
7cmの台では、太ももの前の筋活動が上がり、背中の筋活動が下がった
筋肉の側から見た研究もある。2026年の研究は、体を動かす習慣のあるサウジアラビアの若い女子大学生20人(平均20.72歳)に、床に足を平らに置く条件と、7cmのくさびでかかとを上げる条件で、深くしゃがんで立ち上がる動作を、別々の機会に行ってもらった[14]。対照の群を置かない、一つの群の準実験の設計である[14]。
かかとを上げると、太ももの前の大腿直筋の筋電図の活動は有意に増え、背中の胸腰部の伸筋の活動は有意に減った[14]。背中の左右の差は有意でなかった[14]。著者らは、かかとを上げた深いしゃがみ立ちは、大腿直筋の活動を高め、腰の安全性を高めると示唆している[14]。
筋電図は筋肉の電気の活動の記録で、筋肉が出した力や、腰の痛みの起こりやすさを直接測ったものではない。背中の活動が下がったことを腰の安全と結びつけたのは著者らの解釈で、20人の一つの群の結果でもある。それでも、先の男性30人の試験で上体の前傾が減ったこと[13]と、向きはそろっている。7cmは、その試験で最も高かった5cmより、さらに2cm高い。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
重さを足の前に乗せると、膝の仕事の一部が足首へ移った
蹲踞は、体重を足の前の部分で受ける形でもある。足の裏のどこに重さを乗せるかで、しゃがみはどう変わるのか。
2022年の研究は、男性16人(平均22.1歳)に、足の裏の圧の中心の位置を画面で見ながら、前寄りと後ろ寄りの2条件で両脚のスクワットをしてもらった[5]。圧の中心は、かかとから測って足の長さの53.5%と44.4%の位置で、条件の差は有意だった[5]。
前寄りの条件では、膝を伸ばす側のモーメントが有意に小さく、足首を伸ばす側のモーメントが有意に大きかった[5]。股関節のモーメントには有意な差がなかった[5]。足首の曲がる角度は前寄りで有意に大きかった(差の95%信頼区間は0.6〜2.6度)が、体幹、股関節、膝の曲がる角度には差がなかった[5]。著者らは、圧の中心の前後の位置は主に足首と膝のモーメントに影響し、関節の角度への影響は限られていたとまとめ、その位置を画面で示すことが、足首と膝の仕事を調整するのに役立つかもしれないと書く[5]。
同じ研究グループの2022年の別の研究は、健康な28人(女性14人、男性14人)で、膝を伸ばす側のモーメントが支える力全体に占める割合を予測した[6]。圧の中心の前後の位置だけでも有意な予測因子で、決定係数は0.168だった[6]。足首の曲がる角度と組み合わせると、決定係数は0.857まで上がった[6]。著者らは、圧の中心の位置に足首の曲がりか上体の前傾を組み合わせた働きかけが、膝の仕事の割合を整えるのに役立つと示唆している[6]。
ここから蹲踞を考えるときに、二つ気をつけたい。一つは、この実験の前寄りの条件が、かかとから足の長さの53.5%の位置、つまり足の真ん中を少し越えたあたりだということだ[5]。足の指の付け根で支える蹲踞ほど前ではない。もう一つは、向きの食い違いである。重さを前に乗せると膝のモーメントは小さくなったが[5]、かかとを台で上げると膝のモーメントは大きくなった[13]。蹲踞は、かかとを上げることと重さを前に乗せることを同時に行う形で、膝の仕事が増えるのか減るのかは、この二つの研究からは決められない。私の読みでは、蹲踞を測る研究がいちばん答えるべき問いは、ここにある。

膝がつま先より前に出ると、膝のお皿の裏の負担の見積もりは上がった
かかとを上げて深くしゃがむと、すねが前へ倒れる。台の試験でも、かかとが高いほど、すねが前へ倒れる角度は増えた[13]。では、膝が前に出ることは、膝にとってどうなのか。
2018年の研究は、健康な女性25人(平均22.69歳)に、膝をつま先より後ろに保つスクワットと、膝がつま先を越えてよいスクワットを行ってもらい、筋骨格の模型で、膝のお皿と太ももの骨の間の関節(膝蓋大腿関節)にかかる応力を見積もった[4]。膝がつま先を越えるやり方では、その応力、関節の反力、太ももの前の大腿四頭筋の力が、いずれも有意に大きかった[4]。膝を後ろに保つやり方では、膝、股関節、足首の曲がる角度が小さくなった[4]。
著者らの結論は、膝の前の痛み(膝蓋大腿痛症候群)があるかもしれない患者のスクワットでは、膝を前へ出しすぎないことを、ある程度一般的に支持する、というものだった[4]。測ったのは健康な女性で、結論が向けられているのは膝の前に痛みのある患者である。膝が前に出る形が、痛みのない人の膝を傷めると示した研究ではない。
この試験では、膝を後ろに保つやり方で、膝と足首の曲がる角度そのものが小さくなっていた[4]。深くしゃがむことと、膝を前に出すことは、切り離しにくい。蹲踞の深さは、膝を前に出すことと引き換えに得られている、と私は読む。膝の前に痛みがある人は、深い蹲踞を続ける前に医師に相談したい。
足首の硬さは、測り方で見え方が変わった
足首が硬いかどうかは、どう測るかでも答えが変わる。2014年の横断研究は、体を動かす習慣のある大人40人を、足首の曲がりが限られた20人と、ふつうの20人に分けた[1]。足首の曲がりは、膝を伸ばして体重をかけずに測る方法と、体重をかけたランジの姿勢で測る方法の2つで評価した[1]。
体重をかけずに測った値で分けると、しゃがみや着地の動きに群の差は見られなかった[1]。ところが、体重をかけたランジで足首がよく曲がる人ほど、頭の上に腕を上げたスクワットと片脚のスクワットで、膝と足首の曲がる動きが大きく、膝の最大の曲がりも大きかった[1]。片脚のスクワットでは、膝が外へ開く向きの動きも大きかった[1]。著者らは、体重をかけたランジでの足首の曲がりを高めることが、前十字靱帯のけがと結びつく動きを変える介入として重要かもしれないと書く[1]。横断研究なので、足首を柔らかくすれば動きが変わると確かめたものではない。
かかとを上げることを、検査の道具に使った試験もある。2013年のランダム化比較試験は、両脚のスクワットで膝が内側へ入り、それがかかとの台で直る32人を、対照の群16人と介入の群16人に分けた[3]。介入の群は、2〜3週間で10回、股関節と足首の筋力と柔軟性に的を絞った運動を行った[3]。
介入の群では、しゃがむ動作の20〜50%の局面で膝の内側への動きが減り、30〜50%の局面で三次元で測った膝の内側への傾きが改善し、膝を伸ばして測った足首の曲がる範囲が広がった[3]。股関節の筋力などほかの項目には有意な差がなかった[3]。著者らは、対象の選び方が股関節の筋力の変化を見えにくくしたのかもしれないと書いている[3]。
かかとを上げると直る膝の内側への入りを、足首と股関節の運動で減らせた。逆から読めば、この試験のかかとの台は、足首の硬さを補う道具として働いていたことになる。これも私の読みである。蹲踞の練習で足首が柔らかくなるかを試した研究には、ここで読んだ範囲では出会えなかった。

よくある誤解
「蹲踞はスクワットより脚に効く」。蹲踞とスクワットを比べた試験は、この記事で読んだ中にはない。近い形のかかとを上げたスクワットでも、14研究を束ねて有意に広がったのは足首と膝の動く範囲で、股関節と体幹は変わらなかった[7]。効くかどうかを問う前に、何が変わるのかが、まだ形ごとに分かれている段階である。
「かかとが浮くのは、しゃがみ方が間違っている証拠」。92人の研究では、かかとをつけようとするとすぐ後ろへ倒れた人が39人いた[18]。かかとを台で上げる方法はリハビリで広く使われ[10]、メタ分析の著者らもかかとの高さを練習の処方に使えるとしている[7]。かかとが上がること自体を、悪いと決める根拠はない。
「足首の硬さは、座ってつま先を手前に引けば分かる」。体重をかけずに測った足首の曲がりでは、しゃがみの動きの違いが見えなかった[1]。違いが見えたのは、体重をかけたランジの姿勢で測ったときだった[1]。
今日からできること
- かかとをつけてしゃがみ、5秒保てるかを見る。研究の3段階では、保てない、または筋肉の頑張りが要るのが2段階目、すぐ後ろへ倒れるのが3段階目だった[18]。
- 足首の硬さは、体重をかけたランジの姿勢で確かめる。体重をかけない測り方では、しゃがみの違いが見えなかった[1]。
- しゃがむ練習でかかとの下に板を置くなら、高さを書き留める。足首の範囲が有意に広がったのは2.5cmを超える台で[7]、上げすぎると膝を伸ばす筋肉への要求が増えるかもしれない[13]。
- 体重を足の前に置くか後ろに置くかを、同じ深さで比べてみる。前寄りでは膝のモーメントが小さく、足首のモーメントが大きかった[5]。
- 蹲踞を練習に取り入れるなら、効き目を期待するより、保てた秒数とふらつきを書き残す。研究の数字が無い形だからこそ、自分の記録が手がかりになる。
- 膝の前に痛みがある人は、膝を大きく前へ出す深いしゃがみを続ける前に、医師に相談する。膝がつま先を越えると、膝のお皿の裏の応力の見積もりは大きかった[4]。
かかとを上げる日と下ろす日を、立川駅北口のオンザショアで比べる
研究が示したのは、かかとの高さと重さの置き場所で、しゃがみの中の関節の仕事が変わるということだった[5][7][13]。オンザショアのレッスンで蹲踞ができるようになる、足首が柔らかくなる、と示した研究はない。ここに書けるのは、自分の足でその違いを確かめる場所の事実だけである。
初めての人の体験レッスン(ヨガ)は税込1,980円で、60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが付く。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
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予約は体験の予約から。料金は料金のページ、店の全体はトップページで確かめられる。
参考文献
[1] Altered knee and ankle kinematics during squatting in those with limited weight-bearing-lunge ankle-dorsiflexion range of motion — Dill KE, Begalle RL, Frank BS, Zinder SM, Padua DA., 2014, Journal of athletic training. DOI: 10.4085/1062-6050-49.3.29
[3] Two- and 3-dimensional knee valgus are reduced after an exercise intervention in young adults with demonstrable valgus during squatting — Bell DR, Oates DC, Clark MA, Padua DA., 2013, Journal of athletic training. DOI: 10.4085/1062-6050-48.3.16
[4] Effects of Anterior Knee Displacement During Squatting on Patellofemoral Joint Stress — Kernozek TW, Gheidi N, Zellmer M, Hove J, Heinert BL, Torry MR., 2018, Journal of sport rehabilitation. DOI: 10.1123/jsr.2016-0197
[5] Effects of Changing Center of Pressure Position on Knee and Ankle Extensor Moments During Double-Leg Squatting — Ishida T, Samukawa M, Endo D, Kasahara S, Tohyama H., 2022, Journal of sports science & medicine. DOI: 10.52082/jssm.2022.341
[6] The center of pressure position in combination with ankle dorsiflexion and trunk flexion is useful in predicting the contribution of the knee extensor moment during double-leg squatting — Ishida T, Samukawa M, Kasahara S, Tohyama H., 2022, BMC sports science, medicine & rehabilitation. DOI: 10.1186/s13102-022-00523-0
[7] Heel elevation increases ankle and knee range of motion during squatting in healthy adults: a systematic review with meta-analysis — Ghasemi M, Emami M, Mohammadi Yaghoubi U., 2026, Sports biomechanics. DOI: 10.1080/14763141.2026.2619893
[10] Footwear and Elevated Heel Influence on Barbell Back Squat: A Review — Pangan AM, Leineweber M., 2021, Journal of biomechanical engineering. DOI: 10.1115/1.4050820
[13] Dose-Dependent Effects of Heel Elevation on Kinetic Chain Reconstruction and Lumbar Stress During Loaded Squatting in Men With Restricted Ankle Dorsiflexion — Cai J, Sun D, Li F, Chen D, Zhu J, Song Y, Fan Y, Goda TJ, Gu Y., 2026, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000005639
[14] The effect of heel elevation on rectus femoris and thoracolumbar extensor EMG activity during deep squatting-standing movement — Ameer MA, Al Abbad AM, Alrashedi SN, Alruwaili AM, Alruwaili MM, Alsrhany AH, Al, 2026, Journal of back and musculoskeletal rehabilitation. DOI: 10.1177/10538127251387829
[15] Effect of Soleus Muscle Shear Modulus on Deep Squatting Motion at Increased Ankle Dorsiflexion — Murofushi Y, Hirata N, Suzuki K., 2025, Cureus. DOI: 10.7759/cureus.87746
[18] Squatting Posture Grading System for Screening of Limited Ankle Dorsiflexion — Kim JY, Lim OK, Park KD, Na H, Lee JK., 2025, Annals of rehabilitation medicine. DOI: 10.5535/arm.230008
[19] Effect of soft tissue, range of motion and muscle strength on deep squatting — Okayama Y, Otsuki S., 2024, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2024.05.012
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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