二度寝はなぜだるいのか、57%が二度寝派の調査と寝起きに残る眠りの研究を読む

もう一度眠りたい欲求は、睡眠慣性という状態の中身の一つとされる。450人の調査では57%が二度寝派で、しない人と比べ睡眠時間は短くないのに起床前の眠りが浅かった。睡眠を5.6時間に絞る条件は8時間の条件より寝起きの成績が約10%低く、それでも眠気の自覚に差は出ない。

寝不足を何週間も続けた人は、起きてから2分以内の成績が、8時間眠れる条件より約10%悪かった。ところが本人の眠気の申告には差がなかった[14]。眠気の自覚は、頭の状態をそのまま映す計器ではないらしい。

二度寝の話もここから始めるとよい。あの気持ちよさの向こうにいるのは、まだ起ききっていない脳である。目覚めた直後の一時的に覚醒の低い状態を睡眠慣性と呼び、その中身には成績の低下や混乱とならんで「もう一度眠りたい欲求」が数えられている[3]。布団に戻りたくなるのは、意志の弱さより先に、この状態の症状の一つなのだ。

二度寝そのものを調べた研究もある。複数のアラームで起きることを二度寝と定義して450人を調べると、57%が二度寝派だった。二度寝しない人と比べて睡眠時間は短くなく、眠気を強く感じているわけでもない。ただ起きる前の眠りが浅く、安静時の心拍数が高かった[21]。起きたときのだるさは、眠り直した数分だけの責任ではないのかもしれない。寝起きの脳には眠りの特徴が残っているらしく[23]、その重さは起きる前からの状態に左右される[3]。

スヌーズの時間と注意力の関係は、同じサイトの「疲労回復にスヌーズは役立つ?二度寝の時間と起きた後の注意力を研究で読む」と「朝の運動は二度寝のアラーム後でも同じ?スヌーズと起床直後の注意を読む」が先に扱った。こちらが追うのは、二度寝をする人の眠りと、寝起きの感覚と測定のずれである。

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「もう一度眠りたい」は症状に数えられている

脳波と画像の研究によれば、寝起きの脳は全体が一斉に起きるわけではない。局所的な睡眠と局所的な覚醒が入り混じった、まだらな状態にある[3]。起きている状態とは測定で区別できる別の状態で、眠りの特徴の一部が目覚めたあとまで残っている[23]。玄関の電気はついたのに、奥の部屋はまだ暗い家のようなものだ。この状態には、しばしば不機嫌もついてくる[3]。朝の家族の会話がかみ合わないのは、性格の問題とは限らない。

重さを左右するのは、それまでの眠りの足りなさ、体内時計、起きたときの眠りの段階、そして個人の要因である。健康な人の範囲でも、その振れ幅は非常に大きい[3]。「朝に弱い」の一言で片づけられてきたものの中身は、ばらばらなのである。

書けるのは、眠りに戻りたい欲求が症状として記録されてきたという事実までで、快感の正体を言い切ることはできない。これほど日常的な現象なのに、臨床で使える測定の道具は少なく、検査は主に質問紙と反応の課題で、再現性のある生物学的な目印はこれから探す段階だという[3]。体重計に載るように寝起きの重さを測ることは、まだできないのである。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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57%は二度寝派で、睡眠時間は短くなかった

2022年の研究は、複数のアラームを使って起きることを二度寝と定義した。450人に調査票で誰が、いつ、どうやって、なぜ二度寝するのかを尋ね、身につける機器で眠りの段階と心拍を追った[21]。二度寝派は57%。女性、若い人、歩数の少ない人、勤勉性の低い人、眠りの乱れの多い人、夜型の人で、二度寝派である確率が高かった[21]。この特集の読者の多くは、統計の上では二度寝の本流にいる。勤勉性との関連も確率の話で、二度寝が怠け者の証明になるわけではない。

意外なのは次だ。二度寝派は二度寝しない人より睡眠時間が短くなく、眠気を強く感じているわけでも、昼寝が多いわけでもなかった。代わりに体の測定値に差が出た。安静時の心拍数が高く、起きる前の眠りが浅い[21]。眠気の自覚は強くないのに、体の数字は違う。この記事で何度も出てくる、感覚と測定のずれの一つである。

著者らの見立ても面白い。二度寝を、ストレス系を使って睡眠慣性を減らす方法と捉えている[21]。この見立てに立てば、二度寝は起きるための工夫の一つになる。効いているかは別の話で、著者らもこの行動の生理と健康への影響はこれからの研究だと書く[21]。観察研究なので、眠りが浅いから二度寝するのか、二度寝の習慣があるから浅くなるのかも決まらない。

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二度寝したくなる朝は、もともとだるい朝かもしれない

ここで因果を疑っておく。「二度寝したからだるい」のか、「だるくなる条件の朝だから二度寝したくなる」のか。

睡眠慣性を重くするものとして挙がるのは、それまでの眠りの足りなさ、体内時計、起きたときの段階である[3]。とくに体内時計の上で夜にあたる時間に起きるときに強い[23]。そして二度寝派には夜型が多かった[21]。夜型の人が朝の予定に合わせて起きれば、体内時計の夜に近い時間に起きることになるはずで、そうだとすれば布団に戻りたい気持ちと起きたあとの重さは、同じ原因から同時に強くなる。二度寝が犯人に見えるのは、いつも現場にいるからかもしれない。

手がかりになる数字が、過眠の病気の患者にある。薬を使っていない128人が午前11時に短い昼寝をして前後を測った2026年の研究では、昼寝のあとの注意の抜けを主に決めていたのは昼寝の前の抜けの多さで、眠りの段階の変数は独立には説明しなかった。眠気の増え方も、もともとの眠気の強さと結びついていた[22]。起きる前の状態が、起きたあとを連れてくる。もちろん患者の昼寝の話で、健康な人の朝には移せない。朝の二度寝を割り振って比べた試験の結果でもなく、ここは論文をつないだ私の推測である。

寝起きの霧が晴れるまでの時間は、試験ごとに違う

では、だるさはどれくらいで消えるのか。ここからの材料は昼寝、夜勤の仮眠、夜中に起こす実験が中心で、朝の布団そのものではない。それでも論文によって答えが違う。

模擬の夜勤で午前2時に30分か2時間の仮眠を取った試験では、直後の低下は10〜30分で検出できなくなった[19]。ふだんの睡眠が短い若い成人32人が昼寝をした試験では、30〜60分の昼寝で低下が出て、30分以内に解消した[15]。運動習慣のある23歳前後の17人の試験では、25分でも90分でも、起きて最初の30分は反応の速さも判断も跳躍も握力もそろって落ち、抜けるのに少なくとも1時間かかった[1]。別の論文は、その試験の結果ではなく前提として、最大で1.5時間という数字を挙げている[14]。

同じ名前の現象で、答えはそろわない。

理由の一つは、測り方がそろっていないことだ。健康な人を対象にした8本の総説と64本の論文を読んだ航空医学のレビューは、人数が少なく、統制の弱い環境で、再現されていない検査を使った研究が多いと指摘し、メタ分析は不可能だと書いた[4]。パイロットの成績への当てはめも仮説にとどまるという[4]。空の安全がかかる分野でさえ、この状態である。あなたの朝の霧の長さを、論文が言い当てられるはずがない。

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眠気の自覚に差がないまま、成績は約10%低かった

冒頭の数字に戻る。26人の健康な人を32日または38日の実験室生活に入れ、24時間あたりの睡眠の機会を5.6時間に絞る条件と、8時間の条件を比べた試験である[14]。起きて約2分後から10分ごとに70分間、成績と眠気を測った。

寝不足の条件は、起きて2分以内で約10%悪く、霧が晴れていく間もずっと低いままだった。体内時計の上で夜にあたる時間に起きると、さらに悪化した[14]。そして本人の眠気の評価には、有意な差がなかった[14]。

人数は26人で、実験室という特殊な条件ではある。それでも著者らは、起きてすぐに作業が必要な人、とくに毎晩6時間未満しか眠っていない人に向けて、この結果を重要だと書く[14]。「今朝は意外と平気」は、頭が回っている証拠にならない。

自宅で光るメガネをかけると元気な気がする。注意の成績は別の話だ

もう一つのずれが光である。実験室では、夜に起きた直後に光を浴びると睡眠慣性の症状が改善することが分かっていた[9]。これを実生活で確かめるため、36人(女性18人、平均26.6歳)に光るメガネを渡して自宅で試した交差試験がある。寝入って45分後に起こし、起床の2分後から32分後まで測る手順である。自覚の覚醒とエネルギーは上がった。一方で注意の課題では、光なしの条件のほうが反応が速く、抜けも少なかった[9]。実験室の結果は自宅で再現しなかったのである。著者らは見え方や快適さも測るべきだと書いている[9]。気分がよくなる光が、成績まで上げるとは限らない。

数字で読む睡眠慣性

  • 57%: 複数のアラームで起きる人の割合。450人の調査[21]
  • 約10%: 睡眠の機会を24時間あたり5.6時間に絞った条件の、起床2分以内の成績の差。比較は8時間[14]
  • 10〜30分: 模擬夜勤の仮眠のあと、低下が検出できなくなるまで[19]
  • 少なくとも1時間: 運動習慣のある17人が25分か90分の昼寝をしたあと[1]
  • 30分超: 慣性の恐れがあるとされた昼寝の長さ。2026年の総説[8]
  • 36人: 自宅で光を試し、光なしと比べて自覚は上がったのに注意の成績は上がらなかった試験の人数[9]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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