測られた[11]。心拍の揺らぎの指標は、画像の種類と敏感さによって変わり、見ている間と見た後に、体を活動に向ける交感神経の働きが強まり、休ませる副交感神経の働きが弱まったことを示した[11]。著者らは、集合体恐怖症に、免疫の活性化と自律神経の関わりがあることを示す結果だとしている[11]。
50人の研究で、比べたのは、同じ人の見る前と後、そして肌の画像と肌でない画像の群で、集合体でない画像を見る群は置かれていない。それでも、ぶつぶつの模様を見た前後で、体の側の数字も動いていた。
目の側の反応もある。先の目の動きの研究では、人の体や動物の背景に重ねた集合体の画像は、物の背景より、瞳孔を大きく開かせた[13]。

SNSで広まったから苦手になるのか
集合体恐怖症の写真は、ネットでよく出回る。名前を知ったせいで苦手になったのではないか、という疑いは自然だ。2024年の研究は、まさにそれを確かめた[15]。
一つ目の実験では2,558人を対象に、ソーシャルメディアをよく使う若い人と女性のほうが、集合体の刺激に敏感かを調べた[15]。結果は予測どおりで、若い人と女性のほうが集合体恐怖症になりやすかった[15]。二つ目の実験では283人を対象に、この現象の存在を知っている人のほうが、聞いたことのない人より、敏感で割合も高いかを調べた[15]。
ここで、集合体恐怖症のある人の24%は、この現象の名前を一度も聞いたことがなかった[15]。著者らは、社会的な学習と、そうでないものの両方が集合体恐怖症に関わっていると結論している[15]。集合体恐怖症のある人の4人に1人ほどは、名前を知らないまま苦手だったことになる。
よくある誤解
「集合体恐怖症は、穴が怖いだけ」。穴の集まりは、出っ張った粒の集まりより有意に強い不快感を生まなかった[1]。嫌な反応の中心も、恐れより、病気を避けるための感情である嫌悪だった[2]。
「ネットで名前が広まったから、みんな苦手になった」。若い人と女性で敏感という、ソーシャルメディアの影響に合う結果はあった[15]。一方で、集合体恐怖症のある人の24%は名前を聞いたことがなく、著者らは学習とそれ以外の両方が関わるとした[15]。
「病気を避ける説で、もう決着した」。総説はこの説をもっとも可能性が高いとした[7]。けれど、肌の言葉で不快感が強まった実験は、確かめ直しでは同じ効果が出なかった[20]。どの細かさの模様が効くのかも、研究で答えが揺れている[1][3]。

今日からできること
- 苦手な模様は、肌の写真に重なったものから距離を取る。人の体の背景の模様は、物の背景より嫌悪が強く[13]、手や足の画像での変化は、ヘビやクモの画像より大きかった[19]。
- 自分の反応を責めない。集合体恐怖症のある人の24%は名前を知らなかった[15]。病気と関係のある集合体には、苦手でない人も嫌な反応を示した[2]。
- 子供が蓮の実の写真を嫌がっても、からかわない。4〜5歳でも、大人と比べられる反応が見られた[18]。
- 肌の病気の話題を見た直後は、反応が強く出ることがあると知っておく。肌の言葉で不快感が強まった実験がある一方、繰り返しでは出なかった[20]。
- 暮らしに差し支えるほどつらいときは、一人で抱えず医師に相談する。この記事は、集合体恐怖症の診断や治療をするものではない。
ぞわっとした夜の後に、オンザショアの時間を
この記事の研究が扱ったのは、模様を見たときの心と体の反応で、運動の効き目ではない。だから、ここでは店の事実だけを書く。
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参考文献
[1] Assessment of trypophobia and an analysis of its visual precipitation — Le AT, Cole GG, Wilkins AJ., 2015, Quarterly journal of experimental psychology. DOI: 10.1080/17470218.2015.1013970
[2] Disgusting clusters: trypophobia as an overgeneralised disease avoidance response — Kupfer TR, Le ATD., 2018, Cognition & emotion. DOI: 10.1080/02699931.2017.1345721
[3] Trypophobic Discomfort is Spatial-Frequency Dependent — Sasaki K, Yamada Y, Kuroki D, Miura K., 2017, Advances in cognitive psychology. DOI: 10.5709/acp-0222-2
[6] Involuntary protection against dermatosis: A preliminary observation on trypophobia — Yamada Y, Sasaki K., 2017, BMC research notes. DOI: 10.1186/s13104-017-2953-6
[7] What causes trypophobia? — Cole GG, Bansal A, Eacott MJ., 2026, Cognition & emotion. DOI: 10.1080/02699931.2025.2606074
[8] Ectoparasite defence in humans: relationships to pathogen avoidance and clinical implications — Kupfer TR, Fessler DMT., 2018, Philosophical transactions of the Royal Society of London. Series B, Biological sciences. DOI: 10.1098/rstb.2017.0207
[11] Physiological and inflammatory changes to natural and skin-related trypophobic images — Kazdagli H, Baris E, Kipcak A, Ozturk S, Ceylan D, Demir AB, et al., 2025, Physiology international. DOI: 10.1556/2060.2025.00678
[13] Emotional and visual responses to trypophobic images with object, animal, or human body backgrounds: an eye-tracking study — Yu P, Yu L, Li Y, Qian C, Hu J, Zhu W, et al., 2024, Frontiers in psychology. DOI: 10.3389/fpsyg.2024.1467608
[15] The social learning account of trypophobia — Cole GG, Millett AC, Juanchich M., 2024, Quarterly journal of experimental psychology. DOI: 10.1177/17470218241232665
[18] Preschool children aged 4 to 5 years show discomfort with trypophobic images — Suzuki C, Shirai N, Sasaki K, Yamada Y, Imura T., 2023, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-023-29808-1
[19] Evaluating the ‘skin disease-avoidance’ and ‘dangerous animal’ frameworks for understanding trypophobia — Pipitone RN, DiMattina C, Martin ER, Pavela Banai I, Bellmore K, De Angelis M., 2022, Cognition & emotion. DOI: 10.1080/02699931.2022.2071236
[20] Priming with skin-problems increases fear of clusters — Shirai R, Ogawa H., 2021, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-021-89917-7
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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