
体重計の数字が下がった夜、減ったのは水と塩だった
レッスンの後に体重計に乗ると、数字が下がっている。その下がり方は、先の5人の研究で言えば体重のおよそ1.9%で、汗の量の推定1.54Lも、この前後の体重の差から出されている[12][16]。減ったのは、細胞の外の水分(9.7%減)と、汗とともに出た塩である[16]。そして、アルドステロンが増え、その後の24時間で細胞の外の水分を戻す方向に体が動く、と著者らは書いた[16]。
つまり、汗で下がった体重は、体が自分で戻しにいく数字である[16]。体重が減った夜に脂肪まで減ったのか、という消費カロリーの側の問いは、同じサイトの「ホットヨガの消費カロリーと汗の科学 体重が減った夜に脂肪まで減ったのか」に譲る。湯上がりに体組成計の体脂肪率が動く話は「体脂肪率は入浴後に下がる?肌を温めた実験と水を飲んだ実験から、湯上がりの数字を読む」が扱っている。この記事は、汗の量そのものが何を示すかに絞る。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
8週間、24回汗をかいても、体重は有意に動かなかった
1回の汗ではなく、汗をかく習慣を続けると何が変わるのか。2013年の試験は、平均30歳の若い24人と、平均53歳の中年・高齢の18人に、8週間のビクラムヨガを続けてもらった[2]。1回90分、週3回、40.5度、湿度40〜60%の部屋である[2]。
8週間の後、体重、体脂肪率、血圧、空腹時の血糖と中性脂肪は、若い群でも年上の群でも有意に変わらなかった[2]。座って前に体を倒す柔軟性は、両方の群で伸びた[2]。年上の群では総コレステロールとLDLコレステロール、インスリンの濃さ、インスリンの効きにくさの指数が下がり、若い群では総コレステロールとHDLコレステロールが下がった[2]。首の動脈のしなやかさは、若い群だけでよくなった[2]。著者らは、比較的短い期間のビクラムヨガで、若い人の動脈の硬さと、年上の人のインスリンの効きにくさの指数が改善したと結論した[2]。
24回、暑い部屋で汗をかき続けても、体重の数字は有意には動かなかった。変わったのは、柔軟性や血液の数字のほうだった[2]。
同じ年の別のランダム化試験は、少し違う数字を出した[1]。健康な若い大人を、8週間で24回のビクラムヨガの群10人と、対照の群11人に分けた[1]。ヨガの群では、対照と比べて、引き上げる力(デッドリフトの等尺性の筋力)が増え、腰と太ももの裏の柔軟性が大きく伸び、肩の柔軟性も増え、体脂肪が控えめに減った[1]。握力、心臓と血管の指標、最大の有酸素の体力は変わらなかった[1]。著者らは、この短い期間の練習は、練習の刺激に見合った筋肉と骨格の体力の変化を生んだとまとめた[1]。
体脂肪が減ったのは10人の群の8週間の結果で、1回の汗の量と結びつけたものではない[1]。16週間の試験では、ストレスを抱え運動の少ない63人(79%が女性)のうち、ヨガの群の参加は平均27回にとどまり、心拍の揺らぎの指標も、ほかの心臓と血管の危険因子も、群の間で有意に変わらなかった[3]。後から行った分析では、参加の回数が多い人ほど拡張期の血圧、体脂肪率、脂肪の量、BMIが下がる関連があり、著者らは参加の少なさが効果の出なかった理由の一つだろうと書いている[3]。

汗を取り戻そうとして飲みすぎた日
汗を「取り戻す」ことにも落とし穴がある。2012年の症例報告は、ビクラムヨガの後に息苦しさと筋肉のつりで救急に来た34歳の女性を報告している[18]。湿らせて40.6度に温めた部屋で90分、激しく体を動かし、汗を大量にかいた[18]。練習の後に3.5Lの水を飲み、その後で息苦しさ、ひどい筋肉のつり、吐き気、全身のだるさが出た[18]。
検査では、血液のナトリウムが1Lあたり120mmolまで下がる重い低ナトリウム血症だった[18]。早くからナトリウムを補ったが、意識の点数が15点中9点まで下がり、けいれんが起き、気管に管を入れて集中治療室に入った[18]。ナトリウムの濃さはゆっくり戻され、5日かけて完全に回復した[18]。報告は、暑い環境で激しく動いた後に、水を熱心に補いすぎる危険を示している、と結んでいる[18]。
別の研究の数字と並べると、この3.5Lは、先の5人の1回の汗の推定量1.54L[16]の2倍を超える。症例は1人の報告で、この量なら必ず起きる、という話ではない。それでも、汗が多かった日ほどたくさん飲めばよい、とは言えないことは分かる。
一方で、飲まなすぎもよくない。2017年の横断調査は、ホットヨガに参加する700人の自己申告を集め、ホットヨガの前か最中に水分をとることが、脱水の症状の少なさと結びついていたと報告した[15]。水分をとる行動はどれも、講師が勧めることと結びついていた[15]。ある時点の自己申告の調査で、因果までは決められない[15]。初めての人の水分と塩分のとり方は、同じサイトの「ホットヨガ初めての水分・塩分対策 苦しさを我慢する前に知りたい体温の話」が詳しい。
汗の量で分かること、分からないこと
ここまでの研究を並べると、汗の量で分かることは限られる。分かるのは、練習の前と後の体重の差から推定した、体の水が出ていった量のおおよそである[12][16]。分からないのは、消費エネルギーの大きさ[6][14]、脂肪が減った量[2]、そして体が変わったかどうかだ。
2025年の系統的レビューは、続けたホットヨガには、体の組成、血液の脂質、太い血管の働き、骨密度、バランス、柔軟性などの面で健康に役立つ変化が見られるようだとしつつ、ホットヨガが他のヨガやふつうの運動より大きな健康の利点をもたらすという主張は、いまのところ裏付けられていないと結論した[7]。ホットヨガの後に体調を崩した例の報告もあり、注意を促している[7]。
汗が肌にとどまってかゆくなる話は、同じサイトの「ホットヨガで汗疹はできる?汗の出口の詰まりとされるあせもの仕組みと、汗をためない工夫」に譲る。

よくある誤解
「汗の量が多いほど、カロリーを使っている」。同じヨガを暑い部屋と常温の部屋で比べた試験では、酸素の使い方に差がなく[6]、1時間の試験でも消費カロリーは同じだった[14]。暑さで上がったのは心拍と、本人の感じるきつさだった[6]。
「汗で体重が減ったのだから、痩せた」。40.6度の90分で減った体重はおよそ1.9%で、推定1.54Lの汗として出ていった分であり、減ったのは細胞の外の水分と塩だった[12][16]。8週間、24回続けた試験でも、体重と体脂肪率は有意に変わらなかった[2]。同じ回数で体脂肪が控えめに減った試験もあるが、1回の汗の量と結びつけた結果ではない[1]。
「汗をかいた分、たくさん飲めば安心」。ビクラムヨガの後に3.5Lの水を飲んだ女性が、重い低ナトリウム血症でけいれんを起こした症例がある[18]。
今日からできること
- マットの汗の量で、その日の出来を決めない。汗の速さは経験者で1時間あたり1.1kg、初心者で0.6kgと、経験によって大きく違った[4]。
- 汗の量を知りたいときは、レッスンの前と後に同じ服装で体重を量る。研究も汗の量を体重の差から推定していた[16]。
- 汗で下がった体重を、体脂肪が減った印と読まない。減った分は細胞の外の水分と塩で、体はその後の24時間で戻しにいく、と著者らは書く[16]。
- 練習の前と最中に、こまめに水分をとる。前か最中に水分をとった人は、脱水の症状が少なかった[15]。
- 練習の後に、一度に大量の水を飲まない。3.5Lを飲んで重い低ナトリウム血症になった症例がある[18]。吐き気、ひどい筋肉のつり、息苦しさが出たら、暑い部屋の外の涼しい所へ移ってスタッフに伝え、医師の診察を受ける。
- 体の変化は、数週間の続け方で見る。体の数字が動いた試験は、8週間で24回の練習だった[1][2]。
マットの汗の量より、通う週を数えるオンザショア立川店
研究で体の数字が動いたのは、1回の汗の量ではなく、何週間か続けた試験の側だった[1][2]。だから、マットの汗の量より、通った週を数える場所として店の事実を書く。当店のレッスンの汗が体を変える、と示した研究はない。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガのほかに、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。汗の量が気になる日に、常温のヨガやピラティスを選ぶこともできる。妊娠中の方は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
8時の回は土曜と日曜だけで、平日の朝いちばんは月曜から木曜が10時、金曜が13時、夜の遅い回は水曜と金曜の21時に始まる。12月29日から1月3日は通常のレッスンを休み、会員向けの特別の有料講座になる。体験レッスン(ヨガ)は税込1,980円で、60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。場所はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。
予約は体験の予約、料金は料金のページ、店の案内はトップページ。
参考文献
[1] Bikram yoga training and physical fitness in healthy young adults — Tracy BL, Hart CE., 2013, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e31825c340f
[2] The effect of Bikram yoga on arterial stiffness in young and older adults — Hunter SD, Dhindsa MS, Cunningham E, Tarumi T, Alkatan M, Nualnim N, Tanaka H., 2013, Journal of alternative and complementary medicine (New York, N.Y.). DOI: 10.1089/acm.2012.0709
[3] Effect of a 16-week Bikram yoga program on heart rate variability and associated cardiovascular disease risk factors in stressed and sedentary adults: A randomized controlled trial — Hewett ZL, Pumpa KL, Smith CA, Fahey PP, Cheema BS., 2017, BMC complementary and alternative medicine. DOI: 10.1186/s12906-017-1740-1
[4] The physiological responses to Bikram yoga in novice and experienced practitioners — Pate JL, Buono MJ., 2014, Alternative therapies in health and medicine. DOI: なし
[6] Objective and subjective measures of exercise intensity during thermo-neutral and hot yoga — Boyd CN, Lannan SM, Zuhl MN, Mora-Rodriguez R, Nelson RK., 2018, Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme. DOI: 10.1139/apnm-2017-0495
[7] Hot Yoga: A Systematic Review of the Physiological, Functional and Psychological Responses and Adaptations — Willmott AGB, James CA, Jewiss M, Gibson OR, Brocherie F, Mee JA., 2025, Sports medicine – open. DOI: 10.1186/s40798-025-00917-7
[11] Range of Yoga Intensities From Savasana to Sweating: A Systematic Review — Forseth B, Hunter SD., 2020, Journal of physical activity & health. DOI: 10.1123/jpah.2019-0372
[12] Calcium loss in sweat does not stimulate PTH release: A study of Bikram hot yoga — Mathis SL, Pivovarova AI, Hicks SM, Alrefai H, MacGregor GG., 2020, Complementary therapies in medicine. DOI: 10.1016/j.ctim.2020.102417
[14] Acute Physiologic Effects of Performing Yoga in The Heat on Energy Expenditure, Range of Motion, and Inflammatory Biomarkers — Lambert BS, Miller KE, Delgado DA, Chaliki K, Lee J, Bauza G, Taraballi F, Dong, 2020, International journal of exercise science. DOI: 10.70252/akmz9424
[15] Hydration and Hot Yoga: Encouragement, Behaviors, and Outcomes — Mace Firebaugh CJ, Eggleston B., 2017, International journal of yoga. DOI: 10.4103/ijoy.ijoy_8_17
[16] Salt and water balance after sweat loss: A study of Bikram yoga — Alrefai H, Mathis SL, Hicks SM, Pivovarova AI, MacGregor GG., 2020, Physiological reports. DOI: 10.14814/phy2.14647
[18] Exercise associated hyponatraemia leading to tonic-clonic seizure — Reynolds CJ, Cleaver BJ, Finlay SE., 2012, BMJ case reports. DOI: 10.1136/bcr.08.2012.4625
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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