
脳のつながりは、増えれば一律によいのか
ネットワークという言葉に慣れると、次は「たくさんつながるほどよい」と読みたくなる。ただし、何を測ったつながりかを外してしまうと、右脳説を別の大づかみな言葉に置き換えただけになる。脳波で経験者と初心者を比べた研究は、その点を考える具体例になる。[5]
この研究には初心者16人と経験者16人が参加し、瞑想中の脳波が測られた。初心者は努力せずに気づいていることを支える基本的な練習を、経験者はその状態を支える自分で選んだ練習を行った。脳波のつながり方をネットワークの形として解析し、統合の程度に関わる複数の指標を比較している。[5]
経験者では、アルファ帯と呼ばれる周波数の範囲で、ネットワークの統合が高いことを示す結果が得られた。一方、シータ帯とベータ帯では群間の有意な違いは見られなかった。アルファ帯でも指標によって結果が異なり、葉の割合という指標は高い傾向にとどまり、有意差には達していなかった。肯定的な結論と、差がなかった部分を一緒に読む必要がある。[5]
著者らは、瞑想中のアルファ帯の機能的ネットワーク構造が、初心者より経験者でよく統合されていたと結論している。これは重要な観察だ。ただし経験者と初心者の比較であり、各群の練習方法にも違いがある。誰でも同じ練習をすれば同じ変化が起きる、という処方にはしない。[5]
ここで得られるのは、「右側を使う」より具体的でありながら、対象の限られた答えである。瞑想中、特定の脳波の帯域で、特定の指標に違いがあった。つながりという語だけを残すと、この条件が抜ける。脳の話を生活に持ち帰る時には、形容詞の「よい」より、どの場面で何を比べたかを残したい。[5]
臨床の比較試験でも、左右をまたいだ結果がある。軽度認知障害のある高齢者47人を無作為に分けた研究では、3か月のマインドフルネス実践後、比較群より時間的な全体効率がよく、右の帯状回や島、左上側頭回などに局所的な変化が見られた。言語による再認記憶も改善していた。軽度認知障害のある高齢者の結果なので、18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[9]
この試験の著者らは、早期の認知機能低下がある高齢者に役立つ可能性を示唆している。その結論は受け止めつつ、対象は健康な若い成人ではないと押さえる。高齢者の認知機能を調べた結果を、仕事帰りの自分の直感や創造性が上がる保証にはしない。左右の場所に加え、誰を調べたのかも結論の一部である。[9]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
注意や自己評価の変化は、性格の左右分類とは別である
脳の場所を読む時には、同時に何をしていたのかが欠かせない。社交不安症の成人56人を、マインドフルネスに基づくストレス低減法と有酸素運動へ無作為に分けた試験では、肯定的・否定的な性質を表す言葉が自分に当てはまるかなどを判断し、その時の脳活動を測った。左右の性格を診断した試験ではない。社交不安症の成人患者を対象とするため、18〜39歳の女性一般にそのまま当てはめることはできない。[2]
行動面では、有酸素運動と比べてマインドフルネス群で否定的な自己像がより減った。一方、肯定的な自己像の増加は同等だった。「自分のよさを感じる力もすべて瞑想のほうが優れていた」とは読めない。よい結果の中にも、比較して差のあった項目と同等だった項目が並んでいる。[2]
脳活動では、否定的な自己判断と文字の大文字かどうかの判断を対比した時に、マインドフルネス群で後帯状皮質の反応がより増えていた。肯定的な自己判断の対比では、群によって異なる変化は見られなかった。単に脳活動が増えたという話ではなく、どの判断とどの判断を引き算したかまで含む結果である。[2]
さらに、マインドフルネス群では背内側前頭前皮質の活動増加が、社交不安に関連する生活上の支障の減少やマインドフルネスの増加と関連していた。著者らは、自己に関する処理と認知・注意の制御システムとの関係を重視している。脳画像は、参加者の判断や症状と組にして検討されていた。[2]
日常なら、人前で話した後に「あの言い方は変だった」と考え続ける場面を思い浮かべると、何を問う研究なのかが少し近くなる。ただし、そうした経験があるだけで試験参加者と同じ状態だと決めることはできない。ここで持ち帰るのは治療の指示ではなく、自己評価を調べた試験を「直感の右脳が育った」という話へ移さない読み方だ。[2]
研究の結果と、説明のための理論も区別したい。2019年のレビューは、集中型、開かれた観察、思いやり、慈しみといった瞑想を扱う理論を提示し、主要なネットワークの相互作用を論じている。その中には、上から働きを調整する制御の左向きの非対称性や、左右半球間の統合の強まりという提案も含まれる。理論の背景には上座部仏教の僧侶が参加した研究もあり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは別に検証する必要がある。[6]
左右差を扱う理論があること自体を消す必要はない。ただしこの論文は、理論から実験的な予測を導いている。「左向き」という言葉を見つけて左脳型への変化と断定したり、「左右の統合」を万人に確定した効果として売り出したりすれば、提案と実測の境界を越える。研究は左右を無視しているのではなく、左右だけでは終わらせていないのである。[6]

よくある誤解
「右側の活動が出たから、瞑想は右脳を使うものだ」。集中型とマントラを分けたメタ分析には、右側だけでなく左側や両側の領域が含まれる。場所の名前の一部を拾うより、方法ごとの結果全体を読む必要がある。右という字が見つかれば答え、という検索は脳画像には向かない。[4]
「瞑想を続けた人の特徴なら、始めれば必ず手に入る」。経験者と初心者を比べた脳波研究と、参加者を無作為に分けて訓練後を比較した試験では、答えられる問いが異なる。前者は群の違いを示し、後者は設定された介入の比較を扱う。結果の型を揃えず、すべてを自分の将来の変化として足し算しない。[5][9]
「脳活動が増えれば成功、減れば失敗だ」。自己評価を扱った比較試験では、課題の対比によって増えた反応も、群間で異なる変化が見られなかった反応もあった。脳活動の大小は、何を行っている時の、何と比べた値かがあって初めて読める。レッスン後に頭が静かに感じられても、左右の活動量を自己採点する材料にはならない。[2]
練習時間の具体例として、中程度から多量に飲酒する成人32人を対象に、ストレス課題後の10分間のマインドフルネスと安静を比較した研究がある。マインドフルネス側では、サリエンスネットワークがより活動する状態への移行や滞在時間が多かった。飲酒する成人の特定の状況を扱った研究であり、18〜39歳の女性一般にそのまま当てはめることはできない。10分はこの研究の実施時間であり、初心者に最適な時間や必要な練習量を示す数字ではない。[17]
今日からできること
- 練習の案内を選ぶ時は、集中型か、言葉を繰り返す型かを確かめる。24実験を扱ったメタ分析でも、この方法の違いを分けていた。[4]
- 「脳が変わる」という紹介には、瞑想中の活動か、訓練後の安静時結合かを書き添えて読む。28研究のレビューと12研究の統合では、測定の問いが異なる。[3][7]
- 効果量0.234を見かけても、改善率へ直さずそのまま扱う。何の領域間の結合を測った数字かを併せて確認する。[7]
- 呼吸へ注意を向ける時間を予定に入れるなら、10分間の案内を選び、終わった後に取り組めたかを振り返る方法がある。10分は研究で使われた時間を予定づくりに借りる例であり、毎日の実践や初心者への効果を保証するものではない。右脳が働いたかを採点せず、案内に沿って取り組む。[17]
- 結果を紹介する時は対象も残す。47人の高齢者の試験と56人の社交不安症の成人の試験を、同じ読者への保証にまとめない。[9][2]

オンザショア立川店で、呼吸に目を向ける時間を選ぶ
ホットヨガを体験する時も、「右脳が働いたか」ではなく、動く間の呼吸や自分の感覚に目を向ける時間として考えてみる。瞑想の脳画像研究とスタジオでの体験は分け、レッスン内容を確認して選びたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある溶岩ホットヨガスタジオだ。営業時間は8:00〜23:30だが、開店時刻とレッスン開始時刻は別である。
8時開始の回は土曜と日曜にあり、平日の最初の回は月曜から木曜が10時、金曜が13時となる。夜は水曜と金曜に21時開始の回がある。予定を立てる際は、営業時間だけで判断せず、受講する回を確認する。年末年始の12/29〜1/3は通常レッスンを休み、会員向けの特別の有料講座となる。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガのほか、常温ヨガやピラティスもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。内容は店のトップ、費用は料金ページで確認できる。通う場所を選ぶ時の、予定表に書ける情報として使いたい。
参考文献
[2] Randomized controlled trial of mindfulness-based stress reduction versus aerobic exercise: effects on the self-referential brain network in social anxiety disorder — Goldin P, Ziv M, Jazaieri H, Gross JJ., 2012, Frontiers in human neuroscience. DOI: 10.3389/fnhum.2012.00295
[3] Focused attention meditation in healthy adults: A systematic review and meta-analysis of cross-sectional functional MRI studies — Ganesan S, Beyer E, Moffat B, Van Dam NT, Lorenzetti V, Zalesky A., 2022, Neuroscience and biobehavioral reviews. DOI: 10.1016/j.neubiorev.2022.104846
[4] Meditation-related activations are modulated by the practices needed to obtain it and by the expertise: an ALE meta-analysis study — Tomasino B, Fregona S, Skrap M, Fabbro F., 2012, Frontiers in human neuroscience. DOI: 10.3389/fnhum.2012.00346
[5] Meditation is associated with increased brain network integration — van Lutterveld R, van Dellen E, Pal P, Yang H, Stam CJ, Brewer J., 2017, NeuroImage. DOI: 10.1016/j.neuroimage.2017.06.071
[6] Toward a brain theory of meditation — Raffone A, Marzetti L, Del Gratta C, Perrucci MG, Romani GL, Pizzella V., 2019, Progress in brain research. DOI: 10.1016/bs.pbr.2018.10.028
[7] Meta-analytic evidence that mindfulness training alters resting state default mode network connectivity — Rahrig H, Vago DR, Passarelli MA, Auten A, Lynn NA, Brown KW., 2022, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-022-15195-6
[9] Mindfulness practice alters brain connectivity in community-living elders with mild cognitive impairment — Fam J, Sun Y, Qi P, Lau RC, Feng L, Kua EH, Mahendran R., 2020, Psychiatry and clinical neurosciences. DOI: 10.1111/pcn.12972
[17] The Effects of Mindfulness on Brain Network Dynamics Following an Acute Stressor in a Population of Drinking Adults — O’Donnell SM, Rejeski WJ, Khodaei M, Lyday RG, Burdette JH, Laurienti PJ, Shappe, 2026, Brain sciences. DOI: 10.3390/brainsci16030312
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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