夢を覚えている方法は日記の練習なのか。朝の記録と眠りの量を分けて読む

夢を覚えている方法として枕元に日記を置いても、書かない人より増えるかは比べられていない。回顧の質問とその夜の記録では差の有無が割れ、想起の頻度はレム睡眠の割合とは別の脳のネットワークと動いた。何を聞くかと、目覚めの多さも、朝に残る報告を変える。

月曜の朝、目覚ましを止めた直後は、知らない廊下を誰かと歩いていた。湯を沸かすころには、その誰かの顔だけが落ちている。枕元の紙は、まだ白い。夢を覚えている方法として、起きたらすぐ書け、と聞いた人は多いはずだ。手帳を開く前に、顔だけが先に消える。

夢日記で覚える力が上がるかは、ここに挙げる研究では検証されていない。日記は、その朝に何を思い出せたかを残す道具として使われている。病気の有無をあとからまとめて聞くと出た差が、実験室の連続2夜では有意でなかった。思い出す頻度と、レム睡眠が夜に占める割合は、別の脳のネットワークと動いていた。[2][9]

当サイトの「夢を覚えている人と覚えていない人の違い、夜中の約2分の目覚めが夢を残すという説」は、覚える人と覚えない人の差と、夜中の短い目覚めの話をすでに置いている。運動を強くすると夢を多く覚えるかは、「日中の運動で夢を多く覚える?強度を上げる前に知りたい長期試験と睡眠の読み方」の問いである。この文章はそこを繰り返さない。朝に何を書くかで残るものがどう変わるか、眠りの量を想起の量と言い換えられるか、を分ける。

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枕元の手帳は、練習メニューではなく計測器だ

朝の記録には、数週間後の自己像には無い性質がある。夜に近い。片側の大脳に血管性か腫瘍性の病変がある入院患者19人は、発病前には少なくとも週1回は夢を思い出していた。入院中の10日連続で朝の日記を書くと、夢を報告したのは7人、無しが12人だった。その後、ノンレム睡眠の段階2とレム睡眠で眠りを中断して聞くと、少なくとも一度は夢を報告した人が11人、無しが8人になった。対象は脳病変のある入院患者であり、18〜39歳の健康な女性に同じ結果をそのまま当てはめることはできない。日記の結果と、起こして聞いた結果の一致は有意だった。著者らは、朝起きて書く日記は、急性期の限局性病変の患者について、夢の想起が有るか無いかを示すのに十分信頼できる、と書いている。[16]

頭数は揃っていない。一致が有意であることと、同じ人数が出ることは別だ。7人と11人の差を、健康な読者の取りこぼし率として持ち帰らない。持って帰るのは、朝の一言と、夜の途中で聞く一言が、同じ現象の完全な写しとは限らない、という方法の話である。側頭・頭頂・後頭にまたがる領域の病変では、それ以外の場所の病変より、想起の喪失が多かった。脳のどこが傷んでいるかの話であり、枕元の紙の枚数の話ではない。[16]

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よく見る、は、いつの自分に聞いたかで割れる

レム睡眠行動障害では、夢を眠ったまま体で演じてしまい、夢の想起が高まるとされてきた。否定的な感情、回顧で思い出す悪夢、攻撃的な夢も多い、とこの論文は前置きする。特発性の患者102人(女性21人、男性81人、平均64.08歳、標準偏差11.27)と、健康な対照208人(女性136人、男性72人、平均30.08歳、標準偏差12.03)が、同じ手続きで実験室に連続2夜泊まっている。回顧的な評価では、患者の夢の想起頻度は対照より高かった。前向きの評価、つまりその2夜で集めた記録では、有意な差は無かった。悪夢も、回顧では患者のほうが多く報告された。攻撃的な夢の内容は、患者のほうに多かった。[2]

患者群は男性と中高年が中心で、18〜39歳の女性の日常の想起頻度にそのまま当てはめる比較ではない。差が消えたことだけを取り出して「この障害でも想起は増えない」と一般化するのも、回顧の差だけを取り出して「夢をよく覚える病気だ」と決めるのも、どちらもこの結果より強い。言えるのは、思い出し方を、期間をまとめた回顧にするか、その2夜の前向きな記録にするかで、同じテーマの差の有無が変わった、ということだ。攻撃的な中身が、起きているときの性質と関係するかは、今後の前向きな日記研究が明らかにするかもしれない、と著者らは留めている。今回の2夜が、その日記研究の完了形ではない。[2]

レムの割合と、思い出す頻度は同じ地図にいない

レム睡眠は夢と頻繁に結びつけられてきた。一方で、行動、薬、脳画像の証拠が積み重なり、レム睡眠は夢の報告を示す指標とは言えず、脳機能の別々の土台から来うる、とこの論文は置いている。健康な成人43人(うち男性23人)から、睡眠の前後に安静時の機能的磁気共鳴画像を取り、想起頻度は2週間の睡眠日記、レム睡眠の割合は終夜の睡眠ポリグラフで測った。想起頻度もレムの割合も、複数の機能的ネットワークと負の関連を示した。結びつく先が違った。想起頻度は主に、外側の視覚ネットワークと視床である。レムの割合は主に、前頭頭頂ネットワークと小脳である。想起頻度と外側視覚ネットワークの結びつきは夜のほうが強く、レムの割合と小脳の結びつきは朝のほうが強かった。時刻の効果は有意だった。男女を含む健康な成人の観察研究であり、18〜39歳の女性だけでも同じ関連があるかは別に確かめる必要がある。著者らの結論は、想起頻度に関わる機能系は、レム睡眠の割合に関わる機能系とは違う、である。[9]

別の論文でも、健康な成人43人に2週間の睡眠日記を書かせ、毎朝の主観的な想起と脳の構造を見た。右の紡錘状回と海馬傍回の内側の皮質体積、およびそこへつながる白質の異方性分画は、想起頻度と有意に負の相関をした。想起頻度が高い人ほど、その体積と白質の指標は小さい側に寄っていた、という向きである。この関係は、規則的な睡眠によっては修飾されなかった。健康な参加者の観察研究であり、18〜39歳の女性に限定した結果としては扱えない。二つの43人は別々の論文なので、人数を合計しては読まない。[7]

眠りの「量」を一つのつまみにすると、ここで分かれたものが混ざる。レムが夜の何割を占めたかと、朝に夢を思い出せたかは、同じネットワークの増減としては写っていなかった。規則的な睡眠が、脳の形と想起の関係を打ち消した、でもなかった。[9][7]

数字で読む朝の夢日記

回顧と2夜で、差の有無が割れた。特発性レム睡眠行動障害の102人と対照208人。回顧では患者の想起頻度が高く、実験室の連続2夜では有意差が無かった。平均年齢は64.08歳と30.08歳、標準偏差は11.27と12.03である。[2]

朝の日記と、起こして聞く方法で頭数が違った。病変のある19人、10日の日記では夢の報告が7人、中断して聞くと少なくとも一度は11人。一致は有意で、著者らは日記を有無の判定に十分信頼できるとしている。[16]

レムの割合と想起頻度は、別のネットワークだった。健康な成人43人(男性23人)。想起は外側の視覚ネットワークと視床、レムの割合は前頭頭頂ネットワークと小脳と、主に負の関連を示した。[9]

構造の側も、想起の多さと逆向きに寄った。別の43人で、右の紡錘状回・海馬傍回内側の体積と、つながる白質の異方性分画が、想起頻度と負の相関をした。規則的な睡眠はこの関係を修飾しなかった。[7]

感覚を直接聞いた日記は3476件だった。視覚が最多、次いで聴覚、次いで触覚。嗅覚と味覚は同じように少なく、複数の感覚が重なる夢は、一つの感覚だけの夢よりはるかに多かった。[6]

制限の週は、緩和の週より報告が多かった。最終90人の朝の日記で、外出制限中は目覚めが多く、入眠しにくく、夢の想起と明晰夢の頻度も高かった。[3]

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宮川涼 Founder

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