春はなぜ眠いのか、春に長く眠る証拠は弱かった。春眠暁を覚えずを季節差の研究で読み直す

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工業化以前の社会の人は、たいてい暁より先に起きていた

電気の機器が眠りを遅らせ、減らしたのではないか。この疑いを背景に、工業化以前の暮らしを続ける3つの社会の睡眠を測ったのが2015年の研究である[21]。3つの社会の眠りは似た構造を持ち、寝つきから目覚めまでは平均6.9〜8.5時間、実際に眠っていた時間は5.7〜7.1時間だった。工業社会の数字の低いほうの端に近い[21]。工業化以前の暮らしが、特別に長い眠りを約束していたわけではない。スマホのせいにしたくなる夜に読むと、少し困る数字である。

日が沈んだら寝る、という想像も外れる。どの社会も日没の近くには眠らず、寝つくのは日没の平均3.3時間後で、目覚めはたいてい日の出の前だった[21]。眠りは夜の気温が下がる時間帯に収まり、1日でいちばん気温が低いころに終わる。著者は、現代の寝室からほとんど消えた気温の日周変化が、眠りの強力な自然の調節役かもしれないと書いている[21]。日ごとの睡眠の長さと強く結びついていたのも、起きる時刻より寝つく時刻だった[21]。昼寝は冬で7%未満の日、夏でも22%未満の日にしかない[21]。

ここで「春眠暁を覚えず」に戻る。漢詩のこの一行は春の朝の心地よさを詠んだもので、睡眠の統計ではない。夜が明けたのに気づかず、鳥の声を聞いている。詩として正しい。一方、論文の中の人たちは暁より先に起きている。比べているのは夏と冬なので春の反証にはならないが、夜が明けるまで寝ているのが人の自然な眠りだ、という読み方は支えにくくなった。「だから春は長く眠るのだ」と受け取ったのは、読んだ側の早合点である。

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季節のほかにも、眠りの数字を動かすものはある

季節のほかに眠りの数字を動かすものも見ておく。運動選手1,830人・18,958夜の睡眠を測定器で調べたレビューでは、練習が厳しい時期の睡眠はプレシーズンより36分、シーズン中より42分短かった[18]。選手の平均は1晩7.2時間で、どの区分でも8時間に届いていない[18]。疲れれば長く眠るという感覚とは逆向きの数字である。季節差のメタ分析でも、ラマダン中の睡眠はそれ以外の時期より64分少なかったが、これは有意差なしである[10]。

対象も条件も違うので、季節差と大きさを比べることはできない。選手の数字を一般の人へ広げることもできない。言えるのは、暮らしの決まりごとが変わる時期にも眠りの数字が動くことがある、というところまでである。メタ分析の著者も、季節の変化に加えて、日常の決まりごとの周期的な変化が1年の行動に影響する可能性を挙げている[10]。休暇中は軽い身体活動が増えるという報告もある[10]。

決まりごとを変えなくても数字が動いた例もある。プロのクリケット選手15人の小さな試験では、就寝時刻、起床時刻、睡眠時間を個別に本人へ返した群で、1週目より2週目の睡眠の合計が平均36分長くなった[15]。

ここからは私の読みである。日本の春に夏時間は無いが、4月には時間割が変わる。1限のある時間割が始まり、異動先の朝礼が前倒しになり、子どもの送りが増える。夏時間の研究で夜型の人に影響が目立ったことと重ねると[2]、日本の「春の眠気」の一部は、法律の代わりに時間割が時計を進めた結果かもしれない。これを直接確かめた研究をここでは挙げられないので、「かもしれない」のまま置いておく。

天気や気圧のせいにしたくなる日のことは、この特集の「雨の日に眠い理由は言い切れない。1,233人の日記で読む気圧、日照と疲れの関係」に譲る。朝の布団の話は「二度寝はなぜだるいのか、57%が二度寝派の調査と寝起きに残る眠りの研究を読む」が受け持つ。

「春だから」は便利な言葉で、便利な言葉は確認を省かせる。体内時計と気分を扱った総説は、概日リズムや睡眠の乱れが気分の不調の発症に先立つことが多いと書く[11]。多くを動物の研究に負う総説なので人の春にそのまま当てはめることはできないが、眠気のほかに気分の落ち込みや意欲の低下が何週間も続くなら、春の風物詩として流さず、医師に相談していい。

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よくある誤解

「春は睡眠時間が伸びる季節だ」。長く見えたのは、成人を束ねた解析では秋で[10]、睡眠検査の研究では冬で[22]、どちらも有意差なしである。春に増えるという傾向は示されていない。

「メラトニンは睡眠ホルモンだから、春の眠気はメラトニンのせいだ」。前半は総説がはっきり否定している[7]。後半についても、季節の調節役として書かれている相手は日の長さに反応する動物であり[7]、人の春の眠気を説明する根拠としては弱い。

「光を浴びれば誰でもよく眠れる」。うつ病の患者の試験では日記の時刻は動いたが測定値に差は無く[14]、極地のメタ分析では人工の補光に有意な効果が見られなかった[8]。光が効くかどうかは、誰に、どの光を、どう測るかで答えが変わる。

今日からできること

  • 春の眠気を季節で片づける前に、1週間だけ就寝と起床の時刻を書いて自分で見る。プロ選手15人の小さな試験だが、自分の数字を返された群で睡眠の合計が36分長くなった[15]
  • 「よく眠れた感じ」と「何時間寝たか」を別の欄に書く。患者の試験では、日記と活動量計の答えがずれた[14]
  • 夜型の自覚がある人は、年度替わりの朝を警戒する。時刻の切り替えの影響は夜型で目立った[2]。新しい時間割の前の週に、起きる時刻だけ先に寄せて試す
  • 季節で動く睡眠の量を大きく見積もらない。現代の成人を束ねた解析の差は10分台で[10]、1時間近い差が見えた研究も夏と冬の話である[21][22]。春に1時間足りない感じがするなら、予定や体調の側も探す
  • 眠る時間を増やしたいなら、起きる時刻より寝つく時刻から動かしてみる。工業化以前の社会では、日ごとの睡眠の長さは寝つく時刻と強く結びついていた[21]。現代にそのまま当てはまるとは限らないので、試す順番の目安として
  • 眠気に気分の落ち込みが重なって続くときは、医師に相談する[11]
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眠気ではなく、体を動かす時間の話としてのオンザショア

季節差のメタ分析で統計的に有意だったのは、睡眠ではなく、冬の軽い身体活動の少なさだった[10]。だから眠気が取れるとは書かない。研究がそこまで示していないからである。書けるのは、体を動かす決まった時間を週の中に置く場所がある、ということだけだ。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分(東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F)の溶岩ホットヨガスタジオで、常温のヨガやピラティスもある。時間割は先に正直に書いておく。8時の回は土曜と日曜だけで、平日の朝いちばんは月曜から木曜が10時、金曜が13時。夜は水曜と金曜に21時開始の回がある。店の営業は8:00〜23:30の年中無休だが、これは開閉の時刻でレッスンの開始とは別である。新年度の時間割が固まってから、どの回なら続くかを選べばいい。

体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンとバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。予約は体験の予約ページから、店の全体はトップページで見られる。

参考文献

[2] The effects of daylight saving time and clock time transitions on sleep and sleepiness: a systematic review — Romigi A, Franco V, Scoditti E ほか, 2025, Sleep medicine reviews. DOI: 10.1016/j.smrv.2025.102161

[7] Melatonin: Some Aspects of Biochemistry, Physiology, and Pharmacology — Claustrat B, Gronfier C, 2026, Advances and technical standards in neurosurgery. DOI: 10.1007/978-3-032-18608-9_4

[8] Effect of daily light exposure on sleep in polar regions: A meta-analysis — Shao Y, Li Y, Wang N ほか, 2024, Journal of sleep research. DOI: 10.1111/jsr.14144

[10] Annual, seasonal, cultural and vacation patterns in sleep, sedentary behaviour and physical activity: a systematic review and meta-analysis — Ferguson T, Curtis R, Fraysse F ほか, 2021, BMC public health. DOI: 10.1186/s12889-021-11298-3

[11] Mood variation under dual regulation of circadian clock and light — Rahim AR, Will V, Myung J, 2025, Chronobiology international. DOI: 10.1080/07420528.2025.2455144

[14] Objective and subjective sleep in patients with non-seasonal major depressive disorder and eveningness – Results from a randomized controlled trial of bright light therapy — Chan JW, Feng H, Zhang J ほか, 2023, Sleep medicine. DOI: 10.1016/j.sleep.2023.10.013

[15] An Individualized Intervention Increases Sleep Duration in Professional Athletes — Sargent C, Lastella M, Schwerdt S ほか, 2021, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000004138

[16] One seasonal clock fits all? — Michel S, Kervezee L, 2024, Journal of comparative physiology. A, Neuroethology, sensory, neural, and behavioral physiology. DOI: 10.1007/s00359-023-01680-4

[17] Does Daylength Affect Sleep and Mental Health Symptoms during Behavioral Interventions for Insomnia? — Hamill K, Porcheret K, Facer-Childs ER ほか, 2022, Behavioral sleep medicine. DOI: 10.1080/15402002.2021.1960350

[18] Deconstructing athletes’ sleep: A systematic review of the influence of age, sex, athletic expertise, sport type, and season on sleep characteristics — Vlahoyiannis A, Aphamis G, Bogdanis GC ほか, 2021, Journal of sport and health science. DOI: 10.1016/j.jshs.2020.03.006

[21] Natural sleep and its seasonal variations in three pre-industrial societies — Yetish G, Kaplan H, Gurven M ほか, 2015, Current biology : CB. DOI: 10.1016/j.cub.2015.09.046

[22] Seasonality of human sleep: Polysomnographic data of a neuropsychiatric sleep clinic — Seidler A, Weihrich KS, Bes F ほか, 2023, Frontiers in neuroscience. DOI: 10.3389/fnins.2023.1105233

この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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